Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

祝キャンプ終了 若手打者定点Check

 また一月ぶりの更新となりました。そろそろ本気出します。選抜も始まりますしね、ええ。

 それではキャンプも無事に終わり、オープン戦も本格化します。というわけで若手選手の定点チェック。今回は打者編です。

<本日のそろそろ本気>

阪神

・森下(22ドラ1)

 評判がいいですね。嬉しい反面、正直高所恐怖症です。まだオープン戦も始まったばかり・・・・。

 ただプロの攻めは東都と比較して優しい。去年までの四年間は、調子が上がって来るとまじで肩から上の危険球ばっかりでしたから。そのあたりについては詳しく、次の、その次ぐらいでしょうか、「森下ウォッチャー最終回」として書きます。

 本人は長打が出ないと悔しがっているそうですが、次の試合でも単打で良いから一本出れば御の字やで。相手はプロだぞ!勘違いしないで欲しい。100年早いと言いたい。

 だいたい今の森下の調子は普通。特に良いわけじゃない。こういう状態の森下が一発あるとすれば、右のハンガーカーブやスライダーが甘く入った場合のみ。

 調子が上がってくれば、自然左腕からの長打も出ると思いますが、もともと左に対しては引っ張るとボールが上がらないタイプ。そこに持ってきて左腕との対戦が続いたから角度がつかないのですよ。

 オープン戦で打つよりもシーズンで。あくまで開幕にピークを!

・井上(19ドラ2)

 ようやっと一軍メンバーに入って、そこで打てるようになったかと胸熱。こちらも8月中旬生まれのやらかす奴。まだ21歳の右の大砲候補。

 最大のライバルは怪我。少しオーバーウェィト気味なので、予期せぬクロスプレーに注意。去年石川が膝の靭帯をやっているが、ほぼ同じシチュエーションで井上にもあわやの場面があった。

 本人は試合では常に集中!そしてフアンは長い目でこの選手を見てやってくださいまし。

・遠藤(19ドラ4)

 ストレートは良いのですが、縦系の変化球がまったくダメという・・・・。

 誰か何とかしてやってもらえないものですかね。どんでんが推奨するポイントを前に持ってくると合わない。この子に関しては逆で、ポイントを捕手寄りにどれだけ近づけられるかにかかっていると思う。

 井口が去年だったか一昨年だったか、最近の高卒の新人は変化球に合わせているので、ストレートの反応が悪いとしきりに嘆いていました。たぶん、安田や藤原のことを指すのかなと。遠藤はその逆。ストレートしか打てなくなっている。ほんま、誰かなんとかしてやって。

・前川(21ドラ4)

 乞食いわく、ツイスト打法ができているのだとか・・・・。

 ツイストって阿部や丸のように、ステップ幅が狭めなんすけどね。前川のようにあそこまで突っ込んだら、これ以上前に動かすものがないので、自然と壁ができて、後ろの膝が伸びて回らなくなるのですが、しかしてそれをツイストとは言わない。

 ツイストの見本は丸もそうですが、去年の中盤からの中田翔の打撃フォームですな。必見! ちなみに今年の中田翔はやると思うので、期待してくださいね。

・中川(21ドラ7)

 やっぱりお値打ち指名でしたわ。梅ちゃんの後継者はこの選手で決まり!

・井坪(22ドラ3)

 ええわ。まじで、ええのん獲ったわ。まだ17歳やでしかし。

・戸井(22ドラ5)

 こちらも評判いいです。でも、インパクトの瞬間ヘッドが落ちるので、擦ったような当りになる。4月から鳴尾浜で再チェック予定。

 背中の ”TOI” の三文字に郷愁を感じた方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。44番もええけど、やっぱ24番やな。

大巨人軍

・浅野(22ドラ1)

 まだ評価は早い。夏まで待とう!

 ただ篠塚の技術面でのアドバイスは正しい(有料記事でゴメン)。デーブよ、スイッチは待ったれよ!

www.nikkansports.com

・萩尾(22ドラ2)

 早速週刊誌ネタになるほどの大物とは・・・・。そして人知れず二軍へ。

・秋広(20ドラ5)

 後ろの膝、足首が軸に巻き付きすぎる。要は体重を後ろ脚に乗せきれてないからそうなる。

中日

村松(22ドラ2)

 この選手も少しオーバーウェイトか。去年膝を痛めたのもそのせいではないか? 太りやすい体質だと見ました。

・田中(22ドラ6)

 6位評価を覆す実戦派。打撃は結果が出てないが、我慢して使えばやるのではないか? お値打ち指名はこいつかも。ただ病み上がりなのが・・・・。友杉よりは上。

・ブライト健太(21ドラ1)

 覚醒かも。去年石川の件で立浪によって二軍に叩き落されたノリが、ついにやりおったか・・・・ ?

横浜

・松尾(22ドラ1)

 無理に捕手で育てなくても良いと思ふ。

広島

・田村(21ドラ4)

 もうちょっと・・・・、必ずやる!

・内藤(22ドラ2)

 日々、中村剛と細川の間を行ったり来たりしているようだ

西武

・蛭間(22ドラ1)

 吉田尚ではないことをご理解いただけたと思う。

楽天

・吉野(21ドラ1)

 身体ができあがった完成形を見てみたい。

 バッティングフォームが独特過ぎるんだよな

千葉

・友杉(22ドラ2)

 守備は良いが、打撃が・・・・。今のままではヘッドが入りすぎてライト方向にしかボールは飛ばない。

・池田(21ドラ2)

 牧がブレイクしたばかりに・・・・。

北海道

・矢澤(22ドラ1)

 これは評価を見誤ったようです。バッティングでここまでやるとは・・・・。スイングが波打ち気味だし、今の成績は出来すぎであるとは思う。

 私が驚ろいたのは、むしろホームランとかではなく、瞬間の動き・・・・。恐ろしいほど速い。最初の2、3メートルがとにかく速い。そして足の運びが強い。今からラグビーやって欲しい、そう願いたくなるほど。

 打撃フォームは実にシンプルで、テークバックで一度ヘッドを寝かせてから振りに行くという、左投げ左打ち特有のもので、二松時代の秋山(現ロッテ)と相通ずるものがある。秋山の打撃も捨てがたいと思っていたので、あえて誤解を恐れず言えば日の目を見た、そんな感じでいます。

 ただ、身体が常に万全でフレッシュの状態なら実力を発揮するタイプのようには見える。連戦が続くプ口をどう凌ぐ? 新庄マジックに期待!

