Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

ドラフト雑感:上位の皆さま編 ②

f:id:TailEnder:20201122171746p:plain


 今日は11月22日ですね。この日が何の日か、ご存じの方おられるでしょうか? パッと答えの出る、そんなもの好きな方もすっかり少なくなったかもしれませんね。

 15年ほど前までは、ドラフト会議というのは11月の第四週、まさに今日あたりにやっていたのですよ。だからこの時期になると、子供の頃からなんとなく毎年気忙しくなったのを覚えております。それと当時からゴルフのフェニックストーナメントもこの時期で、私はゴルフにはまったく興味がないのですが、高校まで関西だったこともあり、この大会のメインメディアがMBSなので朝から晩まで宣伝をしまくるため、ドラフトと重なって旧い記憶の層に絡まっています。

 でっ、少しもったいぶりましたが、11月22日といえば今から思い起こすこと42年前の今日、第14回のプロ野球ドラフト会議が開催され、そこで怪物江川の交渉権を4球団競合指名の末、阪神が獲得した、まさにその日なのです。

 当時は携帯もネットもない時代ですから、学校にいる限り知る由もありません。野球部の練習、といっても走り込み中心のシゴキを終えて、日も暮れヘロヘロになりやっとこさの思いで家に辿り着きテレビを点けたら、そりゃ蜂の巣を突いたような大騒ぎ! ここから世に言うところの ”江川騒動” が始まるわけです。

 変な表現ですが、球界はシーズンを終えすっかりストーブリーグに入ったというのに、突然燃え上がるマグマのような熱い大きなお祭りが始まるという歴史的な一日となりました。ドラフトというのは球界どころか世の中も一変させるようなポテンシャルを持った、恐ろしい会議なのだと、まだ中学一年だった私の骨の髄まで畏敬をもって擦り込まれ、当時の阪神日本シリーズに出る見込みなど全くなかったので、ドラフトこそが文字通り球界最大のイベントだと思い知ることとなりました。そんなわけで私は今に至るまで、ドラフトウオッチャーを続けているのです、メデタシメデタシ。

 ※ 江川騒動とその余波については、いずれそのうち阪神サイドから書いてみたいと思います。

<本日のマグマ>

 入江 大生(明大→DeNA D1位)

f:id:TailEnder:20201122002147p:plain

 入江については鈴木と並び、この秋大きく評価を上げたと前回書きました。東六通算成績が4勝6敗で入札1位というのはあまり記憶にないですね。立教ならありかなとも思いますが、明治でこの数字というのは、過去に思い浮かびません。

 入江と言えば、4年前作新学院夏の甲子園で優勝した際の打の立役者として覚えている方も多いのではないでしょうか。ホームランも三発叩きこんでいます。しかし投手としても有望で、二年の新チームになるまでは、翌年投の立役者となる今井より上の時期があったほどです。優勝する最後の夏も予選序盤までは今井がフラフラしていて、更に性格が良きにつけ悪しきにつけ ”俺様” タイプなので、温厚な入江の方が人望も厚くエースに相応しい、というような声もあったとか。つまり高校から本業は投手だったのです。 

 大学入学後は最初から投手に専念したそうですが、三年になってようやく初勝利、遅咲きの部類に入るかもしれませんね。今回もDeNAはそんな彼の素材を大きく評価しているように感じます。ただ現在地という観点で見ると、飛び抜けたものが無いように思うのですよね。ストレートが素直なので・・・・。でも腕の使い方だけで言えば、フォークはもっと落ちるようになるかと、そこに可能性は感じます。そういう点で返す返すも、あのフォークを持つ木澤よりも入江の方が評価が高かったことが判らんな。まぁっいいか。

