すでに旬を逸した感はあるのですが、アストロズのWS優勝で今年のベースボール界は幕を閉じました。
ご存じのようにアストロズは過去にサイン泥棒をやっておりました。がっ、潔くそれを認め、そこから三年で正真正銘の世界一に駆け上がったことになります。
当時からの主力であったアルトゥーべたちの謝罪シーンは記憶に新しいところ。また本拠地以外では今も激しいブーイングを浴びていることを鑑みれば、禊はいまだ道半ばなのかもしれません。
しかし、今回の優勝には一転の曇りもない、そう思っています。それもこれもサイン盗みを認めたからこそ、勝利の女神が彼らに微笑んだのではないでしょうか。
翻ってわが阪神、である・・・・。
やっておいて、怪しまれて、しかもバレてさえも、今年の初めの12球団の会議の場で、
「やってません!」
とマイクパフォーマンスに出る始末。
”ああ、こいつは絶対に認めんな”、そう匂わせておいてキャンプイン前日に「監督を辞めます!」、といきなり言い出し、今度はさすがに ”盗んでたから責任を取るんだ” と誰もが思ったところに、「辞めるのは今シーズン終わってからね ♪」と付け加えるに及ぶという、なんとも常識を疑いたくなる展開。
まぁ、わがタイガースらしいといえばそれまでですが、曇り切った私の目を通じて解説すると、サイン泥棒はなかったことにしたいが、しらを切ったところで旗色が悪いのは事実。だいたい、成績自体に問題のなかったサンズをクビにするとか、去年の中盤以降近本の盗塁が激減するなど、あちこちに綻びもある。ただ今辞めるとそれを認めたことになる。だもんで、時間差を作って球団を去ることにするわ、サインを盗む選手どもとも距離を置きたいしな、といったあたりか。
なんともふざけた話やで。いろいろと回りくどいことしてくれたけど、”それって全部、おまえの都合だけじゃね?” そう感じたファンも多かったと思いますよ、ええ。
そして蓋を開けたら開幕から大型連敗でしっかりバチが当たったわけで。がっ、それでも辞めんかったな。おまえにバチがあたるのは当たり前だが、ファンや選手を巻き添えにするなよな!
まぁもうええわ、何が言いたいかといえば、ちゃんと一回どっかで謝った方がええんとちゃうか、ってこと。
それをしないとますます勝利の女神は微笑まない。なので ”アレ” が遠のいていくような気がするんですがね。
でっ、メジャーに話を戻しますと、今回率いたアストロズが世界一となったことで、ベイ力一さんはアフリ力系のアメリ力人で、最もMLBで成功した監督になったと思う。
すでに2,000勝もクリアーしていました。
がっ、嘆くことしかり、
確か先月、この辺りの事情について書きました。五年前にはMLBにおけるアフリ力系アメリ力人の割合が7. 7%でしかなくなったと。それが今年は7. 2%まで落ちたそうです。しかもWSを争った両軍のスタメンからも消えてしまったではないか、そうベイ力一さんは嘆いているのです、ええ。
その理由はといえばいろいろあるのですが、まずもって、大学側が高校生アスリートたちの鼻先にぶら下げるところの奨学金。アメフト、バスケ、この二つの球技に対するものが他の種目とは桁違い。飛び抜けている。
背景には力レッジフットボールとバスケが、大学という教育機関における最大の利権になっているから。稼ぎ頭のおいしいネタというわけ。だからどこもかしこも、それはそれは立派なスタジアムなりアリーナを建てています。
一方、残念ながら力レッジベースボールでは商売にならん。こう書くと、WSのこの四十年間の視聴率の推移を示すグラフあたりを持ち出して、MLB人気の低迷が大学野球にも影響を与えている、などと言い出す輩が出てくるのでしょうが、残念ながらそうではない。
