明日から 第105回 夏の甲子園が始まる。前にも書いたが、今年は多くを望まない。選手には甲子園で精一杯のプレーを、そしてお天道様に青空を願うのみ。猛暑はやむをえないとしても、土砂降りや田んぼの中で試合はさせたくない。
しかし天気予報は良くないようだ。週明けから台風の上陸もあるという。その予報が外れることを祈りながら、当極北のブログ恒例の優勝予想をば、執り行いたいと思う。
一応、組み合わせ前に戦力分析をしてみた。
S 優勝候補
A 3勝以上
B 2勝どまり
北海、日大山形、聖光学院、土浦日大、専大松戸、日大三、浦和学院、慶応、東海大甲府、星稜、大垣日大、近江、智弁、英明、徳島商、九州国際、創生館、明豊、沖縄尚学
C 勝つかも
明桜、前橋商、文星芸大付、上田西、富山商、いなべ総合、立命館宇治、北陸、市立和歌山、社、立正淞南、おかやま山陽、山口鴻城、高知中央、鳥栖工、東海大星翔、神村学園
D 勝てない
クラーク、東京学館新潟、共栄学園、浜松開誠館、鳥取商、川之江、宮崎学園
以上である。
予選決勝で綾のついた感のある慶応はBに落とした。らしさを感じられない近畿勢も厳しめに評価している。予選序盤で苦労した智弁学園はB、市立和歌山、社はC。
愛工大名電もBでいいかもしれない。川之江をDにしたのは、愛媛はどうもサッ力ーに人材が流れてしまった気がするから。松山、今治とJ3ながら2チームもできてしまうと、である。
浜松開誠館は結構なチームとの噂も耳にするが、あの目にもどぎついユニフォームでは甲子園で勝つのは難しい。初出場に敷居は高いとみる。共栄学園も同様にかわいこちゃんとの判断だ。
位置的に東京よりも北東のチームを甘めにつけている。近年、東北の充実ぶりが際立つように感じるからだ。一昔前までは日の長い西日本勢優位に揺るぎはなかった。しかし練習を長くすれば良いってもんじゃない、もっと効率的にチーム強化ができる、という方向性が主流になりつつある。そこに乗ってみた。
赤字にしたのは、私自身が注目しているチーム。
まず北海の熊谷は今大会最も見てみたい打者。上田西の横山も同様。東海大甲府の兼松は身体も細く上背も175、 6と大きくはないが、バット、というかヘッドの使い方に非凡なものを感じている。どこの大学に進むのか興味がある。東海大、武道大、ともに右打者の育成がそれほど上手くないので何とかならないもんか・・・・。
投手では日大山形の菅井、土浦日大の小森、徳島商の森煌、川之江の山内にそれぞれ注目。凄みよりもキレを、まとまりよりも一瞬でいいから輝きを確認する作業に努めたい。
大垣日大と近江は監督の采配が楽しみだから挙げた。まさかそれが初戦で当たるとは・・・・。監督フェチの私にとって、今大会最大のサプライズな組み合わせとなった。
それではもったいぶっても仕方ないので、結論を急ごう。優勝は、八戸学院光星を推す! 左腕が二枚いるうえに打線もぶ厚い。守備は正直わからんが、監督の仲井さんの経験、采配力は大会屈指。関西が地元の子が多い点も心強い。以上が決め手か。
去年の仙台育英も優秀なサウスポーが二枚いることで優勝を確信した。ベスト8を狙えるようなチームの主軸には右投げ左打ちの好打者が必ずいる。彼らはたとえ150㌔近い速球を投げる投手であっても右なら打つ。逆に左の場合、140㌔そこそこでも打てない。右の強打者も初見となると左の好投手には苦しむ。恐らく明徳打線が予選で高知中央に捻られたのがこのパターンだろう。
しかも二枚いれば毎試合継投が可能となる。打線が球筋に慣れた時、すでにその投手はマウンドにいない、もしくは打席が回ってこない。
甲子園で優勝したければサウスポーを探し育てよ。これは私が名将と崇める三人の監督の金言である。原は上田で、尾藤は島本で、鶴岡は西田で、それぞれ初制覇を成し遂げた。もし彼らがこの令和の時代を生きていたなら、栄冠の条件は複数の左腕、きっとそう言うのではないだろうか・・・・。
仲井さんが過去三度、決勝で勝ちきれなかったのは頼りになる左腕がいなかったからだ。しかして今年はそれがいる。しかも二枚。八戸学院光星がこの夏優勝すると見る!
