Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

ドラフトスケッチ 2023

 阪神がどうなったかは知らん!

 昨日怒りに任せて書き忘れてましたが、甲子園初戦、ふくもっさんが三塁側で観戦していたのですよね・・・・、まぁいいっか。 

 

 というわけでドラフトである。このところアクセス数が急増している。やはりドラフト、そう思った。阪神のことを書いても、阪神ファンしか見に来ないもんな。ドラフトなら一応、全球団のオタが見に来る、という理屈。きっとそういうことなのだろう。ならば、というわけでドラフトについて書こう。

 例年、基本は熱が冷めてから、各球団のドラフト指名選手についてじっくり?掘り下げるのが常であった。しかしそれをするには時間がかかる。早くても今月半ばからか。恐縮ではあるが、それまではドラフト会議を眺めていて、気づいたことを書いて場を繋ごう。

 まず、今年のドラフトにはあまり興味が沸かない、そう書いた。理由は高校生に逸材がいないからである。でっ、結果は一位に横山、前田の二名。二位も坂井と河内の二名。三位には確か六名、計十名。これはコロナ元年の2020年のドラフトと綺麗に被る。そこに気づいたと胸を張っているのではない。言いたいのは、高校野球界はまだコロナ禍にある、ということだ。

 確かに彼らが入学した二年前、ー応すでに自粛モードではなかった。しかしあらためて考えて欲しい、今年ドラフトに掛かった高校生たちが、シニアやボーイズ時代にどんな環境下で野球をしていたのか、といったあたりを。

 これから数年、逸材は現れない、そう覚悟した方が良いのかもしれない。 学齢で言えば今年22歳の年回りが佐々木世代となるが、もしかしたら、 来年どころか再来年までこの世代を中心にドラフトは回るのではないか。 杞憂に終わることを願っている。

 次に指名の織り成す流れを巡って感じたことを二、三。

 まず細野が三度目の入札に回ったことをどう見るかである。実力通りと踏んでいいのか、それとも二度目の入札で細野に殺到すると見越しどこも回避した結果なのか。果たしてどちらだ?

 本当に実力があれば三度目の入札の前に消えている、これが大方の見方であろう。がっ、実は同じようなケースが過去にもあったということを知る者は少ない。

 それは第一回ドラフト会議で起こった。鈴木啓示ドラフト二位問題である。これは野球オタクの間でも長く昭和ドラフトを巡る七不思議のーつとして語り継がれていた。

 言うまでもなく鈴木は後の三百勝投手である。恐らくは最後の三百勝投手だろう。アマ時代から評価は文句なしの高校生NO.1左腕。選抜では初戦で敗れたものの、評価に揺るぎはない、はずであった。がっ、ドラフト当日、蓋を開けてみると、鈴木の名が一位指名の中で読み上げられることはなかった。それを持って昭和のドラフト七不思議というのである。

 今回その謎の真相が、二度目の入札にも細野の名がなかったことでそれなりに理解できた、そんな気がしたのは私だけであろうか。駆け引きと深読みが過ぎたのと、競合によるクジを嫌がって譲り合いが起こった、そう推測する。

 実際、スポットライトを浴びる雛壇でクジに負けるというのは気が滅入るらしい。再び重複しないか怖くなって腰が引ける、という話を聞いたこともある。例として相応しくないかもしれないが、去年の岡田の一巡目指名終了直後のドンタビュー、あれは酷かった。原に負けたからって、あそこまで落ち込むか、普通? 声も細々と途切れがちで、真剣に泣き出すかと思った。

 結局のところ、ファイターズー位細野確定に至る顛末は藪の中ではある。本来はもっと高い評価のはず、という声も依然ある反面、ノーコンにインステップは指摘したとおり。そこは細野が来春、北海道でビシバシ150㌔後半の剛速球を投げ込み、バッタバッタとプロ相手に三振を奪ってもらうことでしか証明できない。頑張って欲しいものである。

 

