Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

第104回選手権大会 十一日目

 夏の甲子園も佳境に入ってまいりました。この大会の最大のテーマ、それは ”打倒大阪桐蔭” を表だとするならば、裏は ”継投” なのかもしれない、薄々そう感じております。昨日の1試合目は、まさにそれが凝縮された一戦となりました。しかも表に裏にと・・・・。

 仙台育英の継投こそさもありなんというか、予選から筋金が入っているのですが、対する明秀日立は、べつに頭から猪俣で行けるところまで行けば良いのに、なのにまた懲りもせずケニーを先発させて、しかも小刻みに交互で継投まで。恐らくはその先のベスト8を念頭に、更には大阪桐蔭と会い交えることも想定していたのかもしれません。だけどね金沢さん、柄にもないことをせんで下さい! 思わずそう言いたくなるような試合でした、ええ。

 結果は言わずもがな。須江さんの継投の順番も無茶苦茶で、よくあれで負けなかったなぁ。あんな試合でも勝っただけに、ますます仙台育英こそがこの夏の覇者に相応しい、個人的にその思いを深めております。

 では ”打倒大阪桐蔭のシナリオ” の 続きです。仙台育英の例の必殺サウスポーの三枚、仁田、古川、斎藤がそれをするという前提で書かせていただきます。

 昨日、打線を五つに分類しました。以下の通り、

 ・Aー1群・・・丸山(4番)、田井(6番)、星子(7番)

 ・A-2群・・・谷口(2番)、前田(9番)

 ・Bー1群・・・松尾(3番)、海老根(5番)

 ・B-2群・・・伊藤(1番)

 ・Bー3群・・・鈴木(8番)

 でっ、B-3群は抑えて当然。打たれるようではそもそも ”打倒大阪桐蔭 ” の資格などないと。なのでB-3群は消しです。

 次にA-1群。予選を眺めていても、ここがもっとも機能しています。ショートの頭の上に押っ付けるように軽打し上手く打線を繋ぐ機能を果たしている。一転長打も打てる。ある意味一番厄介かもしれません。

 しかし弱点はあります。作られた左打者、つまり右投げ左打ちですから、背中から来るカーブやスライダーには三人とも腰が引けます。なので追い込まれるまでは手を出してきません。さらにはアウトコースに決まるスライダーも苦手。A-1群の攻略はこの二種類のコンビネーションが有効です。

 A-2群はどうか? ナチュラルの左打者である谷口、前田に対して背中から曲がってくるカーブを仮に投げたとしても、利き目の左眼は奥にあるので特に嫌がることはありません。走者が一塁にいる時などは、嬉々としてその球を強引に引っ張りこみ、大きく空いた一二塁間をあざ笑うように抜いていきます。この二人には球種は問わず外一辺倒で良いでしょう。その代わりと言っては何ですが、当然ショートは深めで三遊間寄りに、サードは三塁線を閉めて、セカンドも二塁ベース近辺に守らせ、もちろん外野はレフトもライン際に寄せ、センターは左中間、ライトは右中間に守らせるというシフトを引くとなお良いと思われます。

 次に右バッター、B-1群。松尾も海老根もプロ注目の強打者。しかし欠点もはっきりしています。二人ともインコースは少々甘く入っても、140㌔超のストレート、それも左腕の所謂クロスファイヤーは打てません。

 根拠ですが、まず松尾は左腰を開くのが早いところにある。そこは本人もかなり意識しているようで、トップを深めに取り、上半身を必要以上に捩じってみせるのは、少しでも左腰の開きを我慢するためではないか。そのため投手から見れば背番号がはっきり見えるほど。

 しかしそれでも左腰は早く開きがち。本来打者は前の肩と腰のラインでギリギリまで壁を作り、そこで溜め込んだ力を一気に爆発させスイングスピードに活かす。しかし松尾のように壁を作り切れず、左腰が先にほどけてしまうと、その分スイングの始動、初速が鈍くなるよう思います。そのため身体に近いインサイドのストレートのポイントに対してはバットが間に合わない。

 逆に変化球などの半速球はバットが一呼吸遅れて出てくるので待ってましたとばかりに打ってきますね。またアウトコースへの直球を逆方向に持って行くのも上手です。

 5番海老根の弱点はスイングの始動の際、左わきが空くこと。元々癖のあるホームですが、この欠点を見て見ぬふりはできません。この一コマが仇となりバットが遅れてくる。なのでインコースを捌くことはまず無理と見ます。

 これはなかなか直らないとも思う。阪神の髙山と同じパターンです・・・・。

 フォーム自体はSBの松田、といよりも亜細亜大一年の時の松田に似ていますね。左膝の入りっぷりなどはほぼ一緒。

  

 結論を繰り返すと二人ともインコースが打てません。まぁ、高校生の大半の打者がインサイドなんて打てっこないだろ、という向きもございますが、あの二人であってさえ例外ではなく、少々甘く入ってもそれなりのストレートであれば、まともには打てないもの。策を授ける指導者は選手に対してここをしっかりと落とし込めるのか、大きな鍵となるでしょうね。

 仙台育英の三投手は決してためらわず、勇気を持って懐に飛び込むことです。虎穴に入らずんば虎子を得ず、といったところでしょうか。

 最後にB-2群の伊藤ですが、春にも書いたように個人的に非常に買っています。多分、今年の大阪桐蔭の面子の中で、十年後にプロで一番活躍しているのは彼ではないかと。特に左腕の使い方は出色! 今岡に匹敵する柔らかさがあります。

 変に小細工しても欠点らしいものはないので抑えるのは難しい。まともに勝負をしない方が良い。ストライクを投げなければ、むしろ伊藤がじれてボール球に手を出してくるかもしれません。なのでそれを待ちましょう。特に効果的な攻略法はありません。

 以上のように ”打倒大阪桐蔭シナリオ” のポイントとなる攻略法は三つ。これを三投手が徹底すれば、そうは簡単に王者大阪桐蔭であっても得点は無理かと思います。結果として二点以内に収まるのではないでしょうか。

 残念ながら書いていて限界が来ました。大変不本意ですが今日はここまで、もう寝ます。因みに二松が大阪桐蔭に勝つことはあり得ないので、明日にでも今日の内容を補強します。

 最後に本日の予想ですが、栃木、下関、福井、大阪でお願いします!