先週の話で恐縮ですが、ラグビートップリーグ再開の日程が決まりました。
延期となっていたジャパンラグビー トップリーグ2021。
— ラグビー トップリーグ🔜2月20日開幕! (@JRTopLeague) 2021年1月22日
大会フォーマット・日程が決まりました。
開幕日は2月20日(土)です。
詳しくは⬇️https://t.co/IZNlSGFT9j
ほぼ一カ月の延期となります。コロナもそうですが、二月の下旬って結構雪の特異日もあるので、今度こそは邪魔が入らないことを祈りたいと思います。
<本日の特異日>
新リーグへの長い旅
前回、現在の協会の能力や彼らが示すビジョンに疑問を呈する内容を書かせていただきました。花園を巡る失態もそうですが、果たして開幕直前のクラスター発生を回避できなかったのか。TLを万全で迎えるため、去年一年代表の活動を棒に振っただけに口惜しくてなりません。
また来年から始まるプロ化構想、25社3部構成は大所帯過ぎやしないかと。W杯の余熱と勢いを鵜呑みにして完全プロ化や世界最高峰リーグをぶち上げた清宮氏ですが、下交渉には興味がなかったようで、ラグビー不遇の時代から支えた多くの企業から当たり前のように反発に遭いあえなく途中下車。上の写真でも右隅でぼやけて映っているのが象徴的ですね。
結局この前の会見で出てきたのは、3フェーズに分けて徐々にリーグを確立させるという気の長いお話。それが終わるのが12年後って、いったい俺いくつやねん・・・・。この壮大な計画のあらすじを理解できている方がいたらご教示願いたいものです。
言いたくはないが、このご時世に12年にも及ぶ悠長な話を平気で持ち出せるあたり、ビジネスセンスの欠片も感じることができません。自分たちの代でケリをつける気なんかないってことでしょ。よくこの内容で会見できたよねと。普通の企業なら、12年後なんて言った時点で株主が逃げます。一種の責任放棄なので。それに結果として、改革に消極的な企業を巻き込んでしまったこと、後々命取りにならなきゃいいのですが。
25社は決して一枚岩ではないでしょうから、これからじっくり時間をかけて淘汰というか、振るい落としをするのでしょうね。逆の言い方をすれば、プロ化に熱心ではない企業の逃げ道を作ってあげた格好ですが、それにしても12年は長すぎるような気がします。最悪、現状維持という名の引き分け狙いが大勢を占めていくこともありえる。勝敗のつかない泥試合が、見えないところでまさに今起きていて、当然それは外に伝わってはきません。ファン無視とか、そんな被害者ぶって大袈裟に騒ぎ立てるつもりはないのですが、せっかくプロ化を目指して新しいリーグを立ち上げるわけですから、少しは公明正大にお願いできないものか。とにかく先の会見では、私の頭が悪いだけかもしれませんけど、よく判りませんでしたわ。
日野レッドドルフィンズの場合
ここからは私の周囲の話ってことで、はっきり言ってたいしたものではございません。新リーグ立ち上げの裏で何が起こっているかは想像するしかないのですが、果たして今どういう状況なのか少しでもその手掛かりになれば、それと並行して自分の頭の中を整理したいというのもあって書くことにしました。こんな話もあったよ、ってレベルだと思ってくださいな。
まず、私は大学時代に遊びでラグビーを齧ったぐらいなので、現在のラグビー関係者にこれといった伝手があるわけではありません。ただ、同じクラスだったラグビー部の友人やその仲間と腐れ縁が続いていたりします。
お互い社会人になって、偶然なのか、それを装った必然なのか、仕事で出会うことがごくたまにですがあって、今回はその中の一つです。
たしか三年前ほど前だったと思います、仕事で日野自動車に勤めている知り合いと会うことになりました。彼は大学時代体育連盟のラグビー部。公式戦にも主にリザーブで試合に出るといった感じの選手で、卒業後ラグビーはきっぱりと引退。社業に専念していましたが、日野自動車がW杯を目の前にして本格的に力を入れ始めた関係で、時折部の後方支援をしているとのことでした。
