Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

スポーツビジネスを巡る冒険

 先週、大谷について書いていた途中で寝落ちしてしまい、その直前、二日後の未明に自動的に更新させる設定にしたのですが、すっかりそのことすら忘れて、しかも金曜の夜は結構時間があったにも関わらず、今月初めからFOXが気が狂ったように「Prison Break」を集中放送している関係で、まぁせっかくだから予約しておくか、そのうち暇が出来たら観るだろ、ぐらいの感覚で録画していたのがちょっと気になって、ちゃんと録れているか確認してやるかな、ってなノリで観始めたら止まらなくなり、更新時間直前には嫁共々再び寝落ち・・・・。気が付いたら書いてる途中でやめた内容のままアップされているではないですか! 超恥ずかしい。

 なんとかしようと悪あがきをしてみたら、日付が変わって更新されて、せっかく☆を付けてくださった方がいたというのに消えてしまいました、誠に申し訳ございません。近いうちに「大谷翔平賛歌」についてはちゃんと書きあげたいと思います。

 しかし、いかに大谷が凄いかを、メジャーリーグNPBとの位置関係という観点で、個人的な思い出から遡りながら書こうとすればするほど、大谷からはどんどん遠ざかっていくという・・・・。こりゃあかん、とりあえず出直します。

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<本日の寝落ち>

 

 SkyAにトヨタCM参上の怪!

 先週の水曜ですか、阪神 vs ヤクルト を観ていまして、こんな私ですが家庭内ではそういう時間って結構後ろめたいものじゃないですか、お父さんまた好きなことしてる、みたいな。だから大人しく、息をひそめて観ているわけですよ。でも、思わず ”えっ!” って大声を上げてしまった出来事がありました。それは、大山のホームランでも小川の初勝利でもなく、これですわ、

 


www.youtube.com

 

 CSのあの腐れSkyAでトヨタの、しかもレクサスの現行CMが流れる日が来るだなんて、夢にも思いませんでした。販売店のローカルCMではないのです。我が目を疑いました。なんせESはレクサスの最高位ではないですが、人気モデルですから・・・・。さらに1分近くある特別バージョン! サテライトABCの時代から観ていますが初めてでは? まだ信じられません。

 以降、かなり執拗にCMをチェックしながら野球中継を眺めていたら、JsportsのMLB「イッキ見」、そして土曜の広島 vs 阪神 でも流れました。これが何を意味するのか、そして私が何を言いたいのか、この極北の当ブログに訪れてくださるみなさんは感づいているのではないかと。

 以前、オリンピックの最後の方に、スポーツイベントの放映権料などについて近々書く、みたいなこと言っておいてそれっきりになっているので、良い機会なので取り上げたいと思います。

 全盛期から巨人戦は鬼っ子の怪!

 スポーツビジネスの話の前に、その前段として頭に入れて置いて欲しいことがあります。それは私が一貫してオールドメディア、特にテレビ業界について下記の主張をしている点です。違和感を感じる方はスルーでお願いします。

① 視聴率は電通によって操作されている

② スポーツ番組は煙たがられている

③ テレビの中の人たち(いわゆる業界人たち)は、税金や企業の広告宣伝費を山分けすることしか考えていない

④ そもそも地上波のCMなんて視聴者は見ていない

 ①については前にも書きましたが、VR一社でしかその数字を出せない段階で、それを信じろというのには無理がある。”スイッチ・メディア・ラボ” みたいなのも出て来てはいますが、所詮”業界” の卒業生みたいな輩の集まりなので何の意味もない。もう取り込まれてます。毎年何千億もの広告宣伝費を”業界” に突っ込む企業側から、改めて視聴率について検証してみるべきかと。もっと突っ込んで言えば、株主がそれをするべきです!

