Till Eternity

どこよりも遅く、どこよりも曖昧に・・・・

目覚めよ 日本ラグビー!!

 終わったことをとやかく言うつもりはない。この先、日本のラグビーがどう進んでいくのか、オタにとってはそここそが全てであろう。

 結果としての二勝二敗というのは、御の字という線もある。何はともあれ日テレには顔が立った、といったあたり。仮にこの先勝ち進んだとしても、数字が見込める時間帯に試合はない。勝とうが負けようがアルゼンチン戦にて、一足早くメインスポンサーにとってのW杯終わりだったのかもしれない。

 とはいうものの、その一方で視聴率は伸び悩んだ。

hochi.news

 所詮は電通が勝手に出している数字なので、どうでも良いっちゃ良いのであるが。清宮氏が事実上あらゆる役職から退いた時点で、取り巻きであった電通の連中も協会から一掃された。なので数字は出ないと踏んでいたがその通りとなった。

 しかして、バスケW杯の順位決定戦にも及ばないというのは想定外。

www.nikkansports.com

 地上波はまったく視ていないのでなんとも言えないが、メディアへの露出はこちらが圧勝していたと思う。なのにこの数字ってことは、電通ラグビーに見切りをつけ、これからはバスケで美味しい思いをしたい、きっとそういうことなのだろう。望むところではある。

 しかし、W杯の八強よりも五輪出場の方が価値が高かった、その事実がスポーツマーケット界隈を一人歩きしていくのは拙いな。世間も、競技人口が多く元来人気種目でもあるバスケと、マイナー競技のラグビーとの潜在的な人気の差が数字となって表れた、そう解釈するだろう。これでスポンサーは逃げる。ラグビーは一気に冬の時代に逆戻り。身から出た錆。それらはすべて自分たちの責任であろう。着任間もない土田氏には悪いが、協会の現体制は総辞職すべきであろう、しないけど。

 今回の敗退を、果たして協会がどこまで自分のこととして捉えているのか、そこが問われてくると思う。現場を預かるJJをはじめ、リーチや堀江、流に中村、ラブスカフニなど、主力選手も一斉に代表を引退する。四年後を待つまでもなく、日本代表はスカスカ。誰がどうやって立て直すのか。代表選手は総入れ替えに近いのだから、やはり協会のお偉いさんにはこの機に身を引いてもらいたいものだ、しないけど。

 結局この四年間、若手の台頭や新戦力の躍動はなかった。それをもってして日本ラグビーは敗れた、イングランド戦の直後にそう書いた。

tilleternity.hatenablog.jp

 若手の底上げがない以上、主力は四つ年をとった。チームとしての経験値は上がったのかもしれないが、それは内向きなアドバンテージであって、残念ながら対戦相手への脅威とはなりえなかった。

 ワールドカップとはラグビーにとってプロモーションの場である、それも四年に一度の。残念ながら今回、素人目にも日本代表の試合を観るとワクワクする、そういう魅力に欠けていたのではないか。それではお茶の間は食いついてこない。

 ラグビーは元来ごちゃごちゃして伝わりにくいスポーツ、というのもあるが、結局のところ判りやすいスピードのある選手が現代表にはいない、これに尽きる。戦力としてもそうだが、ライト層を引き付ける意味でもそこが足りない。それはバックスだけではなく、FWにも言える。今回の代表の結果以上に、ラグビー界における人材難を思い知るのである。

 二年ほど前だったか、大学二年以下を対象にトライアウトをやればいいのに、そんなことを書いた。

tilleternity.hatenablog.jp

 別に今大会を想定していたわけではない。四年後、八年後を見据えてできないものかと。その根底には、新しい戦力を見つける場がないことと、選手にとって大切な時期を、大学に丸投げしているままであるのが気になっていたのだ。

 協会が何もしていないとは言わない。山川出版の社長が高校生相手にサイズのある、もしくは脚の速い選手を集めて一泊二日ほどの合宿をやったりもしているようだが、果たして平尾プロジェクトとどう違うのか、なんだかよくわからない。

 U20代表の強化がそれなりにできていれば、こんなことは言わない。ところがこの夏、彼らは南アフリカで開催されたW杯で見事に全敗してくれた。その世代のトップカテゴリーから陥落するようだ・・・・。

 正直、協会に訊いてみたいのだが、ちゃんと選手を選んでいるか?

