Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

2022 ドラフト 高校生編 Ⅰ

 というわけで9月は全休と相成りました。この極北のブログに脚を運んでくださる奇特な方々も、今回ばかりは見切りをつけたのではないか。つまりそれなりにではあるが、いてくださった有難い読者を失ったということ。だが後悔はない。気分が乗らない時は筆も進まない。休むのも一興。気分を変えてここからドラフトもあるので頑張ろうと思います。

 ということで、待望のドラフトについて、本日は高校生編としたい。

 がっ、その前に今年のドラフトの傾向について書かせていただく。2022年ドラフトは一言でいえば不作。しかして、それはコロナの影響にどっぶり浸かった世代なので仕方あるまい。

<本日のどっぷり>

 

 今ドラフトの傾向

 ではどれぐらい不作なのか、「過去ここまで不作だった年がありましたか?」いきなりそう問われた場合でも、恐らく余裕で ”ありましたよ!” そう答えるだろう。

 最近だと17年の清宮ドラフト、1位相当の層が薄く、すでに外れ1位の半分が辞めたのでは・・・・。そう思って後何人残っているのか、指折り数える手が震えます。恐らく阪神馬場、巨人鍬原、中日鈴木の首筋にも冷たいものが走っていると思われる。

 その十年前、07年も凄かった。高校生を切り出してやった最後の年。大社は大場に6球団、長谷部に5球団。そのあたりの事情を突くと頭を抱えるスカウトも多いことだろう。

 翌08年も低調であった。野本、松本、 大田がそれぞれ重複した。あの大田にだ。しかも残りの二人ときたら・・・・。今となっては想像を絶する次第である。

 当時、私もまだ若かったし今よりは真剣にアマ野球を眺めていた。がっ、特に08年については力が入らなかったのを覚えている。なんだかんだ言ったところで、07年は中田翔がいたし、そして四年前は清宮がいた。さらには今を時めく村上も裏で控えていたわけで、つまり目玉の選手は必ずいた。特に高校生にそれがいるといないでは大違い。

 相も変わらずマクラが長くなりましたが、今年のドラフトを一言でいい表すならば、高校生にアイコンとなる選手がいないドラフト、つまりは08年型と言えるのではないでしょうか。

 じゃあおまえがスカウトなら誰を上位に、それも1位に薦めるんだよ、そんな風に問われたとして改めて顔ぶれ、動画を眺めてみたのだが、この選手なら外れ1位に推せる、そういう投手が一人だけいる、それは田中晴(日本文理)だ!

 田中晴也(日本文理

 身体が強い上、矛盾するようだが仕込みの甘さも伺える。つまり体幹の強さはまだない。しかし積んでいるエンジンのデカさは傍からでも伝わってくる。腕の振りも良いし指に掛かった球は去年の風間、森木より上、私はそう見る。また打撃の良さから野球センスの高さも垣間見える。外れたら黙ってこの選手を指名して育てましょうよ、マジでそう言いたくなる逸品だ。

 ただメンタルの弱さはあると思う。裏日本産独自なものか。甲子園で二度にわたって結果が出せなかったことからもそう指摘せざるを得ない。それでも新潟が生んだ史上最高の投手だと思います。

 さてさて果たして何位で彼の名前がコールされるのか、まったくもって見ものである。今から楽しみ。今年の高校生投手NO.1投手、お忘れなく!

 浅野翔吾(高松商高

 目玉のいないこの秋ではあるが、空座と思しきアイコンに収まろうという候補がいないというわけではない。大巨人軍から早々に指名確約を取り付けた浅野(高松商)がそういった存在か。しかし、去年の今頃、浅野がドラフトの目玉になるという論調はなかった。二年ながら甲子園の左中間に大ホームランを打つという大仕事をしたというのにだ。浅野を目玉に仕立てようというのは、報知新聞の熱量だけでは恐らく無理だろう。目玉には ”十年に一人” 、とか ”大器” とか ”逸材” というフレーズが似合う。浅野の双肩にそれらを乗っけるのは容易なことだが、いかにも重い・・・・。

 しかしそれでは盛り上がれない。「浅野ドラフト」、とりあえず来週あたりからそんな造語が日テレ界隈から飛び出す気配はプンプン。まぁそれはそれでいいだろう、盛り上がるのなら。というわけでもったいぶっても仕方ないので寸評に入ろう。

