Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

ドラフトを振り返る 勝公編 ①

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 虎の守護神スアレス、正式に退団が決まりました。耳を澄まさなくても、多くの阪神ファンの溜息、というか呻き声が聴こえてきそうですね。

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 まあ正直言うと、シーズン中からそうなると思ってはいました。というのは、例のサイン盗みの一件、

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 上の件があった時、あっ、これは、と直感したのですわ・・・・。

 まず、あそこまではっきりとヤクルトが言うってことは、うちのサイン盗みを確信し証拠を掴んでいるのだろうと。じゃあその信ずるに足る出元はどこなのか、そこに思いを馳せていた際にピーンと来た。こりゃスアレス兄弟やと。

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 さらに妄想を推し進めると、どうも終盤の使われ方が変な上に即クビになったサンズも怪しい。こっちは仕掛けた側か。

 つまり、サイン伝達をサンズが近本あたりに持ち掛け、結果、やってもうたんやろうなと・・・・。

 前半戦、サンズがランナー背負って爆発 ⇒ それをスアレスが兄貴に気をつけろと注進 ⇒ 村上がそれを嗅ぎつけてパフォーマンス的に暴露・・・・、こんな流れか。

 もしそうなら、スアレス阪神に愛想を尽かし、兄への義理を重んじたということで、今年限りやろな、そう直感したというわけ。

 もちろんこれは妄想。でも、なんだか終盤のサンズの冷遇の説明もつくような。そういえば去年と今年前半、得点圏打率が高かったよね。特に近本セカンドに置いてよく打っとったな。

 さらに続けるなら、猛省した近本は盗塁の意欲が激減。中盤以降は盗塁を自粛。そりゃ、あいつまたサイン盗みに二塁に走り寄るでっ、そう噂されるのは困るわな。

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 結局盗塁王は近本に譲られる形で中野が獲得。これもなんか嫌な感じ。サイン盗みのサンズはスケーブゴートになってあっさりクビ。結果、今阪神のベンチの雰囲気は12球団最悪。これがいわゆる ”俺らの野球” とかいうやつの実態ですわ、ゲンナリ・・・・。

 まぁ、結局誰が悪いかといえば、矢野、おまえだよ! サイン盗みを黙認したんだからな。なのに井上HCともども続投。12球団一雰囲気の悪いチームは来年も続く。マルテがどんなに糸原と一緒にベンチの前でアホ丸出しにラパンパラをやっても、やればやるほど盛り下がるのでしようね、これからは、ええわかります。まったく選手はかなり揃ったというのに・・・・。合唱

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<本日の絆>

 あるでサイヤング賞

 それでは今年の日本ハムのドラフトについて振り返ります。

 ドラフト前に、を一本釣りしたチームこそが今年の勝者と断言しました。つまり日ハムが真の日本一、おめでとうございます! 新庄も監督になったし、来シーズンが楽しみですね。

 では、何故私が達を評価したのか、このあたりを今さらながら読んでいただきたい、

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 これなんて序の口、今回はさらに掘り下げて演歌歌手のごとくしつこくしつこく語らせていただきます。ドラフト前に、もし予言通り達の入札1位があれば書いてやろうと溜め込んだものを、 ここぞとばかりに吐き出しますから。なんせこの五年間で最も入れ込んだ投手、それが達なのですから。

 真剣に日本人で初めてサイヤング賞を獲れる投手だとも思っています。まさに逸材中の逸材、日本の宝。ただ、何度も申し上げておりますが、この私め、去年のドラフトで伊藤将よりも中森と言い、木澤を評価していたという点もお忘れなく。

 それと、申し上げにくいのですが、達本人の話の前に、壮大な前振りがあることもご理解願います。 面倒臭いのが苦手な方は読まん方がええでしような、ええ。

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 達の最大の長所は角度。しかしそれは身長ではありません。背が低くても真上から振り下ろす投手には角度は成立する、私はそう思っています。そしてその上に、という話ですが、達には190cm以上という長身がある。だからこそ惚れ込んだのです。

 恐らくメジャーでもあのサイズで、文字通り真上から投げられる投手はそうそういないでしょう。どうか怪我とトラブルがなければ良いのですが。今から願わずにおられません。

 ここで角度って、具体的に何?って話になると思うのですが、差し当たって私は、ボールの回転、もしくは回転軸だと解釈しています。では、ボールの回転ってそもそもなんなんでしよう・・・・?

