Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

2023 ドラフト点検 阪神編

 もうじきキャンプインですね。それはそうと阪神のドラフト点検忘れていました・・・・。

 正直言うと例年に比べて普通の出来栄えなので、あまり触れる気がしなかったのですが、それではスッキリしないだろということで書かせていただきます。良い区切りになるでしょう。

 

1位  下村 海翔  投手 青山学院 174cm 73kg 右右 MAX155㌔

 指名前も含めて何度か書かせていただいています。

tilleternity.hatenablog.jp

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 上の記事でも指摘していますが、右の強打者を打ち取るイメージが湧かない。どのボールもそれなりのレベルで、その組み合わせの中でもカットボールが抜けています。下村の最大の売りはそこ。まるで左打者の懐に纏わりつくような嫌なボール。これは間違いなく通じる。しかし右打者にはどうか? 仮にそれをアウトコースに制球できてさえも余裕でカットはできる。

 緩急をつける大きなカーブやフォーク、チェンジアップも悪くはないけれど、いずれも一軍の打者なら合わせることは可能とみます。それに肘に古傷を抱えてもいる。うるまスタートは妥当でしょう。

 

3位 山田 脩也 内野手 仙台育英 177cm71kg 右右 遊撃手 遠投105m 50m6秒1

 守備は社会人まで入れてもトップクラス。今年の目玉である宗山と比較してもこちらではないかと。観客を魅了するような華麗な守備ができる点を買います。宗山同様マスクも良いですね。因みに肩も強くてマウンドに上がれば140㌔中盤の球を投げます。課題はバッティングでしょうね・・・・。

 よくWBSCの韓国戦、木製バットで打ったホームランの映像が取り沙汰されますが、あれはあくまで瞬間最大風速。今年一年、打撃はファームでも苦しむと思われます。パワー不足はいかんともしがたく、身体を大きくすればキレやスピードがなくなる、そこにも苦しむのではないでしょうか。

 性格面は強く勝負強さもあるので、それを守備だけではなく打撃にも活かせれば、きっと良い二番打者になるでしょう。

 

4位 百崎 蒼生 内野手 東海大星翔 178cm76kg 右右 遊撃手 遠投105m 50m5秒8

 去年戸井を獲っておいて、今年も右の内野手を二人というのは流石にどうなのかと。こういう指名を続けていると、選手を育てた所属チームの指導者の信用を失いかねません。恐らくですが、3位の段階で山田か百崎か天秤にかけて山田を選び、4位でも百崎が残っていたので思わず飛びついた、そんな感じではないでしょうか。 

 アスリート性は山田以上。骨組みもしっかりしているので、こちらは身体を大きくしても、動きが悪くなることはなさそう。また甲子園でわれわれが見た百崎は仮の姿だったとか。左足甲を骨折していたそうです。

 三年前の夏の神奈川予選の段階で凄かったという報告もある。当時から将来像は少し大型の菊地という話でしたから、きっと実戦的な選手ということなのでしょう。ウエスタンの中継が今から楽しみですね。

 

5位 石黒 佑弥 投手 JR西日本 180cm82kg 右右 MAX152㌔

 五年前の夏の愛知予選、春の王者東邦を沈めて名を挙げた右腕。タイプ的には元ロッテ、阪神でもある久保康友と相似形ですね。テイクバックでの腕のたたみ方や肘の位置、背中への入り具合はほぼ一緒。持ち球も似ています。恐らく球の威力も同じような感じかと。ただ日本の野球のレベルはこの15年で劇的に上がりましたから、久保と同じようにはいきますまい。こちらもまずはファームでじっくりと眺めてみたい投手です。

 

6位 津田 淳哉 投手 大阪経済大学 178cm83kg 右右 MAX152㌔

 岡田枠発動、というと大袈裟でしょうか。大経大の監督は昨シーズンから元阪神のコーチの高代。

www.nikkansports.com

 「岡田頼むわ!」

 「下位で良いですか?」

 そんな会話を妄想をしてしまいますね。

 実力的には150㌔越えのボールを投げ下ろすそうですが、所謂高校七年生。大経大は選手寮もなかったはずですから、追い込みを掛けられたことはないでしょう。なので体力作りから始めることになると思います。