 技術的には問題はない。右脚の軸も、左肩の壁も見事である。確か去年、あれ、高松商に一人だけ大阪桐蔭の選手が混ざっているぞ?、そんな表現をしたと思う。それだけの打者である。個人的に評価している。

 ただ肉体が育ち切っている、というか仕上がってる気がするのだ。つまり伸びしろはあるのだろうか? 脚はあるが守備は怪しい、そこももう少し見極めたかった。

 和製アルトゥーべの声もかかるが、彼のようにそれなりの長さの木製バットを振り回せるのか、打の鍵はそこ。

 来年のキャンプ、ファンは彼の姿を探さず見つけ出せるのだろうか? オーラの有無もチェックしたい。

 

 山田 陽翔(近江)

 山田も去年の夏の段階で大手柄を挙げている。優勝候補大阪桐蔭を仕留めて見せたのである。しかし浅野同様来年の目玉に、という声は起こらなかった。こちらもサイズ、ボリューム共に不足してしるように映ったからだ。

 またここに来てボールが微妙に動く、とかそんな報告が上がって来るのだが、そういうのも気になっている。

www.sanspo.com

 私はこういうのを評価を上げる材料とはカウントしない。その昔、ハンカチの球はマー君には及ばないが、天性のセンス、打者との駆け引きが上手く絶妙な間合いや球の出し入れで・・・・、みたいな表現でやたらと持ち上げられたのを覚えている。しかしてどうであったか。結果はすでに出ている。インサイドワークまで引き合いに出されたら、私ら素人には口の出しようがない領域。ならば開き直ってありのままを見た方が良い。

 山田の完成形はライアン小川だと思う。小柄ながら角度があって、コントロールも絶妙で落ちるボールを効果的に操る。小川になれる要素はある。ぜひ目指して欲しい。でもこれって全ての高校生投手が目指すべき姿ということになるんだよね、我ながらちょこっと無責任か・・・・。まぁまとめると小柄ながら角度はある山田には、そこを目指せる可能性があるってあたりが無難でしょうか。

 また山田は打者としての評価もある。私は春の段階ではそちらを評価していたぐらいだ。しかしそれらを合わせても3位相当だと思う。ただ山田の場合、上位の指名があっても良いとは思う。あれだけ今年の甲子園を沸かせたわけだし、報労ということで上位指名を。結局そっちかよ。

 

 齋藤 響介(盛岡中央)

 次に挙げたいのが盛岡中央の斎藤。この夏、もっとも予選で球数を投げた投手ではないだろうか、調べてはないけど。それが言いすぎならば、もっとも魂のこもった投球を重ねた投手、というのはどうか、こちらも根拠は当然ない。

 投球フォームは正直滅茶苦茶で、テークバックは後ろに手を回す程度。その後、腕を担いで振り回すように投げる。極端に言えば、右腕を真上に上げて、一度身体を弾ませることを合図に、そこから一気に投げ下ろす、それだけってイメージ。

 この投手の不思議なのは、そんなフォームなのになぜか腕が撓るところ。普通、体に巻き付くように腕を使うからこそ撓る、個人的にそう思っており、そんな風に考えてみると、テークバックの段階で身体の重心の移動や回転と腕は連動する、もしくはそれを意図させるのが普通なのだが、彼のフォームはそれを拒否している。

 右腕だけが身体の動きと合ってなくて独立している、そんな感じ。それで140キロ半ばの球をこれでもかと投げ込んでくる。またテークバックが小さく担いで投げるのでフォークがよく落ちる。ここまで落ちる高校生のフォークを観るのは誰以来か・・・・、わからんわ、覚えてない。さらに110キ口台の大きなカーブや力ットも良い。独特の間合といい打者は何とも組しにくいだろうな。花巻東に一点差で勝ち切ったあたりにはメンタルの強さも感じる。

 私はフォームの美しくない投手は評価しないのだが、彼からは特別な臭いを感じ取っている。たとえば4年前の戸郷や、かなり前になるが敬愛学園時代の五十嵐。特に五十嵐は何度も球場に足を運んで観たのだが、いわゆる担ぎ投げで、あれでは怪我するために投げているようなものだと感じたのを覚えている。