 選考は相変わらずブラックボックス。はっきりいえば、どういう基準で、どういう選び方をしているのか、疑間が残ったからこそ言うのだ。

  例えば伝統校同志社から三名も選ばれていた。関西勢からは関西学院と並んで最多の選出。因みに早稲田も三名。一方で、京産からはわずかに一名、天理からはゼロ。今年もこの二校が鎬を削り、関西大学ラグビー界のレベルアップに貢献するというのは言うまでもないところ。

 選考の舞台裏は知らんが、京産や天理側が出し渋ったとは思えない。同志社の三人が活躍したのなら話は違ってくるのだが、大会を通じて存在感は薄く、また秋の公式戦が始まり、この三人はチームに戻っているようだが特に起爆剤になっているわけでもない。

 同志社自体、開幕三連敗で入れ替え戦行きが濃厚。どうやら選手層が厚いというわけでもなさそう。そんなチームから三名も選ぶというのは、U20を軽視しているというか、一体何だと思っているのか・・・・?

 関西協会は同志社OBが牛耳り、日本協会のトップが土田氏である以上、この選出は当然だろ、そんなところか、吐き気がするわ。

 U20や高校日本代表やその候補たちは次世代の日本代表である、という意識が協会からは感じられない。選考やチーム編成に情実や忖度が蔓延っているからだ。これではロブ・ペニーにも大会中に逃げられるわな。

 紹介したーつ目の記事の中でこう書いた。

 つまり、U20前後の世代を、どこが責任を持って育成するのかが明確になっていない・・・仮説①

 またこうも書いた

 世界と互角に闘うためには、U20からの二年間、ラガーマンたちがどこまで覚悟してラグビーに取り組むかが問われてくるのであろう・ ・・・仮説②

 この二つの仮説にある程度でいい、正しさがあるのなら、日本ラグビーのレベルを上げる鍵は、高校を卒業してからの四年間こそにあり、ラグビー日本代表にとってもそこが生命線となる、という結論に至る、そう言うと極端だろうか。

 大学二年以下に一斉トライアウトをすれば、と書いたのは、技量や人材発掘に留まらず、我こそが日本代表にならん、という覚悟を試す、踏み絵とまでは言わないが、その起点にもなると思うからだ。つまり、協会や大学にラグビー日本代表を支える、という気概は薄い。同様に、この国の高校や大学のラガーマンも妙に冷めているように感じている。これは極めて危険な兆候だ。

 花園で活躍する選手のほぼ100%が大学に進学する以上、大学以外に選手を育成する機関はない、それがこの国のラグビーの実情である。ラグビーエリートたちはそれぞれの大学で宝物のように扱われるが、結局、選手としては四年間足踏みすることとなる。しかもその四年間は、一流大学からー流企業へ進むサラリーマンとしての生き方と、ラグビー選手としてのそれを、天秤に掛け続ける月日でもあるのだという、知らんけど。ならば一斉トライアウトをして、自らが決意し手を上げさせる方が潔いのではないか、そういうことだ。

 何でもそうだが、教えたからってできるようになるものではない。たとえ優秀であっても、”学ぶ”、という思いがあるかどうかが決め手となる。例えば優れた高校ラガーマンを一同に集め、そこに世界的な指導者を招いて手取り足取り技術を教えても、肝心の選手たちに、その力テゴリーの代表になりたいという思いは薄く、伝統校へのスポーツ推薦の必須資格を得るためにここに来ています、では意味がないってことだ。

 

 リーグワンがJリーグを口ールモデルにしていることは言うまでもない。Div1~3に分類したり、地域に根差すチームを作れというのもそのまんまである。ならば徹底的に真似たらどうか。Jリーグには特別指定選手という制度がある。ユース世代のサッカー選手に対して、所属クラブ 連盟の枠を超えて高いレベルでのプレーができる機会を与えるための制度、だそうだ。五年前からはJクラブにプ口選手として加入が内定している選手、となっている。

