Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

ドラフトを振り返る 彷巨編

 一昨日の朝からぐっと冷え込みましたね。私も思わずセーターを押し入れから引っ張り出してきて羽織ってしまいました。10月に入ってからいろんなことがあって、突然のこの寒さが我が身にしみる、そういう巨人ファンの方も少なくないかもしれません。阪神ファンも似たり寄ったりですよ、ええ。

 あえてペナントについては脇に置いて、ドラフトに関して申し上げますれば、巨人の指名、決して悪いものではないと思うのです。ただ今回の隅田で何連敗でしたっけ・・・・。悪趣味になるのでいちいち数えませんが、外せど外せど当たる気がしない、きっとそんな感じではないかと。因果応報という言葉まで引き合いに出すつもりはないのですが、逆指名時代のツケはまだ残っている。つまり後ニ、三年は覚悟しておいた方がいいかもしれません。でも巨人ファンの方はみんな大人なので、このあたり弁えていらっしゃる。決して阪神ファンみたいに見苦しく暴れたりしません、ご立派、あやかりたいものです。

 良い指名と申し上げましたが、ドラフトというのは一位で目玉を当てるかそうでないかで天と地ほどの差が出るもの。その後の指名でどんなにリカバリーができても、クジに負けたイメージがついて回るので、その場を取り繕うことは決してできません。翌日の報知新聞の一面も大変そうでした。

 盟主がこれではこの国の野球人気は・・・・、人知れず私も溜息をついているのです。それでは巨人のドラフトを振り返ってみます。

<本日の因果応報>

 そんなに悪くなかった指名とは

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 翁田は高校時代からドラフトオタの間ではそこそこ有名な投手でした。大物食いをする反面、当時からコントロールは悪く、結果甲子園とは縁がなかった。勝てる投手ではあったが、勝ち続ける投手ではなかった、ということか。

 あれから四年たちましたが、それほど変わってはいません。なので当日は驚きました。外れとはいえまさか1位でくるのかと。大方の反応もそうだったのでは。できれば2位で獲りたかった投手。そこが巨人の編成の判断と周囲の違う部分なのか。私の場合はというと、スリークォーターより下で投げる投手の一位予想はしないことにしているだけですけどね。

 ストレートのMaxは154まで上がったそうですが、高校時代の145ぐらいでも十分威力があったので、あまりガンは関係ない。去年の塀内と違ってベース盤の上でも伸びてきます。ただ基本シュート回転なので、空振りを取れるかといえば疑問。この秋は結構三振奪っていますが、このリーグ、秋には四年の選手は半分ぐらいになっていたと思うので、この数字を鵜呑みにはできない。フォークは手首立てて投げてくるので判るはずなので、初見の選手が多かったのではないでしょうか。

 タイプ的には去年ヤクルトを引退した近藤一樹と西武の十亀を足して二で割ったような投手。もっと正確に言えば、近藤の腕をもう少し下したような感じか。テークバックは大きく肩や肘は柔らかい。典型的な横からの力投型で、目ー杯に投げ込むスタイルは好感。だからというわけではないですが、肘の怪我はついてくるのでしようね。いわゆる逆W型でもあります。

 巨人は彼にどういう未来図を描いているのでしよう? まさか斎藤二世とか思ってないやろな。私が彼の担当スカウトなら、彼に重ねる最高の投手の姿はイム・チャンヨンー択! そしてあの馬力、そうなる可能性はあると思う。なので必然的にストッパーとか中抑えになるのだろう。というのにこれ、

hochi.news

 翁田に先発って・・・・? この煙に巻くような発言、ちゃんと現場の担当スカウトと引き継ぎできているのか・・・・。本人もリリーフ向きって言ってるじゃん。
 それと数値が示すようにコントロールが悪い。なのでもともと先発タイプではないし、中継ぎで出てもほとんどの打者に 3一2 まで行くタイプ。1イニング20球アベレージか。

 走者を出すとクイックはそこそこできるけどテークバックが大きいので、プロならほぼフリーパスに近い。ってことは四球でランナーを出して、気になって執拗に牽制球を投げることになるかも。マウンドで計何球投げるんや? 球数を心配される中継ぎ投手になるかもしれない。これは新しい! 宮崎での投球を楽しみに待ちます。

