Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

ドラフトを振り返る 淋鯉編

 今回は広島のドラフトについてなのですが、先々週だかラグビーの新リーグについて散々イチャモンをつけた際、

tilleternity.hatenablog.jp

 どさくさに紛れてカープについても書きました。こんな感じ。

広島カープのように ~ ”市民球団” と標榜しながら、実は ”松田家の持ち物” という二枚舌を巧みに使い分けて市民だけではなく県民を騙し続ける詐欺球団 ~

 まあ、別に筆が滑ったわけではなく、ありのままを書いたつもり。しかしながら、広島ファンの方がそれでいいんだと。つまり ”詐欺になんかあってないんだから、それで構わんだろ”、と言われりゃ確かにそう。傍からあれこれいう話ではない。ただどうしてもこうは思ってしまう。”市民球団” と ”一族の持ち物” が、同時に並び立つことなどないんじゃないか、と・・・・。

 しかも後者としての時計の針は容赦なく進んでいて、次のオーナーは現代行である松田一宏氏に決まっている。三代続けて世襲のようだ。つまり年齢的にも後三十年ぐらいは、この二つの看板を下ろすことなく手品を続けるご様子。松田家はやる気満々なのだ。

 球団の経営自体は、マツダスタジアム効果や三連覇もあって、追い風が吹いていたここ数年、順調にやってこられた。そもそも球団が得た条件が良過ぎ。スタジアム内の各種看板の広告費や飲食物販は総取り(その何割かは広島市が分けてもらってスタジアム建設費用の償還に充てても良いのでは・・・・?

 しかしその良い流れも二年前で終わって、一転して46年振りの赤字に!!

www.chugoku-np.co.jp

 なんだかなぁ、わざわざこれって周知する必要あるか・・・・?

 去年度、ここまではっきり赤字を明確にしたのはカープぐらいではなかろうか? そもそも、コロナで野球に限らず黒字経営しているプロチームなんかほとんどない。世間を見渡してもサービス産業などはどこも同様。わざわざ昵懇のメディアを通じて知らせなくても、みんな十分過ぎるぐらいわかってる。なのにそれをする。

 そこは、”カープ市民球団だから、はっきりとそれをファンの皆さんにお示しする義務がある”  ということなのか・・・・?

 ”当面は松田家として慎ましく緊縮財政でやっていくんで、そこんとこヨロシク!”、そう予防線を張ったようにしか受け取れんのだが。つまり二枚舌というのはこういうところなわけである。

 力ーブファンには熱心な方が多い。野球ファンなら常識。まったく頭が下がります。だからこそ、大きなお世話かもしれないがカーブ球団のやり方に、忸怩たる思いを抱くのである。

 今を遡ること四半世紀前、インターネット草創期に私が野球系のHPを持っていた、という話はここで何度かしました。当時、カープファンの方からはよく励ましというかエールをいただきました、ええ。阪神ファンからは脅迫めいたメールばかりでしたが(私が反野村を貫いたゆえの所業)。

 あの頃、球団別でいえば阪神と広島のHPの数が抜きん出て多かったのを覚えている。今もブログとか、そういう傾向あるんじゃないかな、知らんけど。だからというわけではないですが、阪神ファンとして、広島ファンの気持ちが、自然と伝わってくることがある。嗚呼この人たちって、本当にカープのことが好きなんだなぁ、って。

 そんなファンに支えられ続ける広島東洋カープは幸せな球団だと言える。そしてその関係を少しでも長く続けて欲しい。カープを本当の意味で市民球団にすべきではないのか。   

 「皆さんのカープを松田家で預からせてください

 これはカープの扱いについて地元財界で大揉めした際、それを取り仕切ってみせた故松田恒次オーナーの有難いお言葉。ならばお預けしたものをそろそろお返しいただこう、そんな日が来てもおかしくはない。まずその手始めに、松田元は何とかした方がええと思いますよ。ありゃまじで詐欺師ですぜ。お爺ちゃんもそう思っているはず。

 長い前振りでしたが、それではカープのドラフトについて。

f:id:TailEnder:20220119230648p:plain

 

<本日の二枚舌>

 上位編+α

 ―位の黒原は、隅田の入札を外し、山下も外したが、実は結果そのクジが当たりだったという物件。ドラフト前にも少し書いたかな。

tilleternity.hatenablog.jp

 ロッテの鈴木によく似ています。高校時代ともに名門校の左腕工ースで、小柄で、甲子園にも出て、そしていまいちパッとしなかった点も同じ。大学時代にそれを取り返すような大活躍、をしたかといえば、決してそうではないところも似てるのかな。

 最大の魅力は常時140キロ後半のストレートを繰り出せるところでしょうか。スライダーも良いしコントロールもまとまっている。鈴木と違って腕が上から来るのも良い。なので背は低いが角度はある。 ただ頭から投げると5回ぐらいになると決まって掴まってしまうタイプ。先発として見ると積んでるエンジンは軽い。しかし中抑えなら十分にやれる。今年春から勝利の方程式に入れると思います。 起用法いかんによっては新人王もある。