 ②についてですが、二十年前まで巨人戦は毎試合15%以上の視聴率を取ってはいましたが、不思議なことに決して手放しでは喜ばれていませんでした。当時から局の中ではスポーツ担当とその他の間で溝があったのです。1シーズン試合数は130。試合放送時間は2時間。他の担当からすれば、4月から秋までの2クールのうち260時間がスポーツ番組に、しかもゴールデンから奪われていたわけです。巨人戦さえ無くなれば、そこに充てられていた枠は予算ごと全てドラマやバラエティ、報道に回る。日テレ内部ですら巨人戦を疎んじる社員が多かったのです。まぁ、スポーツ担当にコネ入社の割合が高いというのもあったようですが・・・・。

 今でも巨人戦が地上波で放送されていれば、視聴率が二桁あったとは夢にも思いませんが、視聴率は電通によって意図的に操作され、結果として地上波から締め出されたと私は思っています。特に03年あたりからの7、8年の間に一気に落ちたのには人為的なものを感じました。何より不自然なのが、あの現象から十年以上を経ちましたが、北海道や東北、関西、中国、九州では、今でも地元のチームの視聴率は普通に取れていることです。つまり関東だけプロ野球の数字が低く出る、というか出す。巨人の人気が落ちただけというのなら、先の五輪における野球の視聴率の東西の差は何でしょうか(関西地区と比較すると、野球はだいたい3~5%低く、サッカーは10%近く高く関東地区では出ます)? これでは巨人人気の低下だけでは説明がつきません。

 関東だけ野球の人気が低い、という見方もできますが、関東各球団の観客動員数はコロナ前までは順調に右肩上がりで推移しており、決して野球熱は低くはありません。今時電車に乗れば、スマホプロスピをやっている若者を見かけないほうが珍しい。それは関東でも同様。個人的な肌感覚で言えば、野球人気は盤石にしか思えない。果たしてこの見立てが誤っているのか、電通による野球下げ操作はあるのかのご判断は、読んでいただいた皆さまにお任せします。

 地域による嗜好や文化面での違いは、スマホがほぼ全人口に浸透し、世の中が総ネット化するその過程で小さくなりました(ラーメン不毛の地であった大阪ですら、二郎系のラーメンが跋扈しているのには正直ショックでした)。狭い日本の中で、関東だけ殊スポーツ面で特別だとは思えないし、巨人人気が落ちたことに異論はありませんが、あそこまで短期間で急激に視聴率が落ちたことに対する違和感は消えない。

 ちょうどあの時期、テレビの広告収入の成長神話が終わり、一転下落に転じました。またリーマンショックにより各企業が広告宣伝費の引き締めと選択が進み、ネットの広告収入はあの期間で倍以上に伸びそのまま成長を続け、数年前にテレビを抜き去りました。あの頃すでにここに至るまでの予想はついた。つまり”業界” は、収入源がこれ以上の上積みを望めない事態に初めて陥り、かといって縮小に舵を切ることはできず、決まったパイの中での椅子取りゲームが始まった。そこで巨人戦の椅子を物理的に消すことで、ドラマやバラエティなどの既得権益を守ろうとしたのではないか?

 電通からすれば、巨人戦にオワコンの烙印を押しさえすれば、地上波からプロ野球の全国中継は打ち切れる。電通が仕切る業界内の住民は局の社員だけではなく、いわゆる芸能界の人たちもたくさんいる。彼らを食わすためにはドラマやバラエティ、情報番組は多ければ多いほどいい、という大義名分も立つ。つまり巨人戦はそのスケープゴートにされたのでしょう。 

 ”業界” に蔓延する掟の怪!

 そもそも業界にとってプロ野球中継の最大の問題は、そこに集まったCMの売り上げが、代理店とテレビ局で中抜きしてもその半分以上が巨人をはじめとする各球団の懐に入るというところ。プロ野球の各球団や選手は、いうまでもなく ”業界人” ではありません。つまり金が外に流れるだけで、内部に還流しない。また球団の親会社の多くが自前で広告代理店を持っていることは以前書きました。

tilleternity.hatenablog.jp

 ここからは③についても絡んでくるのですが、”業界人”たちは、身内かそうでないかをとにかく重要視します。身内に金が落ちるのならまぁ良いだろうとなる。ジャニーズが儲かれば吉本も拍手するのです。アイドルとお笑いはバッティングしないからでしょと受け流されがちですが、最近のジャニタレはバラエティ部門にも進出していて、もはや明らかなライバルです。それでも拍手するのです。業界内が盛り上がれば必ず仕事は回って来るわけですから。