まぁ、私もこんな男ですから、久方ぶりに会って、まず仕事はそっちのけでラグビーの話をしてしまいましたよ、ええ。ちょうど日野自動車はサムエラをキヤノンに獲られた次の年ぐらいでしたから、勿体ぶるのもなんなんで、最初からその話を振ったのを覚えています。ここからはその時の話ですが、掻い摘んで書くと、
① サムエラの件についてはキヤノンへの怒りが収まらない
② 指導者として大西将太朗を招聘したが失敗した(フルタイムかパートかは不明)
③ まさに今、大物を指導者として口説いて成功した
④ W杯目前にして、絶対にTLに昇格すべく社内一丸となっている
⑤ 部の運営に関してトヨタからの圧力は特にない
こんな感じでした。
最近その知り合いと会っているかどうかは想像にお任せするとして、日野レッド ドルフィンズの最新の情報については下記を参照願います。
https://hino-reddolphins.com/news/
ということで、私がその当時感じたことをありのままに書くと、まず④については紛うことなく本物でした。実際にW杯の前年に見事昇格してみせましたし。ただ①や②の結果をみると、予算的には厳しいのだろうな、というのは伝わってきました。サムエラへのキヤノンのオファーは凄かったのでしょうし、それと当時の将太朗は確か吉本所属だったと思うので高くついたのかもしれませんね。
③については箕内弟をFWコーチに招聘していたのだと思います。今はHCに昇格されていますね。⑤については、はっきりと否定していました。調子乗って言うんじゃなかったと反省してます、スイマセン。
白状すると、本当に一番訊きたかったのはW杯の後どうするのってところだったのですが、流石にそれを口することはできませんでした。TLへの昇格で頭が一杯って感じでしたし。
今にして思えばですが、やっぱりW杯開幕前は世間にも相応の高揚があったように感じます。当時はこれで大丈夫かいなと思ったもんですが、そうでなければあそこまで盛り上がりませんしね。だから日野自動車のラグビー関係者も、祭りの後についてまではまだ考えてなかったのだと思います、むべなるかなと。
でっ、なぜ日野自動車についてこんな古い話を持ち出したかといえば、W杯が成功裏に終えたものの、コロナもありその熱が醒め始めた今、ここあたりがDIVISION1の12チームに残れるかどうかのボーダーだからです。
トップリーグの運営費って?
来年、新しいプロリーグが誕生するとして、1チーム当たりどれぐらいの運営費が必要なのでしょう? その前にまずは差し当たって現状いかほどのものなのか、それを知る手掛かりがドラマ「ノーサイド・ゲーム」の中で出ていたのだとか、
かなり事実に基づいた数字だそうですね。その裏付けというわけではないですが川淵氏のこれ、
期せずして川淵氏が「ノーサイド・ゲーム」劇中の数字を補強してくれました。タイトルの ”清宮改革” は置いておくとして、記事の中で具体的に15億という数字が出ていますね。
でっ、ここからはいつもの個人的な妄想になるのですが、当然プロ化となれば15億では済まないのではと。強引にざっくり申し上げるならば、アイコンとなる海外のスター選手も欲しいでしょうからそれも含めると20億。更に競技場の確保、練習施設の維持管理なんかもあるでしょうし、何だかんだで併せて25億ぐらいは覚悟しておいた方が良いでしょう。上の川淵氏の話の中で、Jリーグは開幕当初10億ぐらいの運営費で始めたそうですが、今は平均30億の売り上げがあるのだとか。できればラグビーも早くそれぐらい稼いで、選手に少しでも多くの給料を払ってあげて欲しいものです。
じゃぁその選手たちは今、TLのプレイヤーとしていったいどれぐらい貰っているのでしょう? 稲垣が男前にも母校のグラウンドを全面芝に張り替える費用を出したそうですが、そういう記事を見聞きするにつけ、案外、というか結構貰っているのだろうとは感じます。もちろんこれも妄想、もしくは想像でしかありませんが、十年以上前のラグビー暗黒時代の記事にこんなのがありました。