 たたものではない、うむ。

アマ野球ウォッチャーの本懐

 足掛け5年にわたって森下をウォッチしてきたわけだが、贔屓チームへものの見事にドラ1での入団の運びと相成った。ドラフト会議がエンディングの舞台ではなくプロローグという、夢のような物件である。こういうケースは正直あまり記憶にない。

 追っかけ続けた逸材をドラフトを経て送り出し、そこが今生の別れとなるのが常であった。あえて ”望外” という表現を使うことをお許し願いたい。

 しかしそこに少しばかり ”複雑” なものを 感じてもいる。果たして私にとって虎の子の森下が、トラキチたちの異常な愛情に応えることができるのか? こればかりは私の力は及ばない。森下の腕次第である。

 われわれにとって阪神タイガースというのは、存在自体がいわば生活の一部。なのでこれからはウォッチというよりも背中合わせとなり、森下の存在は日常化する。たとえば急ぎの用事がある時、目の前で踏切がけたたましい音と共に下りてきたら、誰もがイラッとするだろう。同じように、森下のプレーが、これからのわれわれの些細ではあるが生活の質を左右することになる。どちらの立場も判るだけに、ちょっと怖い・・・・、ええおっさんの吐くセリフではないのだが、”複雑” と書いた、その一片を少しでもご理解いただければ幸いである。

 森下の存在は、これまでの ”アマチュアの推し選手” から ”贔屓チームのー員”  へ、いわば勘定科目が変わっただけなので、私の中の ”プラマイ” はゼロである。しかし喪失感がないわけではない。やはりアマ野球を見続けるためのモチベーションとなるような、つまりこれから追い、ウォッチし続ける価値のあると見込んだ選手は絶対的に必要だ。

 ではそんな選手がいるのかと言えば・・・・、実はいる。今回はその選手について書いてみたい。

 極北の当ブログを丹念に読み込んでおられるそこの貴方、恐らく貴方なら私がこれからの野球オタ活動を捧げようとする対象が誰だかわかるだろう。既に春の段階で注目していると書き、夏にははっきりこうも宣言した、大阪桐蔭の打者の中で、十年後に一番活躍しているのはこの選手、そう、つまり彼なのだ!

 

伊藤 櫂人(大阪桐蔭 ⇒ 中央大)178 78

 伊藤を初めて観たのは二年前の秋だった。伊藤を観たいというのではなく、”大阪桐蔭に大型のショートが神奈川から入って来た” との噂を聞きつけたからわざわざ球場まで足を運んだ。一応私は大阪に住んでいるので、大阪桐蔭の試合を見ることは比較的多い。因みにケーブルテレビでは有難いことに夏の予選もやっているのだという。

 大阪桐蔭は言うまでもなく中学時代の世代トップが集まる才能集団。チェックのし甲斐もある。今年のレベルははこんな感じか、この高校の試合を見ただけで、その思いに浸っても満更間違いではない。ある意味、大阪桐蔭高校野球界の縮図。それもかなり上の部類の。

 でっ、目当ての小川が15を付けて秋の府の大会に出ていて、その前を打つ選手が伊藤であった。

 雨上がりの観戦だったと思う。当時の伊藤はぱっと見、非常に見栄えが悪かったと記憶している。ただスイングを一つしただけで、おおっ!と色めき立ったことも鮮明に覚えている。そしてこの打者で7番なんだ、そう素直に感じた。スイングの質は左右の違いはあるが星子と双璧。ヘッドの立った、いわゆる判っている子のスイング。であるから星子の打席での佇まいだけで、サイズはないものの6番を任される意味を理解できた。同時にこの伊藤って子はもっと上を打っても良いのに、とも思った。

 試合の合間にスマホで調べてみる、サイズは178の75、 U15世界大会のMVP・・・・。でもそんな背があるかな? というのは当時の伊藤は打席では腰を落とし、両膝、特に軸である右膝を深く折った不細工なフォームだったからだ。実際のタッパより小さく見える。不発弾で終わった笠松と重なった。

 なぜそんなフォームなのか? たぶん、前に突っ込むのを矯正させるために、右脚に重心を乗りやすくすることを意図しているのだろう。レベルの如何に問わず、前に出される打者は多い。 大阪桐蔭のエリート選手とて例外ではない。

 私の頃は軸脚の太ももを監督が問答無用でバットのグリップで一撃。蹲り悶絶している選手を尻目に、”打席ではその痛みが再現するまで体重を掛けるんやぞ!”、とやられたものだ。すると確かに、どこまで打席で軸に重心が移っているのかを痛みの加減で判るようになり、変化球で前に出されそうになると、” 痛みが小さい = まだ早い ” となって突っ込むのが止まったことがあった。なので中にはその一撃の痛みが消えそうになると、自分で軸脚の太ももを叩き出すやつまで現れる始末だった。

 伊藤はその試合、確か浪商の左腕だったか、見事なホームランを打った。”こりやええで!” と私がなったのはご理解いただけるだろう。

 私が惚れ込んだ選手は、直接観に行くと即座に応えてくれることが多い。マドンナスタジアムでの森下がそうであったし、安芸での井上のプロ入り初打席もそうだった。伊藤の場合は逆で、その一発で惚れ込んだ、といったところか。どちらにしても幸せなことである。

 大阪桐蔭近畿大会を制し、神宮デビューを果たした伊藤は核弾頭となっていた。そりゃそうやろ、私は胸を撫で下ろした。なんでも先の浪商戦の直後からトップへ上がったのだとか。納得はしつつも、時間がかかったな、そう思った。まだ二年とは言え、秋季大会は最後の秋だ。

 U15世界大会のMVPで、スイングがここまで鋭いのに、旧チームでは何をしてたんや? アピールが下手なのか・・・・。

 恐らくではあるが、この春高校を巣立つ世代は、卒業式も入学式もなく、部活どころか登校さえ禁じられた。伊藤たち寮生は再開まで地元に帰らされていたと思う。また晴れて野球部に戻っても制限ばかりで夏の甲子園もなしという、前代未聞の年回りとなった。そのあたりについては須江監督の言葉を借りるまでもないだろう。

 球児としての技量云々もそうだが、名門野球部という特別な組織に馴染むのも果たして上手くいったのか? たとえば先輩との距離の詰め方も難しかったのではないか、そう想像する。事実、あれだけの肩書持ちが集まった世代だというのに、前年度のメンバー入りを果たしたのは松尾だけ。伊藤はおろか、早熟型の海老根もレギュラー獲りが叶わなかったという。遠慮が先に出てしまうのだろう。

 何に対する遠慮か・・・・?

 それは従来であれば一年の春~梅雨にかけて、あえてしごきとは言わないまでも雑巾掛けをさせられる、そういった一連のある意味貴重な洗礼を、期ぜずして免れてしまった負い目みたいなものを引きずり続ける、そんな世代なのかもしれない。これだけの才能を持ちながら新チームまで結果的に埋もれた伊藤も、きっと控えめでいることを余儀なくされたのではなかろうか。

 神宮での伊藤は、相変わらず両膝を折り腰を落として打席に立っていた。上げた左脚でタメが作れず、前に出される打席が何度かあった。そのため身体の回転も2/3ぐらい。敦賀気比戦で一発が出たし固め打ちもあったが、理想的なスイング軌道と柔らかい左腕の使い方に反して、下半身の使い方がまだまだかな、という感想を持った。

 それは年が改まったセンバツでも同様で、市立和歌山戦で打った一本目も身体を前に出されながらも左腕の前さばきで打ったホームランだった。去年の秋、着任早々どんでんが、”打席での姿勢ってなあ、おまえら傘差したり、立ちしょんべんするのってどうすんねん、おん? とやったそうだ。そこには一理あって、やはり楽な恰好で構えるべきだ。あんなに両膝を折って小便する奴はいないだろう。

 しかして、伊藤は聖地初ホームランの余韻も指先に残っているであろうその直後、同じイニングにもう一度打席に立つチャンスに恵まれ、そしてまたもや見事なホームランを放った。そのフォームはしっかりと後ろに残り身体が綺麗に回っているように映った。

 こりゃ大物に化けるでっ!

