Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

ドラフト雑感:阪神編 ①

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 今年も後四日で一年が終わりますね。長かったか短かったかは微妙ですが、プロ野球という観点で申し上げれば、シーズンは短縮して行われましたので短かったことになります。簡単に振り返ればソフトバンクの圧勝と、セリーグの弱さが際立ったシーズンということになるのでしょうが、とにかくすべてがコロナに振り回された末に平伏した、そんな一年だったように感じます。

 でっ、肝心の阪神なのですが、こっちは良い線行ってますよ。来年は優勝でしょ。半年前でしたか、ここで黄金時代が来るってぶち上げたのは。まぁこれからの五年間で最低でも二度は優勝しますから、強い阪神が好きな方は、ここぞとばかりにぜひ甲子園に通ってくださいね。良い思い出がたくさんできるのではないかと。私のように阪神というのはあればいい、むしろ球界全体が盛り上がる方が、ってな天邪鬼にとっても大山、井上、佐藤の並びは実に魅力的。来シーズンが本当に持ちどおしいですね。

 少し横に逸れますが、野球っていうスポーツはたいへん特殊な球技でして、たとえばNPBの場合、半年間に140試合以上するわけですが、勝率は六割あればたいがい優勝できます。つまり一週間に均せば6試合、毎週負け越さないことだけに気を配って、4勝2敗と3勝3敗を交互に繰り返せば、最終的に勝率は五割八分ぐらいにはなりますから、後は少し運が手伝ってくれれば優勝です。つまり二週間で12試合するとして、五回負けても構わない。ファンにとってはストレスですが、それでも最終的には優勝は可能。こんな勝率の低いスポーツは野球ぐらい。ですから敵は相手チームではありません。むしろ内に潜んでいるのです。

 要は相手の戦力云々ではなくて、まずは自チームに良い選手を揃えること、これが肝心。私がドラフトをプロ野球最大のイベントと評する理由はここにあるのです。だから実力のない選手ばっかり連れて来るようなスカウトこそが最大の敵。球団はもっとここにお金かけても良いのでは?

 それと選手の能力を見極められない方が首脳陣に混ざっていても困ります。たとえば野手ならば攻守走、この三つの観点でその再現性を見抜くこと。プロに入るぐらいの選手ですから、良いプレーは誰でも必ず見せてくれます。しかしそのイメージに引きずられることなく、その再現性を踏まえて客観的に選手を俯瞰できなければなりません。

 くどいようですが野球は再現性のスポーツ、勝率で優勝が決まり、打率で打者の、防御率で投手の優劣が成立します。しかしカウントされないケースもあることを、頭にしっかりと入れておきたい。どうでもいい場面での快打や好プレー、初回に失点した場合のQSは、端から対象外かもしれません。分母や分子からどういうケースを省くべきなのか、首脳陣の間で必ず連携・共有していて欲しいものです。

 阪神で言えば、ようやく糸原がキャプテンから外れるのですが、これはロハスJrやアルカンタラ以上の最大の補強と言えるでしょう。後は平田二軍監督の追放さえ完成すれば、自ずと黄金時代はやって来るのです!

 

<本日の再現性>

 伊藤 将司(JR東日本阪神D2位)

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 先日、2位では明石商の中森が欲しかった、ってなことを書きましたが、伊藤の指名については納得しています。そもそも、今年は是が非でも佐藤が欲しかったわけですから、四球団競合の末に彼を引き当てた段階で大成功。しかもそのクジを引いた立役者が、2位でどうしても即戦力の左腕を欲しいと言ったそうですから、報労という意味でも伊藤の指名は必然だったと思われます。というか誰も止めれなかった、といったところでしょうか。

 ただ伊藤の実力について、私は懐疑的です。しかし矛盾しますが、今年二位で残っていた左腕、といった意味では非常に順当だとも思います。一つ前で西武が指名した佐々木とどっちをと言われれば彼だとすら思うのです。

 伊藤は名門横浜高校時代から有名な投手で、甲子園で奪三振ショーを演じたこともあります。しかし当時は完全な軟投派の投手で、ボールを置きに行くというか、横から ”ヒョイッ” という音が聞こえて来そうな典型的な手投げの投手でした。しかし大学社会人を経由する中で、見違えるようにフォームは大きく変わりました。しかし変わらなかったというか、変えられなかった部分もあるように感じますね。

