Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

ドラフトを振り返る 孤鴎編 ②

 季節は晩秋に差し掛かっていますが、神宮大会は宴たけなわって感じで雰囲気良さげですね。

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 しかも、昨日は注目の一年生スラッガートリオが見事に本塁打の競演!

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 慧に麟太郎に侠史朗って、まず名前が凄いな・・・・。まるで剣豪。でっ、そのまま一年にして名門の四番ですからね。すでに真鍋は中井さんがボンズと呼んでいるのだとか。佐倉は大型の森で、佐々木はどうでしょう、和製プリンス・フィルダーって感じか。信念の人、”岩手のゴルバチョフ” と勝手に私が呼んでいるところの佐々木監督の息子だけに、迫力ありますわ。来年からはようやくスポーツイベントも普通に戻るでしょうから、この三人、そのまんま選抜の超目玉になるわけです。来春が今から楽しみですね♪

 まぁこんな風に野球は次から次へと逸材が現れるのに対して、ラグビーときたら・・・・。わかっていたとはいえ、欧州遠征でも新戦力の台頭は皆無。Tier1の各チームには二十歳そこそこの若手がわんさか出てきているというのにね。本来そういう選手を送り出す役割をしなけりゃならないはずの大学ラグビーはといえば、相も変わらず内輪で盛り上がるだけ。緩い練習か、もしくはなんか特殊な強化に励んでいるようで、どちらにしても役立たずでしかない。マジでもうやめたら。日本ラグビーにとって害悪だろ。

 しかして高校ラグビーですら、今のところ観る者をワクワクさせるような逸材がいる、というような話はついぞ聞いたことはない。まぁ高校生に二年後を期待しろというのがそもそも間違いですが、この停滞感、はっきり言ってヤバいぞ。

 かなり前に、大学二年生ぐらいまでを対象に、日本代表強化の一環として合同トライアウトやったら、ってなこと書きました。大学ラグビーはこの国のラグビーにとって足枷にしかなっていないので、こっちから見つけに行くしかないよ、ってことで書いたのです。元ヤマハの粟田のような選手が眠っている可能性はあると思うんだけどな。ご存じのように大野だって大学時代は遊びでラグビーやってたってぐらいだし。つまり日本代表に新風を吹き込むような逸材は、来月から始まるであろう大学選手権を眺めてたって見つからんと思うぞ。

 今回の遠征でジェイミーは経験だけではなく、Experiment というようなことを言ったそうですが、大分も含めてあんな試合を繰り返すようなら、若手 ”見極め” ではなく ”見納め” になるのではないでしょうか。

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 ではでは、前回ロッテの1位指名松川について書きましたが、途中まででしたのでその続きです。

 まず、高校生捕手1位は荷が重い、というようなことを書きました。しかも、軸足をズラす癖持ちとも。こういうタイプは、その癖を直すのは無理なので、とにかくスイングスピードを上げる努力をしないとダメで、果たしてそれが松川にできるのか、それがプロで成功する鍵だと思うのです。

 ただロッテのこの指名から、並々ならぬスカウト陣の自信が伝わってくる。まぁ今年は不作なので思い切ったことができたというか、それが後押しした格好ではある。なぜそれを感じるのかといえば、山口航輝の存在があるからです。おそらく今年の山口の活躍で、ロッテのスカウト陣は手応えを感じたのだろうなと。

 三年前、山口の四位は正直思い切った指名と感じた。怪我持ちでしたしね。しかし今年は見事にその期待に応えたし、順位が正しかった証明にもなった。つまりそこから高校生右打者を観る眼においては他の追随は許さんぞ、その意気込みが透けて見える。だからこその松川1位ではないか。ただ、私自身はまだ懐疑的なので、来年のイースタン観戦の楽しみの一つにしたいと思ってはいます。

 ではでは果たして松川はどんな選手になるのでしょう? 軸足をズラすタイプの右打者は現役のNPBでもゴロゴロいます。阪神なら北條が良い例か。こう言うとかなり不安になった方もいるでしょうから、個人的にロッテのスカウトたちの描く未来図を想像し先回りしてお伝えするなら、それは元DeNAの村田ではないかと。言うまでもなく村田は軸足をズラして打つ右打者の代表格。ホームラン、打点の二冠に輝いたこともある。もちろんこれは上手くいけば、という話ではある。

