Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

沈む虎

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 昨日は酷かった。一軍も二軍も・・・・。

 どっちも放送があり、しかも珍しくどちらもナイター。つまり同じ時刻スタートでした。夕方から世話しなくあっち観たりこっち観たり、開幕を信じプロ野球セットに入り続けておいて良かった♪ となるべきはずが、そうはさせないところがさすが我が阪神! 親子共々見事な討ち死に。しかもそこは親子の血の成せる業か、同じような展開。つまり大敗。貧打の上に大量失点。見どころが全くなかったとこまでおんなじ。「勝敗は抜きに、少しでも良いところが必ず来るはず」、と必死にチャンネルを小刻みに変えて両ゲームを追い続けた自分が情けない。昨日の試合についてはもう何も言うことはありませんわ。

 土曜はよーいどんでチョンボがあったり、采配ミスが続いたりで完全な負けゲーム。それを一軍に当日上がったばかりの二人のおかげで勝ちを拾いました。ならば俄然流れはこちらに来ていると見るのが常道! のに、先発の中田がその初回、見事にそれを相手に押し返してくれましたわ。せっかく良くなりかけていたチームの雰囲気も、たちどころに鎮火してみせたのだから誠に罪深い。

 この中田、実は春先から何かと特別扱いを受けており、紅白戦やオープン戦、練習試合とほとんど成績を残せていないのに何故かチャンスを与えられ続け、そしてしっかりと三節目で誰かさんの思惑通り先発に割り込みました。これってほとんど談合やろ・・・・。

 ちなみに彼は去年もSBでまったく出番がなく、無償トレードでうちにやって来たのですが、彼に託された背番号はなんとエースナンバーの”20”! これだけでも彼の扱いが破格であったことが伺えますね。

 まぁ私も球団がそこまでアホやろとは考えていなかったので、中田は当面二軍で様子見やろなと思っていたわけですが、我ながら甘かった・・・・。

 中田は荒れ球が持ち味だけに、中継ぎでは使えません。彼が一軍にいる限り次の先発があるということになるのですが、本当にそうなるのか、実に興味深いですね。中田の起用法で矢野監督以下、首脳陣の能力や目指すところを垣間見ることができるかもしれませんぞ。我々ファンにとって中田は、実に嫌な表現ですが一種の”暗影”なのですよ。糸原や坂本がまだまだ可愛く思えるほどに・・・・。

 ちなみに王者SBの二軍戦には、内川が四番DHで出場していました。デスパイネやグラシアルの枠が空いているというのに、調子が上がらないと見るや一軍に帯同はさせず、きっぱりと二軍での調整を命じるあたり、やはり流石だなと思います。つまり、功労者だからとかFAで来て下さったからとか関係ないのですよ。言うまでもなく、そこにSBの連覇の理由を垣間見る思いがしました。

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 そういえば、ダイエー時代からの生え抜きの松中も、晩年は二軍漬けでしたね。当の昔に不惑を過ぎたというのに、真っ黒になって二軍戦に出ていました。うちの鳥谷の扱われ方とは対極にあったと言える。あれは両者にとって果たして正しかったのか? 当の本人は何を思っていたのか? なんとなくであるが、鳥谷は大して感謝もせず出て行ってしまったように感じるな・・・・。

 一つ言える事、それは松中の無念をSBの二軍選手や育成選手がしっかりと受け止め糧にしたということ。嫌われてるってな話はよく耳にしましたが、それでも最期まで男だったと思いますよ、ええ。一方、鳥谷にもあったであろう猛虎魂はどうなったのでしょうね? 受け継ぐ選手はいるのでしょうか? どうも宙ぶらりんになっている、そんな気がする今日この頃です。

 

Series TWO TRIBES Ⅰ

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 火曜日に阪神がついに宿敵スワローズ相手に今シーズンの初勝利を上げました♪

 今年は変則日程なので100敗も覚悟していました(白目)。がっ、これで波に乗ってくれるでしょう。昨夜は逆転サヨナラスリーランという劇的な敗北を喫しはしましたが、あくまでも負けは捕手梅野に付くので、矢野監督の頭の中の星勘定は、実質勝ち越しとなりました。メデタシメデタシ!

レジ袋一斉有料化までに借金完済だ!(半分本気)

目指せ優勝!(眉唾)

頑張れタイガース!(棒)

 しかし、である。好事魔多し、試練は容赦なく虎を襲う。なんと当ブログでも一押しの守屋が右肩痛でまさかの離脱っ・・・。

 二年連続50試合登板と言わず、今年は70試合ぐらいを目指して投げて欲しかったのに、そうすれば奇跡の100敗も視野に入ったはず。こうなったら主将糸原には200出塁をお願いします。

 そして、守屋の登板数の替わりはそうそうないのですが、坂本の先発マスク数を新しい指数として加えることにします。もちろん残りの試合はすべてスタメンを期待しています。

6月25日現在

阪神借金数:4 ↑

Joker糸原 出塁数:7 出塁率: .318↓

クラッシャー守屋 登板数:2 与死球数:2

真っ黒坂本 先発マスク数:1 ← new

 

 さて、本日は定点チェックの三回目ということで、確かブログ開始直後に、アメリカと中国、アフターコロナの勝者はどっちだ、というようなことを書きました。ので、それの定点チェックをと思ったのですが、これってよく考えてみると、今後ブログの中でずっと追い続けていくべきテーマなのですよね。というわけで、米中対立ということで切り出してシリーズ化します。今日はその一回目です。

<本日の出しもの>

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トランプは長江を泳いだのかっ!?

 アメリ中国 この二つの国が、今後の世界のカギを握っていることに異論はないでしょう。「Gゼロ」の名付け親である政治学者イアン・ブレマーあたりは、ロシアを混ぜたがったり、EU新興国なども侮るなかれとか言っていますが、もうそんなこと言い出したらキリがないので、私はこの二国で良いと思っています。

 コロナに終息の気配が見られないだけに、色々と応酬が続いていますな。

□ トランプ米大統領、中国からの批判に「醜行」 (5/21)

□ 中国外相、アメリカが「陰謀論」拡散と批判 新型ウイルス (5/25)

□ 米死者10万人超 トランプ大統領 中国を改めて非難 新型コロナ (5/29)

□ 米議会で「ウイグル人権法案」可決 米中関係さらに悪化も (5/28)

 でっ、当然二つの国だけが争うのではないのです。周辺の国、というか世界のほとんどの国がこの争いに巻き込まれていくのだろうと思います。ただ、この二つの国が陣営に分かれて戦争する、もしくはその準備をするとかではなく、価値観を元に分化していくのだろうと。

 つまり、この二つの国の対立の構図には "民主主義国家" か、"そうでないか" が焼き直しで重なってくるということです。

 よくアメリカが内向きになったとか、世界の警察の役割から降りたとか言われていますが、果たしてそうか? 実際にWHOから脱退し、WTOへもそれを仄めかし、国連人権理事会からも脱会しました。それだけではなく、国連については分担金を滞納し、TPPからもパリ協定からもユネスコからも離脱・脱退を繰り返しています。それらをもって、アメリカが引き籠ったというのは容易いですが、私には、こういった一連の行為をアメリカがするたびに、「また駄々をこねている」 と感じると同時に、トランプが前回の選挙で掲げた"Make America Great Again!" のフレーズを思い出すのです。

 端的に言うと、アメリカは今の枠組みに満足していないのでしょ。もっとはっきり言えばうんざりしている。だから決して引き籠ったのではなく、世界に新しい秩序を築き、そこでまた主役に返り咲きたいのだ、そう言っているように感じるのです。じゃあ差し当たって、どこで主役になれていないのでしょうか? その象徴はなんと言っても中国が提唱し主導する "AIIB" でしょ。アメリカはあれを絶対認めることができないのです。

 ”AIIB” には、まずイギリスがG7の中では先陣を切って参加を表明し、以降、雪崩を打ってG7では日本以外のすべての国が加盟してしまった。つまりカナダまで加盟した。それが16年の8月の最終日。きっとアメリカにとっては耐えられない屈辱だったのではと思うのです。あれはちょうど大統領選挙の直前でした。あの当時トランプが国内でさかんに叫んでいた例の呪文、”Make America Great Again!” が、果たしてどのように人々の心に響いたのか、そこに思いを馳すと、あの選挙結果もすんなりと胸に落ちる気がするのです。

 つまり、アメリカは内向きになどなってはいない、あの呪文の根底にあるものとは、気に入らない今の枠組みを新しいものに作り替えるぞ、ってことだと私には感じる。あえて中国的に言うならば、あの呪文はシグナルなのですよ。そう、毛沢東が長江を泳いで見せたように。

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 じゃあ、新しい枠組みとはなんぞやといえば、それが、"民主主義国家" か、それとも "そうでないか" を改めて問い直し、シンプルにその価値観の元に繋がり直そうというものではないかと。 

世界:中国 = 日本:韓国?!