 果たしてプ口がどのような評価をしているのか知りたい。今年の東北はレベルが高く、彼はぽっと出の投手ではない。白状すれば、未曽有の不作の年だし、私がスカウトなら思い切って1位でもとも思うが、本人が身構えるので2位以降のほうがいいかな。それとあの投球フォームも弄るべきではないとも思う。

 身長177cmの72kg、 正直キャパはない。しかしこのサイズだからこそあの投け方が嵌ったのではないか? 185cm以上の投手がフォームを真似たらボールは暴れまくるだろう。

 最後になるが腕の撓り。その源泉は肘から先、二の腕あたりと手首が強いのではないか? 人の鍛えられないところの強さを感じさせる底知れぬ投手、盛岡中央齋藤響助、お薦めです。

 因みに盛岡中央のあのユニ。監督はプリンスホテル関係者と見た、知らんけど。

 

 今日はここまで。明日以降で松尾西村三塚あたりを。

第104回選手権大会 雑感Ⅰ

 早いものであれから一週間以上になりますね。

 今年の夏の大会は見どころも多く面白かったと素直に感じました。なので、そう口にしてみたところ、嫁からこんなリプライがありました。

 「そうね、夏祭りも盛り上がったものね ♫」

 ・・・・そ、そうなんですよ。うちの近所の夏祭り、というか盆踊り、三年振りに開催されるというので、大会前でしたから八月の頭か七月の終わりだったと思うのですが、嫁と娘とで行ってきました。

 大して広くもない公園に凄い人、というか人だかり。盆踊りも気合入ってましたわ。また露店に並ぶ並ぶ。公園の緑を囲むように四十ぐらいの店がひしめき合っていたのですが、どの店も長蛇の列。売ってるものはしょうもないのにね、値段も割高やし。だから5m進むのも大変。

 しかし凄い人出やな 、そう思いながらも、私はというとずーっと二人に撤収を切り出すタイミングを見計らっていたのですが、そんなん私ぐらい。みんな楽しんでましたよ、もちろん嫁も娘も。

 でっ、方々から「人凄いな」とか、「盛り上がってるわ」とか、そういった言葉が飛び交っており、決まってその後に続くのが「三年ぶりやもんなぁー!」でした。

 ・・・・そう、恐らくはそう。俺の夏の甲子園が盛り上がった理由、それは久しぶりだから。普通に戻ったから。入場制限を外して、お客さんをまともに入れて開催したのは三年ぶりだから、そうそう、それだけ、ええ・・・・。

 でもねっ、やっぱ面白かったと思うんだ。選手の出来栄えは普通で、決勝戦もワンサイドだったけど、深紅の大優勝旗白河の関を超えたし、下関国際のアップセットがダブルであって、辛口の私でも80点はつけられる良い大会でしたよ。

 この盛り上がりいつ振りか、自分の中で遡ってみたのですが、ここ五年で一番盛り上がった第100回の”金足旋風” よりも上だと思う。真剣、早実vs駒苫 の88回以来ではないか? もちろんあの大会は玉三郎海老蔵と喩えられた二人の主役がいたので、空前絶後、特別な大会でした。まぁ、あそこまでは行きません、差はかなりあるかもしれないが、それぐらいの面白さはあったと思うのです。

 今大会の注目度、こんな記事もあります、

prtimes.jp

 

 大会の流れとしては、決勝が 前橋育英vs延岡学園 の組み合わせだった13年に似ていたかな。しかし面白さや大会終了後の余韻は比べるべくもない。

 優勝した前橋育英は接戦をものにして勝ち上がったため、試合の内容自体は間違いなく今大会の覇者より上でした。たとえば、常総戦は紙一重を制したもので、 今回の仙台育英の各試合と比べても質は高かったと思う。荒井さんのキャラも良かったし、なにより親子鷹もあった。でも、それでもやはり今大会のほうが閉幕してからも後に残るものが断然ある。理由、それは決勝を戦った二校とも監督が良かったからでしょ。

 たぶん、あの二人の監督についてもっと知りたい、そう思った方が多かったのではないかと。実際こんな記事が、

wedge.ismedia.jp

 この雑誌、野球自体ほとんど取り上げませんのにね。

 須江さんいついてはこれ、

www.asahi.com

 こうしてインタビューの全文公開なんて聞いたことないわ。

 

