Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

2023 ドラフト点検 楽天 後編

 アジアCSを連覇で終え、侍ジャパンは面目を保った。一方アマ野球では同じ日に日本選手権が、そして翌日神宮大会がそれぞれ決勝と、まるで申し合わせ雪崩れ込むように、今年の野球界は幕を閉じた。正直、長かったなぁ、という印象。

 



 オタとしては、冬支度が始まっても野球を観れるので文句はないですが、選手は大変ですね。でも、これからのオフ期間の過ごし方が、選手の成績の質、現役期間の長さを決めるようにも思う。

 ゆっく休むよりは身体の弱い部分を徹底的に鍛える、もしくは野手であれば思い切ってドミニカあたりのウインターリーグに出向く、そんなストイックな姿勢がNPBの若手にも必要かも。

 メジャーでは、冬にゆっくり休むような選手は淘汰されるだけだそうです。才能なんて紙一重。つまり、お前の替わりならいくらでもいる。だったらやることは判るだろと。過酷な世界ですね・・・・。

 自分に厳しく。今日思って明日できるようなことはない。そして継続は力。私も虎の日本一に感化され、年明けの寝正月を改める所存です キリッ、それだけかよ!

 

 

 それはそうと、11月に入って少し違和感を感じている。野球観戦が例年通りというわけにはいかなくなったのだ。まずアジアCSの初戦、アマゾンプライムが独占配信と相成りました。

amazon-press.jp

 配信というより、むしろ背信・・・・。

 渋々お試しで入って、あくる日速攻で退会しましたが、果たして解約できたのか?

 こういう記事読んでいるとどうも怪しい。

www.j-cast.com

 なんでもライバルのDAZNの場合、退会を巡ってひと悶着あるらしい。どこも一緒でしょうから。もし課金されていたら暴れる。

 また、神宮大会は準決まで、社会人日本選手権は決勝まで放送されず。今週から録画で順次放送されるらしいが・・・・。

 この際、SkyAもGAORA も潔く野球から撤退したらどうか?

 阪神との付き合いは長いけど、この先放映権料は間違いなく騰がり続ける。ABCもMBSも払えるか?

 今ですらタイムスケジュールを眺めてみると、地上波落ちか安っすいコンテンツが並んでる。阪神の試合の完全放送にこだわってたら、ますます貧弱になっていくと思う。

 それでも野球に拘泥するのなら、いっそのこと両社ともに高校野球の膨大な過去の映像をお持ちなのだから、逆にそれで勝負に出たらどうか。つまり新聞におけるライバル関係の恩讐を超えて、手を組んで高校野球チャンネルを立ち上げるというのはいかが。

 この夏朝日は全試合放送を敢行してみせた。やればできるじゃん。でもネット配信だけではいただけない。せっかく立派な有料チャンネルをお持ちなのだから、SkyAでやってくださいな。同様に毎日も、全国の秋の大会を全試合やればいいのに、GAORAで。私のようなオタからすればヨダレが出るほど観たい。過去のアーカイブだって、今のままなら宝の持ち腐れだと思いますよ。

 

 では楽天のドラフト後編です。

 二位の坂井三位の日當はある意味よく似ている高校生投手。フォークの制球が抜群なこと、そしてストレートが思ったよりもベース盤で来ないところも一緒。

 確か坂井はMAX 1 4 8㌔で日當は151㌔でしたっけ。ガンはそれぐらい出るのでしょうが、球威はそこまでのものを感じません。

 ただ、坂井は夏のみ、日當は春までしか見てない。なのでたまたま調子が悪かったのかもしれない。そこはプ口のスカウトの方がしっかりと抑えているのでしょう。

 よく似ている二人ですが、体格は対照的で、坂井は細身、逆に日當は太目。共にプロの身体になれば、見違えるような快速球を投げるのかもしれない。

 しかし、である。以前ご紹介した中田宗男理論によれば、高校生であってもプロ入り後、ストレートが速くなることは滅多にないそうだ。

tilleternity.hatenablog.jp

 もちろんすべての高校生投手に当てはまるわけではない。強豪校のエースで、ドラフト上位候補に名が上がるような逸材に限れば、その傾向が顕著なのだという。

 根拠としては、環境も育成手腕も整備・体系化されたなかで、一定以上の期間追い込みを掛けられた投手は、すでに天井に達している可能性が高いということか。

 滝川二高に東海大菅生、前者は戦前からの古豪旧制中学で、 後者は新興ながら前任は元プロでスパルタぶりは有名。ゆえにニ人はそこに当てはまることになる。

 しかしそれはあくまで純粋に直球のスピードという意味であって、球質や制球についてはその限りではない。なのでニ人に伸びしろがないというのは間違い。特に坂井はフォークだけではなく、力ットボールも巧みに操る指先感覚にセンスの良さを感じる。打撃やフィールディングもー級品。タイプ的には大型の牛島に成り得る楽しみな素材だ。

 一方、日當の最終形は中田簾とみている。球種を増やすよりも、持ち前のフォークに磨きを掛け、早くから中抑えでの活躍を見込む。苦労人のお母さんのためにも頑張って欲しい!