・来年の成績:3勝 5H

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 二位の山田についてはドラフト前に書きました。

tilleternity.hatenablog.jp

 テークバックで左腕を小脇に抱えて打者から隠す意図は判る。ただそこで脱力をせず力が入っているように見える。なのでどうもボールの回転が悪いように思うのだが・・・・。

 しかしよくよく見れば腕は振れてるし球も強い。結構良い球変化球もある。しかも脚が速く身体能力も高い。そしてまだ21歳、これから伸びしろは大いにある。こちらはよく二位まで残っていたと思う。ラッキーだったのではないでしょうか。無理だとは思いますが、一位と二位を逆に考えれば良いのではないでしょうか。

・来年の成績:後半先発で3勝

 

 三位の赤星は評価の難しい投手。いわゆる担ぎ投げの立ち投げで、打てそうで打てない投手。持ち味のツーシームがそういう球だからというのもある。ただ去年もここで書いたがこのリーグ、ストライクゾーンがとにかく広い。そこに助けられている部分は正直ある。阪神の村上がファームで無双したように、下では結構勝つと思う。ただ上ではどうか。決め球が欲しい。

・来年の成績:一軍は厳しい

 

 四位の石田は今年の高校生NO.1左腕。なぜここまで残ったのか? 恐らくは順位縛りでしょうね。二位以降なら東海大という。個人的には左腕では隅田に次ぐ評価、

tilleternity.hatenablog.jp

 結構早く出て来ると思いますよ。会心の指名ではないでしょうか。

・来年の成績:ファームで5勝

 

 五位の岡田は高校の頃から何かと清宮と比較され、そして良く似てもいる。しかも悪いところが特に。身体の回転よりも、まずは腕の操作と手首で打とうとするところなど。身体が大きいのに実に勿体ない、二人とも・・・・。かと思えば全身を使ったフルスイングであわや場外という当たりを打ったりもする。そこも似ている。正直、一軍でプレーしているところがイメージできない。

・来年の成績:よくわからない

 

 六位の代木はこの夏甲子園を沸かせた主役の一人。投げて完封、振ればホームラン。打者でもいけるのでは、という声もあるが、ピッチャー一本で行っとけ、悪いことは言わん。腕を下げて横から投げても良いんじゃないかな。長い腕がより活きると思うのです。

・来年の成績:まずは身体作りとフォーム固めを

 

 七位の花田は面白い選手。こっちは投打どっちでもいけそう。投の方はフォームが三位の赤星とよく似ています。がっ、迫力も角度も花田が上。バッティングもセンスと背筋の強さを感じさせる好打者。

 北海の木村にも言えるのですが、こういうタイプって進学したほうが伸びたりするのですよね。それで4年後ドラフトの目玉になったり、いや冗談抜きで。

・来年の成績:今からでも遅くはない、進学を

 

 というわけで、巨人のドラフトを振り返りましたが、良いドラフトなのですが、なんかこう、華がないのですよね・・・・。本来の巨人であれば、今年なら小園、松川の両獲りで、未来の黄金バッテリー爆誕、みたいな、そういうことをして欲しいのですよ。

 というか、ここ数年、ずっとこんな感じ。だから下から突き上げてくるような勢いを感じさせる新人がいないので、1軍もなんだかシラけてるしね。

 正直白状すると、”一番松原” とかいい加減やめて欲しい。あのアナウンス聞くたびにこっちもズッコケるのですわ。阪神ファンがそうなるのですから、巨人ファンの方にぜひ訊いてみたい。そしてこうも思うのです、そろそろ逆指名ドラフトを復活させてもいいんじゃないの、って。

 注・・・ここからは妄想の上に長くなるので、暇な方だけどうぞ

 逆指名ってどうなの?