 そもそもこの二十年、世界は中国に対して寛容でした。見返りとしてビジネスチャンスにたくさん恵まれました。しかし、良い面だけではなく、悪い面も積み重なって、トータルでいえばそっちの方が目立つようになり始めた。だから国際的な枠組みを見直す良いタイミングだというのは、事実としてあるのだと思うのです。

 ちなみに、この世界と中国との関係は、日本と某国との関係と限りなく相似形です。つまり日本は予習のチャンスに恵まれていたといえるのでしょうね。その割にそれを活かせてはいないか・・・・。まぁ、”AIIB” に参加しなかったことは、低迷が続いた平成期における唯一のメガヒットだと私は思っています。

 ただ、価値観を選択するという行為のその前に、それをするタイミングがいつなのかという話は出て来るのでしょうね。

 香港台湾が熱いのは、彼らにとって、その選択がまさに今だからです。

 しかし、あれを中国との位置関係が問題なのだとか、香港は中国の一部だからね、などと言っていたら、大変な目に遭うのではないでしょうか。オーストラリアも試され始めている状況なのですから。ただそれ以外の国は、できるだけそれを先送りにしたい、というのも共通する本音でしょうね。

 ドイツやイタリアあたりは平気で良いとこどりしようとするでしょうし。特にドイツは絶対に渋る。なぜそんな選択を、一方的に迫るのかと。

 余談ですが、トランプがメルケルと致命的に合わないのはよくわかる気がします。メルケルにとって中国の存在は多様性の象徴のひとつぐらいにしか考えていないからです。社会主義下で育った彼女にとって、中国の言うことはごく普通であり、一種の原風景なのかもしれませんから。

 どこの国にしたって、選ぶとすればそりゃ間違いなく "民主主義国家" だけど、今はその時ではないだろうと。つまり、まだ中国のマーケットを当てにしているわけですわ。まずは国民を喰わさないといけないでしょと。価値観やイデオロギーで飯が食えるのかと。

 それと、そもそもトランプ自体が、大統領選挙を前にして、自国の農家の票のことを考えて、それを当てにしてまだウニャウニャと言っている有様ですしね・・・・。 

www.nikkei.com

 中国の付け入る余地はまさにそこなので、そこについて、そろそろ真剣に考えなければなりません!

 

社会・共産主義 ≧ 自由・民主主義!?

  東西冷戦も二つのイデオロギーの争いのように思われがちですが、当時の西側では資本主義自体がまだ成熟していなかったし、敵の手の内、つまり社会主義や、それが目指すところの共産主義が何たるかを判ってはいなかった。個人的に言えば西側は東側のポテンシャルを買い被ってもいた。それが絶妙なバランスを生み、実力差は甚だしかったのに戦後から東西冷戦終結まで半世紀近くを要したように思います。まぁ、日本はその時間と地理的な旨味を最大限に活かしたと言えますけどね、テヘッ。

 実に人間臭い社会主義の、その奥にあるという、共産主義の周りは常に理想によってキラキラと装飾されていて、西側の人間にはよく判らなかったし、騙されもした。私もコロッといったクチですわ、テヘペロ。

 しかし、未だに共産党は小池氏の弁によると、「旧ソ連は『社会主義』を冠してはいたけれども、民主主義はなく、覇権主義はひどかった。社会主義が失敗したのではなく社会主義とは縁もゆかりもない社会が崩壊した・・・・中国については・・・・香港では人権侵害の弾圧。そういう意味では社会主義をめざす国』という根拠はなくなった(原文ママ)」と語り、さらに共産党は「資本主義時代の自由と民主主義などの成果をすべて受けつぐ・・・・最も人間の個性・多様性を大事にし、自由と民主主義を守る政党なんだ(原文ママ)」だって。うわっ、なんかまだこんなこと言ってます・・・・。

 

www.jcp.or.jp

  凄い、まったく凄いぞ・・・・。

 まず、ソ連の失敗は社会主義の失敗としてカウントしていないところが、どういうんだろう、あえて言えば新しい、いや実に怪しく新しい解釈なのですよ。思わず "ヤルはこいつ" と呟いた。少なくとも社会主義そのものは間違っていないと言い張るところや、シレッと自由と民主主義を守ると言い切るところも見事であり、相も変わらず、少しは学べよ、そう突っ込みたくなる。

 それと”資本主義時代の”ってところこそがミソなのです! ”時代” ってことは、今とは区切られ世の中が "社会主義共産主義" (共産党は二つを便宜上? 一緒にしている) に変わるってことだから。いやぁ、本当に騙されないようにしてくださいね。だいたい民主主義を守るっていうのなら、民主主義のままでええやろっ! なんでそこに気づかん?

 蛇足ですが、久しぶりに赤旗日曜版をチラッと見ましたけど、宇都宮先生に室井、浜、山口というオールスターキャストですっかり胸ヤケしました、そして北原みのりがそこにいないのが少し寂しい。でっ、今週の 「ひと」 は海老名香葉子さんだそうです。赤旗も人選べよと。よりによってって感じするぞ。どうせいつもの空襲と絵本の話ばっかりなんだろうけど、特集するからにはちゃんと脱税の経緯についても一通り訊くんだろうな! こういうウラオモテのあるところが共産党はダメなのだとつくづく思うのです。また、そういう人がワラワラと集まってくる。一種の磁場なのだろうか? 疚しい人が引き寄せられ、そこへ行くと不思議な光でも浴びて、どこまでも正しく清貧な人、もしくはそういった人に心から寄り添う篤志家にでもなった気がするんでしょうね。なお、今週の赤旗日曜版には前川喜平さんが登場します、トホ・・・・。金平兄さんも呼べよ!

  話が大きく逸れましたが、元に戻すと、東西冷戦というのは価値観ではなく、ただの縄張り争いだったのです。なのでイデオロギーなんてみんな後付けだったと。でっ、翻って今回の米中の対立はといえば、本当に価値観が問われる争いになるのだと思うわけです。つまり、冒頭であえて "民主主義国家" か "そうでないか" と書きました。なぜ、"そうでないか" で大きく括ったのかというと、そこを "社会主義" とか "共産主義" とか "社会主義共産主義" とかを入れたところで、もうどうにでも先の小池氏のように逃げ回れるわけですよ。更に言えば屁理屈こねて、例えば ”新自由主義” ってやつも出て来る。「わしらは新自由主義やから保留やで」、とか言い出しそう。そうなってくると市場に政府の介入を容認するニューリベラリズムと、その逆のネオリベラリズムがいて更にややこしくなる。

 しかしこれだけは言える。あらゆる国が総じてコロナ対策や自国の景気浮揚策にジャブジャブお金を入れており、まさに非常事態である現状において、何人もそれを否定できない以上、今さら ”新自由主義” だの ”グローバリストだから” は通じはしないと。

 なので、もう一つそこに重ねるものが必要になるわけです。それは "法治国家""独裁国家" かということ、つまり、米中の対立の構図は、三重映しに重ねると判りやすくなる。

 まさに今、香港の人々巨大な独裁国家と闘っているということなのです。

 そして、差し当たって我々が、彼らの身に起きていること、つまり中国の抱く国際的野心と闘うことを自分のこととして捉え直したうえで、何ができるだろうと考えた時、それは、まず中国が ”法” を守らぬ独裁国家であること、その証拠を集め、それを広く世の中に伝えることなのだろうと思うのです。そして、”法” の下の平等・人権というものが果たして中国ではどうなっているのか、ここについても同様。そして最後に彼らの言う "法" が何であるのかを突き詰めること。はっきり申し上げるなら彼らの言う "法" とは多くの部分で "情" と重なっているのだと私は個人的に解釈しています。"法" は揺るぎのないものなのですが、"情" は流されるものです。だから我々はそういった中国の非常識な部分を問い続けなければならないのです。

