今年もドラフトが無事終わり、息つく暇もなく日本シリーズである。だが、ここは少し束の間の余韻に浸らせていただこう。
今年のドラフトはあれこれ考えさせられる、そういうドラフトであった。注目していた椎葉を贔屓チームが指名できたことで、それらのすべてを丸く収めるというのは可能。ですがっ、やはりそこは当極北のブログ、原点に立ち返ってぼやきたい。
まず、法大の尾崎の指名がなかったことにはガッカリだ。結構気合いを入れたのだが・・・・。
大学野球も、それなりにであるが観ているだけに尚更なのである。そう多くない自分だけの時間を割いて、というと恩着せがましいか。こんな投手でも指名されているのに、という思いもそれを助長する。自分の観る眼がないのか、スカウトの仕事がユルいのか・・・・？ まあ前者だわな。勉強し直すわ。プロのドラフトオタへの道半ばである。
恐らく順位縛りもあるのだろう。そこは理解する。しかし三位までにはある、そう踏んでいただけにガッカリなのである。
尾崎の足を引っ張ったのは与四死球率だろう。秋に８．６じゃ、スカウトもプレゼンしにくかろう。事実、同じノーコンタイプの細野の名が呼ばれたのが三度目の入札。ガバガバの東都でそれが５以上では確かに。正直言うと、やれＱＳ率だのＫ/ＢＢだのＢＢ/Ｋだのと数字が先に来るのには閉口している。それが独り歩きするのはイヤなのだ。
去年、森下は指名の後もそれらを盾に叩かれ続けた。
「だから違うんだって、いっぺんじっくり観てみろよ！」
何度もそう舌打ちした。幸い今ではそんなこと言う輩はほぼいない。
数字が武器になるのならアスレチックスは毎年プレーオフに出てるって。今じゃＭＬＢで最も惨めな球団じゃん。数字じゃなくて眼で脚で、そして現場でスカウトは仕事をし、主張するところはすべきだと思う。
まぁ、チェック機能として、報告の上がった選手を編成が数字で点検するというのはありだと思う。そこは潔く認めるけどさ。
そんなこんなで、尾崎以上に細野の一位指名に至る顛末を見るに、 あれこれ考えさせられた、そこに象徴されるドラフトであった。
ただーつ言えることは、これからどんな剛速球投手が現れても、 与四死球率が悪いと厳しくなる、ってあたり。そういう意味では椎葉の二位にはあらためて感慨深いものがある。 今、それを噛みしめている。
では気になった指名を駆け足で。まずは良かったクチから。
オリックスが一位で横山を入札。正直驚いた。同時によっぽどスカウト陣は自信があるのだろうなと。実は、というかこの子、脚は遅いのですよ。ただ同様に鈍足の部類であるヤクルトの長岡があれだけやれている。なので最初の３ｍが速く強ければ、たとえ１００ｍが１３秒でも不問でいい、そういうことなのだと思う。
スペックでは表れないものを掬い見極めることこそが仕事。オリックススカウトの自信とその圧が、画面を通じても伝わってくる指名であった。
また二位で河内を指名。私の欲しかった高校生右腕を二年続けてやられた・・・・。
続いて巨人二位の森田。学長まで介入した野球部を巡る派閥争いで割を喰い、怪我もあって才能があるのにこのまま消えるのかと心配していた。
苦労が報われたと思います。本当におめでとうございます！
楽天は日本ウェルネス系列校の二選手を本指名した。通信制であったり、他校からのドロップアウトなど訳ありの生徒が多いと聞く。高校だけではなくドラフトにも多様性の波が押し寄せている。
また今年も独立リーグの選手がたくさん指名された。こちらは既に球界に一大勢力を築くほどの数になり始めた。プ口野球選手になる道筋、道順も増え、その多くがリベンジ組に活路を与えている。彼らは皆、ある意味第二の落合博満なのだろう。
ただ依然育成指名が多いのも事実。ならばしっかりとチェックする必要がある。何をチェックするかって？ 独立リーグの各チームのコーチに、高齢のスカウトたちが転身していないか、ってところである。そこに牽制を入れるのはオタの役割であろう。所属選手の指名と再就職先のポストをバーターにされ始めたら、ドラフトは違うものになってしまう。さすがにこれも多様性の一つだとして片づけ、目を瞑るわけにはいかないのだ。