 私は河内音頭を一気に四番まで踊り続けるつもりであったが、嫁と娘が放つ殺気を帯びた視線の手前、二番でやめることにした。

 伊藤の可能性を確信しながらも、両膝を折ったフォームを心配していた。もちろん腰を落とし膝を折り、構えの時から軸に重心を移している打者は山ほどいる。そこからスイングと一緒に後ろから前だけの直線的な体重移動で長打を放つ、そんな打者もいる。しかして伊藤の最大の長所、それは繰り返すようだがスイングをリードする左腕、特にリストを使ってヘッドを綺麗に立てて回れる柔らかさにある。それを生かすには体の回転で打つべき。つまり構えの段階では重心はあくまで体の真ん中に置き、テークバックと同時に軸足に預け、スイングに合わせて元へ戻し、その反動を活かしてそこで身体を回転させるスタイル。膝を折らなくても、意図的に軸足に重心を移せるようになって欲しい。

 高校レベルであのままでは、上に行けばお手上げ。もう手は付けられなくなる。笠松が結局は殻を破れないままだったことを思い起こしていた。

 投手は、というかほとんどのバッテリーは、打者のタイミングをいかに外すかを考えている。つまりどうすれば前に引き摺り出せるかだ。前にさえ出せれば、140㌔のストレートが150㌔に、普通のスライダーも高速スライダーに変わる。対戦投手のレベルが上がれば上がるほど、” 腰を落として最初から軸に体重を移しておけ ”、そんな指導は寄せては返す波のように定期的にやってくる。今のうちに自分の中で掴んでおかないと、そのたびに翻弄されることになる。

 今年からハムに移籍した江越のバッティングフォームが、プ口入り後、年々小さくなっていった要因もそこにあるのではなかろうか。伊藤にとって打撃フォームを変えるチャンスは、この春から夏にかけてだけ。

 一打席でいいからじっくりと見ておきたい。

 ネット配信もあるのだろうが、解像度が低く、スマホやPCという小さな画面での確認は苦手だった。数はいらないができれば鮮明な動画が欲しい。スイングの際のユニフォームの皺から筋肉の動きを想像する、そこまでやるのがオタの常道。贅沢言えば直接球場に出向き、バックネット裏や、一塁側から4K録画したうえで持ち帰り、自宅で確認できればなおいい、なんとかならんもんか。

 しかし世間はコロナにも慣れ、在宅勤務もすっかりなくなり、日々の仕事に追われ、無駄な通勤時間が私の生活を削っていく。土日はぐったりしてしまい、春の府大会や近畿大会には一度も足を運べなかった。さらにはどうせ大阪桐蔭は甲子園に出てくる、その思いが生来の怠惰に拍車をかける。

 しかし私にとって、そもそも大阪桐蔭の勝ち上がりなどどうでも良かった。もっと言えば、伊藤が打つ打たないの問題でもない。打席で、どのようなフォームで構えるか、そこをじっくりと確認したいそれだけだ。そこまで判っていながらも、矛盾するようだがやるとなると徹底的にやりたくなることを思うと、気が遠くなる自分もいた。甲子園まで待つのか、予選を観にいくべきか、心が揺れたままダラダラと時間だけが過ぎていった。

 チャンスは意外なところからやって来た。

 7月下旬の休日、嫁が自転車を買い替えたいというので家電量販店へついて行くこととなった。自転車の色やバッテリー、果ては保険がどうだこうだと店員と話している。娘も加わって盛り上がっているようだ。私はこれ幸いと気配を消して、静々と同じフロアーにあるテレビ売り場へ移動。確か和歌山の県予選決勝が今日あたりではなかったか、どうせ智辯和歌山だから興味もないけど、まぁどこかの決勝の様子が拝めればそれでいい。

 大型テレビの前にたどり着くと、そこには大阪桐蔭の見慣れたユニフォームが映し出されていた。あらっ、決勝は今日だっけか、いやそんなわけない。私はすぐそばにいた店員にそれとなく、今映っているのが何chなのか訊いてみた。「今月、うちはすべてのTVでJCOMを極力流すようにしているんです」との答えだった。なんでもケーブルテレビやネット回線の販促を兼ねているらしい。

バカ「JCOMって、高校野球をやってるんだ。」

店員「はい、大阪予選は7月の上旬からやってますよ。」

バカ「うわっ、見逃した・・・・。」

店員「・・・・・・・・・・。」

バカ「・・・・これって有料ですよね、お高いんでしょ?」

店員「いいえ、これは無料です。地上波で開放してます。」

バカ「ええっ、なんで早く教えてくれなかったんだYO !」

店員「・・・・・・・・・・。」

 初対面の店員さんに説教かます私であった。家で地上波は画面に映っているだけで腹が立ってくるので、徹底して無視することが仇になったようだ。

バカ「これからはさあ、ちゃんと事前に教えてねっ!」

店員「・・・・・・・・・・。」

 根拠のない追及の手を緩めることのできない私であった。

 私は店員さんをリリースし、視線を画面に戻す。イニングはまだ浅い。必ず伊藤の打席はやってくる。その時を待とう。ここに来て細かいところはもういい、頼む、打席の構え、両膝の角度、伊藤のそれだけをこの有機EL大画面パネルで確かめさせてくれっ!

 私の中でスイッチが入ったのが判った。もう自転車売り場に残した嫁や娘のことはどうでも良くなった。

 そしてついにその時が来た。伊藤がアナウンスと共に打席に入り、おもむろにバットを構える。

 キ、キ、キッ、キターッ!

 私は両拳を力いっぱい握りしめながら、クララが立った時のハイジの気持ちを噛みしめていた。

 

 「アマ野球ウォッチャーの本懐シリーズ」は不定期掲載となりますので、次回は明日以降で。

2022 ドラフト検証 ストップウォッチ編 Ⅱ

 明日からキャンプイン。去年のドラフトの話をできるのも今日まで。

 ということで昨日の続きである。

 

1.内田 湘大(利根商 ⇒ 広島)

 0:56

 50秒台ということは、恐らく想定通りか。

 無名ながら、内田は個人的に蓋を開けたら二巡目の上の方で指名されると踏んでいたので驚きはなかった。スイングは鋭く、マウンドに立てば145㌔を優に超えるボールを投げる。背筋の強さを感じさせる。外野はもちろん、鍛えればサードも行けるだろう。 

 ただ打席で突っ込む癖がある。なので私がスカウトなら、矛盾するようだが2位では獲らないと思う。

 まずプロのストレートをどう打つか。今年はファームで250は打席を与えてください。

 

2.小孫 竜二(鷺宮製作所楽天

 0:53

 小孫も楽天は予定通りの指名だろう。ショットガンを彷彿とさせるフォームと、そこから繰り出される剛球。去年指名があっても良かった。

 ポイントはあのストレートが、プ口相手に空振りを獲れるのか、その一点。ファールや見送りでも駄目。空振り、それがすべてだ。

 しかし2位があるとは。御見それいたしました。

 

3.萩尾 匡也(慶応 ⇒ 巨人)

 0:55

 巨人もすんなり予定通り2位指名。

 事前に知り合いから情報が入って、今年の巨人は2位で萩尾を指名するところから逆算してドラフトを組み立てているようだから、森下の指名はないよ、そう釘を刺されていた。私が予てより巨人森下の実現を目論んでいたことは、ここの開設直後から訴えてきた通りである。だがその野望は、早々に破綻していたことになる、ええ。

