Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

その手が血塗られる前に(一部修正 加筆)

 三週間ぶりの更新となります。その間、更新のタイミングは何度もあったのですが叶いませんでした。お察し願います。特に安部元総理の訃報については、気持ちの整理がつくまでお時間をいただければ・・・・・。

 ただ、どうしても予てより皆さんにお伝えしたい内容がございました、本日はそちらを更新させていただきます。

 というわけで少し趣を変えて、個人的に親しくしていただいている知り合いの方から伺った話について書いてみたいと思う。

 知人A氏は、関西のとある街にある海外の主に個人向けの輸送代行会社Bに勤務しています。仕事柄、担当する商品群については、どの商品がどの国にどれぐらい輸出されているかは自然と頭に入っているとのこと。アメリカやヨーロッパはもちろん、ロシア向けのものも多く扱っており、なんでも地域による趣向の差異は商品になって明確に表れるのだそうです。 

 でっ、今年の2月、ウクライナ侵攻が勃発、日本も西側の経済制裁に与した関係でロシア向けの輸出は事実上ストップ。仕事は少し楽になったけど、そろそろ売り上げへの影響が出てくるかな、そうA氏は思い始めた・・・・。

 この流れ、恐らく皆さまに置かれましても想像に難くはないと思います。問題はここから。

 と申しますのは、制裁後、すぐに個人的に気になる動きをする商品が出てきたのだとか。仮にその商品をZとしましよう。Zは口シア向けの特定商材のなかで、もともと際立って多く感じる商品だったそうで、それはA氏だけでなく同僚の方々も一様に感じていた。

 具体的にいえば、Zは制裁前、口シアに対し毎月約3,000 台がB社から個人向けで輸出されていた。言うまでもなく制裁でそれは急転直下ゼ口に。

 ところが、である。制裁の翌週から不思議な動きが・・・・。キルギスタン、力ザフスタンから突如Zに対する発注が不自然なまでに大量に発生し始めたのだそうです。さらにオー ストラリア、力ナダからも。しかも依頼主の名前の中には中国姓らしき名前が・・・・。とどめとばかりにアメリ力からもそれまでになかった発注がくる始末。こちらのお客さまのお名前もなぜか中国姓・・・・。

 今となっては制裁前より多くの商品ZがB社を経由して、それら各国に向けて輸出されるまでになったそうです。

 この極北の当ブログにわざわざ足を運ぶ、そんな物好きで野次馬根性旺盛にして勘の良い皆さまですから、もうすでにこのお話のキナ臭さ、お察しでしょうね。つまりは商品Zが、制裁後もそれぞれの国の個人を迂回して、結果として口シアに辿り着いている、そういうことなのだろ、と。

 まあ多分そうなんでしょうね、ええ・・・・・。

 でっ、じゃあその商品Zってー体なんやねん、もったいぶらずに教えろよとなると思うので、ご紹介します、これです、

fish.shimano.com

 

 いやぁー、釣り好きの口シア人、多くて困りますわ。まあ実際、ソ連時代、何度もそこを訪れた経験から言わせていただくと、ハバロフスクアムール川はまるで海のようで、本格的な釣りを楽しむ方が多かったですね、ええ。一方、レニングラードの街を緩やかに流れるネヴァ川では、日がな釣り糸を垂らすシルバー層で賑わってましたよ、ええ、ええ・・・・・。などと呑気にボケをかますところではありません。がっ、一応ロシアにも釣り好きが多い、その事実だけは伝えておきます。

 今回の問題はそこではなくて、このZという商品、釣り具のリールらしいのですが、どういった商品であるのかってところ。詳しくはこんな感じらしいっす。

 

 

 とりわけこの部品たち、優秀そうだし、仕事しそう・・・・。

 

 これなんかまずくねぇ? というか、これ、あかんやつや・・・・。

 

 まぁ確かに、日本の製品というのは釣り具に限らず良く出来ています。完成品だけではなく、特にそれらを構成する部品の精度は世界一だとも思う。

 これは想像なのですが、巡航ミサイル等の精密兵器でロシアの技術では製作できない超硬度のギアは、クリミア併合以降、西側の輸出規制で輸入できないところに、転用可能と思われる日本の民生品を見つけ出し、個人輸入を装い密かに手に入れていたのではないか?

