火曜だったかの大阪のスポーツ紙の見出しは、ほぼ全紙連覇であった。もうそこに目が行っているのか。まったく鬼がいたら腹を抱えて笑いそうである。
球団やファンが肩を組んで背伸びして、来年の今頃を眺めているうちに、足元ではわらわらとタニマチたちが選手のスケジュールを入手せんと、申し合わせたように暗躍している。メディア出演の網の目を潜って、確実に選手を抑えるために。つまり虎にシーズンオフなどない。年の瀬まで熱い闘いが繰り広げられるのであろう。例年、11月、12月の月間MVPは、ブッチギリで阪神の選手なのだから。
連覇・・・・。八方良しを旨とする私にとって、決して望ましい言葉ではない。
来年ぐらい巨人か横浜でええやろ。そんな風にも思うのである。しかし、ぐらいって、38年振りなのにこの何様状態。そうやって調子こくから、いまだ二度しか日本一になれてないんだぞっ!
まったく阪神ファンの業は深い。それはプロの阪神ファンとて同様なのである。
ただ、これからの五年間で二度優勝する。そう言い放ったのが20年の開幕前。
少し芸のない話であるが、その線に乗ってみるか。ってことで連覇に向けた星勘定をやってみたい。
まず選手たちをニつの群に分ける。今シーズン、出来過ぎの選手と、もっとやれた選手、の二つ。
実際のところ若い選手が多いので実績も少なく、来年もこのまま、というのはあまりいない。なので、強引だけど二つに分けてみる。
▢ 出来過ぎ
やはり村上、大竹、才木の三人。特に大竹の12勝は文字通りの出来過ぎ。まさに今年の福男であった。来年も活躍したければ、参拝一番乗りを目指して西宮神社のレースにエントリーしたらどうか?
村上、才木も来期は負け数が増える。ということは勝ち星は伸びない。この三人と伊藤将司も併せると40も勝っているのか。あらためてびっくり。
伊藤は数少ない安定した活躍が見込める投手であるが、来年は落ちる可能性が高いだろう。この四人で来期は25勝つのが精いっぱいではないか。
マイナス15勝
桐敷も来期はフラフラすると思う。梅雨ごろには、もう一回先発でやり直すか、とか言われてそう。
石井も来期は草臥れ、仮に数字自体に変化はなくともイニングは食えなくなるのではないか。来期、この二人は恐らく勝ち星どころではないであろう。
マイナス3勝
西純もどうか。あのデキで5勝は出来過ぎ。今年で天井が見えた気もする。むしろ中継ぎで回したくなるタイプなので、もし転向があれば期待したいが、勝ち星自体は挙がらない。
ついでに岩貞、西勇も来年はダメな年回りと予想。この三人で14も勝っているが、来期は三人で4勝でどうだ。
マイナス10勝
恐らく来週あたりにMVPの発表があるであろう岩﨑。今年特段出来過ぎというわけではないが、日本シリーズを含めた精神的な疲労も考慮すると、八掛けと見た方が良い。四月の出来いかんでは、本当は一番合っているセットアッパーに再配置転換も良いだろう。だが今年の勝ち星3自体には変化なしとみる。
士0
今年、岩﨑に次いで実は登板数の多かった加治屋。来年は全休ぐらい覚悟しておいた方が良い。
因みに本当に加治屋がダメだった場合、勝ち星の1勝ではなく、51登板、38回2/3を失点12で乗り切れる投手を作る必要がある。これは結構難易度が高い気がする。
彼には今年の調子を維持して欲しいがそれは酷である。では誰が埋めるのか、一苦労しそうだ。
マイナス1勝
最後に、勝ち星だけ眺めると出来過ぎと思しき投手が結構いる。島本4勝、浜地3勝、馬場2勝、ケラー1勝・・・・。やはり優勝するチームには、ラッキーが必要なのだとしみじみ。ケラーはクビで、残り三人は来年それぞれ1勝できたら御の字だな。
マイナス7勝
以上簡単であるが出来過ぎ群。合計するとマイナス36勝となる。
その凹みを、上振れが見込めるであろう、もっとやれた群が埋める。
▢ もっとやれた
まずはJOKERこと青柳。言うまでもなくこの投手を主戦に据えるのは反対だ。しかし日本シリーズで存在感は高まったとも思う。4回までピシャリであれば上等、というノリで中五日で回してみてもいいな。裏の二番手あたりで六月まで頑張れば、二桁復帰も十分可能だろう。勝ち星を挙げすぎると苦情の元になるので要注意物件でもある。