 萩尾は六大学野球様の三冠王。しかも成績はシーズンを重ねるごとに右肩上がり。普通であればもっと騒がれてもいいはず。しかし1位の評価はついぞ聞こえてはこなかった。恐らく打席で軸足を引く悪癖を見逃さなかったのだと想像する。伊藤隼が首を傾けてスイングするのは見逃されていたというのに・・・・・。

 慶応卒だけに、春から一軍は決まったようなもんだろう。守備がイマイチで、たまに一発のある右の外野手。そういえばそんな奴がすでにいたな。きっとそいつは玉突きに遭うのだろう。

 

4.古川 雄大佐伯鶴城 ⇒ 西武)

 0:54

 これまた予定通りの指名・・・・。

 ここまで書いて改めてこの企画、やる意味あるのか、そう思い始めた、われながら気付くのちょっと遅いぞ。

 今年は1位で9チームが事前に表明したことでも判る通り、無風ドラフト。ドラフトオタの私に言わせれば談合ドラフトだ。それは2位以降にも表れている、面白くない。

 古川は文字通りのフィジカルモンスター。ただ右半身主導の打撃スタイルが気になる。しかしそこは西武、打席でしっかり強振できる打者に育て切るるのだろう。左打ちに変わるというのもありだと思う。四年後に期待しましょう。

 

5.門別 啓人(東海大札幌阪神

 0:57

 57秒はここまでのMAX。おいおいどこやねん、と思ったらわが阪神。2位門別は想定通りの指名のようだが、

 ”うわっ、内藤が残っている、どうする!”

 そんなやり取りがあったのだろうか、それとも齋藤と選巡したのか・・・いや、ないわ、たぶん。わずか数秒の違いだし。恐らく葛西あたりの端末の操作が遅かったのでしょうね。

 

6.大津 亮介(日本製鉄鹿島 ⇒ SB)

 0:55

 ここも順当なのでしょうね。出身が地元九州出身ということで狙いすました指名。

 SBの指名はここのところ独自路線で驚かされるケースが多い。この位置は高評価だと思う。細身なところなどはこれから鍛えがいがある、ってなことになっているようだが、もう今年で25だぞ。

 因みに帝京大卒。近年、帝京OBの上位指名が増えている。ほぼ社会人経由のところも合わせて少し気になってきている。

 

7.吉野 光樹(トヨタ ⇒ 横浜)

 1:11

 初めての一分越え。ここはちょっと迷ったのではないか。即戦力の右か左か、それとも力のある野手か、でっ、結局吉野。

 しかしてこの指名、私が去年の東六担当スカウトなら、右の即戦力を上位というのはちょっと勘弁してください、ってなるな。言いたくはないが、徳山、三浦がダメだったと白状するような指名だからだ。

 もう一年、あのニ人にチャンスをやって欲しい、心の中でそうぼやくかも。

 ちなみに吉野については凄く評価してます。ここを参照願います。

tilleternity.hatenablog.jp

 

8.内藤 鵬(日本航空石川オリックス

 2:34

 このタイム、さすがに何かが起きた、そう見ていいだろう。

 ただNPBの担当者らしき方がオリックスのブースに訪れている。なので、単純に端末への入力を誤った可能性もある。

 たとえば内藤鵬の ”鵬” の字が変換しなかったとか・・・・。そりゃないか。

 聞くところによれば、プロ志望届を提出した選手は一覧でデータ化されていて、そこから選択方式だとか。まぁ、最悪でもコピぺで貼り付けてEnter、最後に主催側から確認のやりとりがあって指名発表に至ると思われるので、その作業のどこかで躓いたことも予想される。

 内藤については細川、リチャードとどう違のかと以前書いた。横浜とSBがスルーした際に胸を撫で下ろしたのは私だけではないはずだ。

 なんで撫で下ろしたかって?

 もしこの二球団が指名していたら、明らかな違いがあるってことでしょ。

 

9.西村 瑠伊斗(京都外大西 ⇒ ヤクルト)

 1:18

 

10.澤井 簾(中京大 ⇒ ヤクルト)

 0:57

ヤクルトの西村、澤井は連続指名。西村についてはここで書いた。

tilleternity.hatenablog.jp

 猫背で華奢に見えるが、首の太さが目を引く。体幹は強いのだろう。投手としてMAX 145㌔。

 折り返し3位の澤井も評価が高いな。正直ここまで高いかというほど。どこ守るんだろう。

 

11.齋藤 響介(盛岡中央 ⇒ オリックス

 0:29

 オリックスが齋藤を指名。がっくり、しかも最短タイム・・・・。

 潰したら恨む!

 

12.林 琢真(駒大 ⇒ 横浜)

 0:51

 横浜は大して迷いもせず意外にも林を指名。迷走する駒大を支えた功労者。たぶん四年間大変だったと察する。できればもっと上位で報いてやって欲しかったが、まあ3位なら十分か。

 

13.甲斐 生海(東北福祉 ⇒ SB)

 0:47

 SBは甲斐。これまた独自路線。恐らくこの選手をここまで評価していたのはこのチームだけだと思う。

 

14.井坪 陽生(関東一 ⇒ 阪神

 1:05

 大阪ニッカンがこの日の朝にすっぱ抜いた。それまでほとんど名前は上がらなかった。私もスルーしてました。申し訳ない。お詫びにこのあたりで詳しく書いたのでご勘弁を。

tilleternity.hatenablog.jp

 

15.野田 海人(九州国際大付 ⇒ 西武)

 1:05

 いうまでもなく楠城案件・・・・

 

 もうこのあたりになると、それぞれの理由と事情で、戦力とか抜きにして欲しい選手を指名している感じ。なので例年以上に評価が繰り上がったイメージ。

 改めてそこに気付いたので、この作業に意味があったこととしよう。ということで、このあたりで打ち止めにしたい。

 しかし不作という背景もあって、去年度好評だった「お値打ち指名編」を、今年度はできなかった・・・・。一応、録画したり直接観戦し動画に収めた選手を一通り見直しましたが、下位でお値打ち感のある選手、いないのですよねぇ。

 巨人育成の三塚も、怪我があったからなのか入団テストを経ての指名だという。これも一種の談合だろうか・・・・。

 そんな中あえて挙げれば、3位の齋藤(檻)、田中晴(口ッテ)、4位の高野(口ッテ)、大野(SB)、5位日高(檻)がそれぞれお値打ちか。ただ、高野を除くと甲子園に出ている。なのでここを覗きに来るぐらいの方なら、みんな観てると思うのですよね。こんな辺鄙なブログに、わざわざ来てやっているのだから、誰も知らないような選手を紹介してくれよ、というのが人情だとも思う。今年度はそれができないのが悔しい。

 不作と嘆く中で思い返してみると、大阪桐蔭の二人、海老根、川原が指名から漏れたのは納得できない。海老根は中位までに、川原は下位で指名があってしかるべきだった。やはり大阪桐蔭、というか西谷さんが平田の引退や根尾の扱いを巡って中日にクレームを入れた、というのは実際にあったんじゃないかと勘繰ってしまう。

 それを受け全球団が一致団結してしまい大阪桐蔭包囲網、まぁそこまでのものではないまでも、”間違いない” そう見込める選手以外は大阪桐蔭の選手はややこしいから手を出すな、そんな風になってしまったのではないか・・・・。

 しっかし、である。この嫌な雰囲気の一連の騒動の中で怪我の功名というか、光明もあった。それは松尾、海老根、伊藤の三人の右の野手の進路が、三者三様、プロ、社会人、大学に別れたこと。

 この三人、タイプは違うしそれぞれ欠点も抱えているが、打者としての潜在能力は計り知れないものがある。子供のころから野球エリートで、三年間同じ釜の飯を食い指導を受け高校球界を代表する強打者となり、これからそれぞれの道で、どのように育成され成長していくのか非常に興味深い。

 特に海老根は社会人野球界を上げてのバックアップを受けるのではないか。松尾は横須賀で言わずもがな。伊藤も危うく立教の難を逃れて上手い具合に中央に収まった。

 彼らが野球人として、この先いったいどのような軌跡を描いてくれるのか、実に楽しみである。

 

 

 それでは明日は野球オタにとってお正月。娘の想い出の一枚で今年を締めくくります。

 

 皆々様、よいお年を!

