秋晴れが続きますね♪ ふと見上げればどこまでも蒼くて高い空が広がる、そんな日が一日でも長く続いて欲しいものです。
秋は大好きな季節。もちろんドラフトがあるから、というのもあるかな。昔はドラフト=晩秋でしたが、まぁ高校生の進路もあるので仕方ないか。
というわけで、シーズンはまさに佳境ではありますが、気がついたらドラフトまで後一週間を切りました。できるだけ多くの選手をご紹介できればと思うので、余計な話は極力控えるようにいたします。
<本日の高い空>
達の魅力は角度にあり!
ドラフトに際する私のスタンスですが、これは二十年以上前にHPをやっていた頃から変わらないのですが、注目している選手がどんな順位でどこに進もうがあまり興味はありません。その選手がプロでどこまで活躍できるのか、この一点に尽きるのです。なので一般的なドラフトサイトとは趣が異なってくるかもしれませんね。まぁそのあたりは、こういう奴もいるんだ、ぐらいに思っていただければ幸いです。
あくまでも私的ながら今年の目玉というのは、小園、達の二人だと思っています。前にも書きましたが、セリーグの上位チームを中心に小園に、パリーグの下位チームを中心に達に札が集まるのではないかと。そしてドラフトの直前に達の評価が急上昇する、そうな風にも思ったのですが、どうもそんな気配はなさげですな。ならば今年のドラフトの勝者は達を一本釣りしたチーム、ということになります。
では達のどこが良いのか、ってところなのですが、それはとにかく角度です。190cmオーバーで真上から投げられる、それだけで私からすりゃ涎が止まらんっすよ。
高身長の投手というのは、藤浪がいい例ですがバランスが悪いので、投球の際の身体の回転が横回転になって、腕の位置も下がりがちです。いわゆるスリークォーターぐらい。そうすることでコントロールは落ち着くし、別にスピードも落ちないので良いこと尽くし、だたしそれは高校生まで。つまり上のレベルに行けば行くほど打者の対応能力も上がるので、150キロ越えのストレートであろうと、140キロ台のフォークであろうと当ててくるし芯でもとらえてくる。もっといえば、打者が変化球待ちですら、150キロのストレートを平然とカットするし、逆にストレート待ちでも落差のあるフォークに反応してくる。
今年の藤浪は結構フォークも良くなって、落差もコントロールもついてきたのですが、それでも一軍に定着できませんでした・・・・。全般的にコントロールが相変わらずというのもありますが、決まったと思ったフォークを当てられ、160キロのストレートを引っ張られ、その度に口元を尖らせるのですが、ファンからすればその口元をまずやめろ、と思うのですけどね、ええ。
結局、思ったように空振りが獲れない、それが苛立ちを誘うのでしょう。でっ、その原因は何かとなると、角度なのです。極端に言えば、どんなに速くてもどんなにフォークが落ちても、横から来るならプロの打者であれば何とかバットに当てるぐらいはできる。しかし、同じフォーシーム、同じ落差や曲がりの変化球でも、縦の角度がつけば打者の観え方はガラッと変わる。眼は横についている以上、そこは致し方ないのです。
広島の栗林や阪神の伊藤が今年新人としてあれだけ活躍できているのは、腕の位置を上げたればこそではないかと。共に大学時代はあそこまで上から投げてはいなかった。恐らく、私が観た限りですが、当時と球の速さやキレ自体はそんなに変わってはいない。なのにあそこまでプロで通用している理由はと問われれば、パラフレーズしますがひとえに打者目線における角度にある、自戒の意味を込めてそう思ってしまうのです。
もちろんスリークォーターでも今を時めく山本由伸(山本はスリークォーターでも上の方だけどね)ばりのスプリットやスライダーがあれば違うのでしょうが、今年の上位候補投手の場合、魔球のレベルの球を扱う投手はいません。じゃぁみんな天井向いて上から投げろやって話になるかもしれませんが、それができたら藤浪がそうしています。腰や肩、肘への負担や、そもそもコントロールの精度を考えると、そう簡単に腕を上げますとはならないわけです。
なので今年の候補投手を語る際、角度の備わっている投げ方をする投手(決して身長ではない)に注目してみるべきではないかと。しかも達は193cmあるわけで。さらに下半身の使い方も柔らかいし、肘の使い方も問題ない。ちょっとバックスイングは大人しいが元日ハムの西崎がそのまま15cm近く大きくなって帰って来たと思ってください。確かに怪我が多いとか、メジャー志向が強いとかあるようだけど、近年のドラフトのキーワードである ”早生まれ” 、それも最後の3月27日。いやぁ、実に楽しみな投手だ! こんな投手そうそう出ては来ないと思うけどね、ええ。今やったら一本釣りも可能でっせーっ!