 それと現実的な問題として、中国のマーケット抜きにしては自国の経済が成り立たない状況が生まれています。そういう意味では、コロナで国と国の行き来ができなくなったまさに今、ある意味我々は "中国なき世界" を先駆けて疑似体験できているのです。だからこの状況を嘆くのではなくチャンスと捉まえ、自分たちの内にそれを創出しようと試みることが求められているのだと思うのです。中国を当てにするのではなく、新しいお客さんや仕入れ先、工場や従業員を探すのです。もちろん簡単なことではないのですが、新しい市場やサプライチェーンをできるだけ早く築くべきです。そのためには価値観を一にする仲間と共に行動すべき時なのです。

 なので、このシリーズでは並行して、”TPP” ”セキュリティダイヤモンド構想” などの現状についても随時取り上げていきたいと思っています。

www.kantei.go.jp

newswitch.jp

定点チェック② コロナ後の世界と日本

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 昨日は阪神は負けませんでした。やれやれです・・・・。当面心穏やかに過ごせるのは月曜だけになりそうです。

 さて、昨日から定点チェックと称して、これまで書いた内容の点検作業をしているのですが、今日はその二回目ということで、主にコロナネタについての振り返りをしておきたいと思います。

<本日の妄想>

コロナ第一波検証

 まず今月の初めに、コロナ第一波については上手く凌いだ、というようなことを書きました。まぁ、どこまでが第一波だったのかというのもあるわけですが、こういった結果が出たということは、一つの節目を迎えたと言えるのではないでしょうか。

medical.nikkeibp.co.jp

 

 東京の人口をざっくり1,000万人として、その0.1%が陽性反応を示す感染者であると仮定した場合、その数約1万人。先週時点での都内の感染者累計が5,800人弱なので、おおよそ半分以上は把握できていたということになります。日本最大の過密都市において、国は計画的で十分なPCR検査をしていたと言えるのでは? ワイドショーやニュースショー的に言えばどうなるかは知る限りではありませんが。

 それと、都内の感染死者数をちょろまかしているという噂もありましたが、ここでは共産党系の病院が網の目のように張り巡らされているのでそれはありえない、というかできっこないと書きました。どうやら海外発ですが、日本のコロナによる亡くなられた方の数が妥当というような記事が出たようです。でも、これが果たしてどこまで正確なものなのか、ちょっと私には判りませんので、あくまで参考に、

www.bbc.com

 

 次に、コロナだろうとジタバタすんなっ、という男前な対応を貫いたブラジルとスウェーデンの二つの国がどうなったかです。でっ、まずブラジルについてなのですが、もうやめといたほうが良いかと。前も散々その惨状については紹介したので、そっちではなく、なんだかんだで先月の中旬頃まで上手くいっていたはずのスウェーデンについての最新状況です、

www.newsweekjapan.jp

 

 先月末から感染の勢いは増しているとのこと。

 スウェーデンの強みとは、エビデンスに支えられていること、強くブレないリーダーシップが存在すること、さらには情報の透明性、国全体としての協力体制があること、だそうです。ので、きっとこの難局もこともなく乗り切るのでしょう。ぜひ在住の日本人医師や翻訳者兼エッセイストの方のコメントが欲しいところですね。続報をお待ちしております。

 でっ、思うのは、日本だけなのか世界的な傾向なのかは判りませんが、よくある北欧押しについてはしっかり見極めたほうが良いのでは。一時あったスローライフ押しもなんだかよく判らないうちに収束したように感じる昨今、先進国とはどこか一線を画すような姿勢がカッコ良いのは確かです。それ故北欧に対する憧れについては昔からあるのですが、まぁ、好き好んで移り住んだ方が褒めそやすのは当たり前の話ですから、そこを割り引いて考えといた方が良いと思うのです。先日も書きましたが、治安もそんなに良くはないですし。 

 それとスウェーデンといえば、今や時代の寵児であるところのグレタさんですが、彼女の場合も北欧の女の子であることが、何んというか妙な説得力を育み、それを増殖させているように思えてならないのですよね・・・・。

 

ロンドンで感じた一抹の寂しさと安倍再選について

 ここから思いっきり脱線して余談になるのですが、去年の12月の頭にロンドンにたまたまいまして、ピカデリーサーカスを歩いていたら、年の頃は高校生でしょうか、自然環境保護を訴えるデモをやっていました。結構な人数で、こりゃ動員もかかっているなぁ、グレタちゃん効果恐るべし、などと思いながら眺めていたのです。でっ、その日の夜になってTVのニュースで知ったのですが、ちょうどNATO70周年の首脳会合があり、各国のトップがロンドンに集まっていたのでした。つまり、彼らVIPに対するアピールだったわけです。おかげで地下鉄が止まったりしましたが・・・・。

 何でもメルケルマクロンはもちろん、トランプやトルドーもバッキンガム宮殿での晩餐会に出席したとか。それを知った時、不覚にも日本人としてこう感じてしまったのですよ、G7で蚊帳の外はうちらだけってこと・・・・。何か妙に寂しかったのです。

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 翌日から首脳会議が行われてロンドン宣言が出されました。戻ってから日本のメディアがどの程度これについて取り上げたのか確認したところ、正直それほど大きくはなかった。まぁ、NATOについては関係ないっちゃないわけですし、しゃしゃり出て大袈裟に取り上げること自体がおかしい。実際、会議の内容は惨憺たるものだったようなので、そこだけは胸を撫で下ろしましたが、それでも妙に心細かったですね・・・・。

www.afpbb.com

 そこで思い出したのが、これはサラリーマンを経験したことがある方ならば判ると思うのですが、この三十年で分煙が進んだ関係で、どのオフィスにもそれなりの設備の喫煙室が用意されています。それであそこには、それこそヒラから上は役員クラスまで集まる場になっているようなケースもあるのですよ。それで、ネットワークというかコミュニティがそこで出来上がっていて、結構重要な話もしているのですわ。”例の件、あの線でいくか”、みたいな。これはゴルフや飲みも同じです。でっ、私はといえば、タバコも酒もゴルフもしません。だから会議が、ある時点から急に違う方向に進み出して、こっちにすれば意外なところで落ち着いた、という経験を何度かしました。つまり、会議以外の場で根回しが済んでいたというわけ。まぁ、冷や飯喰うのは慣れているので仕方ないかって諦めるのですが、それと同じような悲哀をBBCのニュースを眺めながら日本人として感じていたのですよ。

 私は休みの日にゴルフ行くのも、仕事終わってから飲みに行くのも、タバコも喫いたくはありませんので、これはこれで良いのですが、国のトップにはそういったコミュニケーションはしっかりと抑えられる人になって欲しいものだな、というのは確実にあります。なので、安倍総理がトランプとゴルフをするような関係というのは、日本人として申し上げるなら絶対に続けて欲しいのですよ。

 もし、同じ職場に韓国の文大統領のような方と、安倍さんのような方がいたなら、私が親しくなるのは前者だと思います。シンパシーを感じ合うのも恐らく前者でしょうし。でも、一国を任せるトップには、後者でなければならないと個人的に思うのです。

 何もトランプのような絶対的な権力者に阿れば、美味しい目に預かれるからというのではありません。情報を共有する場があれば、どういう場であれ必ずそこに行ける人間であって欲しいということです。そこで得た情報を元に選択肢を増やして欲しいのです。それが国益に適うと思うからです。

 ここのところ支持率も落ちている安倍総理ですが、今、コロナで全世界が不安定な状態に陥っているのです。できれば後三年はお願いしたい、と個人的には思っています。 

 メルケルEUの女王に君臨できるのも、結局は長いことやっているからです。言うまでもなく、中国はその幸運を最大限に活かしたわけです。またプーチンの力が隠然とあるのも同様。じゃあ一方、日本はどうだったかと言えば、バブルの弾け切った92年から、東日本大震災の復興に明け暮れた12年までの二十年間で、実に14人もの総理が入れ替わり立ち替わり来ては去り、その間には小泉氏のように四年半やった方もいましたが、それでも均すと一人あたり平均在籍期間はわずか一年半。ということは小泉氏を抜くと一人あたり一年とちょっとってこと。これでは国力落ちますよ。舐められます。周りから大丈夫かって思われます。あの時期日本は機能不全というか、明らかにおかしかったのです。

