Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

若虎の蹉跌 遠藤編

 ロシア軍によるウクライナ蹂躙! キエフ陥落濃厚・・・・。ロシアよ、ここまで墜ちたか、そう暗澹たる思いになりますな。

 キエフは学生時代、何度か滞在した思い出深い街。見渡す限りの地平線の続く街。素朴でアイスクリームの美味しい街。我が蒼白き青春の一コマ。これ以上は言葉になりません。

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 ここ数日どうにもこうにも落ちてしまって仕方がないのですが、気持ちを取り直して我が阪神の話に切り替えましょう。

 阪神のキャンプも昨日で終わり。イマイチ心躍るもののない一月だったように思います。そんな中、一番悔しさを噛み締めているのは遠藤ではないでしょうか。実は結構彼のことは買っています。このあたりに書いたか、

tilleternity.hatenablog.jp

 まぁ一昨年の春、コロナで野球の火が消えたこともあったので、景気よく行きたくてかなり持ち上げたかな。確か掛布二世と書いたか。

 正直、プロ入り後一番良かったのは入団から4月までの三ヶ月間だったように感じますね。4月のSBとの練習試合では鳴尾浜のバックスクリーンに放り込んでいるし、打率も余裕で三割以上キープしていました。そこから活動休止になって、開幕も6月に延期。結局この期間で歯車が狂ったように感じる。以降、おいおいと思いながら眺めていました。

 去年のファームの成績は86試合に出て、打率 .235でホームランに至ってはゼロ・・・・。57三振は安打数を上回っています。これは苦しいな、というのが正直な感想。ところが今年、蓋を開けたら一軍キャンプに抜擢されてました。びっくりでしたわ。

 なんでも去年のファーム選手権でMVPだからとか、フェニックスで三割打ったからとか、そのあたりを評価されたらしい。うーん、本当にそんなに伸びてるのか、そう懐疑的に感じながらも密かに期待はしていました、野手では一番。

 なので、このキャンプインからかなり真剣にウオッチし続けた。その結論を申し上げれば、今のままではあかん。キャンプ中も変わってません。ケースバッティングに紅白戦、対外試合に至るまで三振の山を築く始末。こりゃ救いのない記事を書くことになるな、そう思っていました、がっ、やっと一昨日結果が出てくれた、

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 これで今日からのオープン戦、先発はないまでも打席は与えられるかも。ただ、はっきりと、そして繰り返し申し上げますが今のままではあかん。そのあたりをできるだけ簡潔に、しかしじっくりと書きたいと思う。

 まずバットが下から出てる、というのがパッと見での遠藤の打撃の最大のダメなところなのですが、まぁそれは結果論でしかありません。そもそもアッパースイング自体が悪いのかといえば、今日日そうとばかりは言えませんしね。根本的にもっと悪い部分があるのだと感じています。

 というわけで掘り下げていくのですが、遠藤の打撃練習や実戦の打席を眺めていて、一番目に行くのがヘルメットの揺れ。ご紹介するサンプルは三打席ですがこんな感じ・・・・、

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 これでは判り難いかもしれません。ので、真ん中の写真について、この2コマ前、

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 ほんのコンマ数秒でこれだけヘルメットが揺れている。普通はどちらかと言えば、フォークなど手元で落ちる球に合わせ損ねて腰砕けになって、結果ヘルメットが揺れたり落ちたりというのはよくあるのですよ。じゃぁ遠藤の場合はというとそうじゃない。バットを引っ張り出す際にすでに大きく揺れてる。そこで力が入るのは判るのですがここまでというのは・・・・。考えられる理由は以下の三つ。

A:そもそもヘルメットのサイズが合ってない

B:スイングの際の軸回転がブレてる

C:上半身の動きが激しい

 でっ、恐らく答えはというとCでしょうね。つまりスイングにおける流れの中で、上半身に変な動きが混ざっているのだと思われます。

 ということで遠藤の打撃フォームを横から、

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 この流れの中で、最も大きな動きをしているのが右肩。

 左の三枚だけを比較するとこうなる、

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 余計なお節介ながら上から頭、肩、腰、膝のそれぞれの位置に線を引いてみた。①、③、④のそれぞれの高さに変化がないのに対して、左端の最後のコマで右肩の位置が②の線からかなり上にはみ出ているのが見て取れる。もちろん、前の肩はスイングにとって支点なので最も大きな動きをする、というのは理解できます。がっ、ここまで大きく上に動くというのは普通ではない。

 高校時代から遠藤については眺めているが、当時はここまで酷くはなかった。恐らくプロ入り後、重くて速いボールを跳ね返す必要に迫られて、より鋭くより強いスイングを目指しているうちにこうなったと見る。

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 つまり、下半身主導の横の回転だけでは理想のスイングの強度、キレには追い付かないので、上半身、特に右肩の上への動きを加えることで間に合わせた、という感じだろうか・・・・。なので右肩が大きな動きをする以上、そのすぐ上のヘルメットのフェスガードが揺れないわけがない、というロジック。

 しかも結果として、右肩が必要以上に上がることで左肩が下がりバットが下から出ることと相成った。

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 まぁ百歩譲るとして、バットが下から出るのは良いのですよ。フライボール・レボリューションの流れもあるわけですから。しかしヘッドが下がったらいかん。スイングが死んでしまう。それにボールを点でしか捉えられなくなる。バットを面とまではいかなくても線でボールに合わせたい。それにこれでは落ちるボールには空振りを繰り返すだけだろう。

 このままではファームでもたまに長打は出るが、今年も二割がやっとだと思う。何とかならんもんか・・・・。

 というわけで暗い話はここまでにしまして、遠藤の場合、個人的にはそれほど深刻なものとは思っていません。これぐらいのスイングの打者は掃いて捨てるほどいる。半分以上は何とかなってる。

 私が打撃コーチなら(大きく出たな・・・・)、まずグリップの位置を高くするように勧める。つまり落ちる左肩はあらかじめ上げておく。スイングはそこからバットを落とすイメージで、それとテークバックからスイングの流れの中で右肩に力が入っていることを画像や動画で確認してもらい意識させたうえで、右手の小指一本でバットを引っ張るぐらいの感覚でスイングを始動するように言いますね。

 まぁなんにしてもスイング自体や体の回転の形は悪くない、というかむしろ良いので、右肩の上への動きを止めさせれば、自然と左肩は平行に近くなりバットのヘッドが下がることもなくなるし、併せてヘルメットがあそこまで揺れることもなくなるので、視座も安定しより確実にミートできるようにもなります。つまり芋蔓式に欠点は治る、そう思うのです。せっかく良いもん持ってるんだから、自分を信じて頑張ってくれーっ!

 時間は掛かるかもしれません。しかし、選手の成長を見守るのが野球オタにとって、いわば醍醐味。遠藤の存在をそしてその進化を、鳴尾浜に行くモチベーションにしたいし、早くそこから卒業して欲しい、そうも願っています。

 何はともあれ今日からオープン戦は開幕。遠藤のような若手にはこれからチャンスは日を追うごとに無くなっていく。それを維持し増やすのは己の腕次第。遠藤のオープン戦での躍動に期待します!

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