Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

日本ラグビーの憂鬱 Ⅷ

 

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 ニューズウィーク誌が、コロナ武漢研究所発生源説を特集しています。 内容以前にあの薄っぺらさで480円ですから、本屋での立ち読みがお薦めです。

 そういえば去年、コロナ直後の武漢の密着ドキュメントを撮って、一躍「時の人」に躍り出たというあの人のことが思い起こされますね。

globe.asahi.com

 ここで取り上げたのは去年の6月だから、もう一年か・・・・、

tilleternity.hatenablog.jp

 中国に移住して、「リアルな中国を撮りたい」と色んなところで語っている彼なのだから、武漢での撮影の際、研究所へ行く気はなかったんすかね? まぁ、猫に鰹節を探して来いっていうのもアレですが。
 日本のメディアは、そんな彼のことを何故か絶賛していました。がっ、ようやくこういうのも出て参りました、

courrier.jp

 記事の中でこんな風に語っています、

「そもそも私は中国を美化したことも誇張したことも、嘘をついたこともない。意外に中国にもこんな良い面があるから見て、というスタンス。当然、黒を白と表現したこともなく、黒はそのまま黒として紹介する。真実を曲げない、これは私の大原則だ」

  とのこと。因みに新疆ウイグル自治区については、「関心がない」のだそうです。あ、そう・・・・。

 彼には南京伝媒学院(メディア大学)の客員教授ポストと研究室が用意されたり、江蘇省人民友好使者(外国人友好大使)に選ばれたりもしているのだって、オメデト-ゥ!パチパチパチ ーッ♪。

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 それではケッタ糞の悪いお話はこれぐらいにして本題に入ります。前回はラグビーというよりも、Jリーグのスタジアム事情について書きました。ラグビーの新リーグのロールモデルがJリーグのようなので、それを書かずして先には進めないのです。それに、スタジアムこそが新リーグの命運を握っている、私はそう思っています。

<本日の黒を白> 

 W杯とスタジアムの微妙な立ち位置 

 大成功に終わったと多くの方の記憶に刻まれている2002年のFIFAW杯、その経済効果は3兆3千億円にも及んだとされています。しかし、その検証をした者は、私の知る限り故広瀬一郎氏以外にはいない。確かに盛り上がりや感動はプライスレスではあるが、国や自治体はそれをすべきであったと思う。しかしそれをしないところを見ると、宴の熱に流された、そんな向きはなかっただろうか?

 一つ申し上げるなら、FIFAW杯開催のために自治体が整備した下記の各スタジアムなど巨大施設の建設総費用は3,338億円。そのうち地元負担分は2,138億円にも達した、という事実があったこと、当該自治体住民以外の方で、覚えている人がどれぐらいいるのだろう?

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 この表ぐらいなら、きっとなんとなく目にしたという人はいる。しかし、年数億程度の赤字か、などと受け流されがち。でも問題はそこじゃない。そもそも各自治体は巨大施設を建造するにあたり、開場後毎年そのスタジアムが稼ぎ出す上がりで、地元負担分ぐらいは長い話にはなるかもしれないがなんとかしよう、というシナリオだったはず。というのに、本丸である建設費の償還費用を運営の黒字で賄おうにも、まだそこにすら至ってはおらず、毎年毎年赤字を垂れ流す始末。

 つまり棟上げから今日にいたるまで、2,000億以上の赤字は一銭たりとて回収されることはなく、各自治体の赤字として膨らみ続けているのです。Jリーグ各チームがスタジアムの運営に関わらない、というのはある意味賢明といえるのかも。でも、あえて問うが、それって正しいのか・・・・? 

 新リーグの関係者は今、ホームタウンもそうですが、恐らくホームスタジアムで一番頭を痛めていることでしょう。ホームタウン内であれば複数の本拠地を持っても構わない、そう参入条件に明記されているたあたりにもそれが伺えます。

 でっ、一ファンとして言わせていただけるなら、今、苦労せずして成功はないぞと。ホームスタジアムの問題を安易に手を打ち片づけてしまうと、早晩失敗するのだぞと。ここでとことん苦しんで、悩んで、知恵を巡らして欲しい。そのために先行するJリーグ、プロ野球、Bリーグのあらゆる事例を精査して、どうすればプロスポーツとして後発であるラグビーが、ファンに受け入れられるのか、というところから逆算してください。まずは予算ありきではダメなんですよ、しゃーないけど。

 まぁホームスタジアムで悩むなんて幸せな方で、ホームタウンのところで躓いてしまっているチームもあるようですが、それはこういう箱モノ行政の失敗を、すでに自治体がよく承知しているからかもしれない。

 納税者に認められてこその市民球団

 自治体とプロスポーツが結び付きがちなのは、職員の多くが漠然とではあるが、自分の仕事やサービスがもっと目に見える形で市民に伝わらないか、と考えているからではないのか。そこで町の顔としてスポーツチームはどう、ってな話が出て来る。しかしそれはお門違いだろう。なぜならば、本来公僕として住民に尽くすというのなら、あくまでも自らの取組みを通じて直接手応えを感じるまでやるべきで、そこにスポーツチームという一種の偶像を間に噛ますというのはどうなのか。