 今、オーストラリアが中国にNOを伝え始め、カナダにもその動きは見られる。NZは微妙ですが、香港や台湾も世界に向かって情報を発信し存在感を示し始め、新しい世界秩序というか枠組みが生まれようとしています。

 イギリスが抜けたEUも、第二波、第三波があるでしょう。メルケルの後を誰が継ごうとも、マクロンと上手くやるのは無理。ドイツとフランスは早晩袂を分かちます。メルケルさんがフランスと上手くやれたのは、彼女が色んな意味でドイツ的ではなかったからです。西ドイツで生まれ東ドイツで育った彼女は、結局、西ドイツの人でも東ドイツの人でもなかった。それがフランスと向き合う際に上手く嵌った。あの二国に亀裂が走れば、イタリアはシレっと中国やロシアと手を組もうとする可能性も大いにあります。もう、コロナ後の世界は何が起こるか判りません。何せどの国もコロナで火の車。そんな難局だからこそ、日本だけではなくコロナ後の世界を安倍さんに引っ張って欲しいと思っています。経験豊かな安倍総理であれば、トランプを宥めながら上手くやるのではないかと。

北欧と日本の不思議な関係 

 最後に北欧ネタをもう一つ。

 日本人というのが果たして何処から来て、日々話している日本語というのはどのように成り立ったのか、極東の孤島に住む我々にとって興味のあるところではないでしょうか。

 実はそこを解き明かそうと精力的に動かれている方がおられます。

 基本、ブログを中心に活動されている方のようですが、どうやら我々の言葉、日本語というのはフィンランド語と徒ならぬ関係なのでは、という仮説を立てておられます。興味のある方はぜひ覗いてみてください。

www.jojikanehira.com

 

定点チェック ① 虎の明日はどっちだ !?

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 楽しんで頂けましたでしょうか? プロ野球開幕三連戦。我がタイガースは、まるで吉本の若手芸人のようにその身を投げ出して思いっきりズッコケてみせ、世間の笑いを取ってくれました。言い訳はしません。阪神優勝をここでぶち上げた以上、自らの不明をお詫び申し上げます。まぁ、看板は下ろしませんが、今シーズンの戦い方というか、傾向が見えてしまった、ファンにとってはそんな残念な三試合でしたね、ええ。

 ということで、書きっぱなしはいかんので、これまでの内容を振り返るなり、答え合わせをするなりはしていきたいと、ブログを始めた時から思っていたわけで、でっ、その初っ端、一回目はまさに先日開幕前に書いた内容を点検します。気ぃ重いわぁ・・・・。

 

<今日の献立>

 

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開幕三連戦に見る当世阪神気質 

 しっかし、凄かったな、ボーア・・・・。メンタル大丈夫か・・・・? 見ての通り、気立ての優しい良い男なんですよ。イチローにくっついて日本に来るぐらい。どデカイ図体に似つかわしくない子分肌で。野球には一切関係ないですけどね、ええ。次節以降、矢野がどう扱うのかも注目です。一つ言える事は、左投手は打席に立たせない限り打てるようにはならないってことですわ。

 それとお詫びなのですが、前回の更新内容、対談形式を何とか上手く表現しようとして、エクセルで書いたのを画像にして貼り付けたのですが、非常に見難い仕上がりになってしまいました。申し訳ない。スマホでは特に酷かったと思います。時間ができ次第、修正いたします。

 ボーア以外で個人的に一番興味深かったのは、北條と坂本です。まずは北條! 三試合とも食入る様に観てましたけど、思わず両手両膝ついたのは二試合目の彼の最初の打席だけです。もう、やる気あんのかと、殻を破る気はあるのかと・・・・。伸びる余地があるだなんて、一瞬でも思ってしまった自分を許せない。

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 今年も所詮左専用機なのか、右投手でも使ってみようかなって思ってもらえるのか、その真価が問われる左腕田口に対する今シーズンの注目の初打席、初球はアウトコースへの真ん中をあっさり見逃し。二球目は外から入って来るボールからボールの変化球を振らされてファール。三球目はアウトローへズバリで渾身の三球三振・・・・。田口が良かったのは事実ですが、内容無さ過ぎ。得意とされている左腕からもたった三球で片付けられたという屈辱の打席でした。次の打席、なんとか四球を選んで出塁しましたが、三打席目は右腕ビエイラ登場で糸原に化けて終わり。一打席目の内容があまりにもアレだったので、替えられたのでしょうね。

 いつか北條について時間があれば詳しく書きたいのですが、左しか打てない右打者というのは、入って来る球は打てるけど、逃げていく球は打てない、そういうことだと思ってください。江越や中谷も同じです。

 でっ、課題とされる右投手の北條への配球というのは、基本初球は必ず外へのストレートか外へ逃げるスライダーかカーブ。二球目はそっちのうち投げなかった方。インコースで起こすこともありますが、あれこれと挟んで最後は外への直球か逃げる変化球で終わり。こう書くと常に三振してそうですが、あれこれ挟んでいるその最中の失投を何とか仕留めて自身の存在を繋いでいるのが今の北條の立ち位置です。

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 もちろん、毎回このパターンではないのですが、ここという勝負所は必ずこの攻めです。でっ、私が言いたいのは、何故必ず投げてくる外へ逃げる変化球に手を出さないのか、という点なのですよ。苦手なのは判っていますが、結構失投もあって、肩口から入って来るようなケースもかなりの確率であります。ですが、去年までの北條は、まったくそれには手を出さないのです。もちろん例外はそれなりにあって、例えば去年のCS初戦で横浜の国吉からスライダーを何とか食いついたら、前進守備なので勝手に外野手の頭を超えて三塁打になったやつなんかがありますが、あれは恐らく前の打席からの流れで勢いに乗っていたのでしょうね。普段はほとんど手も出しません。何故か? 多分、それに手を出していると、そのうちボールになる外スラにも手が出るようになってしまうことを懸念しているからだと睨んでいます。つまり、自分のスタイルが崩れる。だから北條はアウトコースのストレートにも基本、追い込まれない限り手を出しません。本人がどう思っているかは判りませんが、そんな北條を物足りなく思うのはファンもベンチも同じでしょう。なので、彼は左投手専用機の扱いを受けているのです。

 翻って土曜の一打席目なのですが、対左腕であっても、今年の自分は違うんだという痕跡を示す、つまり右投手でもチャンスをもらえるようになる、その可能性をアピールしなければならない打席だったのですよ。にもかかわらず、得意とされる左投手のケースでも、外のストレートを見逃したわけです。一応入って来る球ではありますが、多分、今年の初打席なので、まずは自分の得意なところを待ち続けたのだと思います。つまり真ん中から内よりを張り続けた。しかし、三球ともアウトコースを続けられ、結果、それは来なかった、ので見逃しの三球三振。

 私としては、何度も言いますが、何故それを打とうとしないのか、喰らい付かないのか、となるわけですわ。アウトコース主体に組み立ててくるのは百も承知のはず。ならば踏み込んで打ちに行けよと。北條が真ん中からインコースを得意にしていることは誰もが判っています。ジャイアンツもわかっているのです。つまり、野球は相手があってのことですから、田口にしてみれば、北條に仕事をさせないことこそが彼にとっての仕事なわけです。それで三球目もアウトコース。そして手が出ず見逃し三振、つまり、北條には踏み込んで打つ気などなかった。今年も去年のように打てる球だけをシンプルに待つことに徹します、ということ。それはファンにも見て取れたし、当然ベンチにもしっかりとメッセージとして伝わりました。あれじゃあ右も打てんわ、というシグネチャー込みで。

 ”今年もまずは自分のできることからやります!” この打席から、そんな北條の声が聞こえた気がしました。さらに言えば、それは今の阪神というチームのマインドを代弁する台詞にも思えたわけですよ。そこからは自分達の可能性の領域を広げようという心意気がまったく伝わっては来なかった、そんな嫌な三連戦でした。

やっぱり出てきた坂本誠志郎

 正直、二戦目、梅野が外れて原口がスタメンだったので、明日は坂本だろうな、そんな胸騒ぎがして、土曜の夕方に某所で仄めかしたら、案の定、その通りに・・・・。笑いましたわ、乾いたやつですけど。