 誤解しないでいただきたいのですが、翁田指名で巨人ファンの皆さんがすっかりお通夜状態に陥ったから、思いついたように言い出したのではないのです。あれは今を遡ること九年前のドラフトでしょうか、大谷を巡ってメジャー挑戦だの、栗山がパワポで作った分厚い資料で突撃しただので大揉めした12年の秋の話。ある知り合いがポツリと、 ”本当は大谷、巨人に行きたいんだよね” そう呟いた際にふと思ってしまったのです。

 できれば巨人が大谷争奪戦に加わるのがベストだったのですが、原監督の甥っ子が浪人してまで巨人に拘った都合で事実上できなくなった。それは彼が日ハムの指名を正式に蹴った年明けからの既定路線でした。

 もちろん巨人の目がなくなったことは大谷も早い段階で理解していたでしょうから、いきなりMLB行きを熱望することは無理からぬ話。しかし当時から盟主復活を可能にするのは大谷だけだと確信めいたものもありました。後にメジャーに挑戦するにしても、十年でも巨人でやってくれたらどれだけ日本球界にとって助かるかと。

 じゃぁ高校生に逆指名を許すのか、とか、そもそも高野連がそれを認めるか、とか、そこまで考えが及んだわけではありません。ただ大谷ほどの選手なら、その能力が一番普通の人々にまで伝わるチームに行くべきだと、そして何よりナチュラルに伝統ある巨人軍に相応しい、それだけの品格が彼にはあると思ったのです。

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 そこから逆指名ってそんなに悪いものだったのか。本当に必要ないものなのか、そう考えるようになりました。

 仮にこの先逆指名の復活を考えた場合、それに際しては当然、FA、MLBへのポスティングという二つの権利の放棄とのセットが大前提となるでしょう。そうすりゃ生涯賃金のことを考えて、自分の能カに自信のある選手ほど逆指名を避けるはず。純粋に子供のころからそのチームのユニフォームを着たいと切望していた選手だけが手を上げるのではないかと。つまり逆指名を行使する選手はそうは出ない。ただ巨人だけはその恩恵を受けて常にそれなりの布陣に、話題性も含めてなるのではないのか、そこに一縷の望みを託しての復活なのです。 

 そもそも各球団の経営における究極の目標って何なの? ってところを突き詰めると、逆指名って自然と浮かび上がるもんじゃないのか、とも思うのです。きっとその表面は野球の素晴らしさを伝えるとか、その手の教科書的な理念で覆われているのかもしれませんが、その大底にあるのは稼ぐこと。だって商売やもん。でもその一枚上にあるのはチームを愛してもらうこと、そこは間違いない。であれば、球団経営と逆指名って親和性があるんじゃないのか。球団の内部にそれを非難できる立場の人間なんてそうはいないはず。

 だから逆指名導入の議論が成された当時、私はその経緯を巨人のごり押しだとは思わなかった。阪神に対しては、それぐらい目指してみろよ、と言いたかった。むしろ高騰する契約金を盾にひたすら反対するチームを白い目で眺めていたと思う。自分たちの経営努力の足りなさを棚に上げてよく言うぜと。

 逆指名反対の立場を取ったチームの多くは、球団経営のその奥深くに横たわっているものにまだ辿り着いていないか、もしくはそれを見てみようという興味すらないのだとも感じた。当時の球団のトップは親会社の出向組ばかりで、良きにつけ悪しきにつけエリートサラリーマン、もしくは大学助教授みたいな方が多かった。稀にN家やM家のバカ息子もいましたが。おっと、M家はまだ生き残ってるじゃん・・・・・。

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 令和における逆指名とは

 あくまで仮定であるが、逆指名が復活した場合、危倶されることは山ほどある。有力選手を巡り、裏金の存在もそうだが、俺が育てた、わしのお陰やという輩がわらわら表れて球団やスカウトから集ろうとするのである。中には独立リーグ並みに、選手の契約金を自分のものだとばかりに手を付けようとするクズもいると聞く。つまり15年前に問題化したことが、そっくりそのまま繰り返される恐れがあるということ。

 契約金の前払いやこずかい類は、プロ志望届提出前の選手への面談、接触が禁じられるようになったことで、ー応の整理がついておりその遵守を徹底することでなんとかなるようにも思うが、関係者の中にはややこしいのも多いので悩ましいところ。しかしそういうのは予め見越したうえで、先手を打つ必要が出て来るだろう。

