つば九郎が亡くなった。
正確に言うと中の人が。
ヤクルトは好きな球団ではない。だがこの訃報にふれないわけにはいかんでしょ。やっぱり遅いけども。

世間の、同じく人気者であるところのミッキー。
その中の人も怪我したり、病気になったり、辞表を叩きつけたりすることもあるのでしょうよ、きっと。
中の人がどうなろうとも、ミッキーはいつでもいつだって、明るく元気。年もとらない。そして一人。恐らく永遠に。
だが、つば九郎は、そういうわけにはいかない。
ヤクルト球団、この開幕、二代目つば九郎襲名で急場を凌ぐようなことはできないであろう、絶対に。

去年、つば九郎はドアラとともに雑誌「anan」の表紙を飾った。
季節は秋、九月。
ペナント終盤、わが阪神は巨人とデットヒートを繰り広げていました。
こういう盛り上がりを、野球雑誌やスポーツ新聞だけではなく、たまには「anan」にも取り上げてもらいたいものであるが、そんなニーズ、皆無。
いうまでもないことだが、いわゆるマスコットはチームの勝利に貢献することはない。
だというのに、いや、だからなのか、同じ時期、最下位をテンション低く争うセリーグの二チームのマスコットが目出度くも「anan」デビューを飾った。

つば九郎とドアラは、かれこれ十年近く前からコラボしてトークショーやディナーショーを開催していました。
なんでもチケットは瞬殺。飯抜きのトークショーでも単価は余裕で一万五千円ぐらいするそうである。ディナーショーなら二万超。
箱は五百人規模のものが用意されることもあるらしく、しかも二部制。
ディナーショーの原価なんて、豪華なものでもニ、三千円でしょうから、一日で、恐らく一千万は稼ぎ出すのですよ、確実に。
でっ、全国五か所ぐらいで、日数にして15日間ぐらいやっていたらしいので、つまりはこの二匹で数億稼いでいます。しかもわずか一か月足らずの間に。
果たして村上や髙橋宏にこれだけの営業力があるのであろうか?
多分ない。

トラッキーとかジャビットなんかはたぶん、三年更新とかの契約で、どんどん代替わりしているのだと思う。
こども「 おとうさん、今年、トラッキー、ちょっと背が低くなったよ。」
父親 「 ・・・お、お、おう・・・・。」
こんな笑い話を聞いたこともある。
とてもじゃないが、つば九郎やドアラの域に達することはない。というか追いつきようがない。ピンでディナーショーなんて話、聞いたこともないし、企画することもなかったと思う。

ドアラには、前々からなんていうのか、才能を感じることがあった。
人を愉しませることにかけて、その地肩が強かった。
つば九郎は、ブラックジョークの類を書いてみせることはあったが、毒っけもドアラの方が強い。
何をやらかすか判らないドアラに対して、あくまでほっこりを狙ったつば九郎。そんな風な見立てでもあった。
私ら野球オタからすれば、「フジテレビONE」眺めていたら、野球がらみには必ず顔を出すので希少性もなかった。いつもいる、風景の一つ。
つば九郎のフリップ芸。たぶん放送作家がついているのね、と意地悪く眺めていた。
ぜんぶまるっとゴメン・・・・。
ヤクルト球団がそこまでおぜん立てしてくれるわけないよね。
すべて自分で、つまり自らがつば九郎をプロデュースしていたのでしょう。

ドアラは飽きられないように、球団も自らもコントロールしているように思う。「Jsports」のキャンプ中継を眺めていても、なるべく出さないような工夫をしているように感じたものである。
っていうか、工夫って、選手観るために金払っているわけだからさ。普通、何かにつけてマスコットを出す方がおかしいわな。
だが、つば九郎にはそのニーズがあった。
つば九郎の身振り手振り、一挙手一投足を観たいがためだけに、有料放送に契約している人もいるらしい。
常にヤクルトの傍らにいることも、プロ故に最低限の義務として、恐らく自らに課していたのだろう。体調が悪いにも関わらず、この二月も沖縄にまで行くだなんて。
そして客死・・・・。
ヤクルト球団、そしてファンは開幕を待たずして、あまりにも大きな喪失感に苛まれることとなった。
ここに謹んで、ご冥福をお祈りしたい。

本日は以上です。
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