2022 ドラフト検証 ストップウォッチ編 Ⅰ

 というわけで、去年のドラフトの検証、ストップウォッチ編です。

 何をしたかというと、2位以降の指名が、一つ前で指名したチームから何秒掛かったのか、早い話それだけ。ウエーバーなので、競合指名は出来ない。つまり既に名前の挙がった選手以外から指名しなければならない、当たり前な話ですが。

 仮にというか、目の前で出し抜かれた場合、戦略をその場で組み立て直すことになります。それが起こってしまった場合、どれぐらいの時間を要するのか、いや、逆に言えば、指名までの時間を調べて、そこから戦略変更を余儀なくされたチームの指名を洗い出せないか、それがしたいのですわ。

 

 きっと各チーム、あらゆる状況を想定しシミュレーションをしていることでしょう。プランBもCもDも必ずあるはず。大きなお世話でしょうが、そこを見てみたい。しょうもないと言えばそれまでですが、どこもやってないので試験的にやってみます。

1.金村 尚真(富士大 ⇒ 北海道日ハム)

 まずはこの投手が起点となります。

 13番目だけに、最も一位に近い投手。巨人が外れ一位に指名予定だった、そう水野は語ってますな。今後はストレートの出力をどれだけ上げられるのか。そしてその時、精密機械のようと言われるコントロールにどれだけ影響が出るのか、そこが、いやそこだけがポイント。二軍にいれば無双するかもしれませんね。

 

2.村松 開人(明大 ⇒ 中日)

 0:46

 このタイムをどう見るか。ベンチマークがないので判らないですが、まぁ素直に中日は最初から村松で行く予定だったと受け止めました。そして驚いた、私はこの選手はノーマークでしたから。というのは右膝の怪我がね・・・・。去年の春に半月板の手術をしてます。

 秋には復活し、怪我は万全とばかりに6盗塁。しかしその内容はあまり良くはない。脚のアピールのために数を稼いだ、私の眼にはそう映った。

 竜は今季、ショートを土田、セカンド周平、サード石川で行くとみている。がっ、石川の復帰には慎重を期したいので、復帰までの繋ぎもあって彼を指名したのか・・・・? それにしてはこの順位、高過ぎるな。最下位の竜の補強ポイントは腐るほどあるというのに。

 村松はタイプ的には、元ヤクルトの岩本を小さくして、長打力をなくして、脚を速くした感じ。打撃フォームはそっくり。なので、高めも低めもリストだけで捌こうするようなところがある。そこが長所でもあり、怪我のリスクにもなる。

 仮に紅白戦やオープン戦で光っても、じっくり追っかけねばならない選手です。

 

3.友杉 篤輝(天理大 ⇒ ロッテ)

 0:45

 友杉がここで来たか、そう感じました。

 右のショート。このタイムからも、恐らくロッテは最初から2位友杉を準備していたのでしょう。よっぽど口ッテは惚れ込んだと思われます。

 近年、右打者を貴重と捉える風潮がある。しかしそれは長距離砲限定。ポジでいえばレフト、ライト、後は外人との兼ね合いであるがサードとファースト。それ以外なら個人的には素直に左の方が良いと思う。特に脚のある選手は。

 盗塁は勿論だが、打ち取った、という凡ゴ口が内野安打になるというケースは、敵からすればボディーブローというか、試合の流れの中で堪える。内野安打はある意味もっとも攻撃的で、大袈裟に言えば破壊力のあるプレーだとすら私は思う。左打ちを並べる意図はそこだと。右だとそのための後半歩及ばないのだから・・・・。

 友杉は田中と並んで指名されると以前書いたが、田中が村松に化けた。ニ人とも春の段階で要チェックの内野手である。

 

 まぁこんな感じで書いていきます。続きは明日以降で。

2022 ドラフト検証 コロナ明け嘆き編

 また一ヶ月ぶりの更新となってしまいました・・・・。

 思い起こせば3年前のGW明けから始めた当極北のブログ。当時はコロナが蔓延し始め、在宅勤務も増えて通勤時間もなくなり、これなら行けんじゃねぇ、そう思って始めました。

 あれから早いもので二年半の月日が流れた。コロナは相変わらずですが、みなさんのお仕事いかがですか? なんだか知りませんが、営業目標とかそういうのが、コロナ前に戻りつつありませんか・・・・ ?

 ちなみにぃ、私のやってる仕事はこの春から戻ります・・・・。

 三か月前に本社から来年度の目標の打診があって、そこから戦々恐々・ ・・。そして年末に正式に決定。しっかし、このニ年間、緩い数字でマイペースで仕事してた身体が、たった半年で元に戻るとでも思っているのでしょうか? というか、まだこのコロナ禍の中で、目標などを元に戻すことに対する納得感を、どうやって社員から引き出せというのか・・・・? 頭の痛い日々が続いております。ので、私の仕事はコロナ前に戻ったも同然。当然のように年末からほんとんど死んでいます。

 ブログは絶対にやめませんが、少し落ち着くまで更新が滞ること、何卒ご理解願います。

 では、去年のドラフトの検証の続きを。

<本日の目標はコロナ前に>

1.斎藤 優汰(苫小牧中央 ⇒ 広島)

 まずは広島が指名した斎藤。去年ここで書いた、大社編の一番最後の方。

tilleternity.hatenablog.jp

 正直補強ポイントとズレている感もするが、ここ数年即戦力投手を獲り続けた経緯もあるのだろう。ただ、指名に至った展開が急だったこと、またそれまでスカウトたちの間から斎藤の名前が出ていなかったこともあって、トップダウンなのではと。つまりあのオーナーがしゃしゃり出たのだろうと茶化したわけである。

 同類の人間はいるもので、斎藤の指名が発表された数日後にこの動画がアップされている。


www.youtube.com

 さすがはカープフアン、仕事が早い。これ以上は言わん。

2.イヒネ・イツア(誉高校 ⇒ ソフトバンク

 イヒネの指名については、一位があるだろうと予想はしていただけに驚きはない。しかし残念ながら動画のサンプルが少ないので、この指名についてもこれ以上は言わん。

3.曽谷 龍平(上武大 ⇒ オリックス

 曽谷はポテンシャルの高い左腕。まだ完成系にはほど遠い感もある。中継ぎなら開幕直後に出てくることもあるだろうが、投手陣にゆとりのあるオリックスだけに一年は寝かして、来年の中盤あたりに先発でデビュー、それが良いように思う。