 まぁ、そこまでせんでいいが、一つ前の制度は真似るべきだろう。たとえばラグビーの場合、高校生を対象に年に数回高校代表候補合宿を開催している。そこで優秀なパフオーマンスを示した選手に対して、特別指定選手を打診してみるというのはどうか。   

 受け入れるかどうかは本人次第。納得し、卒業後すぐにその選手が欲しいというリーグワンのチームが現れれば、そのままプロ入りすればいい。福井のケースがそれにあたる。プロとしてのオファーがなければ、いったん大学に進み、成長が認められた段階で、在学中でもアーリーエントリーしてリーグワンに入団する。

 この制度は、作ればそのまま運用できる。選手本人、在籍する高校、進学予定の大学、リーグワン、おのおのが納得すれば何か特別なものを作る手間も大した費用も発生しない。それ以外にもメリットは多い。たとえば今のリーグワンでは、お世辞にも高卒の新人を受け入れる環境は整っていない。選手寮はもちろん、ジュニア専門の指導者や、そもそもその育成経験もなければ対戦相手もない。なので、いったん大学のラグビー部に籍を置いてもらう。育成は基本的には大学に任せ、月に数度プロの練習にも加わり、体力測定や血液検査をし、ついでに力ウンセリングを通じて選手に合ったトレーニング手法や食生活についてアドバスを伝える。

 学費についてはリーグワン側に持ってもらいたい。Jリーグはそうしているようだ。それだけでも選手の親御さんは助かるはず。在籍する大学ではJrの公式戦や、実力があれば一本目に出てもいい。また晴れて入団後も、大学にもラグビー部にも籍を置き続け、寮にはそのまま住まわせていただき、大学の卒業資格も得られれば、リーグワンはもちろん本人にとっても良いこと尽くし。リーグワンのチームは圧倒的に関東周辺に多いので、東京の大学からなら充分通えるではないか。

 しかしそれだと大学にとってデメリットだらけだ、という向きもあるだろう。だが、まかりなりにもプロとなった、もしくは予備軍の選手と一緒に同じ寮で暮らし練習もしていれば、個や組織のスキルはもちろん、心構えも伝わるのではないか。どうせ上級生になれば選手の半分は実質学生コーチになるのだろうから、プ口入りした彼らが、在籍中はスポットで教える側に回るのもいいと思う。実力が伸びなくて、結局プロ入りが叶わなかった場合は、そのまま大学ラグビーに専念し、アピールを続ければいい。

 伝統校が特別指定選手受け入れるかどうかは判らない。この国のラグビーのレベルを上げたい、その思いがあるのなら認めるだろう。ただ強制ではないので、そこは各大学の判断となろう。腰掛ではプライドが認めない、というのなら仕方ない。それは選手にとっても同様だ。実力は文句なくても、プロではなく早明戦に出たい、または一流企業への就職や医者を目指している、そういったいわゆる藤島大好みの選手なら断ればいい。

 特別指定選手になったが、途中でやめたい、普通の大学生がいいというのもありだろうし、自分のやりたいことが他に見つかったのなら辞退できるようにすればいい。選手個人のキャリアプランやその時々の意志、大学の各部が貫いてきた方針は優先させるべきだ。つまり、特別指定選手というのはそれらを丸呑みしてくれる大学との間だけで交わせばいい。たぶんJリーグの場合も、すべての大学がそれを受け入れているわけではないのではないか。

 ラグビーエリートたちは、夏前の高校代表候補合宿が始まった段階で、自分の生き方を真剣に考える岐路を迎えることとなる。そんなに早く一生についてを考えさせなくても、という声が外から上がるであろうが、たとえば野球の場合、三年生の秋にプロを目指す選手には志望届を提出させている。それが三ヶ月ほど早くなるだけの話である。サッ力一の場合はもっと早くに進路を選択しているはずだ。