 まぁ、私にはお役人の経験はないのでこれ以上は判りません。ただ、彼らの目に映っているところの、お客様=市民=納税者 という感覚は参考になるかもしれない。というのはJリーグやNPB、そして我らがラグビー新リーグがおしなべて目指す究極の着地点は、市民球団だからだ。少し表現がお堅いのなら、おらがチーム でも わしらの誇り でもいい。とにかく地元の人々に愛されるチームをゴールラインにしているはず。それは新リーグの参入条件にある「地域名を入れる」というコンセプトからも判る。

 そこに住まうすべての人々をコアなファンに染め上げる、とまではいかなくとも、誰もがチーム名はもちろん、応援歌の一節ぐらいなら口ずさめる、そんなチームが理想ではないか。もしそう願うのならば、市民を潜在的なサポーター予備軍とする前に、彼らを括り直す必要があるかもしれない。それは、

 市民 or おら or わしら = 納税者(直接、間接問わず)

という風に。

 市民 だろうと おら、だろうと わし だろうと、彼等に戸籍があれば税金を払っているはず。なので、この数式は当て嵌る。であるなら、もしかすると市民球団が成立するための条件とは、

ファン = 納税者

ではないのか?

 日本人の納税意識は世界的にみても決して低くはないが、不満を抱く者は多い。仕方なく渋々払っている、というのが実態だろう。私もそうです。その背景にあるのは税率の高さではなく、直接リターンを感じることが少ないからではないのか。毟り取られた、搾取されている、そういう後味の悪さだけがいつも残る・・・・。

 なので、地元チームの応援に出かけ、本拠地の巨大スタジアムをまざまざと眺めながら感じること、それは果たして 「我々の税金が活かされた!」  なのか、「 ここの建設費って、確かまだ払えてなかったのでは?」 のどっちだろうか・・・・? もし後者の思いにサポーターが少しでも浸ったとするなら、それは拙いと思う。あえて誤解を恐れずに言えば、Jリーグは、ことホームスタジアムとの関わりにおいて失敗したのではないのか?

 J1の一試合当たりの平均観客数がコロナ前の19年、ついに2万人台に達し、94年の数字を越えたのですが、そこまで四半世紀かかっている。

www.footballchannel.jp

 プロ野球のそれは、19年までのわずか10年の間で20%伸び、ほぼ毎年記録を更新していることを考えると少し寂しい気がする。もちろん誕生時のブームが異常値を生んだことや、チーム数や試合数が増えたこと、マーケットの問題も挙げられるのでしょうが、プロ野球がシーズン中、月曜を除きほぼ毎日試合をやり、その七割近くが平日開催であることも踏まえるなら、基本二週間に一度で土日開催であるJリーグの数字に物足りなさを感じてしまう。

 日本人のサッカー愛は野球と比較して低いとは思えない。それは競技人口からも見て取れる。では、Jリーグの観客数が思うように伸びない背景には一体何があるのだろう。

 Jリーグの回転率 (1人当たりの年間観戦試合数) はJ1で11.1と高く、コアなファンを生み出すことに成功し、収益面でも彼らに支えられている。この点はラグビー側として、大いに参考にしなければならないところである。一方、その層が頭打ちであること、そしてライト層への浸食が思うように進んでいない点などは、その原因がどこにあるのか、新リーグ関係者は答えを導き出すには至らないまでも、あらかじめ仮説のいくつかは用意しておくべきだろう。

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 例えば、競技自体の人気が代表に片寄りリーグにまで伝播しない、というのなら、それはそのままラグビー界が抱える課題と一致することになる。また、ライト層を引き寄せられない原因の一つに、チームに対する税金等による優遇などが快く思われていない点があったとするなら、それはチームの運営体質にかかわる話であり、簡単には変えられない深刻な問題といえる。

 前回、Jリーグの各チームは自前のスタジアム所有に拘りがないこと、更には管理業者にすらなっていない点に触れた。仮にそうであるというのに、スタジアムの看板等の広告収入の一部、もしくは大半が、チームの懐に入っていたならどうだろう? それらは本来ただでさえ赤字の年間のスタジアム運営費、もしくは払う目途が一向に立たない建設費に充てがわれるべきものでは、という声が上がってもおかしくはない。後発であるラグビー新リーグとしては、そういった点にまで気を配る必要はないだろうか?