 二位のであるが、今年の新人で春から開幕口ーテに入れるのは隅田とこの投手だけだろう。二位ながらこっちは先発でいけます。絶対的な球はないがゲームメイク力に長けている。常時145キ口ぐらいのストレートに、スライダー、チェンジアップともにほぼプロ仕様。コントロールと度胸以外は伊藤将司より上。誤解しないでほしいのだが、度胸がないというのではない。芯が強いタイプ。だから案外大舞台に強い。二桁は難しいがほぼシーズン通じて先発の一角として機能し、七つぐらいは勝つのではないかと。セの新人王の一押しです。

 三位の中村は、普通この位置ではあり得ん指名・・・・。そういえば広島のドラフト絡みで思い出すのが、名物男と言われた村上チーフスカウト。いつもなぜか大番頭気取り。松田元オーナーは公の席でも彼から ”ハジメ君” と呼ばれてました。二十年ぐらい前の話。まぁ、当時からその程度の奴ってこと。

 あの頃はこのスカウトにほぼ丸投げで、変な指名が多かった。今回のはオーナーの意向にスカウトが忖度した、いわゆるハジメ物件。変な指名であることに変わりはない。

 慶応の選手を追うのは大学まで、というのは、スカウトの間では一種不文律である。野球部を持つ一般企業で、慶応卒の選手が入社するのは中村がそうであるように、トヨタや、東京ガスJR東日本などインフラ系の一部に限られている。恐らくそれらには社内三田会なるものもあるのだろう。引退してからもそこそこの出世コースには乗るので生涯賃金ならプロ入りするよりもお得。だから手を出してやるな、というわけ。

 スカウトだけではなく、これを知らぬ球団関係者はいまい。広島もその例外ではないはず。ところが・・・・。

 確かに中村はプロ入りを熱望していた。しかし、多くの球団は先の理由で見送った。そして迎えたドラフト当日、中村の夢は叶った。叶えたのはもちろん松田元オーナーだろう。ついに世界のトヨタに一矢報いてやったよっ、見てくれたかいお父さん、お爺ちゃん、曾祖父! そう無邪気に快哉する様が目に浮かぶ。ハジメの夢も叶ったのかもしれない。

f:id:TailEnder:20220119233204p:plain

 ただぶっちゃけ、実力不足で中村をリストから外していた球団も多かったという。守備、肩はプ口で通じるが、打撃はキャンプ中継を観て失笑するコアなカープファンが続出するのではなかろうか・・・・。

 8位ぐらいで指名して獲得に漕ぎ着けてみせたら、ハジメも一皮剥けるのだろうが、言うまでもなくそんな胆力はない。

 中位~下位編

 4位の田村は私的に高校生NO. 1打者。去年を入れてもトップだと思う。このあたりで書いた。

tilleternity.hatenablog.jp

 真面目にやれば、普通にロッテの藤原や中日の根尾を二年目で抜くと思う。今年の目玉と言われている矢沢以上。

 長所は前に突っ込まないところ。ボールを捉える瞬間には後ろ脚に重心が残っている。正直、藤原があそこまで突っ込んでしまう、というのは意外であった。そういう意味では同じ左投左打の田村も例外ではない。しかし甲子園でチェンジアップをしっかり残して打った。あれを待っていたとは思えないし、決して悪い球ではなかった。なので最低でも板倉ぐらいはやると思う。課題は二刀流をやりたがるような性格面か?

 この選手をこの位置で獲れた、というのが、なんというのか、令和に入ったというのに松田家がのらりくらりとここまで持ちこたえている所以だろう。三位指名でオーナー自らが遊んで、そのバチが当たるべきところなのに、4位で出物をゲット。結局、帳尻が合うという・・・・。もう知らん!

 5位の松本は来年だけ見ると、下位指名で最も即戦力となる投手ではないか。ただしそこはやはり下位指名、欠点も多い。私から見ても二つある。一つ目はテークバックがギクシャクして硬い。二つ目は左肩の開きが早い。いわゆる粘りのないフォーム。ただ、打者と正対し胸が合ってからが勝負とばかりに、そこからの腕の振りは出色。奇麗な縦回転のフォーシーム。特に145キ口ぐらいのが一番回転数も多く2,600ぐらい。いい感じで浮き上がるようなストレートだ。

 この球だけで勝ちゲームの7回を任せられるかもしれない。変化球はどれもイマイチながら、あの直球があるから欠点とはカウントしないで欲しい。後は少し落ちる程度のスプリットの精度を上げてチェンジアップ替わりに投げていけば今年は通用すると思う。最近、こういう腰回りが太くて175cmぐらいの好投手が出てきがちである。そんな気がする。

 6位の末包であるが、確かにパワーがあって面白い選手。打球速度はアマチュア球界で群を抜く。しかし、果たしてどこを守らせるのだろうか?DHがないセリーグ、右打者にとって課題であるアウト口ーの見極め、というか感受性は試合に出ないと育たない。来年の由宇でのポジションが楽しみである。