 当然、毎年二月に選ばれるラグビー高校日本代表は特別指定選手で構成される、というのが望ましい。将来、サラリーマンになりたいという選手に強化費を充てるというのはさすがに違うと思うからだ。

 つまり特別指定選手という制度があれば、少なくとも今よりももっと真剣に、各力テゴリーの代表選手を選ぶようになるのではないか? 候補合宿をやってみたら、特別指定選手を断るような選手ばかり集めちゃった、というわけにはいかないだろうし、顔ぶれがリーグワンの狙っている選手とあからさまに違う、というのではさすがに問題となろう。

 選手にとっても、お金を稼ぐことはもちろん、将来の仕事やラグビー、桜のジャージについて、より現実的に、かつ真剣に考える機会となるのではないか。才能があれば、なおのことそれは早い方が良い。現状、優秀なラガーマンは決まって大学に進学するが、それは多くの選択肢を示せているように見えて、実際は結論を先送りにし、目標を曖昧にしているように感じるからだ。


 もう二十年以上前になるだろうか、極めて才能に溢れる高校生ラガーマンが、伝統校に進学後、超一流企業に就職しそこのラグビー部に在籍することとなった。彼は入社の際、チームを日本一にしてみせる、そして英語が得意なので、国際事業部に興味がある、そう抱負を語った。

 結局その数年後、彼はトップリーグの別のチームに移籍した、プロ契約で。代表にも選ばれたが定着はしなかった。ラグビー選手として伸び悩んだのは、本人の責任だけではないと感じた。周りがもっと適切なアドバイスをしていれば、またそういった節目を示していればとも思った。

 もちろん、彼がその折々で充実していれば大きなお世話であろう、彼の人生なのだから。ただ、結局はプロのラグビー選手になるのであったなら、そこだけなのだ。私が彼の才能に惚れていただけに、という話である。

 優秀なラガーマンラグビーの道を究めるべきだと思う。厳しく険しい道であろうが、そこには選ばれた人しか足を踏み入ることは許されない。たとえ途中でドロップアウトすることになっても、その経験すらわれわれ並みの人間にとって、金を払っても得ることのできない宝物であろう。きっとその人の人生を豊かにするはず。もちろん成功すればなおのことだ。

 何にでも言えることだが、優れた人材であればあるほど、人には歩めない道を選んでもらいたい、そう思うのだ。

 

 この国のラグビー競技人口はたかだか10万人。マイナースポーツである。共に四年に一度のW杯、ベスト8を賭けたラグビーの試合が、結果19位で終わったバスケの順位決定戦に視聴率で劣っても、世間は普通に受け流している。今回の代表メンバーは皆、そこを理解している。だから少しでもラグビーという競技を世間に知らしめなければ、その使命感のために闘っている。

 世界で勝つだけではダメ、勝ち続けなければならない、その決意には悲壮感が滲む。果たして、協会にその思いを汲める人間がいるか・・・・?

 いない!

 秩父宮の改悪に数百億もの金を動かせるような、そんな政治力というか、変な力だけは持っていて、その既得権益を守るために存在するムラ社会、それがラグビー日本協会だからだ。

 もう一度書く、”協会や大学に、ラグビー日本代表を支える、という気概は薄い。同様に、この国の高校や大学のラガーマンも妙に冷めている”。

 先の記事で上げた内容の肝を再掲する。

 今回報われはしなかったが、この国プライドを賭けて闘った日本代表選手に帯びる熱を、大学ラグビーや花園から感じることができない。日本代表の体現するラグビーと、大学や高校のラグビーが、あまりにも離れた場所にある、そう感じるのはなぜだ!?

