Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

開幕三連勝に見る虎の未来

 阪神、見事に開幕三連勝です! ヤクルトが弱すぎる、という感がしないでもないですが、いきなり貯金が3ですから、よーいドンでのスウィープはどこが相手でも胸のすく思いがしますね。

 そして何より佐藤輝のヒーローインタビュー、聞きました?


佐藤輝明選手のヒーローインタビュー‼️

 最後の、今年こそ優勝、って、佐藤君、君新人やでっ!? まぁ、ファンの時代も含めてってことね・・・・。

 

<本日の今年こそ>

 虎が迎えた僥倖とは?

 これまでのタイガースに無かった点。それは三試合でホームランが6本。これだけ長打のある打者が揃ったのは、一体いつ振りなのでしょうか。これって、まさしくダイナマイト打線復活か。実際のところ、大山、佐藤、サンズに二軍には井上もいるわけで、チームの幹となる若い打者が揃ってる。今こそこの僥倖を最大限活かしましょう。つまりこういう時だからこそ、しっかりと脇を固めるバイプレイヤーを育てて欲しい、そう思うのです。

 と申しますのも、そりゃ次から次へと主軸となるスラッガーを生み出し続けることができれば何も苦労はしません。ですが、こればっかりはドラフトのクジも含めた出会いになるわけです。しかも阪神はずっとそれができなかった。だから、金本、新井、城島、福留、糸井などなど手当たり次第に他所から乱獲してきたわけですわ。ところが今回は遂にというか、そういう未来を託せる大黒柱が自前で出来た、というか出来つつある。じゃぁここからどうするの、ってところがまさに今なのですわ。

 自分のことを棚に上げて言うのもなんですが、こういう分岐点で舵取りを誤ったのが、やっぱり90年代中盤以降の巨人。生え抜きの松井、後には高橋由伸、阿部がいたというのに、落合に始まり、清原、広沢、石井、江藤、ローズ、ペタジーニ、李に小久保まで搔き集めた。結局のところ何度か優勝はしましたが、魅力のあるチームからはどんどん遠ざかっていった。あの時期にライトなファンが離れたと言えるのではないでしょうか?

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 じゃぁ、阪神はどうするの? もうすぐロハスJr が来ますよね。仮にもし、彼が期待外れで終わりそうになった場合、すわ、次を探さねば、となるのか? いやいやそうではなくて、そのポジションは空けておいて若手を試すのか、ってところ。もちろん私が欲している答えは後者。ぜひ若手で、べつに長打のある打者というのではなくて構わない。こいつは三拍子揃う可能性がある、そう見込める打者がいれば、今なら時間を与えて育てることができる、そう思うのです。

 ソフトバンクの育成と時間

 今回佐藤を観ていてつくづくと思ったのは、やっぱりスラッガーというのはドラフト次第ってこと。徹底的に鍛え上げればなんとか間に合う、という類いのものではないように感じるのです。

 というのは、またまた他球団の例を引き合いに出して恐縮ですが、黄金時代を謳歌するソフトバンク、果たして主砲柳田の後釜を、巧者で鳴らすドラフトで、はたまた抜きん出てたノウハウを持つとされる育成システムで、見事に創り上げることができるのだろうか・・・・? 正直申し上げて私は無理だと感じる。仮にそれが叶うとすれば、工藤監督の左腕がドラフトの目玉を引き当てるか、もしくはまさに柳田のケースがそうであるように、王会長の咄嗟の一言が引き合わせるものではないかと。

 ソフトバンクが次々に送り出す、上林や周東、甲斐、栗原、牧原たち、彼らは他球団から見れば、まったくもって脅威であるが、何が彼らを育てたのだろう? ”HAWKS ベースボールパーク筑後” には、果たして他球団には及びもつかない環境とシステムで溢れ返っているのか・・・・?

 私は案外他球団でもすぐに真似のできる程度のものではないかと睨んでします。というのは、彼らが揃いも揃って二軍でとんでもない成績を上げているわけではないからです。結局のところ、彼らを一軍で育てる時間を、柳田や松田、デスパイネが稼いでいる、これが大きいのではと思うのです。そう、つまりはこの時間だったのです。

 勝ちながら育てることの意義

 翻って阪神には残念ながら、これまでその時間も、そしてそれを稼いでくれるチームの幹たる選手もいなかった、ということではないのかなと。

 少し遠回りの表現でパラフレーズするなら、先に挙げたソフトバンクの上林以下の若手たちは、恐らく柳田にはなれません。しかしそれで良いのです。柳田という大黒柱の脇を固める打者ならば繰り返し創れる、そういう再現性を備えた体制を築き上げることこそが大切なのです。具体的に言えば、ソフトバンクの強さとは、中村晃や長谷川レベルの打者ならいつでも創れることではないかと。それを可能にしたのが、言うまでもなく柳田たちが稼ぐ時間であり、それこそが強いチームとそうでないチームを分ける鍵と言っても良いでしょう。

 そしてどうやらこの度、我が阪神もその時間を手に入れたようなのです。

 暗黒時代の阪神は開幕と同時に負け続け、梅雨時には若手に切り替えるようなシーズンを繰り返していました。というのに、いくらチャンスを与えてもまったくモノにはならなかった。まぁ、スカウトがスカばっかり連れて来るというのもありましたが、チームが弱いと結局選手は育たない、というのもあったのです。ほんと弱いのに育成とは縁遠いチームでした。

 あれから四半世紀、今年ようやく阪神も勝ちながら育てるということができそうです。この僥倖を最大限に活かしてください! ぜひ鳴尾浜から、これはと思う野手にその時間を与えてやって欲しい。小幡や遠藤は時間はかかるでしょうが、必ずレギュラーに相応しい打者に育ちます。そして佐藤輝と並ぶ ”虎の待ち人” である井上は、言うまでもなく大山と共に黄金時代を支えるスラッガーになる、心の底からそう信じています。

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