確か今から百年ぐらい前の大正の頃、早稲田か慶應の野球部がアメリ力に遠征し、あちらの大学と試合を重ねたり、試合を観戦したりしたそうですが、その回想記の中で、あまりにアメリ力における大学野球の人気が無いので驚いた、という一節があった。こっちはベースボールを輸入し、取り込んで自分たちのものにして、早慶戦を当時の日本最大のスポーツイベントにまで押し上げた。だというのに、本場のアメリ力の大学野球がこれでは情けない、というわけ。
でっ、この話の肝はその回想の中に、早慶戦に匹敵する大学のイベントというのは、力レッジフットボールだろうか、というくだりがあったところか。一般の学生はもちろん、チアガールにブラバンも押しかけ、実に華やかで熱気にも溢れていた、悔しい! そんな感じで書かれていたかな、確か。
蒋介石の嫁なんかも、留学先でアメフトのチアガールをやってますわ。あの台湾で長生きした人ね。つまり百年以上も前から、すでにアメフトと野球の全米大学スポーツにおける序列は決まっていたというわけ。
じゃぁアメリ力のベースボール人気はどうだったかといえば、当時からプ口一本。ヤンキースが良い感じでヒールポジの金満チームであり続けてくれたので、名門各チーム、たとえばレッドソックスがそのカウンターとして存在感を増し、そしてなんといってもドジャースにジャイアンツが、ヤンキース一辺倒に嫌気がさして西海岸へと移り、その在野精神からベースボール人気が全米中に伝播することに貢献、まったくその功績は大きい。
でも結局のところ、MLBの人気は古くからヤンキースとの関係性で語られる、そこに尽きるのです(まるで日本球界の巨人のようにね)。
なので、たとえMLBの人気がNFLに再び迫ろうとも、力レッジベースボールが盛り上がることはありえません。恐らく奨学金も据え置かれたままでしょう。残念ながらアフリ力系アメリ力人がそこに戻ってくることはないのです、ええ。
それと野球というのは、最適解のあるスポーツ、というのもある。
フィジカルだけではダメ。確か先月、SBが1位指名したイヒネのところあたりで、
”ベースボールには修行に相当するプロセスがある”、そう書いたと思う。
それは何かといえば、たとえばトレバー・バウアーみたいないい加減に見える輩でも、ほとんどオフ返上で動作解析をして、自分の投球を最大限に引き出すための答え探しに没頭していた、そういうこと。
逆にアフリ力系のアメリ力人が、オフの間もスポーツラインに通い詰める、そんな姿は想像できない気がするのです。やらなくてもある程度以上にできちゃうからね。
つまり野球というのは弛まぬ鍛錬によってのみ、頂点にたどり着くことが許される競技なのです。あえてパラフレーズするならば、身体能力を鍛錬が凌駕するスポーツなのかもしれませんね。
<本日の弛まぬ鍛錬>
2位指名 門別 啓人(東海大札幌)
ではでは、ここからが先月の阪神のドラフトのおさらい、森下以外の巻です。
まず二位の門別であるが、私の評価はC2・・・・。正直、三位の後半で名前が出るかな、ってぐらいの評価でした。なので2位というのはどうだろうか、もしかすると高掴みかもと思ったりしています、スイマセン。
理由はいろいろあるのですが、画像はほぼこれしか観てないので大したことは言えません。
でっ、この映像からまず判るのは、南北海道の主審のレベルが低いということ。この方だけの問題かもしれないと思っていましたが、知り合いに聞くとはっきり ”酷い!” と切り捨てていました。
御覧のようにストライクゾーンはガバガバ、内も外も高低も。平気で糞ボールをストライクコールしてます。門別のコントロールについて言えば、悪いわけではなくむしろまとまってはいる。だけどこの夏、右打者が門別のクロスファイアーにまったく手が出なかった、という数多の証言については疑義を呈したい。
あそこまでストライクゾーンがインコース内側に広いと、手など出せないということ。それとストレートもベース盤上では来てないですね。これも動画を見る限りですが、球の伸びを感じることができない。一応Max150 らしいのですが、いつ頃出たのか? 少なくとも上の動画からは140㌔そこそこの球威にしか見えないのです。
