Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

第104回選手権大会 雑感Ⅰ

 早いものであれから一週間以上になりますね。

 今年の夏の大会は見どころも多く面白かったと素直に感じました。なので、そう口にしてみたところ、嫁からこんなリプライがありました。

 「そうね、夏祭りも盛り上がったものね ♫」

 ・・・・そ、そうなんですよ。うちの近所の夏祭り、というか盆踊り、三年振りに開催されるというので、大会前でしたから八月の頭か七月の終わりだったと思うのですが、嫁と娘とで行ってきました。

 大して広くもない公園に凄い人、というか人だかり。盆踊りも気合入ってましたわ。また露店に並ぶ並ぶ。公園の緑を囲むように四十ぐらいの店がひしめき合っていたのですが、どの店も長蛇の列。売ってるものはしょうもないのにね、値段も割高やし。だから5m進むのも大変。

 しかし凄い人出やな 、そう思いながらも、私はというとずーっと二人に撤収を切り出すタイミングを見計らっていたのですが、そんなん私ぐらい。みんな楽しんでましたよ、もちろん嫁も娘も。

 でっ、方々から「人凄いな」とか、「盛り上がってるわ」とか、そういった言葉が飛び交っており、決まってその後に続くのが「三年ぶりやもんなぁー!」でした。

 ・・・・そう、恐らくはそう。俺の夏の甲子園が盛り上がった理由、それは久しぶりだから。普通に戻ったから。入場制限を外して、お客さんをまともに入れて開催したのは三年ぶりだから、そうそう、それだけ、ええ・・・・。

 でもねっ、やっぱ面白かったと思うんだ。選手の出来栄えは普通で、決勝戦もワンサイドだったけど、深紅の大優勝旗白河の関を超えたし、下関国際のアップセットがダブルであって、辛口の私でも80点はつけられる良い大会でしたよ。

 この盛り上がりいつ振りか、自分の中で遡ってみたのですが、ここ五年で一番盛り上がった第100回の”金足旋風” よりも上だと思う。真剣、早実vs駒苫 の88回以来ではないか? もちろんあの大会は玉三郎海老蔵と喩えられた二人の主役がいたので、空前絶後、特別な大会でした。まぁ、あそこまでは行きません、差はかなりあるかもしれないが、それぐらいの面白さはあったと思うのです。

 今大会の注目度、こんな記事もあります、

prtimes.jp

 

 大会の流れとしては、決勝が 前橋育英vs延岡学園 の組み合わせだった13年に似ていたかな。しかし面白さや大会終了後の余韻は比べるべくもない。

 優勝した前橋育英は接戦をものにして勝ち上がったため、試合の内容自体は間違いなく今大会の覇者より上でした。たとえば、常総戦は紙一重を制したもので、 今回の仙台育英の各試合と比べても質は高かったと思う。荒井さんのキャラも良かったし、なにより親子鷹もあった。でも、それでもやはり今大会のほうが閉幕してからも後に残るものが断然ある。理由、それは決勝を戦った二校とも監督が良かったからでしょ。

 たぶん、あの二人の監督についてもっと知りたい、そう思った方が多かったのではないかと。実際こんな記事が、

wedge.ismedia.jp

 この雑誌、野球自体ほとんど取り上げませんのにね。

 須江さんいついてはこれ、

www.asahi.com

 こうしてインタビューの全文公開なんて聞いたことないわ。

 

 後出しじゃんけんになりますが、両監督については大会前から注目はしていました。いや、注目というよりもウオッチしていた、って感じか。

 今回は坂原さんについて書かせていただきますが、いろいろと中国地方の野球に詳しい方から情報があって、実はそのすべてが持ち上げる話ばかり。それらを額面通り受け止めて良いのか、そこを悩んでいた。というのは、その方は広島の人なので・・・・。

 広島の人は”地元愛”、”広島愛” が半端ない。延岡学園の重本さんについても絶賛していて、「間違いなく名監督になる!」 みたいなこと言っていたのです、ええ。

 なので18年の初出場時の坂原監督についても、ほぼ同じ感じでフルスロットで絶賛。ブレーキはかけないまでも逡巡する私・・・・。

 やりとりは以下の通り、

広島人:「坂原監督はすんごいんよ、もともと下関国際はぶち酷い高校で、それを立て直したんよ。一人で、たった一人で!」

私め:「ま、まぁね、でもそういう問題のある高校の野球部を強くするって、結構あったりしない?」

広:「なんじゃぁ、うたがうとるのか? あんた、いっぺん来て見てみりゃあええ!」

私:「いや、疑ってなんかないんだけど、ほら昔からあったじゃない、不良校を強くした監督って。」

広:「そりゃどこなんじゃ!」

私:「うーん、旧くはヨタ高、横浜高校がそうだし。渡辺さんの物語は有名。最近で問題という意味では、クラーク記念国際なんかもそうだしさ、京都国際もそう。でっ、下関国際っていう流れ・・・、あっ、みんな国際がついてるわ、今気がついた。神戸国際も入れて甲子園国際四天王、み、みたいな・・・・(苦笑)」

広:「そがなあどうでもええんよ!下関国際は特別なんよ。地元の人からは極道養成学校、そう言われとったんやもん。それを広島から飛び込んで、更生させて甲子園でベスト8。たいしたもんよ!」

私:「そりゃ凄い、そこは間違いないんだけど、それを言い出すとさぁ、履正社だって福島商時代は酷くて、エテ商なんて呼ばれて、”あの学校にはいったいどうやったら入れるんかいな?” なんて地元では言われてたわけで、それが今じゃ101回大会優勝校・・・・」

広:「そがなあどうでもええんよ!アンタもわからん人やねぇ。わしが言うから間違いないんよ!」

私:「そ、そう言われりゃ返す言葉もないんだけどさあ・・・・」

 まぁこういうやりとりを四年前から延々繰り返してましたわ。譲れないわけではないのですが、札付きのガッコウを強くするっていうのは、中京商や浪商から続く高校野球にとっては古くからの切っても切れない普遍の流れ、いわば古典。だから今更不良校下関国際を立て直し、甲子園に連れてきた坂原監督、というストーリーを素直に受け入れて、それで驚けよと言われてもねぇ。

 ただ、彼から聞いたこの一節には驚かないことはなかった、

「あんねぇ、下関国際はねぇえ、スポーツ推薦で入って寮生活で早朝から深夜まで、一日中野球しかしてない選手の方が、一般生徒よりも定期試験の点数がええんよっ!

 え、えーっ、*:゜☆ヽ(*’∀’*)/☆゜* α%×$☆♭#▲*☆*:;;;:*☆*

 確かに、下関国際は凄い高校のようですね。

 まぁそういうわけで、私なりに坂原監督についてはどう評価していいのか、彼からの情報だけではなく、かき氷や文武両道の否定、相手校を挑発するような発言も含めて、この四年間悩み続けておりましたが、今大会で結論は出ました。坂原さん、素晴らしい監督です。いい感じでバカに仕上がってますわ、ええ。

 続きは明日以降で。