 まず球団には、契約金の選手に対する前払いはもちろん、出来高などとしての分割払いを認めないことは言うに及ばず、プロ志望届を出した際、契約金については、NPBと球団、そして選手の三者間の合意事項として、プ口野球選手としての契約後、その受け取りに際して、所属チームにその一割を必ず寄付をする、また過去に所属した高校や大学にも、例えば5%ずつ、そしてボーイズなどの中学時代の所属先があれば、そこに対しても3%、みたいな形で、選手名義で寄付をすることを義務付けるなどしてみてはどうか。

 つまり選手を育てたことに対する報酬を求める輩に対して、選手はあくまでも所属チームに直接的な寄付という形で、契約金からそれなりの額の金銭的な援助を行うことでお返しし、義理は果たしたとして線を引くのだ。

 その代わり、今の契約金一億+α(出来高) の上限は廃止。社会主義下じゃないんだから、競争するのに上限なんていらんでしよ。有力選手に惚れ込み、10億積むという球団が出るのならそうすればいい。本当に大谷の再来のような怪物が現れたら、それだけの価値は十分にあるし、数年で元も取れる。

 大谷は特別という見方もあるだろうが、私はそうは思わない。MLBでホームラン王を競えるポテンシャルを秘めた才能が、この国にも眠っていた、というのは純粋に驚きであった。そういう選手を見出し育てる、これこそがプロアマが協力して行わなければならない分野であり、今後のNPBの命運をも握っている。同時に我々取り巻きのフアンにとって、何よりのロマンなのです。

 繰り返すようだがもしそんな選手が再び現れたら、10億でも安い。そして、その才能を育てたアマ組織にも、当然それに見合った見返りが必要ということになる。後はそれを個人に回らないようにすればいい。たとえば、各チームがそれに手を付ける際には、NPBに対して領収書の送付をすること、そしてその進捗を年度報告することを義務化するなどして、個人が使い込まないようトレースできるようすればいいのではないか。

 また志望届前に、スカウトが個別に有力選手の視察に所属チームや学校を訪れる際、もちろん手ぶらというわけにはいかんでしようから、この場合は上限数万円を設け、たとえばプロテインとか、アイシングサポーターとか、球団で実際に使っていて選手から評判の良い気の利いたものを差し入れしてやればいい。そのあたりのセンスはスカウトの器量のーつだ。しかし当然それらの領収書も、NPBのサイトでチーム別所属先別に閲覧できるようにする、これもそう難しいことではない。

 それでも裏金を積もうと企む球団の編成や、逆に裏取引や接待を強要するような指導者が出るようなら、内通窓口を外部弁護士に設けてチクらせればいい。そしてそれをやれば一発アウトで球界から追放で良いだろう。契約金が高騰すればするほど、世間の注目度も上がるので、SNSなどの監視の目も自然と行き渡り厳しいものになる。良い悪いは別にして、裏に表に今の世の中牽制は効くようになっている。

 つまり使ったお金については指名契約の前後を問わず、なるべく表に出して透明化を前提にそこに向けてそれなりに努力すれば、いわゆる野球ゴロに付け入れられるような隙はなくなるのではないか。

 先月の頭に発表されたFATFによる第4次対日相互審査報告書を流し読みしてみた。無論NPBにはテロ資金供与は関係ない。しかし15年前までは、マネロン、特に疑わしい取引にあたる行為に公然と球界は手を染めてきた。そして令和の今、それに対する追及の手は思うの他厳しい。

 先の報告書は反社会的勢力に対してだけ当てはまるものではない。つまり堅気の人間であっても、疑わしい取引を行うというのは、このご時世もう無理と考えた方が良い。球団が簿外帳簿を作ったり、総勘定元帳で管理して、そこから裏金を捻出するなんていうのも同様に不可能。

 そもそも人気球団でも年度の売り上げ規模は、放映権料が今の水準で推移するならおそらく200~250億が限界。利益はといえばその5%ぐらいか。契約金に上限を設けなくても、それなりの金額に落ち着くはずである。

 すっかり巨人の話ではなくなりましたので、逆指名ありやなしやについては明日以降で。

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