それと、苫小牧中央の斎藤ともども評価できなかった裏には、今年の北海道勢は春夏甲子園で0勝だから、というのがある。札幌大谷が大阪桐蔭と善戦したのが今年の北海道高校野球界のハイライト。それ以上のものはない。例年よりちょい低いぐらいか。なのでこの二人の評価も厳しくなるのです。
技術的に言えば、上の動画の通り常にセットから軸脚に体重が乗らないまま、浅いテークバックを経て腕を上手く畳んで投げ込む。どちらかといえば立ち投げに分類される。もう少し踏み込めば、自然重心は低くくなるとは思うが、それは素人の浅知恵か。
変化球もカーブスライダーともに普通。ただチェンジアップは良い感じで抜けているので、指先の感覚は優れていると思います。
同じ北の左腕ということで、去年の北海の木村と恐らく比較されてきたことでしょう。正直いえば、木村の方が上かな。その木村ですら私の評価ですが、だいたい中位から下位相当。だから、素直に白状するとこの指名には驚きました。最近のうちのスカウト良いのにと・・・・。
齋藤響を指名して欲しかったかな、というのもある。左腕なら阿南光の森山とそんなに変わらないようにすら感じています。ストレートの質はあっちが上かも。
ただ、 ドラフト系の雑誌ではほとんどが門別を上としていたように思う。そこに少し明るさを感じている。もう一つの救いは門別自ら、夏は調子が悪かったと述懐している点。チームも継投で甲子園を目指していたそうですから、東海大札幌の首脳陣も、不動の大エースを擁しながらもその不調については織り込んでいたのでしょう。
最後になりますが、まずは焦らず、関西の水に慣れること。生活面から徐々に我がタイガースに馴染んでくださいね。二軍首脳陣も門別に対しては、自分たちは大学の指導者だ、ぐらいの感覚で時間をかけて育てる気長さを持って接して欲しい。
それは本人も一緒で、怪我をしたり結果が出なくても、決して焦らない覚悟で入団してね!2位はそう簡単にクビにはしませんから、うちの場合は。
3位指名 井坪 陽生(関東第一)
三位の井坪にも驚かされましたわ。今年の東京・関東勢も北海道と同様にレベルが低かった。浦和学院と山梨学院が飛び抜けていて、他はボロボ口と見切ってました。背景はもちろんコロナ禍。その影響をもろに受けた。仙台育英の須江さんの言葉を借りるまでもなく、今年の三年は入学直後から通学できない期間が続き、G/Wが明けて、学校に大手を振って通えるようになってさえも、部活は夏前まではほとんど活動できませんでした。当然、遊びたい盛りの高校生。東京やその周辺にあるであろう誘惑は、質も量も大阪や名古屋とは比較になりません。暇ができればそっちに流れるのが普通。
青春を謳歌できたとは思うが、しかしてその代償は少なくなかった。夏の甲子園ではベスト8に一校も残れず。だから選手についても大してチェックする必要を感じていなかった。先の浦和学院と山梨学院の数人については念入りに確認しましたが、他は利根商の内田ぐらいだったか、真剣に観たのは。
ただ井坪の評判は聞いていましたよ、ええ。ある大学関係者が、井坪がプ口志望届を出したことで酷く落胆した、という話。へぇーそうなんだ、と思った。ただその頃の情報では、身長は175ないぐらいと聞いていたし、強打のセンターと言われてもそのサイズではな、って感じでスルー。実際去年、夏の決勝でまったく秋山を打てなかったし・・・・ 。(井坪は二年の夏の決勝は出場してませんでした。干されていたようです。勘違いしてました!)
だから指名後、この動画を見て驚いた。
断言する、まず来年の春、鳴尾浜でセンターを守る井坪が球団の中で一番外野守備が上手い、ということになると思う。江越や中谷がいてもこっちが上。守備範囲は近本でしょうが、肩が違う。鬼肩ですわ。
打撃については次回以降でじっくりと書きます。ということで今日は寝ます。おやすみなさい。