 まぁ、坂本については有名な話なのですが、入団した年の春ごろに後援会が発足したわけですよ。地元の新人にはよくある話ですけど。

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 でっ、当時の坂本は二軍で燻っていました。明らかに実力不足でしたから。ですが、突如発足した同後援会は「坂本誠志郎選手応援ツアー(8月28日)」と銘打って三カ月先の試合の応募を開始したわけです。そしたら夏の終わりになると、見事に坂本はその少し手前で一軍に上がって来て、更に驚いたことに、ツアー当日の8月28日にはスタメンで起用されました。そして当然のように負けたと。それが丁度CS出場の懸かった大切な時期だったと。しかもその前後の捕手の起用も不自然だったと。っていうか、そもそも 一軍昇格の保証もない5月30日の段階で、8月28日という日程で「坂本選手応援」なるツアーを後援会はよく企画できたものだなと。でっ、当日の捕手の起用を決めたのは、当時ヘッドコーチだった矢野だったと。そういうことです。もちろん現在の監督は矢野ですから、今後も坂本捕手には優先的にチャンスが与えられるでしょうね、って話です・・・・。ただ、昨日のあの酷いリード、普通懲りるけどね、大概な話。だいたい何で梅野がスタメンじゃないのかが私にとっては謎なのですけど。

 まぁ、要するに、阪神の坂本捕手には、物凄い太いタニマチがいる。そして阪神球団はそれを黙認というか容認し、選手起用にも反映される、それだけの話なのです。ファンあってのタイガース、はい以上です。 

注目すべき開幕戦視聴率

 金曜の巨人阪神戦は今シーズンの開幕戦ってこともあって、地上波で放送されたようです。個人的に視聴率がどれぐらいか注目しています。といっても、視聴率なんて間違いなく嘘で固められた数字でしかないのですが。そもそもベンチマークであったニールセンを撤退させたこと自体が反則でしょ。今や実質電通の子会社のVRが好き勝手暴走しているわけです。

 ですから視聴率は新聞の押し紙ありきの発行部数と同じで何の意味もありません。しかし、それらが広告主を釣る際の一つの指標にされているのだから驚きます。当たり前の話ですがそれは落ちる一方なので、最近は録画視聴率(タイムシフト視聴率)まで出してきたらしいのですが、正直絶句しました。

 クライアントが本当に仕事をする気があるのなら、彼らが一番気にしなければいけないのは、自分の企業のCMや広告がどれだけの人に見てもらえたか、この一点でしょ。つまり視聴率ではないのです。認知率と言われたりしてたかな・・・・。でもほとんど視聴者が観るのは番組であって、CMではありません。例えばクオリティの高いと話題のドラマがあったとしたら、興味のある方は録画をして観ると思うのです。全録できる環境が整っていますから、ほとんどの方はそうするでしょ。だから電通など広告代理店はその子会社であるVRに苦肉の策として録画視聴率を設けさせたのでしょうが、録画したら、普通CMは編集しカットするかスキップして作品だけを観るでしょうね。つまり、ますますCMは見ません。どうやってクライアントに録画視聴率について説明しているのか興味があるのですが、きっと企業の広報部も電通側なのでしょう。色んな美味しい目にも遭ってるでしょうし。だから決済をする経営陣が、自社のCMをまったく見てもくれない番組に大金を投じている、ということに気づかなかったら良いのでしょうね。絶対そこは知らんでしょうから、バレませんわな。

 じゃあ、どんなジャンルの番組ならCMを見てもらえるのか? アメリカの場合、スポーツ一択だそうです。NFLは別格ですが、MLBもイニングや攻撃が変わるたびにCMを入れられるのでCMとの親和性が極めて高いと言われています。MLBの視聴率はテレビを観る人自体が減少傾向にあるためどんどん落ちていますが、そんなことお構いなしで認知率のおかげか放映権料は反比例するように上がる傾向にあります。録画しないで観る価値のある番組って何か? という観点で考えれば、今まさに現在進行形でやっているもの、つまりLIVE中継のものってことになりますからね。結果が判ってからでは観る価値がなくなるので、CM込みで観てくれる。そんなわけでMLBはコンテンツとしてこの十年で最盛期を迎えたと言われています。スター選手の超破格の大型契約を支える背景には莫大な放映権料があるというわけです。コロナ以降は判りませんが・・・・。

 広告がスポーツ番組にしかつかない、というこの傾向はアメリカだけではなくヨーロッパもそうです。ところが、この極東にある島国のここ日本だけは例外です。実際に視聴者がCMを見るとか関係なく、あくまで視聴率だけで一括りにするので、CMとの親和性や認知率についてはまったく語られていないというわけです。しかも電通にはプロ野球の視聴率に数字以上の付加価値があるとバレてしまうと困る、独自の背景があります。それは球団の親会社です。読売も中日もソフトバンク楽天も阪急阪神HDも、みんな自前で広告代理店を持っているのです。だからもともと電通の思い通りにはいかない、旨味がないというわけです。

 なので野球の視聴率はある時期から徹底的に低く出すようになりました。そして地上波から消えたのです。そういう意味で、金曜日の視聴率には興味がありますね。多分5%ぐらいでしょうけど。

阪神優勝の可能性 ?!

 最後に、冒頭で阪神優勝の看板は下ろさないと言いましたので、当然今後の行方については意地でも注目していきます。とりあえず、前回不動のキャプテン糸原を”JOKER”と命名しましたので、彼の活躍、出塁数や出塁率などからその可能性を随時追っていこうと思います。少し判りにくいかもしれませんので、守屋の登板数も一緒にして見守っていくことにします。それが増えれば増えるほど、阪神の借金は膨らむはず、という読みです。

 6月21日(日)現在

 阪神借金数:3 糸原出塁数:3 守屋登板試合数:1  

さらば 福岡堅樹 !

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 先日、福岡堅樹が7人制代表からも引退することを発表しました。東京五輪では間違いなくアイコンになりうる選手の一人でした。事実上、日の丸を背負う福岡の姿を、我々は二度と観ることができなくなったのです。

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<本日の内容>

 

福岡の進退が物語る五輪開催の可能性

 一報がヤフートップを飾ったのはもちろんですが、土曜正午のNHKのニュースでも取り上げられました。感慨深いものがありますね。とても一言では言い表せない、いろんな思いが心の裡を駆け巡りました。

 決して悲しいばかりというのではないのですよ。その中には意外にも嬉しい、というのもあったのです。だって土曜正午のNHKニュースって、確か15分ほどでしょ。そのうち後半の半分は各地のニュースと天気予報で、実質その日の全国ニュースとして取り上げられるネタは絞りに絞られ多くて五本。そこでラグビーのニュース、それも試合結果ではなく、一選手の去就が扱われること自体、かつてなら絶対に考えられません。ラグビーが世間に認めてもらえたんじゃないかと、出世したもんだと。だって平尾が引退したり代表監督に就任した時も、こんな扱われ方はなかったはず、詳しくは知らんけど。まぁ、そこだけ切り取れば良かったと。そしてNHKラグビー押しは当面続くのだろう、私はそう睨んでいます。

 福岡の引退自体はある程度織り込んでいたので、それを知ってすぐに感じたことを素直に口にすれば、まず元首相の森はJOCのトップであり、依然ラグビー界においても事実上トップの一人みたいなものなので、来年の東京五輪開催の確度については、かなりの部分を日本ラグビー協会と共有しているはずだと思うのですよ。だからこの記事なんかも併せて福岡の件も考えるべきなんだろうと。

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 もうこれ以上は振り回されたくないのでしょうね。多分、桑水流なんかは15人制に戻るんじゃないのかな。それで給料もらっているわけだし。他の選手もラグビーから足を洗うのではないと思いますよ。あくまで7人制に見切りをつけたのでしょう。これを機に、できれば羽野も15人制にいったん戻った方が良いと思うな。

 個人的には記念すべき前回五輪の初戦対NZ、振り切ろうとするカカを福岡が捉えたシーン、あれがリオのハイライトだっただけに、福岡の離脱は確かに痛い。しかし決まった以上仕方がない。そしてこれは我々に対する一つのシグナルと見なすべきかと。つまり、真剣に東京五輪を諦める時期に来ていると思うのです。残念ではあるが、外から突き付けられるぐらいなら、潔く自ら切り出す方が良くありませんか?