 ボールの回転における論争

 ボールの回転を巡っては、私の球児時代からいろいろとありました。私らの頃は、球の回転の良い投手に対しては、当てたら飛ぶから合わせに行け、というのがありました。つまりは球質は軽いぞと。逆に回転のないボールは重い、とも言われていました。このあたり漫画ドカベンを鵜呑みにしていた感がありますな。

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 確かに回転の良い投手のボールは良く飛んだ、そんな気はします。まあ所詮私はボンクラ球児だったので、大したことは言えないけどね。

 ただ、当時中畑あたりがテレビのヒーローインタビューなどで、「打ったボールはフォーク♪ フォークの高めに抜けてきたのは良く飛ぶんだよ、絶好調!」みたいなことを言い出したので、「おいおいあれってどういうこと?」「無回転のフォークが飛ぶってこと?」「いや、抜けてるんだから回転してんじゃね」、とか仲間内でザワついたのを覚えております。ただ、当時の私らのレベルでは、残念ながらフォークの高めに抜けたボールを打ったことのある奴なんていないので、結局この話はお蔵入り、というか謎のままいまだに回収に至ってはおりません。

 それからボールの回転を巡っては、野茂がMLBに挑戦した際、ピアッザが、「野茂のフォークはキュルキュルと回転しながら落ちるんだ」と発言したことがあり、これも私の近辺の各方面に波紋を起こしました。実際にそれを受けてる捕手が言うのだから間違いはないのでしょうが、「野茂のフォークって回転してたっけ?」「あっちのボールは挟むと回転してしまうんじゃね」、みたいな。そんないい加減な会話を仲間内で重ねたのを覚えております。

 それから数年して手塚理論が新しく出てきて、ジャイ口回転のボールって凄いらしいぞ、などと盛り上がり、野球オタの間で騒がれ始め、川尻はジャイロボールの使い手かも、とか、たぶん当時の漫画も取り上げたらしく、これまたボールの回転論争に一石投じる形となりました。

 今世紀に入ってからは、スピードガン表示なども絡めて「球児・クルーン問題」が勃発。日本球界で初めて160キ口を計測したクルーンと、基本140キロ台後半の球児、二人は奪三振率がほぼ同じで、持ち球も変化球がイマイチで抜くようなボールもなく緩急がない点なども一緒。何かと比較されたが、打者の多くが、またお茶の間の映像を通じても球児の球の方が速い、という声がもっぱらだった。なのでそこを解明しようとする物好きが少なからず現れた。

 そのアプローチは概ね次のようなもの、二人の間の差、つまりスピードガン上の数値の差を埋めるものは何なのか?という謎解き。

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 仮説としては、「球児の球はクルーンより回転数が多く、浮き上がるような球筋(引力に逆らってボールが浮くことはないので、タレが少ないという意味、以降同様)で、初速と終速の差がないから速く見えるし空振りも獲れるのだ」、というのがその大多数であった。

 しかし科学のメスが入ると驚いたことに、初速と終速の差が少ないのはむしろクルーンで、球の回転も球児の方が少し多いかな、っていう程度であったという事実が判明してしまった。結局、この件について納得できる答えに出くわさないまま、クルーンが衰えてアメリカに帰ったことで議論は終息してしまった。つまり謎は残った。

 ただ何となくではあるが、クルーン無き後、そういえばあの話ってこういうことだったんだよなあ、というような、一種都市伝説的に語り継がれてはいた。多くの場合、そこからは初速、終速の話は切り落とされて、球児のボールの方が回転数が多く、しかも奇麗な縦回転なので浮揚力があって、スピードガン表示以上に速く見える、それが火の球ストレートなんや!というもっともらしいというか、阪神愛溢れる言い分で、あくまでクルーンは球児上げのつまみとして扱われる形で喧伝されたのだ。つまりクルーンのボールがどうだったかについても抜け落ちることとなった。

 そんな流れの中で、謎の部分を誰かがほじくり返し、そもそもクルーンの方がMAXで10キ口近く速いうえに、初速と終速の差も少ないのだから、球児より速く感じてしかるべきでは、という素朴な突っ込みをしてみたところで、それに対しては当然 No reply・・・・。

 私もかって特に良くもない頭の中で整理しようと試みたことはあった。手元で伸びてくることと、手元で浮き上がることにどのような違いがあるのか、さらにはクルーンの回転数も悪くはないので、そこそこ浮き上がる球筋ではなかったのか、などなど・・・・。

 しかし結局、二人の全盛期は重なっていたため、セーブ数はチームの状態が左右するので置いておくとして、防御率や救援成功率、つまり同時期にマウンド上で残した成績は圧倒的に球児に軍配が上がっている以上、それらの疑問にいちいち丁寧に答える必要はなく、結果がすべてとばかりに、球児の方が速いでええやろ、実際打者の眼にはそう映ったんだから、と最後は突き放されたような気がしたもんです。

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 答えは回転軸にあり!?