 私には投手の経験はないのですが、ある指導者がいつもブルペンで ”後ろから” と言いながら指導していたことを思い返します。当時何となくですが、自分なりに理解しているつもりではいました。投手がボールを投げるのは最後なのだろうなと。

 実際、投手は踏み出した足が地面に着いたら、そこで下半身を引っ張り出すことで上半身が前に出ないように粘り、同時に前の肩でも壁を作って粘り、打者と向き合って上半身が前に出たら今度は胸を張って粘り、腕が前に出そうになったら肘を出すことで粘り、そして最後の最後にようやくボールをリリースする。この一連の粘りをどこまで投手が意識しコントロールできるかは判りませんが、イメージとしては必要だと思うのです。つまり、踏み出した足の親指の爪先からボールをリリースする人差し指と中指の爪先まで、その間にある身体全体を使って撓りを作って力を溜め込むからこそ速い球が、もしくは回転数の高い球を投げられるのだと思うのです。

 伊藤が高校時代と比較してまるで別人のように変わったと感じるのは、下半身を一度沈め右腕を大きく上げるところ。あの軟投派の投手が豪快な力投型へと六年間でこうも変わるのかと驚きました。踏み出す歩幅も一足分では済まないぐらい広くなったと思います。突き出した右腕と右肩でしっかりと壁もできている。力を下から溜めているのも観ていて伝わってきます。でも問題はここからなのです。打者と向き合ったその途端、胸を張ることなく左肘が出てきてしまう・・・・。これではせっかくここまで下半身~右半身と溜め込んできた撓りの連鎖がそこで途絶え吐き出してしまっている。なので後は惰性で左腕を振って終わり。胸を張る前に肘が先に出てしまうのは高校の頃と同じ、というかその名残りのように感じます。

 数字的にも伊藤のストレートや変化球の回転数は、今年の上位指名投手と比較しても一際低いようです。ストレートはMAXでも142、3キロで回転数は2,100前後、速い方のスライダーは130台半ばでこちらの回転数も2,100ぐらい。回転数=球のキレではないですが、数字的にはどちらも物足りない。後300回転は欲しい。

 じゃあ何故低いのかと言えば、やはりあのフォームではリリースの際に爆発力を生むのは無理。本人も大学社会人を通じて下半身は鍛え切ったので、これからは上半身というようなことを言っている点に救いを感じはします。

 真上から投げるため、栗林の時にも書きましたが、こういうタイプは最初の二十球まではなかなか低目に集まらない。ので、中継ぎも正直難しい。じゃあ先発で行けるのかと言えば、今のままでは無理だと思います。非常に扱い難い物件ですね・・・・。

2021年度成績 初勝利は遠い

 

 榮枝 裕貴(立命館大阪神D4位)

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 こちらはチラッと見たような気はしますが、あまり印象に残っていなくてですね、ドラフト候補に名前が挙がった時、ええっそうなのって初めて思い返したぐらいで。

 肩は強いようですし、バッティングフォームに癖がないも良いのですが、いきなりプロ、しかも4位というのはどうかと。長坂ですら7位ですからね。しかも当時の監督の直系で、って言うか今の監督の母校でもありますが、そういうのがあっても7位。現段階で当時の長坂を上回るものは榮枝には感じません。あっ肩は上か。

 いつも思うのですが、名門大の捕手って大抵インフレ起こすのですよね。なんかどうもそのあたり、ちゃんとスカウトも評価しきれていないようなところがあって。それもここ十年の傾向とかではなくて、四十年以上そんな感じ。袴田とか木戸とか瀬戸とか荒井なんかもいたな。全部三つぐらい順位が高い。しかもかなりの確率で終身雇用にもなるんだよね・・・・。そういえばうちの東さんもこの度の人事異動で出世されていましたっけ。

 とにかく榮枝捕手については時間がかかる、とだけコメントさせて下さい。

2021年度成績 まずは鳴尾浜で身体造りから

 

 すいません、今日全員終わらせるつもりでいたのですが、続きは明日以降で、寝ます!