 変化球も抜き系をしっかりと投げられるようにしておいたほうが良い。興味のある方は上の大社編の記事を参照願います。

4.吉村 貢司郎(東芝 ⇒ ヤクルト)

 吉村は文字通りの即戦力だと思う。彼についてはそれ以上もそれ以下もない。

 指名公表が遅れたこと、また、競合しなかったことにも違和感を感じている。

 彼についても大社編参照願います。

5.仲地 礼亜(沖縄大 ⇒ 中日)

 この選手、ドラフト前はまったくのノーマークでしたわ。なのでここで少し書かせていただきます。

 最大の特徴は、大きく、そして鋭く曲がり落ちるスライダー。曲がってから速くなるように映るこの変化、特殊なボールと分類しても良い。立浪もそこに参ったのだろうか。きっと回転数も高いと思われる、詳しくは知らんけど。

 しかしプロ入り後、この決め球を継続的に投げるのは難しいと見る。特殊な持ち球というのはアマ時代限定の場合が多いからだ。旧い話で恐縮だが、巨人の堀内が懸河のドロップを駆使して高卒ながらプ口入り後13連勝を重ねたという。しかし堀内の回顧録を読む限り、満足行くドロップを投げられたのはルーキーの年の夏まで。そこから引退するまで、二度とデビュー直後の感覚が戻ることはなかったのだという。

 半年以上も投げ続ける長丁場のプロにあって、回転数が高い唯一無二な変化球を投げ続けるのは難しいのだろう。たとえば平成の括りで言えば伊藤智の高速スライダーしかりである。記憶に新しいところでは桐光学園二年次に、甲子園で奪三振記録を作った松井のスライダー。まるで生命が宿っているかのような軌道。一度浮き上がってから落ちるというやつ。しかし残念ながらプロ入り後、その軌道の再現性は低かった。気がついたら決め球がチェンジアップに変わっていた。

 また直近となると阪神の西純が同じく創志学園二年次に、神宮大会王者から脱三振ショーを繰り広げたが、あの高速スライダーを投げることも恐らくはもうない。今では腕の位置も上げ、スライダーは力ウント球といった感じ。高速フォークが決め球の投手に変わっている。

 更に阪神のコアな話になって恐縮なのですが、今年からバッテリーコーチに返り咲いた嶋田宗の弟が、箕島時代に高校レベルでは打てないカーブで鳴らした。今でいうところの縦スラで、優勝する取手二高も手こずるような特殊な変化球であった。しかしドラ1でプロ入り後、そのボールを一向に投げないので記者が尋ねたところ、なんと ”ボールの握りを忘れた” というのだ。その答えに多くの阪神ファンがズッコケたのだが、今から思うに、投げたくても投げられなくなったので、そう応えるしかなかったというのが本当のところではないか。

 翻って仲地のあの縦のスライダーであるが、果たしてどうなる。仮に春に輝いたとしても、早晩色褪せるようなことにならなければいいのだが・・・・。

 ことほどさように、アマ時代に驚くような変化球を投げる投手には要注意が必要だ。回転数が異様に高いと肘や肩や腰への負担が大きく、結局プロ入り後に別のボールに活路を見出さねばならなくなるからだ。

 ただそんな中、柳の縦の大きなパワーカーブがいまだに健在なのが目を引く。これも特殊な持ち球と言える。どういった練習方法で、たとえば動作解析などを経て身体に馴染ませたのかもしれない。仲地はじっくりと頼れる先輩であり、生きたサンプルとなる柳の言葉に耳を傾けるべきだろう。

6.松尾 汐恩(大阪桐蔭 ⇒ 横浜)

 松尾についてはここで書いた。

tilleternity.hatenablog.jp

 結構な癖持ち、この一点。腰の開きの早さやヒッチ系の打者であること。それとテークバック直後、スイングと同時に上半身の軸が捕手寄りに傾くことも申し添えておきたい。

7.菊池 吏玖(専修大千葉ロッテ

 以前も書いたが、私の中では菊池は大商大時代の広島の岡田と被る。去年のドラフト一押しの投手。ストレートのボリュームは今回のドラフト候補の中でも屈指ではなかろうか。あのストレートを投げ続けられる限り活躍は堅いだろう。

 またS評価の理由を記すと、テークバックは決して小さくはないが、いわゆる担ぎ投げで、その担ぎ具合がフォークボールと相性抜群だとみているから。恐らくであるが、近い将来出色のフォークを投げられるようになると思う。完成系は大魔神佐々木。パの新人王が彼だっ!

8.森下 翔太(中央大 ⇒ 阪神

 もう森下についてはええやろ。

 新人王は森下と言いたいが、吉村やろな・・・・。

 二位以降は次回、ストップウォッチ編で! 

2022 ドラフト 検証 ぼやき編

 いやぁ、また一ヶ月サボりましたが、その間、遂にコロナに罹患、しかも妻も娘も!一家そろって十日ほど自宅に引き籠りを余儀なくされ、一応会社に義理立ても必要ということで、ブログの更新は自粛いたしました。

 しかしその間、日陰の身としては暇を極めたので、うん十年ぶりにサッカーW杯を堪能したりと、症状としては熱も高く喉も痛くて大変でしたが、まぁ均せば楽しい日々でしよ、ええ。

www.nikkansports.com

 これはベスト8に入ったも同然。電通サッカー日本代表から逃げた途端この快挙。東京オリンピックといい、いかに奴らが貧乏神だったかお判りいただけたでしょうか。

 今回のW杯や日本代表がどうだったかとか、そういう感謝の類はサッカー系のブログが腐るほどあるのでそちらにお任せします。私のような門外漢が口にできる話ではない。ただ個人的には広島の居酒屋「はまや」の親爺がむせび泣く姿が目に浮かびましたわ。世間は森保監督に総懺悔、土下座でしょうな。

 一方、日本中がサッカーW杯の余韻に浸っている裏で「ラグビ・リーグワン」開幕・・・・。

www.kobe-np.co.jp

 この寒い中、いったい誰が観に行くんすかね、そう思っていたところ6千人ですか。有難いと思う反面、もう少しなんとかならんかったのか、複雑ですね。まぁコロナもあるし、当面はこたつ観戦がお薦めです。

 ところで今回のサッカー日本代表の躍進が指し示したのは、やっぱ海外で活躍している選手の凄さ、というか懐の深さ、引き出しの多さ。恐らく、来年の梅春に開催されるらしいWBCも、大谷や誠也、ダルビッシュというMLB組が「侍Japan」を牽引するのでしょうから、国内リーグってなんなの、とその意義や存在が改めて問われてくると思うのです。だというのに、ラグビーはといえば、海外で奮闘する選手がほぼゼロ。W杯をやる前から白旗上げているようなものです。所詮ぬるま湯の中では何をやったところで駄目なのかもしれませんね。

 そんな中、先々週でしたか、NPBが「現役ドラフト」を初開催しました。

www.sponichi.co.jp

 新天地に赴くことになった12人の顔ぶれを改めて眺めながら、真っ先に脳裏を過ったもの、それは、デーブがオコエを殴ってゲンダイにすっぱ抜かれてクビになる、そんな様でしたわ。トホホ・・・・。でも確かに見えたのですよね、その絵が。

<本日のデーブが殴る>

 