 

 毎年夏前に高校日本代表候補合宿が開催される、というのは先に書いた通り。 オタとしては参加メンバーを入念にチェックする、それは恒例の作業である。 すると毎年とは言わないが、あれっ、という選手が混ざっていることに気づく。 目立った戦績はおろか、一本目として公式戦にも稀にしか出場していない、そんな選手が選ばれていたりするからだ。怪我でもしていたのかと事情通に訊ねると、あれは誰々の息子、これは誰々の孫・・・・。つまりムラの中の住人のご子息の推薦入試が上手く運ぶよう、協会が肩書をつけて差し上げているようだ。

 こういうのもあった。ある老舗某大学のスポーツ推薦入試の合格者に、花園常連校のマネージャーが含まれていた。毎年枠は十人そこそこ、狭き門である。その門を選手ではなくマネージャーがこじ開けたのか、部の運営も大変だから、裏方にも即戦力が要るというわけか、そう妙に感心していたら、選手として入部するのだという。そういえば一般推薦じゃないし・・・・と、混乱する頭の中を整理するためにその選手?の戦績を改めて調べてみると、地方予選にほんの数試合、合わせて数十分ほど出場していた。更に調べてみると、某伝統校OBのこれまた跡取り息子であることが判った。

 恐らく、自分の母校では実力的に無理だから、そこが引き取ったのだろう。引き取ったのか、引き取らされたのかは知らんが、これは火種を抱えることになる、揉めるぞ、そう思ったら、某大学は案の定そのシーズンで二部に落ち、しっかりと落とし前を付けさせられたようだ。笑えない話であるが、実はこういうのがゴロゴロしているのがこの世界なのである。

 かように、ラガーマンたちは高校の時から、ムラ社会の存在に、音もなく忍び寄るその影に、折に触れて直面する。”その枠、自分のものだったかも”、”本当ならあいつが手に入れるべきものだったのに”、ムラの掟を思い知る瞬間である。彼らが冷めたとしても、決して責められるものではないだろう

 ムラ社会であるラグビー日本協会は、当然そこに住まう住人たちのためのものである。彼らが吸う蜜が甘ければ甘いほど、それを守ろうと必死になる。恐らく今回も改革なんて無理だろう。このままでええわで終わる。その裏で、代表選手は文字通り骨身を削って海外の強豪と闘う、この矛盾する構図・・・・。

 彼らが背負う使命や志が重すぎて、引き継ごうという若手が現れなかった、それがこの四年間の総括で良いと思う。

 

 最後になるがこういう記事が出てきた。

www.nikkei.com

 恐らく谷口が書いたのだろう。有料記事なので読めないが、”準代表” というのが引っかかる。どうせ協会のことだ、頓珍漢なことしかせん。たとえばリーグワンで燻る二、三年目までの選手を掻き集めて若手と称してを海外に出すとか、そんなんでお茶を濁すのだろう。ー番手を入れなきゃならないのは、大学の四年間だっつーの! まぁ、谷口は頑張っているので応援する。小遣いが余ったら読む。

 また、こういうのも出てきた、

www.sanspo.com

 ”大学ラグビーのスキームを変える” とか、”日本協会の土田会長には、ぜひ大ナタを振るって" とか勇ましく書いてるけど、”U-23(23歳以下)の代表チームを恒久的に設置” って時点でやっぱりズレてる。世界を見渡したって23歳は若手じゃないって。

 ついでだけど、あの嫌な奴までこんなことを、

www.tokyo-sports.co.jp

 まず、おまえが保護者の内田樹を連れて中国へ武者修行に行って来いやっ!

 ただ、もう特にラグビーを愛してなどないような輩までも、こういう声を出し始めるということは、遅きに失したとはいえ、海外に出ろとか、ユース世代に経験を積ませろとか、そういうのが共通認識となって方向性だけは固まるのかなと。

 個人的には手っ取り早いところでいえば、まずリーグワンからプロ化を渋るチームを締め出してスリム化すべき。でっ、それらを社会人ラグビー協会として独立させる。一流企業ばかりなんだから伝統校とも親和性は高い。学生の受け皿にというのも含めて合体して、そこで対抗戦とか交流戦とかOB戦とかを気の済むまでやりまくればいい。 

 とにかく、今回の予選敗退を機に、制度疲労や構造的な欠陥という膿を出し切って欲しい。でもなぁ、それでも協会は動かんよ。絶対に大学ラグビーに手は出さない、聖域のままであるのでしょうね。なぜならば、ラグビー日本協会は伝統校の出先機関なのだから。