では有力校について触れておきたい。
まず本命仙台育英であるが、高橋、湯田、仁田の三人の150㌔トリオは確かに脅威。だが左は一枚、そこが物足りない。
対抗とされる広陵は打力はあるが、高尾、倉重ともに好投手の域を出ない。少し綾をつけるなら、最近の広陵から即プ口注の投手が出ない。あれだけ全国から集め、しかも甲子園でも結果を残しているだけに少し寂しい。選手権を制覇できない要因はそこではないか。夏が打撃重視なのはわかるが、威圧感のあるエースの存在が待たれるところだ。
慶応はスパイクを白に仕立て直したところに本気を感じるが、才能のある選手、という観点では投打ともに決め手を欠く。優勝に対する渇望も感じない。ニつ三つ勝って満足して帰る、 そんな感じがする。
名電はいつものチームとして仕上がっている。仕様通りだろう。
履正社は左腕を二枚揃えてはいる。ただ監督の多田さんの力量が未知数であるため消しとさせていただいた。悲願であった大阪桐蔭を破っての出場であるが、果たしてこれをもって若葉マークが取れたと言えるのか? 劣勢の場面で精神的支柱になれるのは、キャプテンではなく監督だと思っている。その役割を担えるか見届ける場としたい。
また選手も上品な北摂の子が多く、大阪らしいギラギラコテコテ感が伝わってこない。四年前の桃谷のようなキャラが欲しかった。
それでは枠ごとに能書きを垂れたい。
まず1枠。
名付けて不思議ゾーン。
どこが勝ち上がってもおかしくはない不思議枠。こういうケースに抜け目なく勝ち上がる地元近畿勢も入っていない。最もスタンドが盛り上がり、熱心な応援を受ける沖縄尚学がそれを背に勝ち抜けると見た。
次に2枠。
文字通り死のゾーン。
慶応、広陵が三回戦で当たる。もったいない。しかも共に二戦目。どちらかがエンジンのかからないまま甲子園を去ることとなる。それはどちらか? 恐らく広陵ではないか。つまりここからは慶応が上がって来る。和製ボンズ爆発にはもう少し助走期間が欲しいところだ。
3枠
八戸楽勝ゾーン。
そのまま八戸学院光星が無風でいきそう。
4枠
日東国専ゾーン。
日大が一校、東海大が二校、九州国際大が一校、そして専大が一校。それぞれ申し合わせたように付属校が集まった。投手力が最も厚い専大松戸が堅い。
5枠
前年度覇者仙台育英試練のゾーンとしたい。仙台育英、浦和学院、聖光学院、履正社と強豪チームがここに集まってしまった。順当にいけば仙台育英は初戦で浦和学院、二回戦で聖光学院、そしてベスト8を賭けて履正社と戦う。まさに茨の道を歩むこととなるのだろう。物語としては良いが、やはりキツイ。仮に対戦相手が変わっても、実力のあるチームを破り勢いに乗った相手と戦うのだから。
この組み合わせが決まって、すでに仙台育英の選手は緊張に包まれているのではないか。精神的なゆとりを失っていなければいいが。
あえて申し上げれば、初戦は何とか勝ちを収めるが、二回戦で勝手知ったる聖光の前に散るのではと予想する。結局二回戦まで楽な相手に恵まれた履正社が浮き上がるのではないか。
6枠
花巻東漁夫の利ゾーン。
ここには英明、智弁、名電、徳島商が密集する、今大会最も過酷なブロックがある。あえて大胆に攻めた予想をすると、智弁は英明に、名電は徳商にそれぞれ喰われるのではないか。背景には四国勢のセンバツでの優遇が来年から廃止されることを挙げたい。それに対して勝利で抵抗するのか、大人しく受け入れるのか。前者と解釈した。
だが結局は、三回戦まで力を温存できた隣のブロックの花巻東が勝ち抜けるでしょう。
7枠
日大付属ゾーン
8チームのうち、3チームが日大付属校。実力はどこも似たり寄ったりだが、日大山形と日大三高が争い、監督の経験がものを言い日大山形に軍配。
最後に8枠。
Cランク団子ゾーン
明豊と北海の勝者がそのままベスト8に残ると見た。共に名物でもある強烈なアゲアゲホイホイ応援南北対決は必見だ!
ベスト8以降は組み合わせもあるので何とも言えないが、勝ち上がった八校の中で、ここまで個別に触れることができなかったチームについて少し。
まずは専大松戸、投手陣は強力。毎年よくぞここまでレベルの高い投手を育て上げられるものだと脱帽。しかしエース平野の不調と、持丸さんの欲の無さがどう出るか。
北海も慶応と同様に八強で満足しそう。
沖縄尚学の東恩納は春から数段良くなった。しかして炎天下で連投を乗り切れるキャパまでは感じられない。沖縄の子らも兵庫県南部の異様な暑さと湿気には参っていることであろう。
日大山形が勝ち上がれば、荒木さんはやる気満々で逆に気負い倒すと思われる。いらぬ準決以降まで意識して、挙句エースを温存し必敗パターンをやらかしそうだ。
花巻東は決勝まで勝ち上がると見ている。佐々木さんはこれまで、甲子園では勝ち運にもクジにも恵まれたことがなかった。それだけにここいらで一気に取り返すのではなかろうか。
優勝に挙げた八戸学院光星についても、もう少し書いておきたい。
決して強いチームではないが、隙のない負けにくいチーム。唯一の不安材料は地元出身の子がスタメンにゼロな点か。しかしもうそこは赦されたと思いたい。
ここまで青森勢は甲子園で四度の準優勝を経験している。そして去年、遂に宮城に先を越された。県民の悲願はまず優勝にこそあると思う。
というわけで、ここまで私の予想というよりも妄想にお付き合いいただき感謝申し上げる。あくまで話半分という前提。優勝予想の八戸学院光星といえども、初戦で明桜にコロッと負けることもありえる。保険をかけるわけではないが、そのあたりはご容赦願いたいものである。
最後にであるが、「週刊朝日」から「AERA」増刊へと切り替わった甲子園特集号について。扉を飾った女子高生が、そのまま朝の連続ドラマのヒロインに抜擢したいぐらいの美少女である。このように表紙が見事に決まった回の甲子園は盛り上がる。私の取って置きのジンクスを終わりに添え、結びとしたい。