ということで、実はドラフト前に言いたいことはこれぐらいなので、後はゆっくり去年の様に指名後に選手の寸評をとも考えたのですが、やはりドラフト前にこそ需要があるようにも思うので、もう少し頑張ってみます。候補選手については話の中で触れていくとして、まずタイトルのまんま最近のドラフトの傾向についてお話ししていきます。
昨今のドラフトの傾向
ドラフトというのは大金が動くもの。それはスカウト個人が用立てるのではなく、当然球団の金庫から出て来るのです。そしてその決済権限を持つのはいわゆるユニフォーム組ではなく背広組。プロ野球がスポーツビジネスとして先鋭化していく中で、両者の間に阿吽の呼吸があるかといえば、むしろない、というかなくなりつつある。こうなってくると、ドラフトという、いわばリクルート活動を企業として無事終えるためにユニフォーム組に求められる能力は何かといえば、それは ”翻訳” と ”プレゼン” の二つでしょうね。
まず ”翻訳” とは野球経験のない背広組に対して、いかに判りやすく指名候補選手がどのような選手であるのか、たとえば今在籍している、もしくは過去に在籍していた選手に喩えたり、画像を見せながら一般的な言葉を用いて説明することであり、 ”プレゼン” とは、何故その選手が必要であるかを、チームの実情に照らし課題を共有させながら訴え理解させる、つまりはその二つが求められるのです。
まぁかなり大袈裟に言いましたが、ビジネスライクな背広組に対して、スカウトが惚れ込んだ選手に金をつぎ込ませるためには、それ相応の労力が必要というわけです。
以上のことを頭に入れていただき、指名に至る選手について簡単に分類すると、こんな感じになります。
① 指名しやすい選手
② 流れに乗っている選手
③ プレゼンのしやすい選手
④ その他の選手=指名しにくい選手
①はいうまでもなく、甲子園や神宮、都市対抗などで活躍した実績のある選手。もしくはスポーツ紙面を騒がせるようなすでに話題になっている選手です。こういう選手は背広組もたいがい知っている。なので指名はスムーズに行くでしょう。
②以降については、まさに ”翻訳” と ”プレゼン” のそれぞれの力が必要となる。ということで、まずは②の流れに乗っている選手。これは意外な指名に思えるが、よくよく考え合わせてみると腹に落ちる、というケース。
最近だと二年前の楽天の小深田などが良い例ではないかと。正直、スペックだけではとてもドラフト一位での指名は難しかったと思われます。しかし流れがあったから指名に漕ぎ付けることができたのでしょう。ではその流れは何かといえば、前年に同じ大阪ガスの近本がドラフト一位で指名されていました。身長170cmあるかないかの小柄な外野手。守備範囲は広いが肩は普通以下。正直この指名はリスクが高いと多くの関係者が感じたはず。実際、阪神は藤原、辰巳を外した末の苦肉の指名。近本の実力なら二位以下で獲るのが正解、というのが大筋の見方。ところが蓋を開けてみると、盗塁王に輝き勝負強い打撃もシーズンを通じて証明。一位指名は正しかったと出た。その流れを受けたからこその小深田の指名であったと思われるのです。つまり大阪ガスという同じチームにいて、リードオフマンの役割は5番を任されたりした近本ではなくむしろ小深田。脚の速さも遜色なし。であればショートを守れる小深田の価値は近本以上という見方もできる。茂木を三塁に専念させたい チーム事情もある。つまり一位に十分値する、という一連のストーリーをしっかり描けたうえで、フロントとも共有できた、そう思わせる指名でした。
実際こういう指名は過去にもあって、少し古いのですが89年に古田が大学社会人経由の捕手(しかも眼鏡)ながら二位で指名され、結果見事に新人王。これが流れになって翌年のドラフトでは二位までに社会人三名(定詰、吉原、住吉も捕手経験)、大学生三名(瀬戸、矢野、関川)と、わらわらと大量の即戦力?捕手指名を呼んだ。当時からその順位の高さを訝しむ声はあった。要は、上手くやりやがったな、というのは人の心の奥深くに刻み込まれるということでしょうか。
廣畑の入札はあるのか?