 また、身内の絆を堅いものにするため、芸能プロダクションの系列化が進んでいます。そしてその流れに反旗を翻す者は徹底的に、元からいなかったことにされる。それはプレイヤーを減らすためでもある。儲けを山分けするには分母が少ない方が良い。かっての日本映画界の五社協定のような現象が、今芸能界では起こっているのです。この先どのような道を辿るのか、実に分かりやすい。

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 先ほど視聴率の検証は株主がすべき、と書きました。なぜ企業内ではダメなのでしょうか。それは各企業の宣伝部などは完全に ”業界人” だからです。彼らは少しでも多くの広告費を持ち帰って来るよう業界に躾けられた手配人。そうなるように、業界ならではの、まさにPricelessな接待を受けて抜けられなくなっています。異動があった際などもその接待込みで引き継ぎが行われるようです。なので企業内で広告宣伝費の妥当性を検証するのは難しいと思われます。

 ④については説明は不要かと。そのまんまです。今は自分の好きな番組ほど録画して、自分の好きな時間に視るものです。ドラマもバラエティも、その質が高いとされればされるほど視聴者はそうします。リラックスして観たい方はスマホに落としてお風呂でのんびり視るでしょうし、良い夢を見たい方は寝るのに合わせて寝室のテレビで視るかもしれない。つまり番組を視るタイミングの主導権は、すでに局から視聴者に移っているのです。これも一種のYoutube効果でしょうか・・・・。

 15年ぐらい前までは、OLを中心に月9のドラマを視るために仕事を切り上げて帰宅を急ぐ、という現象がありました。食事も済ませて五分前には家族揃ってお茶の間で視たそうです、父親抜きで。そういえば、25年前ぐらいでしょうか、月曜の朝、駅前のコンビニで少年ジャンプを買うためにレジの前で列をなす学生やサラリーマンの姿が一つの景色でしたね。そういう時代が確かにあったのです。当時のドラマや漫画には ”鮮度” というものが内包されていたのかもしれません。彼女たちは間違いなくCM込みでドラマが視ていたでしょうし、彼らはジャンプに載っていた身長が高くなる広告もしっかりと読んでいたのかもしれません。今は言うまでもなくCM込みでドラマやバラエティを視るようなバカはいない。録画してそれはカットされます。

 W杯放映権料を巡る怪! 

 スポーツビジネスについて書こうと思って大きく話が逸れてしまいましたが、”業界” の現状を整理するためにどうしても必要なのです、ご容赦願います。

 でっ、最近スポーツビジネス、特に放映権について立て続けに大きな事件がありました。

www.nikkansports.com

 これが三週間前で、さらにその三週間前にはこういうのもあった、

www.asahi.com

 まず、一つ目のW杯アジア最終予選における日本のアウェー戦が放送されなくなったというのは記憶に新しいところかと。これは香港に拠点を置くFMAという代理店が、恐らく中国資本なのでしょうね、そのスケールメリットを最大限に活かして、電通のやってきたことをそのまんま劣悪にコピーしてをやり出した関係で放映権料が跳ね上がり、結果として国内で放送できなくなったというお話。

 二つ目は来年のカタールW杯の放映権料についての交渉が、ジャパンコンソーシアム(JC)という国内の放送局連合(みなさまのNHK含む)との間で暗礁に乗り上げたというお話。しかもポイントは金額が「200億を超えた(原文まま)」というところ。実は7年前のブラジルW杯のそれは400億で、直近のロシアW杯が600億と言われているのですが、今回は一気に1/3の200億って・・・・?  映像の二次利用などの権利が含まれていないのかもしれませんが、急にそんなに下がるか? しかも、だというのに暗礁に乗り上げるっていう、なんだか頭がおかしくなりそう・・・・。

 一説にはロシアW杯では400億だったとも言われているのですが、このあたりのはっきりとした数字が出て来ないところに、いかにも電通が絡んでいる怪しさを感じる。そもそも600億と400億じゃ全然違うだろと。一説も二説もあるもんかと。そんなに開きがあるのに間違うような奴がいたら連れて来いっ!