 それと福岡はヒゲ森現会長の直系の教え子だけに、説得してみせるとか言っていたのに、あれは何だったのでしょう? パナでプレーすることだけを説得したのか、仮にそうなら7人制のHCの岩渕は立場がないのでは? というか、そもそも彼らが上手くやっているのか気になるところ。協会には谷口なんかも紛れ込んでいるだけに、森、清宮のツートップ体制がなんだか怪しく映る。むしろプロ化や新リーグも含めて、全部岩渕にやらせりゃええのに、そう思えてなりません。オックスフォードの人脈も活かせるのだし。

 

大外のその外を駆け抜けた男

 それと福岡って男はほんと賢いなぁ、というのはひしひしと感じますね。

 実はラグビーにおけるWTBには賞味期限というものがあるように思うのです。まぁ正確に言えばどのポジにもあるのでしょうが、一番それが短い。実際、直近二大会連続で活躍したWTBって、ノース(ウェールズ)、メイ(イングランド)ぐらいでは? ベンスミス(NZ)とかアシュリークーパー(豪)みたいにユーティリティーな場合を除くとして。ハバナ(南ア)のような化け物でさえも、07の優勝の翌年から徹底マークでSRでも精彩を欠き始めましたからね。

 NZのミルナー・スカッダーなんかが良い例で、怪我もありましたが、去年は日本に来てもいない・・・・。

 WTBはフィニッシャーなので基本パスはしません。だから、ノースのように中央突破をできない限り、外に逃げるか内に切り込むかの二つの選択肢しかないのです。スカッダーは基本右から上がってトップスピードに乗ったところでお決まりのように内に切って、そこからジグザグに走る、というのがはっきり傾向としてあるので、そこを理解しておけば、敵からするとマークがしやすい。ある程度WTBが試合を重ねると、どのエリアでボールを持てばこう動く、というのがバレてくる。パスがあれば別なんでしょうが、すぐにパスを出すWTBって、ねぇ、そんなのないでしょ。だからコルビー(南ア)なんかも次は厳しいだろうな。

 ラグビーにおけるWTBの賞味期限については、NFLのRBに通ずるものを感じます。あちらの扱われ方も軽過ぎ。あんなに活躍したのにって選手の契約が難航する、そんなケースが結構あるのです。球団にしてみりゃ、肉体的な消耗や、相手チームからのスカウティングの練度によっては来期は真っ新のを使った方が良い、そんな風にあくまでビジネスライクに行くんでしょうね。まぁ、NFLなんかはしっかりと貰ってますからありなんでしょうが、こっちはねぇ、何十分の一ですよ。

 当然、福岡はそんなこと百も承知なのです。医者もありますが、ある意味自ら身を引くような部分もあったのではないでしょうか。

 でも、彼のプレーは特別なんですけどね。左大外からボールを持つと、更にその外のほんのわずかなスペースをスピードで抜いていくという。そんな選手滅多にいません。しかも世界レベルでそれが通じたわけですからなおのことです。

 本当に最初の一瞬の加速は世界トップでした。大会の初めの頃でしたか、ジェイミーが松島と福岡をダブルフェラーリなんて言い出しましたけど、それを聞いた時、何んとベタな、じゃあメイはどうなるんやって思いましたよ。だけど、あの二人は間違いなくフェラーリでした。

 18年の大分でのイタリア戦でミノッツィを置き去りにしたやつと、去年の花園でのPNトンガ戦の後半35分ぐらいにライン際を走り切って獲ったやつが個人的には彼のベストトライだと思います。後者は生で観ました。一生忘れません!

 でも、やっぱり日本代表の福岡の姿を観れないのは寂しいな・・・・。彼の持ち味はアタックだけではないので。

 リスクを覚悟して上がることで魅せた、アイルランド戦でのインターセプトスコットランド戦の強引にもぎとったプレー、普通、あそこにいてはならない選手なのに、そっちの嗅覚も凄かった。スコットランド戦の後半38分、ラックでボールをジャッカルしたのも福岡でした。下がりながらだったので、微妙なプレーと言えなくもありませんが、笛を吹かせない技と雰囲気を持っていたように思います。

 福岡が多くのリスクを背負ってまで、ああして上がれたのは、あの明晰な頭脳でしっかりと状況を読むことができたからだと思います。大外から更に外を駆け抜けるスピードもそうですが、あのディフェンスができるWTBが次に現れるのはいつになるのでしょう? 気長に待ちましょう。

 福岡を花園で観た時、栗原以来の戦慄を感じたのを覚えています。ってことは15年間隔ぐらいかな。でも、ただ速いだけではなく、地頭が良くて冷静でないと福岡の後は務まりません。だから福岡や大阪、もしくは埼玉、群馬あたりの公立の進学校から凄い選手が出て来るのを待つか、もしくは茗渓あたりに期待するしかないように思います。

 とりあえず当面の間は福岡がいなくなって空いた大穴は、タイプはまったく異なりますが羽野に埋めてもらいたいと思っています。福岡が唯一リスペクトする日本人選手、それは間違いなく彼なのだから。

 

日テレの覚悟とNHKラグビー押しの関係

 冒頭でNHKラグビー押しについて触れましたが、実は去年のW杯前、どの試合をどの局が放送するのかを巡っていろいろと勝手に深読みしていたのですよ。まず、放送する局は日テレとNHKだけ。もっといえば直近の二大会を連続して追いかけ、ラグビーをコンテンツとして育てようとしていた日テレの独占と言って良いでしょう。だからサッカーのようにクジの必要はなし。なので、民放間の争いが起こりえない以上、調停役を気取る電通の出番もなし。そこがあのような大成功に終わった大きな要因だと個人的に思っています。ではポイントはどこか、日テレが何試合目を手放すのか、その一点にありました。

 まず、記念すべき開会式とそこに続く初戦が日テレであることは当然。問題は2戦以降のどこをNHKが放送するのか。そして結果はこうでした。 

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 このスケジュールが発表された時、私はこう直感しました。"日テレ、覚悟が甘いぞ"と。

 つまり、プール戦で一番勝ち目の薄い②のアイルランド戦を手放してNHKに譲ったわけです。しかも試合時間をゴールデンに微妙にかからないように小細工までして・・・・。まぁ、実際のところアイルランドは前年オールブラックスに連勝し、直前の6Nは流して、ランク1位、北半球No.1の優勝候補で開幕を迎えたわけですから、宜なるかなと。それでも、そこを相手に大番狂わせを起こした時に生む、感動と熱狂の景色をなぜ想像できなかったのかとあえて問いたい。

 だから当然、準決勝の組み合わせを日テレの読みとして、日本代表はプール戦を2位で勝ち上がって⑤の枠に来ると読んでいたのでしょう。ところがどっこい、ご存じのように見事四連勝で、しかもBPまで三つ取って勝ち点19のぶっちぎりで一抜けし⑥の枠に入ったと。そこでNHKは超ラッキー♪って感じで、急遽南アフリカ戦を総合に捻じ込んで、評判の悪い大河をうっちゃって日曜のゴールデンで放送! 負けはしましたが、まんまと年間最高視聴率41.6%を棚ボタで獲得というわけですから、さぞかしラグビー日本代表に感謝したことでしょうよ。紅白にも出るわけですわ。

 そこで思い返すと、④のスコットランド戦で勝利した後、日テレが一転掌を返し、その余韻を伝えようともせず、感動のフィナーレの10分後にはあっさりと放送を打ち切るという暴挙に出た意味が判るような気がするのです。これ以上のラグビーの露出は来週の日曜同時間帯の視聴率に悪影響を与えるだけだ、許さん! というわけなのでしょうよ。しかも最後の二分間には番宣までしっかりと入れ腐る念の入れよう・・・・。

 日テレはアイルランド戦の勝利を最後まで読み切れなかった。つまりそこで、ラグビー日本代表とどこまで心中できるのか、その覚悟も試されていたってわけです。まぁ、ブライトンの奇跡を地上波Live中継しなかった、あの失敗を今回も繰り返したという構図か。あそこもまさか勝つとは夢にも思いませんわな。