 後出しじゃんけんになりますが、両監督については大会前から注目はしていました。いや、注目というよりもウオッチしていた、って感じか。

 今回は坂原さんについて書かせていただきますが、いろいろと中国地方の野球に詳しい方から情報があって、実はそのすべてが持ち上げる話ばかり。それらを額面通り受け止めて良いのか、そこを悩んでいた。というのは、その方は広島の人なので・・・・。

 広島の人は”地元愛”、”広島愛” が半端ない。延岡学園の重本さんについても絶賛していて、「間違いなく名監督になる!」 みたいなこと言っていたのです、ええ。

 なので18年の初出場時の坂原監督についても、ほぼ同じ感じでフルスロットで絶賛。ブレーキはかけないまでも逡巡する私・・・・。

 やりとりは以下の通り、

広島人:「坂原監督はすんごいんよ、もともと下関国際はぶち酷い高校で、それを立て直したんよ。一人で、たった一人で!」

私め:「ま、まぁね、でもそういう問題のある高校の野球部を強くするって、結構あったりしない?」

広:「なんじゃぁ、うたがうとるのか? あんた、いっぺん来て見てみりゃあええ!」

私:「いや、疑ってなんかないんだけど、ほら昔からあったじゃない、不良校を強くした監督って。」

広:「そりゃどこなんじゃ!」

私:「うーん、旧くはヨタ高、横浜高校がそうだし。渡辺さんの物語は有名。最近で問題という意味では、クラーク記念国際なんかもそうだしさ、京都国際もそう。でっ、下関国際っていう流れ・・・、あっ、みんな国際がついてるわ、今気がついた。神戸国際も入れて甲子園国際四天王、み、みたいな・・・・(苦笑)」

広:「そがなあどうでもええんよ!下関国際は特別なんよ。地元の人からは極道養成学校、そう言われとったんやもん。それを広島から飛び込んで、更生させて甲子園でベスト8。たいしたもんよ!」

私:「そりゃ凄い、そこは間違いないんだけど、それを言い出すとさぁ、履正社だって福島商時代は酷くて、エテ商なんて呼ばれて、”あの学校にはいったいどうやったら入れるんかいな?” なんて地元では言われてたわけで、それが今じゃ101回大会優勝校・・・・」

広:「そがなあどうでもええんよ!アンタもわからん人やねぇ。わしが言うから間違いないんよ!」

私:「そ、そう言われりゃ返す言葉もないんだけどさあ・・・・」

 まぁこういうやりとりを四年前から延々繰り返してましたわ。譲れないわけではないのですが、札付きのガッコウを強くするっていうのは、中京商や浪商から続く高校野球にとっては古くからの切っても切れない普遍の流れ、いわば古典。だから今更不良校下関国際を立て直し、甲子園に連れてきた坂原監督、というストーリーを素直に受け入れて、それで驚けよと言われてもねぇ。

 ただ、彼から聞いたこの一節には驚かないことはなかった、

「あんねぇ、下関国際はねぇえ、スポーツ推薦で入って寮生活で早朝から深夜まで、一日中野球しかしてない選手の方が、一般生徒よりも定期試験の点数がええんよっ!

 え、えーっ、*:゜☆ヽ(*’∀’*)/☆゜* α%×$☆♭#▲*☆*:;;;:*☆*

 確かに、下関国際は凄い高校のようですね。

 まぁそういうわけで、私なりに坂原監督についてはどう評価していいのか、彼からの情報だけではなく、かき氷や文武両道の否定、相手校を挑発するような発言も含めて、この四年間悩み続けておりましたが、今大会で結論は出ました。坂原さん、素晴らしい監督です。いい感じでバカに仕上がってますわ、ええ。

 続きは明日以降で。

祝 仙台育英全国制覇!

 仙台育英おめでとうございます!

 去年は優勝に推した名電が一回戦で敗れるという失態があっただけに、なんとか面目を保つことができました。今心底ホッとしています。

 しかし、仙台育英の優勝をここで書いたのは8月12日。

tilleternity.hatenablog.jp

 つまり大会六日目までは正直判りませんでした。来年はまず全国の出場校が出揃った段階で当ててみせます。そしてゆくゆくは予選が始まる前には優勝校を予言できる、そんな神の眼を持ったなおっさんになります。

 