プラス2勝
同じく日本シリーズを観た限りであるが、湯浅も同様に間違いなく今年以上の活躍が見込めるだろう。岩﨑の状態次第ではクローザー復帰もありだと思う。
プラス3勝。
次に髙橋遥。来年度の福男枠として期待したい。ポテンシャルは阪神ファンにとどまらず球界が認めるところ。こちらも春の立ち上がり次第だが、一気に二桁行く可能性もある。
とりあえずでプラス8勝。
そしてこれまた左腕である及川、彼には最も期待している。もう高校時代の悪評であった、イップスだとか、及川は精神面が崩壊した、という噂もまったく聞かなくなっただけに、来期は先発に再挑戦してもらいたい。
奪三振は岩崎と並んでイニング数を上回るが、与四死球は多いため中継ぎよりも頭から行かせた方が持ち味は出るのではと。ただ、手首が寝るタイプなので、スライダーの曲がりも縦系の変化球も甘い。どのみち腕の位置も含めて見直しが必要な物件なので、先発を前提に改造に着手する良い機会だと思う。
投手としてのセンスは抜群。故にここからの飲み込みは早いはず。侍ジャパンにも選ばれて本人もやる気に満ちているであろう!
プラス7勝
及川は化ければ福男どころか左のエースになれる存在だと思うのだがなぁ、甘いか・・・・。
ドラ1の下村はそのうちしっかりと書くが、肘の古傷もあるので来年は二軍で寝かせた方が本人のためではなかろうか。今のままでは対右打者に難あり。しかし夏ぐらいには出てきてーつぐらいは勝つかも。
次にドラ2椎葉。こちらはやると見る。理由は色々とあるが、そこは下村同様、チーム別のドラフト点検でじっくり書こう。
椎葉の加速する159㌔の剛球は、充実する虎のブルペン陣の中でも頭一つ抜けている。これは一年目から話題となる。プ口野球は興行ですから、お客さんに是非見せたいという観点でもデビューは早いだろう。
下村、椎葉でプラス3勝。
次に怪我明けの小川。矢野が無茶苦茶な使い方をして潰れただけに何とかしてやりたくなる物件。怪我の状況や彼の近況について情報はないが、前政権の被害者として優先的に一軍での登板を与えてしかるべきである。持ってる球も良いので、望月の二の舞だけは勘弁してほしいものである。
根拠はないが、お帰りなさい枠、もしくは復活感動枠としても期待したい。
プラス2勝
次に鈴木。創価枠として前政権が二位で指名したが、ノーコンでさっぱりであった。しかし夏以降はファームでもコントロールが落ち着いてきたとの情報もある。
岡田はイニングではなく、ワンポイントや回跨ぎも辞さない起用法を好む傾向にある。その方が投手のアピールの場が増えるやん、というスタンス。左打者専用機で登板させて欲しい。右投げ左打ちは総じてノーコンタイプの左腕を苦手にしているので、活かしようはあると思う。
一応、独特の間合いとアングルから150㌔投げます。
プラス1勝
プロ入り初勝利をどさくさに紛れて挙げた岡留、富田の二人。 共に今期の登板数は十に届かず、もっと投げたいやってやる、とそれなりの手応えを感じているはず、ってことでプラス2勝。
もし加治屋の大穴をこの二人と西純が埋めてくれたら助かるが、 果たしてどうなる?
最後に鳴尾浜の期待の二投手、森木、門別。もしかしたらどちらかがーつ勝つかも、ってことでプラス1勝。
以上、合計29勝。
マイナス36勝には7勝も及ばない計算になる。だが残念ながら、これ以上上振れする要素はない。ってことはわが阪神に連覇はないのか? 実はそうではない。
そもそも今年の85勝自体が出来過ぎ。来年もぶっちぎりで勝つわけない。NPBを盛り上げる意味でも三チームぐらいでのデッドヒートが理想。ってことは優勝ラインは下がる。だいたい78勝ぐらいか。
となると先の計算で良いこととなる。つまり7勝足りなくても間に合う。虎の連覇は可能なのである。
よっしゃーっ、来年も優勝やーっ!
というわけだが、よそのファンが読んだら、鈴木だの小川だのと阪神ファンってやっぱりバ力だね♪ そう言われそうではある。
次回はさらに必笑の野手編、乞うご期待。