 7位の高木は高校生を代表する大型捕手。華はあるがどうも実がない。素材重視での指名と思われる。バッティングに癖はないので、内野をやってもいいし外野に挑戦してもいい。一年目は捕手には拘らず可能性を探って欲しい。

 総括

 去年のカープのドラフト、総じて悪い指名ではない。むしろ良い、三位で遊んだのに。恐らく今年の新人王争いは森、黒原、松本を中心に進むのではなかろうか。しかし、である。三人とも今年が結果的にキャリアハイの可能性をプンプンに感じる。山内、小林幹英以降、悪い時のカープの流れである。そして森下も栗原も・・・・。

 縁起の悪いことはここまでとしたい。田村を獲れただけでもアニバーサルなドラフトだったのだから。しかも四位だし。メデタシメデタシ!

 

 最後にもう一度松田家の問題について食い下がっておきたい。

 今を遡ること15、6年前だったか、新スタジアム建設が頓挫しかけた際、最後は広島市と県が税金を突っ込み、地元財界なり募金なり公募債まで繰り出して決着がついたと記憶している。当時、私は松田家が球団の株はもちろん、保有するマツダの株などを処分し供出ぐらいは当然するのだと思った。しかし、松田元はイニシャルでー銭も払わなかった。並行して行われていた設計・施工コンぺであれこれ難癖はつけていたというのにだ。

 黒田が出戻った際カープファンは狂喜乱舞した。ヤンキースの10億を袖にして、その三分の一も出せないカープに戻ってきてくれるんじゃ、これこそが男気というもんじゃ、と。その時私は思った、” 半分は出せよ、松田家の持つ株でも処分(以下略 ” 。

 どうも私の眼が曇っているからなのか腐っているからなのか、”松田家” と ”球団” の関係、とは、”カープ” という中国地方最大のコンテンツを人質にして、市民、県民から甘い汁を吸い続ける "松田家” 、という構図にしか映らない。

 下のグラフを見て欲しい。

f:id:TailEnder:20220120002136p:plain

 確かに20年度、そして今年度も赤字なのでしょうよ。しかし、その前の五年間は連続して売り上げは実に 150億をクリアしている。プ口野球経営の損益分岐点、少し乱暴であるが売上でいえばおおよそ 90億弱ってところだろう。つまりカープの去年度の赤字額は大した数字ではないと想像する。

 根拠は少し古いが、コロナ禍でも着実に黒字を出し続ける経営上手の楽天の11年の売上から類推した。

number.bunshun.jp

f:id:TailEnder:20220120003018p:plain

 この年も確か黒字だったはず。売上高は88億。これでおそらくトントン、もしくはちょい黒字ぐらいか。当時のKスタ宮城(現楽天生命パーク)のキャパは2.3万人。稼働率は約7割。平均で一試合1.7万。コロナ禍の力ープの20年度の売上 85.5億とも符合する。

 でっ、何が言いたいのかといえば、その前の五年間散々っぱら稼いでおいて、積もりに積もった繰越利益があるんじゃないのかい。どこの球団もそれを切り崩してこの二年間やりくりしている。細かい数字はこんな感じか、

www.nikkansports.com

 なんか総資産とかちょっとピント外した資料であるが、つまりはどこも大変。それぐらいちょっと考えればわかる話。だけど、世相の暗い中、安直にそれを口にすれば、悪い景気がますます悪くなる。そもそもプロ野球って夢を売る商売だし。だからどこもそう易々と赤字だなんて言葉にはしない。 だというのに、お仲間の新聞社を通じて我先にとピーピー言いやがる、だから腹が立つ。

 本当ならこのオフも、しっかりと満足のいく更改をしてやって欲しかった。栗林 5,300万って、安っ! 二十歳の檻の宮城ですら5,000万なのに・・・・。厳冬などとは言わずに、順位に関係なく五年分の利益を大盤振る舞いする覚悟で、ハジメよ、おまえが男気を示す番じゃないのかいな・・・・?

 まったくこの男、三十年以上に渡ってウォッチを続けていますが、そもそもオーナーの器じゃない。古い話で恐縮だが、慶彦とは揉めるは、国民栄誉賞衣笠を死ぬまで干し上げるわ、そして新スタジアムを巡ってはあの有様。とにかくどケチ。夢の無い男である。にも関わらず球団事務所をスタジアム内に設けてもらって、今ではまるで主気取り。どこまでもセコく甘い汁を吸い続けようということか?

 最後になるが、カープについて少しだけ夢のある話を。巨人がどうも飼い殺ししそうであるところの中田翔。言うまでもなく広島市出身。まぁいろいろと地元的にも訳アリの物件だけども、思い切って引き取ってみてはどうか(長野あたりを餌に)? 彼の復活があるとすればカープ以外にないんじゃないか。その暁には物語的にも良い話になると思うんだけど、まぁこれもハジメじゃ無理か、奴は危ない橋は渡れない男。巨人を相手に交渉できるような胆力もない。合掌

f:id:TailEnder:20220120013348p:plain