 実際のところ、Jリーグは税リーグだと揶揄されている。税金の問題は気になる人にはとことん気になるわけで、どうして水道代や駅前の市営の駐輪場の利用料がこんなに高いのか、から、家の前の道路の舗装やゴミの回収回数まで、市政に対する不満というのは普通に生活していても自然と溜まるものである。おらが町のスタジアムであっても、それが税金で建てられていて、あまつさえその建設費の償還が覚束ないどころか、毎年赤字を垂れ流しているとなると、それらの穴埋めはどこかでされていることであり、そのしわ寄せで本来自分たちが行政から受けてしかるべきサービスが抜け落ちてはいないか、などなど、税金が絡んでくると、何かにつけてそのあたりに結び付けられ槍玉にあがりやすい。

 先に挙げた数式、ファン=納税者 は、確かに奇妙かもしれないが、直接間接誰もが税金を払っているという当たり前の構図や、スポーツ興行も根っこの部分は人と人との商売であることを思い返す時、その税金で何らかの後押しを受けた球団が、一部の市民の熱狂的な支持を取り付けることができたとしても、おらがチーム や わしらの誇り に果たしてなり得るのだろうか・・・・? 

 Jリーグについてはここで終わり。まぁ正直、ここまでの内容はサッカーに興味のない人間が、Jリーグをスタジアムがらみで難癖つけて貶めている、そう言われても仕方ない仕上がりです。正直、こんな風には書きたくなかったのですが、現状、ラグビー新リーグが20チーム以上の3部構成、昇降格ありきで進めてしまっている以上、Jリーグとの比較は不可避。また自治体を巻き込もうとしているところはもちろんですが、四年に一度のW杯の存在や日本代表との関係は、クラブチームにとってまさに生命線であるところなど相似形。そもそも両者はフットボールだし。

 そういうこともあって、はっきり言ってしまえば、ラグビー側はJリーグが築き上げたスキームを何も考えずほぼ丸呑みしそうな勢い。マネるのは構わないけれど、それをしてはいけない部分もあるでしょ、と。せっかく道なき道を切り拓き前を歩いてくださる方がいるのだから、脇目も振らず背中を追うだけじゃなくて、その足取りや歩幅など、細部にわたって点検してからそうして欲しいのです。それをすれば、マネて良い部分とそうでない部分が見えてくると思うのですが・・・・。 

 いよいよプロ野球との比較に

 それでは続いてプロ野球と比較した場合、ラグビー新リーグはどうなのか。そもそも以前書いたのですが、ラグビーはこの国において、サッカーよりも野球との親和性が高いのでは、と個人的に思っているのですよ。たとえば花園と甲子園、対抗戦と六大学などは非常に似ている。

 またトップリーグですら社会人野球とよく似た面がある。NTT東西やJR東西、本田技研鈴鹿と熊本などの都市対抗における兄弟対決は、ドコモvsコムや、トヨタvs日野や織機の構図と同じ。社内の部の位置づけもそっくり。なので新リーグの関係者は、プロ化を押し進めるにあたって、NPBからもしっかりと学んで欲しい。特に失敗しているところなどは是非!

 そこでここからはオリックス・バファローズという球団を例に挙げて、お話を進めて参ります。まずこの球団、二十年来不人気球団の筆頭格のチームです。大阪に本拠地を置く唯一のチームである、と言うとよく驚かれたりもします。

 なぜ人気がないのか、それが議論されることもある。そして、そのほとんどが阪神の存在を挙げ、その圧倒的な人気の裏を張る以上仕方がない、と結論付けられ終わるのです。確かにそう。でもそれだけか・・・・?

 私自身、野球オタの立場で申し上げるなら、オリックス不人気の原因は、他にもいろいろとあるのだと思っています。たとえば、阪急、近鉄時代からマイナーだったことや、合併が上手くいかなかったこと、そして何といっても当ブログのアイドル木村幹がファンであること、などなど。しかし一番の原因は大阪ドームにあると睨んでいます。

  プロ野球にとっても、というか、プロ野球こそホームスタジアムはまさに球団そのものであり、人気を左右する決定的な要素だと常々感じているのです。

 ではオリックスの本拠地である大阪ドームがどのようなものであるのか、まずはウイキペディアに書かれているものを貼っておきます。

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 上記の内容の信憑性については想像にお任せしますが、マーカーを引いたところを読むだけでも、結構笑えます。大阪市の底抜けのアホ加減などは、使われなくなった立体駐車場を土に埋めたところに凝縮されているようで思わず噴き出しましたよ、ええ。これ国内で起きたことなの、まったく・・・・。

 また、オリックスのハゲタカ臭とでも申しましょうか、血税約500億で建設したものを、僅か9年後に90億で買い叩くところなど、まさに官営の鉱山が政治家を介して時の政商に払い下げられるという収賄事件さながらで、平成の尾去沢銅山だと皆で申しております。更に、オリックスは当初、10年後を目途に大阪市に寄贈することになっていたというのに、市からの計らいで税金の免除などを受けて黒字になった途端、掌を返し、それが反故になるところなど、まさに大阪市とその市民を舐め切った、オリックスのドス黒さここに極まれりって感じで微笑ましい限りですね。

 これで、大阪ドームは大阪唯一のプロ野球チーム、オリックス・バファローズのホームスタジアムです、家族友人お誘い合わせのうえ、いらっしゃーい ♪ ってやって、誰か来る・・・・?

 頭が痛くなってきたので今日はここまでです。

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