最後は楽天の三位日富。特番内のインサイドストーリーを観た方は思うところがあったのではないか。球児を一人前に育て上げるまでには、本当にいろんなことがある、つくづくそう思った。それとお金がかかる。これは切り離せない切実な問題。ここが無理で諦めるという子が、たくさんいるのだ。ＮＰＢは真剣に野球の普及を思うのならば、なるべく親の負担を減らせるような施策を講じて欲しい。アオダモの植林もいいんだけど、もっと他にあるでしょと。
少年野球に入った子には、ＮＰＢがクローブなりバットなりを無償でプレゼントするとか、そういうことができないものか。ミズノあたりと提携すれば可能だと思うが。
それとドラフトでああいう番組が一本できるのなら、つまり、それだけいろんなスポンサーがつくのならば、そこはアマ球界に還元しないと。ドラフトというイベントの手柄の九割は本来アマのものでしょ。別に金を配れというのではなくて、前にも書いたがＮＰＢアワードなんかで、年間最優秀指導者一名、そして優秀指導者十名なりを表彰すればいい。基準は、初めてドラフトに指名された、もしくは上位で指名された選手を輩出した監督や、広く長くアマチュア野球のレベル向上に貢献した指導者を対象とする。
今回なら上田西の吉崎さんや、日本ウェルネス沖縄の五十嵐さんあたりか。こういう方が間違いなくＮＰＢを支えているわけなのだから、しっかりと名誉で報いて差し上げてください！
それでは今回のドラフトでやらかしたと感じたところを掻い摘んで。
まず西舘勇が巨人に指名されてしまいました。間違っても巨人や阪神には入らないほうが、と書いたのがフラグというか仇になってしまったようだ。ただ、監督が先輩なので大事に扱われるでしょう。エースの器ではなく、先発四番手あたりが適任、というのもキャンプ中には自然と判ると思うので、まぁいいっか！
ただ水野のこの発言には引いたわ。
入れ替え戦というのは、弱いチーム同士がやるものなのです。そこで示される勝負強さなんて意味ないから。同じヒリヒリするような場面であっても、優勝争いとは天と地の差。それと痺れる試合に敗れ続けた先にあるのが入れ替え戦なのだ、ということも申し添えておきます。
せっかく巨人のスカウトは良くなってきたのに、この水野が台無しにするな。
続いて中日。クジに勝っての草加というだけでも味わい深いのに、二位のてっぺんで津田を獲るというのはどうなのか？ また三位の辻本と去年の田中の違いが私には判らない。誰か説明して！
立浪からすれば、俺は来年で契約が切れるので好きにやる、そういうことなのだろうか・・・・。
横浜四位の石上は去年の三位の林とこれまた被る。最近のスカウトってそういうものなのか？
昔、浮気の相手を見たら奥さんとそっくりだったという上司がいたのだけど、なんかねぇ、それを思い出しましたよ、ええ。純情というか、変に一途というか・・・・。
また五位の石田というのも、三浦銀で懲りたんじゃんねぇのかと。ほんと、同じタイプが好きだよな。
同じタイプと言えば阪神の三位、四位。高卒の右打者のショートでサイズもほぼ同じ。性格はどちらも強気でプロ向き。ただしタイプは真逆。優等生とヤンチャ。言ってみれば水と油。喧嘩しなきゃいいけど。今からちょっとハラハラしている。大丈夫かな・・・・。
それでは最後になるが、テレビ中継を観ていて、楽天の新監督の今江の横に変な奴がいるなぁ、と思ったら、それが石井だったので二度ビックリ！
クビになったんじゃなかったのか？
監督としてダメだったのに、あまつさえそのまま取締役だかで居座るってのは、周りに示しがつかないと思うのだが。
真中がやらかしたから小川さんが現場に復帰したりまた戻ったり、というのとは訳が違うと思うのだけどね。
この石井がいる限り楽天はダメだと思う。早く斬れっ！
というわけで、年にー度のお祭りが終わった。宴の後の寂しさを感じている。
今日から始まる日本シリーズは両チームのファンだけのもの。特に今回などは、どんなに広げて薄めても関西限定。そういう意味でドラフトは、プ口野球全球団、そして社会人から少年野球まで、この国のすべてのカテゴリーの野球オタクどもが参加できる球界の最大イベントであることを改めて思い知った次第である。
まぁ、オタクってところが味噌なんですけどね。