 今年もいろんな野球バカを観れて楽しかったです。最後はやはりカバが勝ちましたね。

 繰り返しますが甲子園の勝利の女神はカバ顔がお好きなんです、ええ。

 個人的に申し上げるなら、須江監督にはかっての名将である故尾藤さんの面影が宿っているようで、就任当時から注目していました。

 尾藤さんが春夏連覇したのは37歳の年回り。そしてそれが最後の優勝となり、以降の尾藤さんの監督人生は決してご本人や周囲が描いていたようなものではなかったと思われます。われわれファンも、名将の早過ぎる晩年を嘆いたものです。もっと箕島の起こす奇跡を、ドラマを、そして名勝負が観たかったのです。

 須江さんは39歳での初戴冠となりました。この先、私が須江さんに何を託そうとしているかは書くまでもないでしょう。全国のバカどもと切磋琢磨して名将と言われる監督を目指して欲しいものです。

第104回選手権大会 決勝戦

 ついにその日が来ました。泣いても笑っても後一試合。

 ここまで来てあれこれ言うのは野暮というもの。下関国際は勢いで行けるとこまで行けば良い。

 一方の仙台育英は、半数は二年生ながら ”来年のチーム” だとか、”最後は三年生の力で” なんてことが少しでも頭に過ったら負ける。最後のチャンスだと思って総力戦で掴みに行け!

 本日 14:00 プレーボール!

 乞うご期待!

第104回選手権大会休養日 三度目

 「大阪桐蔭無双」、「打倒大阪桐蔭」で迎えた今大会。ご存じのように決勝の組み合わせは、仙台育英 VS 下関国際と相成りました。これを予想できた方がいたら、夜通しで話を聞きたいもんですな。まぁ私なんかにはまだまだ無理ですわ。

 個人的にはここまで十分に楽しめました。元は取ったので、優勝は勝利の女神に決めてもらえればそれで良いと思っています。できれば優勝旗が白河の関を越えて欲しい、そう願ってはいます。今大会に入って何度もここで申し上げていますが、勝利の女神は実は大変にカバ顔がお好きなんですよ、ええ。

 いろんなところで話題になっている大阪桐蔭の三重殺。大前君には気の毒でした・・・・。敗戦を独りで抱え込まなければ良いのですが。ここで鈴木は安パイみたいな風に書いてしまって、実は少しばかり責任を感じています。

 鈴木は予選五割打ったのですが、初戦では二つエラーを重ねました。失点には結びつきませんでしたし、昨日今日で評価の変わる選手ではないと踏んでもいました。しかし蓋を開けたら二松戦と同様、準々決勝のスタメンからは外れた。コンディション不良を差し引くるなら、私が見てもそうなのですから西谷さんも物足りなく感じていたのかもしれませんね。鈴木はミートは巧いのですが、鋭い打球を飛ばせるのは大前、そういう判断ではなかったか。

 結果、大阪桐蔭ナインがどことなく浮足立っていたような感じはありました。そして・・・・。

 野球、というかスポーツの持つ残酷性をまざまざと思い知らされたシーンでした。

 野球は団体スポーツですが、こと打席や守備においては個人の責任を何かと負わされたり問われたりしがち。反面、それは野球の醍醐味でもあるのです、難しいな。

 言うまでもなく野球には仲間がいます。いわば戦友でもある。彼はこの先一生あの三重殺を抱えていくことになるのでしょう。ぜひ周りは大前君を支えてあげて欲しい、そう願います。

 あの場面、鍛治舎や高嶋なら間違いなく次のイニングから代えてます。西谷さんは連覇よりも大切なものを知っている、そのように思った次第です。勝利の女神が何度も微笑むはずやで!

第104回選手権大会 準決勝

 泣いても笑っても今大会は後三試合。今年は残った四校すべてに味があって良いですね。

 日付の変わった今しがた各校のHPを覗いてみましたが、ベスト4をしっかりとアピールできているのは仙台育英近江高校。やっぱり経験のある2校は仕事が早い。初進出の聖光と下関国際は、そこまで手が回ってはいません。人手はほとんどが現地に張り付いているのでしょう。だからどうってわけではないのですが、各校の舞台裏を垣間見る思いです。

 しかし考えてみれば、自前のHPで報告しなくても、ネットがテレビが、そして新聞雑誌が、次から次へと校名を全国に向けて発信し続けてくれるわけですから、そもそもそんな必要ないのかもしれません。一体どれだけの費用対効果があるのやら、誰か検証してくれないものか。恐らく各校の経営者たちは今頃算盤弾きながら、こりゃやめられへんわ、そう嬉しい悲鳴を上げていることでしょうな。寄付云々以上に、来年の受験者数が楽しみですね ♫

