Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

両雄並び立たず!!

 前回の最後の方で、楽天は自前でスラッガーを育てられていない、てなことを書きました。

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 これは楽天の育成に綾を付けている、というわけではありません。どの球団もそこには苦しんでいる、ということ。

 楽天は創設二十年という節目を迎えたので、それだけの時間があっても難しい、そこを伝えるのに判りやすい事例だったので挙げただけです。繰り返しますがどこも上手く行ってはいないのです。

 むしろ和製大砲を育て上げたチームの方が稀。野村の言葉を引用したくはないのですが、確かに”四番打者は出会い”、という側面はある。つまりは運次第なのだと。

 この15年で、一番自前でスラッガーを育て上げた、そう言える球団は間違いなくヤクルトなわけですが、そこから踏み込んで、じゃあ彼らにノウハウがあるのかといえば疑問ですね。
 濱田や北村、澤井、西村あたりがファームでどのような数字を残すのか、若干意地悪に眺めています。現時点でそれがあると証明できるような活躍はしていません。
 そもそも山田は外れ外れ一位、村上は外れ一位なわけで、スカウトのデキが良かったとも言えない。野村の先の台詞は、阪神の暗黒期真っ只中に口を突いて出た言葉であり、当時、それは無責任だと思いました。今もそこにブレはありませんがまったく的外れとも言えず、和製大砲育成には運が必要、この点は理解します。


 うちの森下にしたところで外れ一位。しかも浅野の・・・・。

 私は以前から森下は間違いなくスラッガーになれる。そして何よりスター性があるので、こういう選手は巨人に行くべき、そう主張してきました。
 人気低迷の著しい巨人の救世主に森下はなりえる逸材だと見込んだからこそ。しかし残念ながらその巨人、浅野を外した際の外れは金村だったと水野がバラしていました。二位で右の外野手として萩尾を獲るのが既定路線だったのです。
 大砲へと育つ逸材、その見極めは実に難しい。雑誌「野球小僧」の番付や、西尾さんたちの評価にしたところで、森下の評価はも概ね二位の半ばあたり・・・・。ここからはまったく手前味噌で恐縮ですが、そんな中、私はあの年のドラフトを ”森下ドラフト” となる、そう一貫して申し上げてきたことを強調しておきますね、ええ。

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 今後とも当極北のブログ、ご贔屓にお願いいたします。


 おさらいすると、和製大砲はまず目付けの段階で難しくて、そのフィルターが甘くなりがち。育成はその後工程なだけに更に困難を極める。先ほどヤクルトの名を挙げましたが、丸、誠也を育てた広島にも学ぶべき部分はあると思います。共に一位というわけではないのですから。
 また坂本、岡本を擁する巨人の場合は、スカウトの功を真っ先に挙げねばなりません。では他はどうかと点検しますに、SBは柳田だけだし、西武も浅村、森以降は音無し。ハムの近藤、吉田、杉本のオリックス・・・・。ベイに中日は言わずもがな。かように生え抜き和製大砲を物にする道のりは、長く険しいものなのである。

 つまり楽天の二十年なんてまだまだ可愛いもの。何せわが阪神ときたら、掛布、岡田以来三十本以上打った自前の打者は人っ子一人も育っていません。いやマジな話、一体、われわれは何年待たされるというのか?

 恐らく厳密に言えば長く活躍する先発投手、敵をしても大黒柱と言わしめる絶対的エースを育てるのも、きっと同様なのでしょう。

 良い機会なので阪神におけるスター選手という観点で、その変遷を図にしてみました。

 

 こうして改めて眺めてみるに、ミスタータイガースって掛布以降、その可能性を感じさせる選手すらいたのでしょうか。今ではそれを名乗ることすら憚られる感じ。視点を投手に転じても、どうでしょう全盛期の球児は確かに凄かったのですが、ストッパーというのが惜しいか。

 今岡が実質四年しか活躍できなかったのも残念でなりません。もし野村なんぞ招聘せず、ムッシュの後は安藤あたりにやらせておけば、もっと記録にも記憶にも残る選手になる可能性があったし、チームを背負うリーダーとしての気概も持ち得たのではないかと。  

 暗黒時代に野村の洗脳を拒否した代償として、あからさまに干されて人間不信に陥っていたようであった。奴がいなくなり三割打って主軸に据えられてさえ、それでもチャンスで自主的に送りバントをしようとするぐらいでしたから・・・・。

 鳥谷は自分で阪神を選んでおいてこう言うのもなんですが、タイプ的に一番阪神に入ってはいけない選手だったと思います。あの頃は外様天国でしたしね。


 それとしみじみとやはり昭和の最期から平成序盤は酷かったな・・・・。個人タイトルに絡めそうな選手は野手・投手ともに皆無。次期ミスタータイガースなんて夢のまた夢。その候補すらいない。表を見れば一目瞭然、暗黒期は見事にスッカスッカ。自称ミスター・トラの唐渡が悪目立ちするというまさに地獄絵図。

 平成も後半に入り順位自体は比較的良くて、CSで巨人を捲って日本シリーズに出たりもしましたが、個人成績を見ればチームトップはメッセやマートン、ゴメス、福留、糸井。生え抜きは彼等に明らかに及びませんでした。つまり待ち人は一向にやっては来なかった。

 そういった諸々の事情も込みで虎の球史を俯瞰してみますに、以前も取り上げましたが、05年のリーグ制覇以降では、わが阪神が生んだ最大のスターは ”わらし姉妹” で間違いないでしょう。

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 誰もが球場に入り自分の座席を探す前に、まずはあの二人の位置を確認したのではないか。その存在感は抜群、比類なきユニット。残念ですがスタメンを見渡したところで、あの二人に適う選手などいなかった。贅沢は言わず ”チームの顔” ぐらいにハードルを下げてさえもいないのだ。

 雌雄三十八年、ようやく阪神は日本一に辿り着いたが、われわれはもうあのボードを持った仲睦ましい姉妹の姿を目にすることは叶わないのか。去年突如、遂にわがタイガースに待望の大砲候補、輝と森下の ”アイブラック兄弟” が現れたというのにだ。

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  鳴呼、両雄並び立たず!

 

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