 

 五位の松田はこの春、阪神大学リーグに彗星のように現れた関西では結構有名な好投手。恐らく大学入学後も、環境面や練習量は先の坂井、日當が高校で経験してきたレベルと比べても緩かったと思う。それでも入学からの四年間で15㌔スピードアップしたという。身体も細くまだ鍛える余地はある。本人も野球が楽しくなり始めたその入り口にいるのだろう。

 癖のないフォームで腕の振りも柔らかい。ただいかんせん細すぎる。当面、坂井、大内と一緒に陸上部で良いのではと思う。

 六位の中島は青学のプチ伝説的な主将。攻守走、すべて揃っているがそれが欠点でもある、という珍しいタイプ。最大の売りはスピードと粘り。上のレベルでもそれが額面通り通用するかは微妙。選手として当たれば儲けものだが、球団はむしろ将来のフロント入りも込みで評価している気がするな。

 ここのところ毎年逸材が門を叩く青学とのパイプにも期待。代走だけではなくムードメーカーとしても使えます。

 

 最後に一位の古謝である。私がスカウトなら一本釣りを狙って一位で入札指名したと思う。まだ下半身が弱いので即戦力としては難しいが、二年目で一気に開花し、三年目でエース。四年目でリーグを代表する投手に、というイメージ。

 WBCに選ばれるとまでは言い切れないが、活躍しないイメージが湧かない、それぐらいの投手。

 下半身は細いが、失礼だが脚は短いので今でも重心は低くバランスは悪くない。しかしここを鍛え上げれば、軸足のタメや蹴りが良くなるので、真っ先に取り組むべきであろう。しかも撫で肩なので、肘の位置が低くても無理なく腕を振れるため、球の出所を限りなく打者から隠せる。

 右にはストレートで押して、抜けの良いチェンジアップ、フォークで引く。左は外のスライダーとストレートだけでリスクを抑えた勝負もできる。

 繰り返すが活躍しないイメージが湧かない! 怖いのは、石井が同じ左だからと手柄を欲しがってしゃしゃり出ることぐらいか。来年の春は無理であろうが、夏の盛りには出てくるのではないか。いきなりノーヒットノーランでデビューを飾っても私は驚かない。

 

 というわけで、今年一番評価している楽天指名選手について駆け足で点検しました。今頃どこのドラフト系のサイトも同じようなことをやっているのでしょうから、できるだけ変化に富んだ切り口で、今回は控えましたがたとえば占星術や人相学的見地? からも見るようにしています。

 ドラフト的な流れでいえば、ここ数年、楽天に来ていると思うのですが・・・・。

 じゃぁ、来年の楽天の浮沈の鍵を握る、そんな選手が獲れたかといえばそうではない。生え抜きの投打の柱がいないだけに、来期の順位云々の前に、まずはそれを仕込むところから着手する必要がある。

 いきなり投打の柱、などと言うと気が遠くなるかもしれないか。しかし、たとえば今年の阪神の場合など、それを育てている途上で頂点を極めた。つまり投打の柱が育ち切っていなくとも、優勝は可能ということ。

 むしろ重要なのは、その候補がいることとそこへ至るプロセス。必ずや柱になる、そう見込んだ選手を獲って、そして育てる。その過程をファンと共有する。グラウンドとスタンドが一体となってチームの柱を育成できれば、その道すがらであっても思い掛けない景色が眼の前に広がる、そんなこともありえるのだ。

 幸い楽天早川荘司のクジに競り勝ち、今年は外れ外れ一位でも古謝の指名に漕ぎつけた。流れが来ているというのはまさにここ。毎年クジに恵まれるなんてありえないのだから。

 さらに坂井、大内という三年後、五年後が楽しみな投手も手に入れた。来年は全員打者でもいいぐらいの覚悟で逸材の発掘に全力を尽くして欲しい。

 東北を再びクリムゾンレッドに染める日がやって来るのか。すべてはスカウトの腕次第である。