 なので、NHKラグビー押しは当分続くと思うのです。最小の投資で最大の結果を得たわけですから。

若虎通信 ①

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 2月中旬の安芸の空はどんよりと曇ってはいたが、時折鈍い光が差し込み昨日の天気予報が外れたことをわかりやすく教えてくれた。いい意味で裏切られたと胸を撫で下ろし、少し湿った空気を吸った。それが眼前に広がる太平洋のものなのか、未明まで降った雨の名残なのかまではわからなかった。
 国道55号に抜ける宿からの一本道は交通規制が敷かれていて、ナビが当初示した時間には着かなかった。時刻は11時を指そうとしており、果たして駐車場が空いているのか安芸市に入った頃から気がかりでならなかったが、球場に着くとすんなり第二駐車場に案内されそれは杞憂に終わった。県外や本州のナンバーも見られ相変わらず熱心なファンがいることは伝わってくるが、駐車場のキャパからすればその数は寂しいもので、本当の主を失った意味の重さを思い知った。
 コロナのせいもあるのだろうが、居並ぶ出店も少し活気がなく、焼きそばを買った際に客足について尋ねると、やっぱ二軍じゃねぇとあっさり返って来た。いい選手入ったんだよ、そう言ってみたが特に興味はなさそうだった。
 グラウンドに着いてすぐにバックネットに張り付いて二人の姿を追った。もう終わったのかと弱気になっていると、二人がこっちを向いて目の前でトスバッティングを始めた。バッティング練習はこれからか、まぁ、考えてみれば高卒新人野手の練習の順番なんて一番最後だ。よしよし、結構ついているぞ、年甲斐もなく胸が躍っているのが自分でも分かった。新しい時代が始まる予感がした。令和最初の春のキャンプであることを思い起こしていた。
 気が付いたら日差しがグラウンドを眩しく照らし始めた。

<本日のメニュー>

12球団の”徳”はドラフトが教えてくれる

 怪我で出遅れていた井上はむしろフレッシュで体のキレも良く大飛球をセンター中心に飛ばし、一方の遠藤はここまで自主トレから皆勤のためか少しお疲れ気味で、フェンスを越えるような打球はなかったが、柔らかくて大きく、そして速いスイングに目を奪われました。
 ケージに並んで打っている井上と遠藤を見ていると、自然その昔、田淵と掛布がここで並んで特打をしていた映像を思い返していた。そういえば田淵がまだ出始めの金属バットを持ち込んで打っていたことがあったなぁなどと。2月の高知は南国とはいえまだまだ寒く木製だと詰まった時に手が痺れるから嫌なのだと言って使っていたのです。今思えば無茶苦茶で、よくそんなことが許されたもんです。ただ田淵はそれぐらい手元までボールを呼び込んで打っていた、というのは言えるかもしれません。掛布はというとそんな田淵を横目にキャンプから素手重めの圧縮バットを振り込んでいました。
 田淵のどこまでも遠くへ飛んでいく打球にファンが沸き、掛布が弾き返す打球の速さにバッティング投手が恐怖する。当時WBCがあれば、二人は間違いなくクリーンナップを任されたことでしょう。球界を代表する和製の強打者が、当時の阪神に二人もいたことを、幸せな時代だったと懐かしみ、そんな僥倖は以来令和の今に至るまで一度たりとてないという不幸を嘆いています。
 「四番打者というのは巡り合うもの」 そう言い切ったのは野村でした。あの頃のチームの状況を思うと、半ば育成を放棄していたので咄嗟に出た言い訳のように思え、その反面、ならば阪神はよっぽど常日頃の行いが悪いんやな、とガックリ来たものでした。もちろん思い当たる節があってのことです。阪神という球団は果たしてあの二人や、かつてチームを支えた功労者たちを大切にしたのだろうか? 球団にとって扱いやすかった選手ばかりを厚遇してはいないか? そんなんだから我々はいつまでたっても巡り合えないままではないのか? 多くの虎キチがそう思ったのです。もちろん、スター選手ゆえの彼らの個性がそれをさせなかった、という言い方もできるのでしょう。しかし、野球以外の面でも、つまり社会人としても彼らをしっかりと育て、サポートすることをしていたなら、きっとそういったものは”徳”となって球団に積み重なるものだから、我々は球界を代表する凄い選手に出会えていたのではなかったのかと・・・・。
 傑出した選手はそれぞれ強い運の下に生まれていて、たとえドラフトという制度があったとしても入るべく球団に入るのだ、そんな風に考えながらドラフトを一つのドラマとして長年眺めて来ました。そして我々はどうかと言えば、残念ながら置いてきぼりを喰う一方であった。そういえば逆指名時代にあれだけ無茶を繰り返した巨人のクジ運もさっぱり。お互い”報い”という言葉を秋になると仲良く噛み締めているのです。

 しかし、である。今年の新人六人を観るにつけ、阪神にもそろそろ神様からのお許しが出たのではと直感し、そう思って安芸を訪れてからここまでの四カ月ほどを改めて振り返ると、あのコロナ騒動やその後の空白期間にも意味があったのではと思うのです。タニマチやコアなファンにとっては選手との距離を見直す、球団には選手との関わり方や組織について考え直す、そして何より選手は自分たちの本分について見つめ直す、そのために必要な時間だったのだと。
 あれは天の配剤であった、そう後になって思えるのか、藤浪がきっとマウンドで我々に示してくれることでしょう。

誕生日が語る甲子園でやらかす奴

 井上の存在が気になったのは、阪神に入るなどとは夢にも思っていなかった去年の春のことです。私は毎年選抜出場校が決まると、「週刊ベースボール」であったり、「報知」であったり、選抜を特集する雑誌を読み込み、注目選手の誕生日は必ずチェックしています。
 第91回選抜の場合、まずは注目度NO.1の奥川が4月14日、以下、
 八戸学院 武岡:5月18日、習志野 飯塚:3月20日、横浜 及川:4月18日、桐蔭 森:1月28日、山梨学院 野村:8月27日、東邦 石川:6月22日、熊田:4月15日、津田学園 前:8月13日、智弁和歌山 黒川:4月17日、履正社 井上:8月12日、広陵 河野:8月23日
 そんな風に前評判が高いとされる彼らの誕生日を確認したところで、私は二人の選手を特別に注目することにしました。一人は履正社の井上、もう一人は津田学園の前。理由は二人が8月中旬に生まれたからです。
 私の独断と前置きして申し上げるのですが、甲子園でやらかす男は8月中旬に生まれる傾向にあるのです。

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 もちろん、ほかにもこういうケースはあるのかもしれません。ただ改めて見てもこの面子は凄いと思います。池永清原が同じ誕生日なのも味わい深いですが、甲子園で初の完全試合を演じた男というのが、球児としてはどこにでもいそうな、それも全国的にも有名な進学校のまったくと言って良いほど普通の投手だったというところに大きな意味を感じます。歴代の錚々たる大投手たちにも手が届かなかった快挙なのですから。そしてもちろん彼はやらかす男として宿命づけられた日に生まれていたのです。
 この時期に生まれた球児には、普通の人にはない付加価値がついて回る、そんな気がしてなりません。なんとなくですが、そこには先の大戦で儚くも散った元球児たちの英霊が、終戦の日前後に生まれた彼らをアシストしているのだと勝手に思っています。夢を見ることすら叶わず戦争でこの世を去った男達の何かが乗り移り、そして彼らにそれをさせるのだと。
 さらに言えば、甲子園と無縁だったり出場しても目立つところのなかった選手でも結構いるのですよ。記憶に新しいところでは不惑のノーヒッター山本昌と14年ドラフト4球団競合早稲田のエース有原(共に8/11)、平成の本塁打王中村剛(8/15)、令和の侍守護神山本由伸(8/17)、日本の新主砲鈴木誠也(8/18)などなど多士済々です。
 つまりこの特別な時期に生まれた選手はプロ入り後も大成する可能性が高いわけです。(内緒の話としてもう少し続けると、実はもう一人やらかす奴としてウォッチしている男がいます。そのうちご紹介します。彼は多分、ここのところ球界における存在感を薄め続けている巨人を甦らせるはずだと密かに信じています・・・)
 なので、去年の選抜の段階で、井上と前は要チェックだと個人的に決めました。
 しかし、結果は二人とも不発。井上は奥川にまったく良いとこなく敗れ、前も延長の末力尽きました。夏こそ巻き返してくるだろうと思っていたら、今度はいきなり二人が二回戦で激突。軍配は井上に上がり、これは前が背負っているものまで井上が持っていく、その読みは当たり一気に全国制覇まで駆け上がりました。決勝での奥川からの一発を含めて三本は見事。井上広大を持っている男、そう私が認定したのは言うまでもないでしょう。
 井上を我が阪神が二位で指名したのを知った時、遂に来たかと、二位では高い買い物との意見もありましたが、遂に来たと。私的には一位でも良いぐらいの物件だと思っていたのでまさに本望でした。
 というわけで、2月の安芸詣ではこの段階で決まったのでした。