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 平成を代表する右の強打者と評したい反面、その村田であっても熱心な横浜フアンからは恒常的にパッシングを受けてもいましたな。しかしそこは詮無い話。あの球史に残るスラッガーのはずの中村剛も、コアな西武フアンの友人などはその全盛期であってさえも、少しはチームに貢献しろ、存在自体が罪なんだよ、と切り捨てていたものですし・・・・。そういう職業即ち野球ファンという彼等の前で、「いやぁー、村田もおかわりも、良い打者じゃないんじゃないのかなあ・・・、うんうん」なんて言おうものなら凍てつくような視線を返されるのがオチ。なんとも右の長距離砲というのは難しいものである、ええ。

 少し横道に逸れますが、村田について触れておくと、彼は球界において珍しい、変化球待ちのバッターだったのではなかったか。初球から最後まで、徹頭徹尾変化球を待ち続けていた、そう思うのです。

 名捕手の誉れの高い故野村克也は、打者とはA~Dの四つに分類できるのだ、そう言い放ったものでした。曰く、Aとは速球待ちで変化球に対応するタイプ。Bはインかアウトかコースを張るタイプ。Cは押っ付けやセンター返しなど打つ方向から逆算するタイプ。そしてDは球種を読むタイプ、と。「Aが理想形だが俺はDだった」とも。

 じゃぁ村田は変化球待ちなのだから野村と同じくDだろ、と言われそうですがそうではなく、正確に村田を評するならば、「遅い球を待って、速い球に対応する」そんなタイプに思えてならんのです。つまりスピード帯で待った。恐らく野村の分類では収まりきらないタイプだったのでは。

 打席では常に120キロ後半~130キロ台、つまり結果的にスライダーやフォーク、チェンジアップなどの抜け球を待っている。それらは村田には必ず投げて来るボールでもあった。ではそこに超ド級の剛球が来たらどうするのか? 恐らくカットすることしか考えていなかったのではないか。仮にそうならこの割り切りは見事。あっさりの見逃しや、ワンバウンドするような糞ボールを振っての三振も多かったが、変化球待ちで160キロ近しストレートをカットできる技術、スイングスピードは凄い技だと勝手に感じ入っていました。また140キロ中盤までならストレートも反応で右中間を中心に打ち返すこともできた。その全盛期、二冠に輝いたのも頷けます。

 平成もその後半に入り、そういう打者が増えたようにも感じていました。まさに今、日本シリーズを戦っているヤクルトの塩見がそうではと睨んでいる。恐らくオリックスもそれを判っているから追い込んだらストレートという攻めをしているのではないでしょうか。昨日の初回の初球のストレートを打ってのライトフライは、恐らく村田の様に反応で打ったのでしょうね。時には撒き餌も必要でしょうから。まぁそれも含めてオリックスバッテリーにはお見通しのようです。暇な方は話半分、今日以降の塩見の打席に注目してみてください。

 NPBも令和を迎え進化しているな、そうつくづく思います。昭和の名捕手野村の理論はもはや通じないとも。阪神の江越あたりもいつまでも二兎を追うのではなく、割り切って変化球だけを待てばいいのにと思うのですが・・・・。

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 話を松川に戻します。軸足をズラすという1コマは、プロのレベルにおいては明らかに無駄な動きです。それを直さない、もしくは直らないのであれば、スイングスピードで取り返すしかないでしょう。つまり今のバッティングスタイルを貫くならば、スイングスピードに磨きを掛ける、そこが己の生命線である、そう悟るべきでしょうね。また捕手である特性を活かし、配給の読みを深めるのも良いでしょう。ただ、私自身の感覚でいえば、初対戦が半分以上の高校野球界において、厳しい言い方ですがどれだけ捕手としての資質や器量が育ったかといえば大いに疑問。そういう意味では松川には捕手だけではなく、 サードあたりもやらせるべきであろう、そうも思うのです。

・来年の成績:ファームで .200 7本

 ロッテの2位以降の指名については明日以降で。