 結局、われわれの税金や受信料がそこにつぎ込まれているわけですわ、湯水のごとく。実はJCといっても半分以上はNHKが払っているのです。でっ、恐らく残りを民放が折半。W杯の放送自体、グループリーグの3試合のうちの一つはNHKが無条件で中継することになっていて、残りの二試合を民放4社がクジで決めるという・・・・。そういう取り決めですから、間違いなくNHKが半分以上払っている。だからはっきりとした金額を出せないのでしょう。

 でっ、今回どうして200億までディスカウントされたのに交渉が成立しないのか・・・・? 恐らく理由はこれ、

www.asahi.com

 この中で最も削減規模が大きいのが、300億円超の番組経費などの見直し、という項目だったはずですから(上のは有料記事なので全部は読めない)、NHKが出せなくなった以上、従来の電通の言い値から大幅にディスカウントしたのに払えなくなった、といったあたりでしょうか。

 こういうのもありましたね、

www.bbm-japan.com

 でっ、ここで一番言及したいのが、そもそもW杯の放映権料が言い値ってところ。そんなことないやろ、と思われる方にお見せしたいのが、主要国がロシアW杯でFIFAに支払った放映権料の高い順から、

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 出典はまちまちなのをまとめたので正確さは勘弁して欲しいのですが、まぁこんな感じと思ってくださいな。でっ、驚くのが、まずはアメリカと中国が出てないのにこれだけ払っているところ。払うといってるところから絞り取ってやれ感が出てるでしょ。ただこの二国は、そのうちFIFAごと丸呑みしてやる、みたいなところがあるので、なんとなく理解できる。やっぱアホ、というかお人よしは日本。なんの野望もなく、試合開始時間にちょっとした小細工を入れてもらう程度の見返りしかないのに、全体の1/6ぐらい払っています。しかも半分は知らない間に国民が払わされているという・・・・。

 でっ、一番腹立つのが、この表にイギリスが出ていないところ。本当に価格が需要と供給で決まるのならば、最も国民がその放送を熱く、そして強く望み、その価値を理解している国に高値がつくはず。イングランドプレミアリーグはこの十年以上に渡って世界一の人気とレベルの高さを誇り、国民のイングランド代表に掛ける期待も高く、プレーを観る眼も肥えている。なのに放映権料の総額がTOP5にも出てこないなんて・・・・。

 私の力不足かもしれませんが、仮にその額が表に出て来ても、恐らくはドイツの八掛けほどではないか。個人的には中国ぐらいは出してもらわないと納得できないのだが。そもそも国別の放映権料って何を根拠に弾き出されるのか、少なくとも上の表からはその相関関係はよくわからない。つまりW杯の放映権料は需要と供給で決まるものではなく、そこからは野望に溢れた国と、代理店に騙され続けるおバカな国と国民がどこの誰であるのか 、ということしか見えては来ないのです。

 リスクを負う、その心意気やよし!

 ことほど左様に、この国では電通がスポーツビジネスを好きなように捻じ曲げ、本来の価値さえも書き換えてきたのです。そして令和になり、文字通り時代が変わって、東京オリンピック電通は大コケをかましてくれたわけです。

tilleternity.hatenablog.jp

 ようやく化けの皮が剥がれやがったと、個人的には溜飲を下げているのですが、その矢先、冒頭のようにトヨタのCMがあのSkyAで流れたわけです。でっ、遂にやったぞと、なんせトヨタは五輪CMから撤退し、地上波の放送内容に対して社長自らが苦言を呈していましたから、今回の快挙はそれが形になったのだと。