 

若虎診断 井上広大編

 初めて縦縞の井上を観た時、一瞬元Denaのドラ1で現オリックスの白崎に似ているなと感じました。長身で顔が小さく、スイングスピードよりもヘッドを立ててバットを振ろうとする意識が感じられる点も同じ。ただ横から観ると違いが出ます。白崎は比較的踏み込んだ前脚に重心を乗せて体を回転させるタイプですが、井上は後脚に重心を残したままスイングします。なのでミートポイントが奥にあり、スイング後、上半身を捕手側に傾けてフォロースルーを終えるタイプです。これは意識的なもので、本人も体の前ではなく中で捉えることを心掛けていると多くのメディアで話しています。
 一概に、前脚に重心を移すのがアベレージヒッターで、後ろに重心を残すのがスラッガーかというとそうではないのですが、前者の代表格がイチローで、後者が落合である点は何となくですが象徴的だと感じます。しかしおかわり君は球史に残るスラッガーながら前者ですし、不惑本塁打王門田も前者。井上は言うまでもなく現段階では後者で、阪神にとって待望久しいストロングスタイルの長距離砲なのです。
 しかし、井上の本当の闘いはこれからです。理由は彼が右打者だからです。
 ファームとはいえNPBの右投手のスライダーやフォークは、まだ高卒一年目の右打者から見れば、間違いなく消えるレベルです。そしてそのボールは井上が打席に立つごとに必ず二、三球は投げてきます。それをどう対応するかが、今後の彼の野球人生の分岐点になると思います。
 消える変化球をどう打つのか・・・・?
 見えているうちに打とうとするのが動物としての普通の反応だと思います。となると自然と前で打とうとする。それに変化の幅も小さいという理屈もある。つまりは、後ろに重心を残した今のフォームでは打てない。一番の問題はここで指導者がどのようなアドバイスを彼にするかでしょう。
 「上半身が泳いでいるから打てないんや、もっと下を使って打たんかい!」 二軍の平田監督あたりならそう言いそうで怖い。そう言われると打者は、徐々に大きく踏み込むようになり、自然とステップの幅が広くなっていく。そうするうちに変化球を当てることはできるようになるので、ますますズルズルと大きなステップをして前脚へ重心を移し、結果としてそこで回転する打者へと変わっていきます。
 すると今度は突っ込んだ分ポイントが投手側になり、速球に差し込まれて得意にしていたはずのストレートが苦手になってきます。不意にど真ん中に失投のストレートが来ても、差し込まれてミスショットを繰り返します。そのうち軽めのバットも持ちたがったり、グリップを余すようになる打者もでてきます。一方、変化球をヒットにできるようになったかというと、そっちも駄目のままです・・・・。
 つまり中堅の北條や中谷、江越が依然として陥っている罠がこれなのです。
 良い指導者なら、「切れの良い変化球は打てなくていいから、自分のスイングだけして帰ってこい」 と言えるのでしょうが、それを果たして今の二軍の指導者ができるのか? 北川の手腕が問われることになると思います。
 巨人の岡本でも、一年目のファームの成績は70試合ほどの出場で本塁打は1本でした。イースタンの公式戦の開催球場の左中間は100mそこそこのものばかり。それでもわずかに1本のみ。岡本も井上同様、高校時代から上半身を捕手側に大きく傾けて豪快にスイングする典型的な長距離砲でしたが、一年目は怪我もありそれができなくなっていました。その代償として2割6分を超える打率を残したようですが、彼本来の打撃ではなかったことは言うまでもありません。阪神の中堅だけではなく岡本ですら陥った罠が、これからの井上を待ち受けているのです。
 あくまでここまでの練習試合を観る限りですが、まったく問題なく球を呼び込む自分の形で打てています。一軍の投手が調整登板で投げてくるなかで、この状態を保っていることは素晴らしいの一言。数字は良いのでボールを追っかけず、自分の体の中まで呼び込める今のスタイルを貫いてほしい。ただ一点、注意が必要なのは、後ろに体重を残して、後ろの脚で体を回転させるタイプの選手には腰への負担が付いて回ります。今年のキャンプの初め、ヤクルトの村上がリタイアしたのは彼のバッティングスタイルゆえに起こった故障だと思うのです。

 腰の負担を考えて、フォームやバッティングスタイルを変えざるを得なかった、そんな選手をたくさん観てきました。プロは連戦が続きしかも長丁場です。五試合に一度は休ませるぐらいの配慮が欲しいところです。
 先日もお伝えしましたが、井上は今年はファームで二桁の本塁打を放ち、秋には一軍入りを果たし二、三本放り込むかも入れません。そして、五年以内に三十五年間未踏の生え抜き選手本塁打30本の高嶺を駆け上がり、本塁打王を獲るでしょう!

 しかしそれを阻むものは敵以外にも隠然と存在するのです。

 私が安芸を訪れた一週間後、川藤が現れ、井上にこう言ったそうです。
もっと長いの使わなあかん。もっと重いバットで振れるようになれ!

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 井上のバットは長さ85cm重さ890gだそうです。どこに問題があるのか理解に苦しみます・・・・。
 川藤がどこまで本気で言ったのか知りようもありませんが、井上はまったくバットを変える必要はありません、そう断言しておきます。
 因みに世界の本塁打王バリー・ボンズのバット、

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 34インチ(86.36cm)で実測値905g。井上との差は長さにして1.3cm、重さにして15g。世界の本塁打王のバットは、案外短く、そして重さも高校生の持つ平均的な金属バットのそれとほぼ同じか軽いぐらいです。
 ボンズ自身の体格は188cm、108kg。井上は187cm、97kg。井上があと5kgビルドアップしたら、ボンズとまったく同じサイズのバットを使ってもいいと思いますが、当分は今のバットで良いでしょう。
 バットというのは実に雄弁にそれを持つ打者のことを語ってくれます。重さや長さだけではなく、材質やバランスなど、バットは打者そのものだと言ってもいいぐらいです。
 実は川藤というのは晩年の代打の切り札というイメージが定着していますが、彼のキャリアハイは106試合に出場した74年です。俊足強肩の外野手で、主に代走や守備固めに起用されていました。犠打数20はリーグ最多。盗塁は9で盗塁死は7。代走に出たのに打球に当たってチャンスの芽を摘んだ場面が思い出されます。結構ペナントを左右する大事な場面でした。要するにチョンボが多い選手だったのです。

 また、何故だか当時の川藤は1kg以上のバットを使っていました。近鉄の大石のように重いバットを短く持ってボールにぶつけるようなスイングをするのではなく、普通に構えて普通に重そうに振るのでよくポップフライを打ち上げていました。幼いなりにもそのバッティングスタイルが意味不明であることは理解できました。
 そんな川藤も今やOB会長になるまで出世したのですから、自分の発言が少なくともかつて使ってたバットのように重くなっていることに気づいて欲しいものです。頼むから井上を惑わすのはやめて下さい

 井上とは体格がよく似ているボンズ、彼は最もボールを自分側に呼び込んでホームランを量産した打者だと思います。

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 右と左の違いはありますが、井上はボンズとおおまかに分類すれば同じバッティングスタイルです。

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 そして世界の本塁打王である彼のバットも、ほぼ井上と同じ、比較的短かくて重さも至って普通。更に申し上げるなら、実はグリップを人差し指が入るぐらい余して持っていたことはあまり知られていません(グリップが独自な形状なので判りづらいか・・・)。

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 ボンズのこのグリップから井上に通ずる何らかのヒントがあるのではないでしょうか? 目標はあくまで高く、どうせなら井上にはボンズを目指して欲しいと願っています。

 

今日のおまけ:思わず叫ばす井上は持っている男

 私が安芸を訪れた日の対四国銀行戦の練習試合で、ご存じの通り井上は初打席でホームランを打ちましたが、その動画を早速アップして下さった方がおられました。

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 ご覧のように井上は第一打席の初球をいきなり捉えるのですが、その瞬間、お恥ずかしい限りですが思わず結構な大声で、”オッケーッ!” と叫んでいました・・・・。

 この動画で確認したら、その声を拾われるに留まらず、テロップまで入っていました。いやぁー、それぐらい衝撃的でしたわ。まいったまいった。