元日本代表といっても、キャップ数は一桁だった三木のホンダ時代の年俸がなんと2,500万! しかも、05年から4年間ですから都合一億稼いだことになります。言うまでもなくホンダは今も昔も弱小。
この記事が出た当時、えっ、そんなに貰ってるのっていうのが大方の反応でした。選手はこういう情報は連携するので、代表クラスの選手なら、日本代表が激弱で、TLは企業の運動会程度でしかなかった時代から、これぐらいは稼いでいたことになるのかもしれません。
少し三木について補足すると、記事の中で中国に行ったという件が出てきますが、彼は残留孤児の孫で中国生まれ。京都学園から龍谷大、トヨタなどを経てホンダ。高校卒業時の寄せ書きに、”大学ではラグビーを頑張る” とだけ力強く書いていたのが印象に残っています。四年間チームは低迷していましたが彼のプレーだけは大向こうを唸らせ、レフリーを驚かせたと記事になったりもしました。ディフェンスはダメでしたけどね。現役選手で言えば誰でしょうか、コムの池田とサントリーの中靏の中間に位置するような選手だったかな。そういう意味ではこの二人も同じぐらい貰う資格はあるはず、そうなるよう願っています。
あくまで噂ですが、プロ契約でなくても手当などがかなりの額になるという話もあります。だから現状こそがベストという選手も多いとか。新卒選手の半数近くが社員としての待遇を望んでいるとも。しかし時代はもう令和。昭和の遺産である企業スポーツに、そう明るい未来があるとは思えません。現状維持が良いというのは一種のノスタルジーであり、この国固有の甘えでは?
厳しい言い方かもしれませんが、二年後のフランスW杯で結果を出さなければ、エディ、ジェイミーで八年掛かって築き上げたすべてが崩れ落ちると断言しておきます。そうなったら新リーグや企業のラグビー部など跡形もなく吹っ飛ぶでしょう。つまるところ、この国のラグビーの命運を握るのはあくまで日本代表。選手は自惚れでいいから、日の丸を背負う自分の姿を想像できないようでは嘘。ならばラグビーと向き合うにあたって、退路を断つ覚悟はできるはず。そもそもそれ抜きには、Tire1の猛者どもと闘うことなど不可能なのだから。
企業もラグビーからこの先も何かを得たいのなら腹を括るべき。プロ化は日本ラグビーの未来のために必要なプロセスだと思います。
選手の給料や待遇など人件費の話はここでいったん置いておくとして、プロ化したチームの運営費の総額を25億とするならば、少なくともその金額をどう稼ぐのか、プロである以上商売である以上、そこが肝になるわけです。そして恐らく、協会はそれを新リーグに参加するという25社に対してしっかりと示せていないのだと思われます。
これもあくまで仮説ですが、日野自動車がラグビー部に毎年10億の費用を捻出しているとします。見返りは社内の一体感の醸成と、ラグビーというスポーツを通じての世間へのメッセージの発信。W杯という付加価値もあり、ここまでなら投資は回収できたかもしれません。問題はこの先です。
協会から、プロ化した新リーグを作るので、部には最低倍の予算が必要といきなり告げられたらどうなるか。更に本拠地となる1.5万人以上収容できる競技場を自治体と交渉して用意してね、と付け加えられたら・・・・。まぁ普通は無理ですとなる。ここでその要求を呑む数社とだけ前に進めれば良かったのですが、25社はある意味一蓮托生で切り崩せなかったのでしょうね。ラグビー関係者のお偉いさんには、先のノスタルジー、というか幻想に凝り固まった方も多いでしょうし、出る杭は打たれるという思いや、プロ化に前向きな一部の企業にとっても、支出をできるだけ抑えるためにはプロ化に消極的な企業を手元に置いておきたいというのもある。結果、なんにせよ全社が新リーグの参加を表明。25社による3部構成という大所帯と、12年という壮大な構想だけが会見で発表され、我々ファンはやっぱりとがっかりと大丈夫かなぁ、という思いに浸っているというわけです。
散々ここまで書いて話が元に戻ったところで、新リーグの課題や意義などについては明日以降で。