 聖光と下関国際については、確かにここでヒール認定をしています。しかし、今後地元にどのように受け入れられていくのか、そこにも注目していきます。

 特に下関国際の坂原監督の好感度は上がりっぱなし。もしかするとこの夏一番輝いたのは彼ではないか。私はこの一ヶ月間高校野球以外見てないので、世間の動きはまったく知らんのですが、仮に今国政選挙があって、立件民主から比例で出ても、彼なら間違いなく当選するでしょう、ええ。

 特に大阪桐蔭勝利後のインタビューは良かった。最初の1分の間に ”本当に” が七回も出ました。まさにこの瞬間のためにこれまで闘ってきた、その思いが凝縮された内容であったように思います。

 ここ十年で最も私の胸を打った勝利監督インタビューは、99回大会、準決勝東海大菅生に延長の末勝利した直後の花咲徳栄岩井監督へのものでしたが、今回の坂原監督はそれを越えたかもしれません。野球しかできない男のバカ加減が哀しいまでに、否、可笑しいまでに伝わってきました。この男が付属幼稚園のマイクロバスの運転手となって、選手を乗せて遠征に出ていたという姿を想像するだけで、インタビューの一言一言が私の胸に突き刺さりました。

 今日下関国際が勝つかと言われると難しいように思うのですが、もうそういうレベルではないようにも感じます。一昨日の9回に突如甲子園で沸き起こったスタンドからの万来の拍手を、この秋、西京きずなスタジアムで再現できれば、その時下関国際は地元に受け入れられたことになるのではないでしょうか。

第104回選手権大会 十三日目

 大阪桐蔭敗れました。ちょっとあっけなかったかな・・・・。このあたりに西谷さんの限界を感じます。といっても、過去の実績について綾をつけているのではないのです。ぜひに高嶋元監督の甲子園勝利数(しょーもない記録)を抜いて欲しいと願う。でもそこじゃないのですよね、私が物足りなく感じてしまうところって。

 やはり最終回、あっさり三人で終わったのはどうなのか? 誰が見たって実力は今大会のチームの中で頭一つ抜けていたわけですから、その意地を観たかった。王者としての、才能集団としての、そして三年生としての。もっと言えば名勝負が観たかったのですよ、こっちの身勝手な我儘でしかないのですが。

 まぁ、選手たちは重圧の下でこの半年間大変だったと思う。今はお疲れ様としか言いようがないのですが・・・・。

 実は去年の夏、「大阪桐蔭再来年あたりから五年ぐらい駄目かも。」ってなことを書きました。

tilleternity.hatenablog.jp

 今年まではボーイズ、シニアの超スター軍団なのです。来年の面子も悪くはないのですが、前田以外は飛び抜けてはいない。甲子園に来るのも苦労しそうな気がします。

 思ったようなリクルートができなくなったのか、それともしなくなったのか、恐らく後者と睨んでいます。理由は上の記事でも書きましたが、学校側が野球部を特別扱いしなくなったから。

 今の校長の野球部に対する理解が足りないのと、西谷さんとは先代の校長ほど合わないというのもあるそうで、まぁどうなるかは判りませんが生暖かく見守りましょう! などと書いてるはなからこんな記事が、

bunshun.jp

 西谷さんをヒール扱いする気はないのですが、大阪桐蔭が、特にあのリクルートが大人しくなることは、少なくとも高校球界にとっては良いことだとは思うのです。

 

 先日、今年の夏のテーマは ”表” が「打倒大阪桐蔭」で、”裏” が「継投」だと書きました。でっ、昨日もその裏のテーマが命運を分けた気がします。

 もうこれ以上大阪桐蔭については書きたくないのですが、今年は、前田、川原、別所の ”ローテーション” のチームでした。つまり「継投」のチームではないのです。だから昨日は頭から前田が正解だったと思う。

 一方の下関国際の継投は完璧でした。それが勝因かと。

 また高松商の継投も拙かった。エース渡辺の投入はもっと早くても良かったと思う。長尾さんには少し失望しています。

 一方、仙台育英の須江さんの継投も見事。この勝利で優勝がぐっと近づいた、そう確信すると同時に、佐々木さんの復活の目は遠のいた、恐らく高嶋のその可能性の方が高いでしょう。