この国のスポーツビジネスが大きな転換点に差し掛かっている。この二、三年、水面下でいろいろとあったようだ。
まず、先週のこのニュースは大きかった。
FIFAが今のように商魂えげつなくはなかった頃から、 電通とはすでに泥懇であった。あれこれ入れ知恵されたからああなった、という部分はあるだろう。なにも電通からだけではなかったとは思うが。
現在のサッカー界の放映権や広告料ビジネスのフォーマットの、その下敷きのかなりの部分を電通が作った、というのは間違いない。
その立役者でもあった高橋氏、当ブログは開設以来一貫して彼のことを叩き続けてきたが、そのかいあって三年前に遂にお縄となった。めでたしめでたしである。
彼の五輪での暗躍ぶりを見れば、FIFAとの関係においても電通がどのような役割を担ってきたか判ろうというもの。高橋氏はIOCなどよりも、FIFAとは旧く、そして深く結びついていたのだから。

高橋氏を軸に、電通とFIFAとの関係は揺るぎないものであったはず。ところが上の記事にあるように、FIFAがどうやら電通と袂を解ったようなのである。
お互い金の亡者同士、これ以上一緒にいては印象が悪くなるばかり、ということで一線を引いたのか、ことの真相は藪の中である。とにかく来年のW杯において、FIFAはパートナーとして博報堂を選んだのだ。
ここにきて電通と縁が切れたのはFIFAだけではない。DAZNもである。
七、八年ほど前、このブログを立ち上げる以前の話であるが、 当時電通はDAZNに対し500億近い出資をしていた。 しかして去年末の電通グループの有価証券報告書を読む限り、 金融資産としてDAZNの株式について記載されてはいなかった。 恐らく評価不能となって手放したのだろう。
なんと500億が数年で無価値、ざまぁみろである。
確かJリーグはDAZNと放映権独占契約を結ぶにあたり、その裏で、もしDAZNが経営破綻した場合に備えてその債務保証を電通に取り付けた、という噂があった。個人的にそれは事実だと思っている。
電通がDAZNを見切ったということは、その債務リスクから逃げおせたことを意味する。さすがにそのあたりの鼻は利くので、近い将来、DAZNは破綻しないまでも日本からの撤退はあるのかもしれない。
DAZNは言うまでもなくJリーグや代表戦の独占放映権を持つ、日本サッカー界とは一蓮托生の身。そこは今もなお不動。電通はFIFAだけではなく、そのDAZNとも縁を切った。ということは当面サッカーとの商売は控えていく、電通の腹積もりをそのように見ても良いのではないか。

その読みは確かであるのか、実は、意外なところからそれを読み取ることができる。雑誌「Number」である。
今年に入って六冊発行しているが、サッカー特集はーつもない。日本代表が世界最速でW杯出場を決めたというのにだ。
電通と「Number」 は結託している、というのが私の見立てである。荒稼ぎできると見込んだジャンルやアスリートを我先にと焚きつけ煽る、その手口とターゲットがよく似ているからだ。あまりにあからさま過ぎて目に余るようにも感じていた。
単刀直入にいえば、いわゆる電通案件は必ず「Number」の表紙を飾る、ということである。とても判りやすい。

久保は三苫の倍「Number」の表紙を飾っていることになる。
バスケもアイコンは渡辺なのだろうか? 八村が表紙を飾ったのはたったの一度なのに、である。
こういのを目にしてしまうから「Number」への電通の介入を感じるのだ。おそらく佐々木もドジャースで勝ちだしたら、待ってましたと特集が組まれると思う。
二十年ほど前の話である。
02年は34冊中24冊、06年は32冊中22冊、10年は33冊中23冊。
これは「Number」 のサッカ一特集の数だ。
W杯があった年回りというのもあるが、なんというかあっけにとられたものである。
いかに「Number」 とサッカ一との蜜月が長く深かったか。というか、当時の「Number」 は明らかにサッカ一雑誌と化していた。 あの頃のサッカーはまさに電通案件だったのだ。
因みに当時、野球特集は年に四回ほどあれば良い方。それが今年に入ってからの六冊のうち五冊が野球。私のような野球側の人間からすれば、すり寄られ薄気味悪いばかり。
がっ、最新号はわが阪神の特集・・・・。逡巡したが買ってしまった。情けない限りである。

翻って現在のサッカー日本代表、誰の目から見ても史上最強で間違いはない。
来年のW杯は世間からもっとも期待の寄せられる歴史的な大会になるとも思うのだが。
だというのに、今年に入ってそのサッカ一に対して「Number」 は無視を決め込んでいる。
あまりに急な方針転換。まさしく電通と挙動が一致している、そう言えないだろうか。
私の「Number」 との付き合いは古い。
まだ初々しい村上春樹が三百文字ほどのコラムを書いていた頃からの腐れ縁である。
「Number」 と「週刊朝日」、当時ミドルティーンの私にとって共に絶対に見逃してはならない情報源であった。
それが平成に入って、「Number」 には電通の、「週刊朝日」にはジャ二ーズや芸能事務所の影が帯び、それが濃ゆくなるにつれて触手が伸びなくなった。
そしてついに「週刊朝日」は二年前に休刊。
先駆けて廃刊となっていた「朝日ジャーナル」の役割を担い過ぎた部分もあり、最後は読むどころか、手にすることもなかった。
「Number」 は当面大丈夫だとは思う。
願わくば、もう一度読み応えのある「Number」 をじっくりと味わってみたい、そんな風に感ずる新緑の五月である。

本日は以上です。
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