 そして今回の戦争が始まり、リールの個人輸入が出来なくなると、今度は一転第三国を経由して入手しているのではないか?

 実際に発送依頼する商社には、第三国を経由を示唆するメールも来るとのこと・・・・、うーんこれは怪しい。

 きっとどんな製品であってもこの国のものは、あちらさんが輸入してそれらを分解すれば、普通に兵器へ再利用できそうなもので溢れている、そういうものなのかもしれません。

 ただですよ、そうだとしても相応のお値段というものがある。たとえば車なら新車は¥200万以上するし、中古でも¥50万は下らない。空調機でも¥数十万はする。あちらのお眼鏡に適う部品が、それらからどれだけ捻出できるのかは定かではありませんが、おのずと費用対効果が問われてくるのだろうなと。ロシアも経済制裁の真っ只中でルーブルは値を崩していますし。

 ここでーつ言えること、それはこのリールの単価が約¥5万也という事実。そしてこの部品たちがいくつも文字通り重なり合うようにしてこの製品は出来上がっている・・・・。

 つまりコストパフォーマンスが良いのです、きっと。

 

 今、ロシアはウクライナの普通の人々を巻き込む攻撃を強めています。

www.sankei.com

 彼ら罪なき人々を標的にした武器に、日本で造られたものがその一部であっても、組み込まれている可能性はないだろうか・・・・?

 もしかするとわれわれは、あの忌まわしき戦争の片棒を担ごうとしていることになりはしないか・・・・・?

 今、われわれの手は血塗られようとしているのかもしれない。

 考えすぎやただの妄想でしかない、そう切り捨て杞憂で終わるのならそれで結構。

 しかし、仮にA氏や私が疑うところのウラが取れ信憑性が伴ったとして、それでさえも、「今に始まった話じゃないだろ」 そう冷静に切り返されたとする、まぁ、そこも甘んじて事実として受け止めよう。でも、それを聞き流すことはもうできない!

 亡くなったウクライナの人々の中には幼い子供もいる。一命は取り留めたが重傷を負い、手足を失った、そんな子供たちもいる。親を失った子だってたくさんいるではないか。

 われわれいい大人が、他国で起きていることとはいえ、手をこまねいて見ているだけで良いのだろうか・・・・?

 

 誤解していただきたくないのですが、この記事を通じて、ロシアの武器に転用されている、そんな可能性のある製品や企業をあぶり出し晒し物にしようというのではない。そもそも優れた完成品や部品を創ること、それこそが企業の使命だからだ。しかしそれらが実際にウクライナの人々の日常を、幕間もなく地獄絵図へと一変させる文字通り奈落の歯車の一つになっているのならどうか?

 この国も、ようやく経済安全保障について語り始めた。経済安保担当の窓口を設立する企業も増えた。経済安保とは、つまるところ、儲かればなんでもええ、ってところの正反対のものだと思うのだ。 

 恐らく今回引き合いに出した例は氷山の一角に過ぎない。手ごろな値段で、精緻で堅牢な部品が組み合わされることで成り立つ、そんな製品はこの国にはいくらでも転がっているからだ。

 それらがロシアに渡ることを止めるために、われわれにだってできることがあるはずだ。それはそういった製品や部品についての情報を持ち寄り意見を交わすこと。怪しげな動きや流れは表に出し光を当て点検し、その情報をできるだけ多くの人々の間で共有する。そして何度も検証のサイクルを回し確度を高める。それぐらいのことならできるだろう。

 そこで出された結論は速やかに企業に伝え、自らの手で公表することを促そう。販売代理店や輸送代行会社と連携していただき、怪しい流れはできるだけ川上で断つべきだ。経済安保の観点で申し上げれば、それは教科書通りの動きであり、決して公表した企業が責められるものではない。むしろ逆に製品や部品のスペックの高さを証明することになるだろう。

 今からでも遅くはない、それを始めてみようと思う。もしかするとそれがウクライナの被害を小さくすることに、そしてこの戦争を終わらせることに、ささやかながら役に立つことを祈って。

 彼らのために、きっとわれわれにだってやれることはある、そう思うのです。