 ドラフト答え合わせ

 今回もこれでもかとばかりにドラフトです。本当はラグビーについて書きたいのですが、お先真っ暗の中を泥船が我先にと進み、そして沈んでいくようで、あれだけの超優良企業が集まって一緒になって一つのことをやろうというのにこうなるのかと、驚くやら呆れるやら、というわけで当面自粛します。少しでも明るい部分が見つかったら書きますね。

 でっ、じゃぁ日本の野球界が明るいかといえば決してそうではないのですが、ここまで続けてきた以上、節目までは書こうと思う、お付き合い願います。

 上の表がドラフト前に書いた私の評価と、実際のところはこうなるんじゃない、そんな感じのドラフトの本指名予想と、参考までに「野球太郎」の評価・ランキングと「報知」の予想をごちゃ混ぜにして実に判り難くなったものをわざわざ引っ張り出して再掲してみました。別に煙に巻こうというわけではございません。

 とはいうものの、その差は歴然。今年は”森下ドラフト”、ここでそう言い切っていた以上そうなりますわな。何とか一位の最後に、それも贔屓チームに滑り込みましたが、やっぱり釈然としないものがなかったかといえば噓になる。ので、実際の指名という ”現実” と、私の中の ”妄想” を突き合わせ、ぼやき倒しながら答え合わせをしてみたいと思います。

1.浅野 翔吾(高松商 ⇒ 大巨人軍)

 今年のドラフトで一番の選手はこの打者ってことで良いと思います。阪神のスカウトも最近は悪くはないし、巨人のそれも同様。ただ私の評価はA2ってことで、1位でも下の方と思っていました。理由はここで書いた、

tilleternity.hatenablog.jp

 この選手の身体に流れる時間の進み方が、他の高校生とは圧倒的に違うんだよな・・・・。早熟とか、そういう言葉以上に。でも既に辿り着いている位置が高いところにあるというのなら、それで良いと思う。だから実際の指名結果にどうこう言うつもりはないし、巨人ファンが久しぶりに盛り上がってくだされば文句なぞない。きっとキャンプ中にイチローとの再会もあるのでしょう。一野球ファンとして今から楽しみです、ええ。ただ一つ言わせて頂ければ、指名後の水野の浮かれっぷりだけが癪に障りましたな。


www.youtube.com

 この水野って男、小物界の大物というかなんというか、自分の手柄にしたい気持ちは判りますが、去年のこの時期、大勢に先発させようと言ってた輩ですからね。何が言いたいかわかるでしょ。

2.荘司 康誠(立教 ⇒ 楽天

 本指名結果と私の評価との乖離が激しいその一番手がこの投手。スケールの大きさや、プロのスカウトのツボがこのあたりにあるってところも理解できます。がっ、それで六大学通算成績を説明できますか、ってところ。
 実は矛盾するようですが、以前明治の入江が横浜に指名された際、「通算4勝7敗と負け越した入江が単独入札1位というのはどうなのか? その成績、立教の投手ならわからんでもないが・・・・」、みたいなことを書いたわけですわ。確かこのあたり、 

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 でっ、荘司はその立教なわけだから良いんだろと言われりゃそうなんだけど、通算たった2勝で、しかも直近の秋は4敗で勝ちはなし。ボーナスステージの東大がありながらこの成績、やっぱり何かあると見た方が良さげに思うのだが。

 つまり、勝てない、もしくは勝ちきれない投手に必ず見受けられる要素が、この投手にも潜んでいるように思うのですよ。なので、私の評価としては2位の頭、金村の次ぐらいに来るのが妥当ではないかと思っていた次第です。

3.矢澤 宏太(日体大日本ハム

 今更ながらですが、「野球太郎」の評価が高かったですね。ランキングは堂々の1位。表紙も最後まで彼でした。振り上げた拳を下ろせなかったのか、それとも確たる根拠があるのか。二刀流で行くと思っているのでしょうな、新庄が監督やし。でも現実的には投手しかないと思うんですけどね。

4.蛭間 拓哉(早大 ⇒ 西武)

 確か4番目じゃなかったでしたっけか、西武が彼を1位を表明したのが。ちょっと記憶が定かでないので、本指名結果がSなのかA1なのかは微妙ですが、どっちにしても私の評価は低かった。特に西武が、というかGMの渡辺久が推しているという話を小耳に挟んだ段階でガクッと落ちた。

 実際あの外野の守備と長打力、上手く育っても未来図は楽天の島内か。なんか来年にでもFAとか騒がれているが、手を挙げるところが果たしてあるのか? また楽天球団やファンは引き止めるのだろうか? そんな微妙な打者になりそうな気がする、そう言うと恣意的か・・・・。まぁ島内クラスに育てば御の字ですけどね、元打点王だし。
 なんか話が他の選手のところへ行ってしまいましたが、そもそも私はここで蛭間についてぼやき続けようというわけではない。もちろん早稲田に、そして西武に綾をつけるつもりも毛頭ない。問題は早稲田と西武の組み合わせにこそあるのです、ええ。

 かなり前から良くない噂は聞いていましたし、実際にこの話が表面化したのが15年前ぐらいでしたか、

www.asahi.com

 この話を整理すると、中学時代に有望だったというある選手を、西武のスカウト達が青田買いをして進学する高校を斡旋。しかしその三年後のドラフト直前、西武のグラウンドに呼んで極秘で実技テストを受けさせたところ、まだ指名のレベルにはないのではと現場が疑問を呈した。そこで先のスカウト達は、一転してその選手に高卒でのプロ入りは諦めて大学への進学を進めたのだという。しかしてその大学の名は早稲田・・・・。

 まずこの段階で、少しでもアマ野球界に精通している方なら妙な話だと気付くはず。まぁ実技テストも変だけど、こういうのをやってるところは他にもあります。公にアマ選手相手に入団テストがあるぐらいだし、それが裏に回っただけ。掛布なんかもそれで入った。

 今回問いたいのはそこではなくて、名門早稲田への進学って、そんなに簡単な話なのかってところ。早稲田のスポーツ推薦が非常に狭き門であることは有名。AO入試を入れても多くて毎年7、8人しか合格しません。しかし早稲田ブランドから、錚々たるメンバーが挑戦する。その中にはドラフト上位が確実という選手も必ずいる。それぐらいの高いハードル。果たして一介の西武のスカウトごとき小魚が口利きできるのか、って話ですわ。しかもその選手の高校は東都の某大学の系列校で、早稲田との関係はほとんどない。

 しかし、である。件の選手は見事に早稲田のスポーツ推薦入試に合格。特に目立った実績はなかったというのにだ。更には上の記事にあるように、入学後、西武球団から毎月小遣いまで支給されていたのだという。きっと西武のスカウトがその選手の関係者から、何らかの弱みを握られていたのでしょうな。そして繰り返しますがやはり腑に落ちないのは、何故西武球団がそこまで早稲田の野球部に顔が利くのか、そこなのです。そこが謎のままなのだ。

 いったい西武と早稲田の間に何があるのか・・・・?

