Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

Rの時代 Ⅴ

 先週、正式な、というか今年度のラグビー日本代表初戦が大分で開催された。しかし残念なことに、観客数は二万に届かなかった。前週の秩父宮から二千人以上減った計算。スタジアムのキャパの半分も埋め切れなかったことになる。新ジャージお披露目というカードを切っておきながらこれ。結果としてのこの動員を読めなかったとしたなら、日本ラグビー協会は実におめでたいといえる。前回の記事で誉めただけに残念である。

 果たしてわざわざ遠征してまで、あえて大きな箱でやる意味があったのだろうか? 想像するに、大分開催に至った理由は三つ。まずJリーグの日程もあって都内などの主要なスタジアムを用意できなかった。次は、大分のラグビーファンから地元を挙げての熱烈なラブコールがあった。そして最後に政治的トップダウン・・・・。まぁ考えるに、理由として成り立つのは三つ目だけではないか。

 まず、都内ならば秩父宮でやれただろ、って話。初戦、五戦目のチケット争奪戦は凄まじかった。二戦目が同じカードで同一拠点での連戦になろうと需要は間違いなくあった。

 次に大分からのラブコールであるが、集客が二万にも及ばない時点で、それはなかったとの整理でいいと思う。大分ではニ年前にもオーストラリア戦を開催している。観客数は1万7千人あまり。私もそこに居合わせたのだが、もう少し何とかならんかと思った。

 普通の組織であればその反省を生かす。それでも大分で開催されたわけだから、つまりは政治的なトップダウンがあってそれに抗えなかった、そう思いたい。なので同情の余地はなくもない。しかし、である。仮にそうであっても、選手への配慮が欠けていたのではないか。大事なこの時期にお寒い観客席を見せつけ、ラグビー人気の陰りを本人たちに体感させてしまうのは避けたかった。四年に一度の大勝負を闘うための環境というのは、外ならぬ協会が音頭を取り、ファンやメディアが神輿を担ぎ選手をそこに乗せる、 そういうものだと思うのだが。

 森-御手洗ラインが生んだ案件、と言われればそれまでである。であればなおのこと、協会はいろんな意味でもっと根回しをし、汗をかくべきではなかったか。権力者の身勝手な要求に屈し納得できない気持ちは判る。しかし二人は老害ではあるが、身内で間違いはない。大分で決まったのなら、気持ちを切り替え全力を尽くす。何よりファンのため、そして選手のために。正直、日本ラグビー協会からそのあたりの気概というかバイタリティというか、そういうものを感じたことがない。残念である。

 もしかしたら彼らのなかでは、先週の一戦は大成功とされているのではないか? W杯直前のこのタイミングに大分で代表戦を開催する、それだけで意義があったのだと。政界や財界の大物の顔を立ててみせる大仕事を成し遂げた、即ち勝利、という安易なプロット。なんという低いハードルのミッション・・・・。

 恐らくニ人は、ガラガラのバックスタンドを眺めながら苦虫を噛み潰していただろうに。そこにまで頭が回らないところに、協会の連中の無能さを感じてしまう。サラリーマンとしても失格。まぁだから彼らの多くが出向という形で協会に来ているのだろうけど。体のいい厄介払い、その吹き溜まりこそがリアル日本ラグビー協会なのである

 

 チケットが高すぎる、そんな評判も良く耳にする。しかし、値付けは間違っていない。安売りこそ論外。高価であっても、それは文字通り身体を張って闘う選手へのリスペクトの表れ。ならばなおのこと売れるところで売らないと。それでもチケットが余るのなら、子供たちを招待ぐらいはできたとも思う。せめて代表には満員の中で試合をさせてやりたい。そしてそこからフランスに送り出すべきである。

 

 日本ラグビーの戦略上、”地方” が重要なターゲットであることは認める。私も同じ思いである。それは協会HPに掲載された先の代表戦の公募からも伺える。しかし、である。協会は LEAGUE ONE の各チームが首都圏に2/3も偏ってしまった事実をどう見ているのだろう。そこに手を打つ気はあるのか? むしろその埋め合わせとばかりに、日本代表が地方を回っているような。つまりは逆になっている気がするのだ。切り分けとして LEAGUE ONE にはなるべく地方にバラけてもらい、代表は都内で商売する。その方が理に適っている。大きいマーケットと小さなマーケット、どっちがどっちって、小学生でも判るやろ!

 少なくとも今回のチャレンジカップは全試合秩父宮でも良かった。その方が客が集まり盛り上がり、そして儲かったとも思う。それでも大分で決行し、札幌でもやるという。目先のもの以上の何かを、日本ラグビー界が得たであろうことを祈る。

tilleternity.hatenablog.jp

 

 この週末のサモアとのテストマッチ、本戦を占うことにはならないと書いた。壮絶な譲り合い、もしくは控えのアピールの場と化ける。同ーグループである以上、お互いに手の内を明かせるはずはない。セレクションマッチがもう一試合増えた、そう思って観るのが正解だろう。

 これも以前書いたが、日本代表はこの秋のW杯で1勝しかできないと踏んでいる。つまり本番ではサモアにも勝てないと。理由としては今回の日本遠征に不参加の欧州勢、つまりはサモアのキーマンたちがフランスでプレーしていることを上げる。第二の故郷とまではいかないだろうが、地元意識ぐらい芽生えている。きっと追い風になるだろう。しかもそこに元AB'sやワラビーズが加わる。前回、前々回のようにはいきますまい。日本代表勝利にー縷の望みをかけるなら、その頼みの綱はレッドカードとなろう。すでに気後れしている自分がいるようだ。

 

 イングランド大会から積み上げてきたものを失うのは辛いが、もう一度堕ちるところまで堕ちたほうが良い、そう思えるようになってきた今日この頃である。

 

 なんだかいつも以上に辛辣な内容に終始してしまった。ラグビーファンには申し訳なかった。明るい文章を書く気にはなれないのだ。その気持ち、阪神ファンならご理解いただけると願う。そこに今日は甘えたい。