 フォーム的には真上から投げ下ろすのは良いのですが、背中が反り過ぎなので、まずは柳のフォームを真似るところから始めてください。

 

2位 椎葉 剛 投手 徳島IS 183cm 92kg 右右 MAX159㌔

 この投手については二点ほど補足が必要と思っています。まずドラフト前に、今回個人的に一番の注目投手だとしていました。

tilleternity.hatenablog.jp

 「果たしてドラフトで、どこが、どの位置で椎葉を指名するのか、それは今夜判る。最大の楽しみである。」

 ここまで書きました。しかして一昨年は森下ドラフトだと言い切ったように、去年のドラフトを椎葉ドラフトとまでは言えなかった。そこはやはりタイプ的に中継ぎ、上手くいけばストッパー候補という投手にその年のドラフトの冠を与えるのはどうか、という判断があった。実際私の評価も3位の頭に来るか、そんな風に考えていたわけですからね。

 二つ目は徳島ISの同僚だった西武5位指名の宮澤をパの新人王と予想しておいて椎葉は違うのか、といったあたり。もちろん指名前から椎葉の方を評価していたし、そこは今も変わりません。しかし両チームの投手層や起用法を考えると、チャンスを与えられるのは宮澤の方ではないかと。

 西武はイケると踏むと、どちらかというと荒っぽい使い方をします。西武の中継ぎ以降は薄く、甲斐野が入ったからといって増田や水上の不調を埋め切るのは難しい。佐藤隼や田村、豆田もまだまだ。つまり宮澤の出番は多そうです。

 一方の椎葉はどうか? 手前味噌ながら阪神の投手層は厚い。そこが日本一の原動力。去年ほど上手くいくとは思っていませんが、湯浅や浜地、そして西純も今年は中継ぎに回るらしい。しかもゲラの前評判も高い。つまり右のブルペンは今年も堅牢。となると椎葉の出番は少ない、というよりも大事に使われるのではないかと。

 それに椎葉は去年の春からの三か月で、一気に15㌔近くのスピードアップに成功しています。こういう期間の後には得てして怪我が待っているもの。やはり今年は大切に扱われるべきだと思います。それが阪神の黄金時代のため、そう思ってください。

 先ほど西武の起用法を荒っぽいと書きましたが、新人王というのはそもそもそういう使われ方の代償、という向きもありまして、”わしが育てた” でお馴染みの星野監督がどのように新人投手を扱ってきたのか、もはや説明は不要。ああいう起用は釜田を最後にしていただきたいもの。この認識は球界にも確実に浸透しています。実際近年、ズブの新人が新人王を獲れない背景には何があるのか。なるべくなら一年目から無理をさせたくはない、という配慮ではないでしょうか。

 椎葉の才能、潜在能力について間違いはありません。危うく埋もれかけていたかと思うと背筋に寒いものが走ります。彼のような存在を見つけ出すことこそオタクの使命、自信はないんだけどさ・・・・。幸い椎葉は自らの決断と力で上位指名を手繰り寄せました。そこにオタクたちの介入の余地はなかった。少し残念ではあるが、こうなればわれわれにできることは後出しじゃんけんであっても、彼の才能を喧伝することだけ。

 椎葉のストレートは快速球や剛速球とも違うし、長い手足を揺らして引っ搔くように投げるのでもない。真っ直ぐ強く踏み込み、その強さでボールを押す至ってシンプルな投球スタイル。佐々木朗希世代最速の男も夢ではない。この表現、決して大袈裟ではなく、まるで弾丸のような球筋で、ミットに収まったとたん煙が上がる、そんなボールを投げるのですから。恐らく十日後にはこのキャンプ最大の話題となっているはず。まさに乞うご期待!

 

 最後に今季間違いなく新人王との誉れも高い西武の武内について。やはり何故評価が低いのか判らない、という意見を身内からもいただいております。一言でいえばこれという決め球がない、というのもあるのですが、彼が打者に踏み込む際、右足のつま先が上を向いている、というのもあります。

 投球を重ねると右膝が割れだし、それに連動して右肩が開く。まぁそれだけなんですけどね・・・・。

 

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