 恐らくはこれでしょうね、

ja.wikipedia.org

 早稲田が所沢キャンパスを開設したのは87年。なんでも当初は幕張で決まっていたところを、体育会系の大物が巻き返して大逆転の末にで決まったのだとか。言うまでもなく裏で操っていたのは西武グループ。故堤清次郎、義明共にOBですしね。

 だいたいこの手の話は大学単独では動きません。必ず間に企業が入ります。土地取得や地上げなんかもあるでしょうし。明治が体育学部を作ろうとした際には、商社が絡んでいたことが明らかになっている。

www.nikkei.com

 恐らく早稲田の場合は西武不動産あたりが割って入ったのではないでしょうか。実際、あのあたりは一帯西武の持ち物だったようですし。かって新横浜駅周辺の土地の売買で大儲けしたように、間違いなく西武は美味しい目に遭ったと思います。

 きっと周辺の土地を体育会系の大物たちに気前よく分け与えて、値上がったところで売れば、とか、西武グループが責任を持って買い上げます、みたいなことをやったと想像する。

 まぁ80年代前半には早稲田OBの広岡が西武球団の監督をしていましたから、総帥義明氏の指揮の元、彼を表に据えて裏では根本が寝技を連発したのではないかと。そして早稲田所沢キャンパスは実現する。以降、早稲田の野球部、というかスポーツ関係者は西武球団の言うことには逆らえなくなった、かように推測するわけです。

 根本が西武を去った後も、早稲田に対するパイプは早稲田OBの当時の二人のスカウトに引き継がれます。一人は楠城、もう一人は鈴木葉瑠彦。楠城は01年から、鈴木は楠城が楽天に移った05年からそれぞれスカウト部長に出世している。

 今回なぜこんな話を長々とするのかと言えば、西武ー早稲田-楠城 の関係が、今でも強固に続いているから。

 言うまでもなく楠城は現在九州国際大付属の監督に化けた。今年も背番号11を付けた教え子が早稲田のスポーツ推薦に合格しています。まぁ良い投手ですから綾をつけたくはありませんが、同じタイプの小柄な左腕が早々に決まっていたというのに何故、という感はありますね。果たして早稲田野球部に必要な投手なのか、またU18に選ばれるだけの実力があったのか、といった点も少し気になる。

 さらにいえば、今回のドラフトで西武は九州国際大付属の選手をドラフト上位で指名してもいるのです。いくらなんでも3位は高過ぎって感じがしましたな。

 要するに何が言いたいかといえば、いまだに楠城に頭が上がらんのですよ、西武も早稲田もそして高野連も。

   

 というわけで、私は西武と早稲田が組んだ話には、いまだにきな臭いものを感じてしまうのです。蛭間の活躍は期待しますが、大石の件もありますので、過剰な期待は禁物かと。

 本日は以上です。話半分でお願いします。

2022 阪神ドラフト 振り返り Ⅲ

 必殺の文春砲来ました!

bunshun.jp

 勝負に出ましたね。仰せの通り公選法違反ならば、クビで良いんじゃないっすか?

 でっ、当然こいつもバンドルでな、

 このスマホ、遠隔操作されるんじゃないの・・・・? 操ってるのはもちろん奴等でしょうね。

 

<本日の仰せの通り>

 今年の筒井物件

 4位の茨木は今を時めく筒井スカウト担当。

 去年、筒井の初荷について育成ドラフトの伊藤の名前を上げたことで綾が付いた。正確に言えば筒井の初荷は4年前の湯浅。であるが、伊藤を初荷としたのは、スカウトになる一年前、伊藤が高三の夏に甲子園に出た際から注目していた、という話を聞いたから。ゆくゆくはスカウトへの転身をフロントより打診されていたためなのか、もともと本人にその気があったのか、そのあたりは知りませんが、当時からスカウト目線で高校野球を眺めていたようだ。

 筒井は湯浅だけではなく、中野を見出したことで球団内での評価を上げている。まぁ中野はアマの侍Japanに選ばれるだけの選手なので、見出すという言葉が当てはまるのかは微妙だが、湯浅は間違いなく筒井が発掘し見出したと言えるだろう。

 ”敏腕スカウト”、その足場を固めつつある、そんな筒井の今年の一押しが茨木。どんな投手なのか興味のある方も多いはず。ということで書いてみようと思います。

 茨木ってどんな投手?

 茨木を初めて観たのは、なんと彼の高校生活最後の登板となった新潟県予選決勝。前々日に延長戦にまで縺れた中越との死闘を制して勝ち上がっただけに、正直お疲れ感がありありと伺えました。お目当てはといえば、対戦相手の田中晴ということで、茨木に対しては興味も期待もほぼなかった、ごめん・・・・。

 ストレートの最速は140ぐらい。大半は130㌔台半ば。もしかするとあれはフォーシームではないかもしれない。変化球は110㌔台前半の大きなカーブ、そしてスライダー、チェンジアップは速い方と遅い方のニ種類をそれぞれ持っている。どちらも速い方がだいたい120㌔台で遅い方は110㌔台。

 おおよそだが投球の7割ぐらいは変化球か。ゆえに変化球投手というイメージが強く残った。その変化球にも特徴があって、いわゆる速球系のそれではない。

 打者がストレートと思って振りに行ったら、手元でキュッとかググッとか、そんな感じの球は持っていないのだ。速い方のスライダーでさえ結構曲がる、変化量の大きいタイプ。カーブは言うまでもなくドローンとしたいわゆるドロップ。

 一方チェンジアップはどちらもよく抜けながら落ちる。この球から逆算して組み立てる投球スタイル。遅い方は三本の指をしっかり立てているので、チェンアップではなくパームじゃないか。

 しかしあらためてプロ入りを考えた時、この持ち球では心もとないと思ったのは私だけだろうか? 少なくとも130㌔台前半でいいから、途中までストレートの球筋で、そこから小さく変化するスライダーが欲しい。

 茨木の将来像は?

 そんな茨木の完成形にはDeNAの大貫を挙げたい。

 彼もプロ入り直前は、投球の大半がツーシームで、回転の効いたボールを投げるタイプではなかった。彼の入団時、正直言えばドラフト3位はいかにも家賃が高いと思ったものだ。大学経由で社会人三年目だし、思い切ったな、そう感じた。そしたら二年目に二桁。今年は12勝。投球回数には達してはいないが十分の活躍である。

 前々回にMLBのオフの事情としてスポーツラインについて少し書いたが、この大貫が動作解析に熱心で、確か菅野の大きい方のスライダーをコピーしたくて日本版のスポーツラインであるところの、なんとかラボに熱心に通っている。

 ”マネたところで無理無理!”、私はと言えばそんな風に白い目で見ていた。まったく自らの不明を詫びるばかりである。

 しかし、心の狭い私は今でも大貫を評価しきれずにいる。抑えられたりすると強めのストレスを感じる始末。結局、大貫は私の好みではない、そういうことになるのだろう。もっと小気味が良くて躍動感のある投手が好きなのだ。

 翻って茨木であるが先に述べた通り大貫の系譜、そういう判断である、あくまで個人的には。

 プロ入りすれば150㌔が見込める、そんな評価も多い。なんでも球児が太鼓判だそうで。しかし私は懐疑的だ。元中日の中田宗男理論によれば、大半の投手はプロ入り後はむしろスピードが落ちるのだという。その意見に賛成。

 さてさてどうなることやら。阪神フアンの立場で言えば、私の見立てを軽く吹き飛ばすような活躍を心から待ち望んでいる。私なんかより球児の意見を信じていただきたいし。ただ球児はあの馬場を以前から無茶苦茶高く評価している、そんな一面をも持ち合わせている。そして筒井は現役時代自主トレ仲間であり、いわば舎弟・・・・。うーん、どちらに転んでも見ものではある。