 私は投手の将来性を観る際も、打者がそうであるように、ベンチマークというか過去によく似たタイプの選手がいないかを探すのですが、入江は中日の梅津に似ているように思うのです。背格好もそうですし、大学時代の成績がイマイチ(梅津は通算1勝。同期に甲斐野、上茶谷がいたことも大いに影響)なとこも似てるっちゃぁ似てる。遅咲きなとこや打撃が良いところも似ているかな。共に素材が評価されたとこも一緒。でっ、その梅津はというと、いきなり新人で4勝を上げましたと。今年はパッとしませんが、入江にも近いレベルのものが期待できそうな気はします。しかし梅津よりもはっきりと上のものがあると言えないところが苦しい。それに梅津は2位指名でしたしね。今年がいかに不作かってことが、この二人の比較でも伺えるように感じます。

 果たして来年どうなるのか、正直よく判りません。えげつないフォークの習得を待ちましょう!

2021年度成績 ・・・・二つぐらい勝つかな。

 

 栗林 良吏(トヨタ自動車→広島 D1位)

f:id:TailEnder:20201122020154p:plain

 

 実は栗林も入江以上に梅津と縁がありまして。別の意味でベンチマークというのでしょうか、栗林は二年前大学卒業時にプロ志望を出すにあたって、順位の縛りを設けていました。2位以内ならプロ入りと。

 正直、実力的にはそれって微妙、と思いながら眺めていました。一番彼に対してご執心なのは地元名古屋のドラゴンズではないかとも感じておりました。ドラゴンズの2位は全体の16番目。上手くすれば限りなく1位に近い選手に手が届くかもしれない、そんな位置。こちらも微妙。

 でっ結局、蓋を開けるとドラゴンズが選んだのは梅津だったと。そこで少なくとも大学四年時の実力は栗林よりも梅津が上だったってことになります。更に今回堂々1位で入札指名した広島も、栗林はスルーして島内を指名しています。

 実は彼はその年の春も秋も、決してレベルが高いとは言えないリーグで二敗ずつ喫しているのですよね・・・・。要するに波があるタイプでした。そこでミソをつけたような感じがします。因みに広島が結果的に2位指名した島内は、三年時から福岡六大学でほぼ無双しています。

 そして栗林は指名がないままトヨタ自動車へ入社。以降の快投は存じ上げておりますが、何分最近の社会人野球のレベルは下がっているので、そう易々とこの二年の成績で成長したとは言えないような気がするのですよ・・・・。

 特に今年に入ってからは、まともな公式戦はほとんどなかったわけですし。もちろんそれは栗林に限った話ではなく、高校、大学、社会人を通じて、ヒリヒリするような試合があったかといえば、それは今月頭の早慶戦の二試合ぐらいでしょ。後は花試合とまでは言いませんが、胃に穴が開くような試合ではなかったと思うのです。つまり何が言いたいかというと、結局のところそういう追い込まれるような試合じゃないと、選手の能力、野球技術や身体能力だけではなく内面も含めて見えては来ないと思うのですよ。今年の選手の評価は本当に難しかったと感じます。

 そういう意味では、栗林にとってまさに今日だと思うのです。もし、今日の都市対抗初戦で栗林が投げれば、その真価が問われることになるのではないでしょうか?

 大学時代からの変化としては、胸の張りが挙げられると思います。大袈裟に言えば天井向いて投げるようになったので、その分角度がついて、ストレートが奇麗な縦回転になり、回転数も上がったと思われます。しかしその弊害もあるかと。少し腰に負担のかかるフォームになったような・・・・。それと制球、特に初回、どこまで低めに決まるのか注目です。

 さらにもう一つ本日の注目点を挙げるとするならば、やはりあの煙遁の術でしょうね! まるで現役時代の佐々岡監督を彷彿させるような匠の技とでも言いましょうか、ロージンをたっぷり付け、リリースのその瞬間、狼煙でも上げたのかと見紛うばかりの白煙・・・・。本日の最大の見どころです。ぜひ注目してください!

2021年度成績 6勝8敗 防御率4点台

 

f:id:TailEnder:20201122015235p:plain