 合掌

アルゼンチン戦 直前

 大阪は昼過ぎから雨が降っています。この雨、日本ラグビーにとって歓喜の涙となるのか、それとも涙雨となるのか・・・・。

 

 サモアには勝てない、そう踏んでいましたが、案外あっさり勝った以上、この私のW杯は先月終わりました。語る資格なぞあるわけございません。10月の更新はドラフトと阪神ネタでお茶を濁すつもり。ですがっ、後3時間後ということで特別にお赦しをいただきたい。四年に一度のイベントですしね、書けるうちにね、ええええ、できれば書かせていただきたく、そう思うわけです。

 まずは日テレ、良かったですね、おめでとう♪ 消化試合にならずに。まぁ私のようなラグビーオタとしても、四年に一度は日本代表の試合をお茶の間の皆さまに観ていただきたいわけで、それが叶うのですから心底良かった、そう胸を撫でおろしています。W杯は日本ラグビーにとって最大のプロモーションでもあるのです。

 お茶の間とは、つまり世間様、いわゆるライト層を指すわけです。やはりそこに支持されてなんぼ、初めてこの国のラグビーは成立する。一応は完全プロ化を目指しているのだし。であれば、巻き込めるものはどんどん味方につけないと。バスケやバレーボールも頑張っているのだから尚更。ラグビーはもっと世間の注目を集める存在であって欲しい。それだけに自力でその機会を切り拓いたところは評価したい。

 

 ここで何度も書きましたが、やはりサモアは強かった、そう思うのです。気の抜けたイングランドぐらいなら互角に戦ってしまうほどに。しかしとなると、俄然、そんなサモアを前半で完全に崩して2トライを奪ったわが日本も強いわけで。果たしてアルゼンチンとどこまでやれるのか、興味は尽きませんね。あちらさんのメンタルタフネスは異様ですから、日本代表の肝っ玉を測る試金石にもなるのでしょう。

 試合を裁く主審はオキーフさん。前回に引き続き日本のプール最終戦の笛を吹くこととなりました。因みにサモア戦でも線審をされていましたね。結構、際どいトライを認め、ノットストレートは見逃してくれました。今日は果たしてどうなるのか・・・・?

 それと、ロス・プーマスのメインスポンサーって、M社ではなく、ライバルのV社なのですよ・・・・。このあたりもどう転ぶのか、コワイですね、コワイですね!

 

 泣いても笑っても後3時間、腹を括ってこのまま家でゆっくりするか。今日は寒いしスーパードライを飲むのはやめておこう。というか、もう五本飲んじゃったし。

 というわけで、ベスト8を賭けたアルゼンチン戦、どんな闘いになるのやら、日本代表の矜持を、そして日本ラグビーの現在と未来を、しかとこの眼で見届ける、そう覚悟を決めた神無月の雨の午後なり。

運命の一戦を前にして

 いよいよ5時間後である。まさに日本のラグビーの ”現在” が問われようとしている。

 その前に少し今大会の ”流れ” をおさらいしたい。

www.chunichi.co.jp

 記事によれば南半球の三強に翳りが見えるのは、コロナによる実戦不足と結論付けている。さもありなんである。

 翻って日本代表はどうなのだ? ご存じのようにコロナの間、しっかりと巣籠していましたよと。オータムネーションのお誘いも丁寧に断って、国内リーグを優先させたと。さてさてその結果どうなるか、答え合わせは5時間後に迫っている。

 7月の中旬にこう書いた。

tilleternity.hatenablog.jp

 良い勝負になるとは思うが、やはり厳しい。主審がヤコさんというのもどうか。

 ニ大会連続同一カードの主審というのは結構ある。前回、ベスト4を賭けたボクス戦、ガルゼスさんが笛を吹いた。ブライトンの奇跡の際も実は同様であった。最初は勝って、二度目は完敗。さてさて今回のヤコさんはどうする? 

