Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

夢試合 二千本勝負

f:id:TailEnder:20210519010850p:plain

 

 先週末の伝統の一戦、巨人-阪神三連戦。我が阪神が二勝一敗で勝ち越しました、やれやれ。1999試合目と2001試合目に勝利しましたが、節目の二千試合目をやられるあたりに ”らしさ” を感じますね。

<本日のらしさ>

 夢試合千本勝負はどうなったか

 もう40年も前の話で恐縮ですが、節目の記念すべき千試合目を同じように999、1000、1001 という並びで敵地後楽園で戦ったのを思い起こします。というのは、わが家はこの三連戦、結構盛り上がったのですわ。うちのオヤジ(故人)なんか、「絶対に勝たなあかん!」 みたいなこと言っとりました、ええ。兄貴はもちろん、珍しくオカン(同じく故人)まで観戦。結果はというと999試合目を、強肩北村の炎のバックホームで辛勝! 試合終了の瞬間思わず、「ええ試合やったな!」と呟いてしまったのを覚えています。当時の私は高1かな。当然というかなんというか、節目の1000試合目と1001試合目は完敗しましたけどね・・・・。うちの一家が揃って心を一つに阪神戦を観たのはあれが最後だったかもしれません。懐かしいですね。

 白状すると、今回、1999と2001のそれぞれの試合は負けていいけど、節目の試合だけは勝って欲しい、そう願う自分がいました。そこはやっぱり阪神ファンの性でしょうか。ただ、先発が伊藤だったのを知った時、こりゃ今回もアカンわと思いましたな。理由は調べて下さい。すぐに解ります。

 でっ、40年前突如降って湧いた我が家の盛り上りには後日談がございまして、その数週間後でしたか、オヤジが上の写真のナンバーを買って来たのですが、そしたら同じ日の深夜、兄貴までそれを買って帰って来たという。そういうオチがございました。あくまでライトな阪神ファンで、比較的冷静な兄貴をも染める三連戦だったというわけです。

 もちろん、あれが企画されたのは開幕前でしょうから、文藝春秋社としてはそれなりの盛り上がりを予期していたのでしょうよ。しかしあの雑誌、完全に阪神サイドで編集されたものでしたので、そこまで読み切っていたのか、と妙に感心したのを覚えています。”タイトルは夢試合千本勝負、ターゲットは巨人ファンではなくあくまで阪神ファンで行くぞ!” 、お見事です。少なくとも我が家は完全に手玉に取られたというお話でした。

 Number に矜持はあるか?!

 それから数年、ナンバーは贔屓にして欠かさず読んでいましたね。実際面白かったし。ところが85年の阪神優勝あたりからおかしくなった。というのは玉木正之氏の書いたものが載るようになってしまって・・・・。そこから読まなくなりましたわ。結構阪神について定期的に特集してくれていたのですが、暗黒期に入りサッパリ。もちろんこれは阪神側に問題ありです。

 以降、その表紙から窺うにナンバーが気合を入れて追いかけたものはF1にJリーグに欧州サッカーと、フットワークは軽くなりこそすれ、ポリシーというか矜持が無くなったような。なんせ、86年のFIFAW杯のマラドーナを豪快にスルーしておいて、よくもまぁJリーグや98年以降のFIFAW杯について書けますよねと。去年の緊急追悼特集に泣かされた鷹ファンが多いだけに、そう呟かずにはいられませんでしたわ、ええ。

 最近に至っては将棋というか、藤井君にご執心のようですね。いいんですよ、ラグビーについてもようやく頻繁に表紙に来るようになったし、久方ぶりに金払って読んでみたら、金子達仁氏がラグビーについて語っていたりして、ええ、ええ、いいんです、ラグビーを特集していただければそれで、贅沢は決して言いませんから、ええ、ええ。

 まぁ、ナンバー誌や金子氏の変遷については許容範囲というか、この世知辛い世の中を渡り歩いて行くうえで仕方がないと感じるのでこれ以上申しません。ただ一つ言わせていただくと先ほど思わせぶりに挙げた玉木正之、この男、私をナンバーから遠ざけたからというのではなく、時折阪神ファンを名乗るだけに許せないものがある・・・・。特に世渡りの上手さというか、長嶋を信奉し阪神を持ち上げたかと思えばJリーグに肩入れし、平尾を擁護し挙句の果てに今やスポーツ学者だそうですからね。次から次へと勝ち馬にタダ乗りし続ける男とでも言えばいいのでしょうか。

 似非阪神ファン 玉木伝説

 私が初めて玉木氏の書いたものを読んだのは、確かこの雑誌だったような。

f:id:TailEnder:20210519013223p:plain 

 これ読んで、こいつ絶対に阪神ファンじゃないわ、ってそう思いましたもん。阪神ファンがひねくれているのは事実ですが、その理由を嘘で上塗りしているのが透けて見える文章のオンパレード。そりゃ阪神ファンであること、そしてそれを続けることのその裏に哲学のようなものが欲しい、というのは判るけど、当時の阪神(この雑誌が出た83年当時)には、掛布も小林も岡田も真弓も、そして入団したばかりでしたがバースまでいたので、十分魅力的なチームだったのですわ。だからこそナンバーが定期的に取り上げたのだし、ブルータスも上の様に特集を組んだわけで。素直にそのあたりを書けばいいものを、もともと長嶋ファンであって、野球ファンでも阪神ファンでもないので、肝心なそこのところが書けない。だから虎キチの心にはまったく響いてこないわけです。

 じゃぁ何が書かれていたかといえば、世の政権がとか社会の構造がとかなんとか蘊蓄を並び立て、力技で阪神球団やファンの方が読売巨人軍やその取り巻きよりも正しい、みたいなことばっかり。おいおい野球って正しさではなく強さを競うものなのになと。阪神応援しながら、俺って正しい、そんな風に思う奴なんていないでしょうに。しかもまさに正義を問われた江川問題については、長嶋政権下に起こったことなのでノータッチ。これじゃどっちつかずというか、ホント玉木氏の阪神について書いたものは何が言いたいのかさっぱり分らん。別に阪神に対するラブレターを書けと言っているわけではないのです。先のブルータスにしたところで、きっと阪神ファンだけが読むのではないので、世の東西を問わず、なぜか増殖し続ける阪神ファンと、彼らに支えられる不思議なチーム Tigers のその魅力について知りたがっている方もいるのでしょうに、そこについてはまったく空振りしていました。

 こんなんで騙される奴がいるのかと、そう醒めた眼で眺めていたら、翌年あたりですか、ナンバーでもチラホラ書きだして、そして阪神優勝の年にはスポーツライターの地位を固めるにまで一気に上り詰めました。まさにフリーライダー! なんか阪神的には嫌な予感、というか胸騒ぎがしたものです。

 85年の日本シリーズ阪神が西武に勝ったその直後、玉木氏がナンバー誌上で言い放ったのがこれまた傑作で、それがこれ、

阪神は西武よりも若いチーム、これから黄金時代を迎えるのは西武ではなく阪神

 これが寝言というかお告げというか、いかに本質を見抜けず逆神だったかということは歴史が証明しています。そして先の胸騒ぎが本物であったことも。

f:id:TailEnder:20210519030106p:plain