でっ今回で言えば、先に上げた栗林、伊藤の活躍が、大学経由の社会人投手の再評価の流れを生むと思うのです。恐らくは廣畑や森には意外な高評価があると睨んでいます。特にドラフト指名が下手な球団が飛びつくのでしょうね。
ここで一位入札濃厚と言われる廣畑について少し書かせていただくと、確かに150キロ以上のボールは投げるのですが、それは大学時代からであり特段の変化はない。卒業後下半身を作り込んだ結果、最近の投手にしては珍しい沈み込むフォームで、左膝に土がつくタイプ。押し込むようなボールに威力はあるが長いイニングや二巡目半以降はスタミナも含めて怪しい。ただセットアッパーに適性はある。しかし果たして一位入札の選手かと言われると疑問・・・・。うーん評価が難しい!
ドラフトでコーチを指名?
もし私が背広組で、廣畑を指名したいとスカウトが伝えてきたら、なぜ大学卒業時に下位指名しなかったのか、なぜあの段階で見抜けなかったのかと問い質してしまうな。「そんなに廣畑が良い投手になったのなら、三菱自動車倉敷オーシャンズの投手コーチの手腕はよっぽど優れているということになるな。いっそのことプロ志望届を出してもらって、コーチとして指名するか、アッハッハッ!」 ぐらいの嫌味を思わず口にしてしまいそう。
もちろん来年の廣畑の活躍は十分あり得る。しかし、何かがあったからここまで埋もれていた、というところにもどうしても目が行く。今年良いから獲る、というのは高齢社会人投手の場合は少し違うのではないかと・・・・。
それとスカウト的には美味しい、というのもある。所属社会人チームだけではなく、在籍した大学や高校にも感謝される。つまり恩を売れて人脈もできるので、次の仕事がやりやすくもなる。しかも何だかんだで一年目はやるでしょうから面子も立つ。過去には大学経由の社会人ばっかり連れてくるようなスカウトもいたのだとか。ユニフォーム組にはそのスカウトの気持ちが判るだけに何も言えんでしょうから、しっかりと背広組がはねつけなければならない案件かもしれません。
ここで少し横に逸れるのですが、社会人チームや地方大学のコーチには優秀な方が多いように、前々から感じています。社業の縮小や少子化で立場も不安定なのに、そんな中でも情熱を持ち続け頑張っている方を、真剣にプロでコーチをやってもらうというのはありだと思うのですよね。というのは、高校や大学、社会人の監督に元プロがかなり進出しているわけで、そういう意味ではNPB側が一方的にアマチュア野球界を侵食しているとも言える。引退後のセカンドキャリアとしてお世話になっているのだから、相互交流の観点でもアマチュアの有望な指導者を、しっかりとした形でプロに迎え入れるというのはありだと思うのです。因みにスカウトにはすでにそういう方が出てきています。
まぁドラフトで指名するというのは冗談ですが、以前、虎キチの仲間内で「90年代のドラフトを振り返るに、田中秀太をドラフト三位で獲ったのはいかにも勿体なかったけれど、後のスカウトとしての器量を考えたらありだったかな」という笑い話がございまして、そういう秀太も今や二軍コーチですからね、偉くなったもんです。
もしかすると、八戸学院大の正村さんがプロ志望届を出したら、コーチとしてドラフト中位あたりで指名するチームが出て来るんじゃないかと思ったりするのです、ええ。
ではでは続きは明日以降で。