 「球児・クルーン問題」から十数年。文字通り時代も変わり、今ではまさに開催中の都市対抗においては投球のたびに回転数が出るようにもなった。まあ私自身はそれほどボールの回転について考えることはなかったのですが、去年ブログを持った機会に、もう一度考えてみようか、となった。たとえばの話、藤浪復活の手がかりを探せるかもしれないし。

 でっ、たどり着いた結論とは、回転数ではなく、回転軸にこそ、その答えがあるのではないのか、ということ。そう思ってみると、上の「球児・クルーン問題」において、未消化になっていた、“回転数“、”縦回転“、“浮揚力”、“ジャイロ“、”初速と終速の差“、”手元の伸び” などについて自分なりにようやく説明がつくような気がしたのです。

 いま一度、未整理の部分を繰り返すと、クルーンは球児よりもMAXでは10キロ近くストレートは速かった。しかも初速、終速の差も少なく、手元で伸びる球質でもあった。しかし二人のクローザーとしての優劣では球児が上。それは対戦打者の証言だけではなく、球場やテレビで観戦する野球フアンの多くも、球児のストレートの方が威力があったように映った。もちろん後者のそれは印象以外の何物でもない。だからこそ、二人の間にある成績の差を裏付けるような科学的な根拠、それはスビードガンの数値以外の何か、を求めることとなった。

 ここからは個人的な推測になるのだが、まずクルーンのボールは、初速と終速の差が少なかったことから、恐らくジャイ口成分が高い球の回転だったと思われる。そうであれば空気抵抗が無い分、手元まで急速は落ちないという計測結果に対する説明がつく。しかし、ジャイ口回転のボールゆえに癖のないストレートで、微妙な変化もない。なので、確かに手元での伸びがハンパない、そう打者が感じたとしても想定内の球筋であるため、前に飛ばせないまでも力ットを繰り返したりで、失投を待つことは可能。もちろん160キ口近いストレートが持ち味なので奪三振率は高いが、それを連投できるような好調時以外は、打者も対応が可能であったと思われる。

 一方の球児のストレートは、平均で150キ口出ないが、縦回転のボールを投げる再現力には長けているうえに、回転数が高いため、打者目線で言えば、浮き上がるようなボール、それはある種変化球とも言えるような、つまり手元で少し曲がる力ットが、横ではなく上に変化する、そんなイメージのボールを投げていたと思われる。特に回転数が高い、すなわち浮揚力が効いている時などは、打者は皆お手上げだったと想像する。

 誠に手前味噌であるが、球児がほぼストレートのみで一時代を築いたのも大いにうなずける話である。

 そう整理してみると、クルーンのズドーンと来る球というのはその表現というか響きとは裏腹に、実は奇麗な球筋であったと思われる。恐らく、国吉あたりの160キロも同様ではないだろうか。

 極論すると、“手元での伸び“ と称されるものの正体は、力ットするのも困難なボールを指すべきであり、つまりは文字通り ”手元で浮き上がる” そう打者に言わしめる球筋をいうのではないのか。ならば初速、終速の差は、あまり関係ないようにも思うがどうだろう。つまりジャイロなるものは実はあまり意味がなく、旋回する回転のボールは確かに空気抵抗がなく手元まで速度を維持するが、打者目線では変化のない素直な球筋でしかなく、結果としてそれらの差が少ないというアドバンテージも、それに打ち消されてしまうのではないか。そもそも打者はスイングの際投手側に踏み込むため、体感スピードは手元でその分速くなるので、終速が何キロだろうがあまり関係ないのかもしれない。下記のダルビツシュの呟きにもそれは表れている、

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 ストレートであっても必要なのは手元での微妙な変化であり、ツーシーム、ワンシームが却光を浴びるのはそのためだろう。しかし、それがすなわち手元で動くボールを指すのではない、私はそう見る。かってMLBでは、投手も自分の球がどんな変化をするのか判らない、などという言い回しがまことしやかに流れたのだが、それも嘘だと思う。ナックルボーラーならいざしらず、縫い目に掛けずに投げるからどんな変化をするのか予測不能というのは、仮にそういうような投手がいたとしても、その再現性の低さから自然と淘汰埋没するだろう。

 以前MLB時代の松井を引き合いに出して、当時全盛だった動くボールに対応できなかった、と書いたが、それはそこでも指摘したように、むしろバットをリードする右腕が、力が入ると伸び切る癖が松井にはあったので、力ットボールやシンカーというストレート系の微妙な変化球に対応できなかっただけではなかったか。

 少し横道に逸れたが投手に話を戻すと、これから投手に求められるのは、ストレートであってもその回転軸を意識することであり、変化球であればなおさらで、具体的に時計でいう長針が差す方向、つまり何時何分の角度で曲がる、というか曲げる、しかも意図的に狙える、さらに繰り返しそれができる、という精度と再現性の高さではないのか? つまりというか、蛇足ではあるが、投けたボールに訊いてくれ、ではあかんと思いますよ。

 ここでようやく達の話に辿り着くのだが、もう一度言う、私は真剣に彼ならでサイヤング賞を獲れると思っている。理由は彼が唯一無二の存在だからである。あれだけ身長があってあれだけ真上から投げ下ろす投手を、私はいまだかって彼以外に見たことがない。メジャーに行けば彼ぐらいの身長の投手などざらにいるのだろうが、脚の長さや腕の長さなどからくるバランスの問題か、ほぼ身体を横回転させて投げるため、文字通りのオーバースローの投手は皆無。となると奇麗な縦回転の回転軸のストレートなど望むべくもない。達がいかに特別な存在であるかご理解いただけたであろうか。

 ということで大変恐縮ですが本日はここまで。寝ます! 明日以降で達についてまだまだ続きます。こうご期待。

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