今年も夏の甲子園が始まる。ただ、どうも心が素直にそこへ入っていかない。理由はわかっている、これだ。
7イニングでは野球にならない!
9回制は今年で最後なのか・・・・?
そういった思いが高校野球に対する、というより高野連への不信となって、いつものように夏の甲子園へ入り込めないのだ。それをしようとすると、高野連が通せんぼする恰好。困ったものである。
そのあたりについては、これ以上ここでやっても仕方がない。
というわけで取り急ぎ今年の高校野球の見どころについて書いてみたい。
< 本日のお品書き >
予選MVP
まず今大会で最も注目に値する選手、という観点で予選のMVPを上げるとするなら文句なくこの子だろう。
明徳が県内の予選で捻じ伏せられるところを観たのは初めてである。森木や二神をもってしても、てんで無理であった。それだけに、先週の彼の仕事、というか投球は見事といえるだろう。
彼は予選でも10イニングしか投げていない。つまり秘密兵器ではあるが、そこまでの信頼はされていない、ということではないか。
それが蓋を開けるとこれである。まさに大化け。
甲子園でもあの投球ができるかといえば難しだろうが、この夏、最大の注目投手という位置づけでいいのではないか。
右打者問題
次に今年の三年を眺めるにつけ、右打者が育っていないのをどう見よう。
強豪校の主軸は軒並み左打者ばかりなのだ。
低反発バットになって、どうやら右打者の育成がさらに難しくなった、そういえるのではないか?
もう二十年以上前のことであるが、知り合いのある指導者のつぶやいた言葉が思い起こされる。
「左打者は金属バットでごまかせても、右打者はそうはいかない」
去年、限りなく木製に近い金属バットが導入された。しかし、まだわずかにだが打者を化かす部分があるのだろう。ところがそれは左打者にしか効かない、そういうことなのだと私は解釈している。
左打者と右打者の間に流れる海よりも深い河、右打者育成の難易度の高さを感じずにはおれない。
この言葉の持つ重さを噛みしめているのが、大阪桐蔭の西谷監督ではないか。ここ数年、右打者の育成に失敗し続けているように感じるからだ。
三年前、松尾(ドラ1で横浜)、伊藤擢(中大三年)、海老根(スバル三年目)と三人の右の強打者が居並ぶ打線はまさに圧巻であった。00年代から続く流れ、中村剛、中田翔、浅村の系譜を継いでいると思われた。だがそれはパタリと止まった。
いったいどういうことなのだろう? それまでがたまたまだったのか? 金属バットがあったからこそなのか? 有力なコーチが流出したためご破算になったのか?
まぁ、外野がこれ以上あれこれ言っても詮無い話である。秋の大阪桐蔭の戦いぶりをしっかりチェックしたい。

多くの強豪校が右打者の育成を諦めるなか、せっせと涙ぐましい努力を続ける指導者もいる。花巻東佐々木監督である。
彼の今年の作品を眺めるのも、この大会の興味の一つであろう。
大谷がMLBへ去って、あまつさえ彼が本塁打を連発するようになり、当然の如く子供たちは大谷を真似る。そりゃ運動応力の高い子は、みな左打ちになるわな。佐々木監督にはその責任を感じていただき、枯渇していく右打者の再生に精を出していただきたいものである。
脱プロ志向
今年は逸材と思しき選手たちがプロ入りを志望しない流れだそうだ。残念なことである。
ただ投手の場合は、平均値が高くなったことによって、ドラフト候補の土俵に乗せようとする選手の数が増えたため、そう感じるだけだろう。
今年も大社組には1 5 0㌔超の投手がワラワラといる関係で、1位指名が確実視されるような高校生投手は石垣以外いないが、将来性が見込める好素材は結構いるとみるがどうか。
問題はやはり打者だろう。低反発バットの導入で、左右を問わずホームランを量産することが難しくなった影響は思いのほかでかい。
ホームラン=実力ではないが、これまで通算三十発、四十発なんて打者がゴロゴロいたのに、それがー気に七、八本にまでスケールダウン。結果、おいそれとはプロの門を叩けなくなった、というのが本当のところではなかろうか。
五年前なら横浜の阿部や相模の中村が、堂々と高卒即プロ入りに傾いたかまでは判らないが、スカウトたちの高校生打者に向けられる眼差しは確実に厳しく、あえて誤解を恐れずに言えばショボくもなってきている。よほどの凄玉がでないかぎり、大学経由が妥当だと思う。
大会の展望と東高西低
言うまでもなく大本命の横浜をどこが止めるのか、大会の焦点はそこに尽きる。できれば東西対決が望ましいが、残念ながら近畿勢にはその任に値するチームがない。
投手力が普通の智辯和歌山は、二回戦あたりで息絶える可能性は大いにある。連覇を狙う京都国際は去年で運を使い果たしたように思う。大黒柱不在の東洋大姫路も、一回戦を勝ち上がるのが精一杯ではないか。近畿の横綱が、すなわち西の横綱ではないのだ。
むしろ今年は九州勢の踏ん張りが、西日本を支えるかもしれない。
本命横浜とするならば、対抗は健大高崎で間違いはない。このニチームの一騎打ちが今年の夏の甲子園最大の見どころとなる。
ではどの位置で対戦するのだろう。どこで当たろうが大会の行方を大きく左右するのだが、遅ければ遅いほど横浜が優位になるのであろう。
このニチームに迫るのが、仙台育英に山梨学院、少し遅れて関東一、 西日本短大、沖縄尚学。ついでようやく智辯和歌山に京都国際とみる。
最後に投手の傾向について少し触れておく。
春同様、140㌔以上の速球を投げる投手がゴロゴロいる。そうである以上、あの投手がどうだの、この投手はああだのと、あまり言うべきではないように思う。
ただ、テイクバックでの腕や肘の使い方とマウンドの傾斜を利用する際の下半身の沈み込み具合には目を光らせたい。
実は、今の日本の投手のトレンドの先頭を行くのは西武の今井だと睨んでいる。彼の投球フォームの変遷は観るだけで楽しい。しかも年々球が速くなっているというのが凄い。まさに試行錯誤の末、辿り着いたフォームである。
彼を模した投球フォームの投手が果たしているのか、そこを見どころの一つとしたい。

去年の夏は、大谷のノーステップ打法を誰が一番うまく真似るのか、そこを地方予選から注目していた。昌平の山根や滋賀学園の岩井の名を挙げた。
この春最も輝いた横浜の阿部は、今のところ一番大谷の下半身の動きを完コピできた高校球児だと思う。
果たして今井に最も近い投手は誰であろうか。何だかんだ言って胸躍る大会直前である。
本日は以上です。
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