 次に、オリックスの二巡目河内指名までのアディショナルタイムをどのように見るか、である。

 どうやら椎葉を指名するつもりであったようだ。そこから必死に立て直すのに時間を要し、結果として将来性で河内となった、と想像する。それが当初の予定通りのプランBであったか? あの慌てっぷりからすると、どうもそうではないご様子。

 結果論になるのであろうが、会場のテーブルに着けるスカウトの数が限られているのも要因ではないか。誰がええねん、となって即答できる者がいなかった。その裏には確実に椎葉は二位で獲れる、という算段もあったのだろう。でっ、目の前で阪神に浚われたと。

 当日テーブルに着くメンバーは、監督以外は現場のスカウトだけで良いと思うぞ。結構変な奴が混ざって座っていたのをドラフトオタは決して見逃さない。オーナーとか取締役なんぞ呼んで、何ができるのか。おい、そこのおまえ、邪魔なんだよ、出ていけ!



 先の河内指名までのオリックステーブルの騒ぎは、図らずも椎葉株がドラフト直前にして急激に騰がったことを伺わせる象徴的な映像と相成った。だが、その椎葉にしたところで、同じ独立リーグの大谷より評価は低い、という結果である。

 口ッテは椎葉の与四死球率を見て、大谷と天秤に掛けたろのだろうか、どうやら違うようだ。それは口ッテの三位以降の指名で判る。以下、木村、早坂、寺地と高校生三人で本指名はあっさり終了。つまり、大谷一人獲れれば即戦力投手の補強は要らない、椎葉との天秤云々ではなく、いかに口ッテが大谷に惚れこんでいたかを物語る。椎葉同様大谷には注目しよう。今からキャンプインが楽しみである。

 

 この二人の存在が示すように、独立リーグがここまで来たか、その思いを強くした今回のドラフトでもあった。単なる当たり年で終わって欲しくはない。両チームは次の椎葉や大谷の育成に心血を注ぎ、再現性を確立して欲しい。

 特に徳島の岡本哲司監督の育成方法はクローズアップされるであろう。社会人の三流チーム(失礼)をクビになった投手を、ほぼ半年で常時150㌔投げられる投手へと改造した。あえて改造と書いたが、この手腕はメディアに取り上げられてしかるべきだ。噂では独自のトレーニング方法があるそうだ。それが何か、知りたくないといえば嘘になる。球界に変化、変革を促す存在としての独立リーグに注目していきたい。

 

 上位で独立リーグの選手が指名された、その煽りを喰う形で、今回指名漏れした選手がいる。真鍋、仁田、黒木、森田、東恩納、尾崎、熊田、蒔田、冨士らである。私が注目していた選手も含まれる。

 上の面子の幾人かは順位縛りがある、もしくはあったと聞く。選手の立場に立てば、ありだとは思う。だが、プロのスカウトはそれを甘えとしか見做さなくなったのではないか? 去年に引き続き、まるで申し合わせたように順位縛りをちらつかせる候補たちに、肘鉄を喰らわせているからだ。プ口野球選手としての自分ではない別の人生があったのかも、そこが頭を過ってしまうような選手は伸びない、そう整理されているのかもしれない。

 六大学のスター選手などは、順位縛りを保険のように使ってないか? 怪我やスランプ、定期的に才能の限界を思い知ることもあるだろう。そんな時、一流企業の社員という肩書は魅力的なのかもしれない。そういう生き方もあるかもなと。

 その一方で退路を断ち、野球一本に賭け地方の独立リーグで腕撫す選手もいる。このコントラスト、ある意味見事である。

 世の中にはいろんな生き方があるのであろう。そこに異論はないし、ここで議論するつもりもない。それらまったく異なるバックボーンを背負った選手たちが一つのチームとなってまとまり、同じ目標を掲げそこを目指すからこそ、化学反応が起き、プ口野球は面白くなる、そう思っている。

 最後に佐々木麟太郎である。

 もし彼がプロ入りを表明していれば、 ドラ1だったのだろうか? 真鍋が三位までに指名はなく、佐倉は育成指名であった。それでも佐々木は別格である、そう言い切れるものを私は感じなかった。

 これから数年、アメリカの大学に渡った彼を、複雑な思いで眺めることになりそうである。