 しかしである、CMというのはやはり企業の顔であり、何かと ”格” というものがついて回ります。地上波とBSとでは、そこで流れているCMとの間には明らかな違いがあって、CSとなると更に落ちる。実際、レクサスのCMの後に流れたのは、六十代、七十代の男性の貴方に、で始まる頻尿改善のサプリメントの通販形式のやつでしたから・・・・。

 それでもトヨタはCSの阪神戦の視聴者をマーケットの対象になる、そして彼らは必ずCMを視認する、そう踏んで仮説を立て、それに基づきCMを打つようになったのではないでしょうか。実際、阪神が優勝した暁には、清水の舞台から飛び降りたつもりで車をレクサスに買い替えてやるから見とけよーっ、そういう需要はありえると思うのです。

 よくCSを観る層なんてゴミクズ、米印とも言われています。実際、スカパーの契約者数は250万世帯。全世帯数の1/20以下。恐らくそれをもってして米印と言うのだと思うのです。しかし、見落とされがちなのがケーブルテレビの加入者数です。二年前の末の段階で3,191万世帯(出典総務省)ですから、すでにこの国の半分以上の世帯数に上るわけです。コンテンツはスカパーと9割以上は同じですから、この層がプロ野球ペナントレースに一喜一憂している可能性は大いにあるのです。

 今のところCSにおけるトヨタのCMはまさに掃き溜めに鶴でしかありません。周りのCMはやれ育毛だのシミ消しだの、果ては生涯現役とか詐欺まがいの通販の金太郎飴状態。企業イメージが損なわれる恐れすらあります。しかし、私はトヨタのこの英断に対して、心の底から拍手とエールを、CMを観る度に妻と娘と一緒になって送るようにしています。今月末、ドームで行われる伝統の一戦にして首位攻防の巨人阪神戦、勝敗以上にG+のCMのラインナップに注目します!

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 私は常々、時代を変えるのはリスクを負えるかどうかだと考えています。平成の時代というのは、どうにもリスクに対して臆病なだけの時代でした。これでは国が衰退するのも仕方がありません。しかし令和になって、ようやくこの国も変わってきたようです。スポーツビジネスにおいて、リスクを顧みずにチャレンジするという企業をもう一社紹介したいと思います。

www.rugbyworldcup.com

 アサヒビールラグビーワールドカップの最高位スポンサーに、アジア企業で初めてなってくれたのです。まったくもって名誉なことです。日本大会ではハイネケンでしたが、フランス大会からはアサヒビールがその役割を引き継ぐのです。もちろん、金さえ積めばなれるのかもしれません。実際、契約には20~30億が動いたと言われています。ジャパンマネーが札束で、ハイネケンからその座を奪い取った、そのような報道のされ方もあったかもしれない。しかし実際のところはハイネケンが降りたのです。その理由は、

ja.wikipedia.org

 フランスでは上の法律で、スポーツ観戦におけるスタジアム内での飲酒やアルコール類の広告も禁止されているのです。ここ数年で改正の動きは確かにありましたが、コロナでその雲行きは怪しくなった。それでもアサヒビールはチャレンジしました。

 二年後のフランス大会で、スタジアムを埋め尽くした観客の多くがスーパードライを片手にラグビーに酔い痴れ、Asahi BREWERIES の文字がピッチの脇の電光掲示板に映し出されるのか、それとも法律の壁がそれを阻止するのか、その可能性は今のところ五分五分ではないでしょうか。

 この大いなる賭けに対して、”その心意気やよし” と思うのは、きっと私だけではないはず。リスクは決して負わず、勝てるようにお膳立てした八百長のような勝負にしか乗らず、勝ってさえも身内だけで儲けを山分けする、そんな振る舞いは平成限りにしてもらいたいのです。

 確かにリスクは誰もが恐れ避けたがるもの。しかし、それを背負うことでしか感じることのできない空気や、見えてこない景色もあるはず。もしかすると成功や栄光はその先にしかないのかもしれません。トヨタアサヒビールのこの意気に、そしてのんさんの生き方に、私は一人の人間として心惹かれ共鳴するのです。