 すでにこういう危険なフラグも立っている。

www.tokyo-sports.co.jp

 人情としてはサモア寄りの笛を吹くのではないか。まったくまな板の上の鯉の気分だ。

 

 イングランド戦同様、スクラムを互角に組めるか、そこが鍵となろう。また前戦絶不調のリアリーファノも意地をみせるに違いない。

 それとサモアのスタメンには2mクラスが三人いる。ラインアウトの精度も勝敗を分けることになるだろう。そしてモールディフェンスとレッドカードも・・・・、言ってたら切りないわな、ここまでにしておく。

 とにかく自分の予想が外れることを祈っている。スクラムさえいければ、少なくとも前半圧倒されることはないと思うのだがって、くどいっ!

 

 運命の一戦と言えばわが阪神も、CS以降それが待ち受けている。でも、ここはもうええやろ。たとえ負けようとも、この国のスポーツ界における阪神の存在は盤石。吹けば飛ぶよなラグビーとは訳が違う。たとえ負けてもダメージは少ない。それだけに余裕を持って構えていられる。それがええのんか悪いのんかはわからん。球界や球団にとってはダメなのかもしれない。まぁ個人的にはそれでええとは思っている。

 しかし、ラグビーの場合は違う。明日の未明負けたら、日本ラグビーは本当に終わる・・・・。

 

 今夜は気持ちが荒れている。正直言えば、ラグビーから逃げたい気持ちでいっぱいだ。試合中、画面を果たして正視できるのか自信はない。なので突然であるが、別の話題にしたい。

 

 

 気が付けばドラフトまで一ヶ月を切っているじゃないか。ということで今年のドラフトについて少し書いておこう。

 大学生投手を中心に豊作といわれる今年のドラフトであるが、正直、それほど食指が伸びない。どうしてもこの選手が欲しい、そういう存在がいないのだ。

 まぁ、佐藤輝の時も同じようなことを書いているな。なので三年に一度はこうかな。

 思い返せば佐藤輝も森下同様、巨人に行けばいいのに、そう思ってドラフトを眺めていた。贔屓チームよりも球界を思えばこその判断だ。才能があり、キャラも立っている選手にこそ、巨人に入って欲しい、そう常々願っている。

 今、その二人が縦縞のユニフォームで普通に甲子園にいる。強くならないわけがないのである。

 いかんいかん、話が逸れた。元に戻ろう。

number.bunshun.jp

 

 今年のー番人気は東洋の細野であろうか。155㌔以上投げる左腕というのはそうはいない。そのうち詳しく書くが、オーソドックスな本格派に見えて、案外そうではない。結構なクセ持ちである。

 まずプレートの踏む位置。一番一塁寄りを踏む。まぁここまではたくさんいる。細野はここからかなりのインステップで踏み込む。極端に言えば、一塁ベンチに向かって投げる感じ。

 右肩の壁を意識させようとしているうちに、今のフォームに辿り着いたと想像する。そしてフォームが落ち着いたので普通に真っすぐ踏み込むか、となったが、独自のアングルが威力抜群なのでそのままにした、そんなところか。なので真上やや横から投げ下ろすが、左打者からすればスライダーも背中から曲がって来るし、右打者へのクロスファイアも独自の角度で懐をえぐる。良いことだらけである。

 がっ、問題はそれでプロの長いシーズンを乗り切れるか、だろう。右膝と腰への負担が気になるフォームともいえる。絶対に直さない方が良いと思うだけに、良いコーチに巡り合うことを祈る。

 次に来るのが春の王者青学のエースである。常広は大分が生んだ正統派右腕ってことで森下と何かと被る。マスクが良いのも一緒。ストレートの質は森下だが、スプリットの落ちは常広だろう。

 ストレートが何かとシュート回転する癖をどう活かすか。またメンタルの強さは去年の投手も含めてNO.1。伊藤大海以来の肝っ玉の持ち主ではないか。迷ったら常広指名で良いと思う。

 

 実は密かに注目している投手がいる。仙台育英の左腕仁田である。今日現在、プ口指名届を出していない。進路もはっきりと打ち出していない。かなり気になっている。

 去年、仁田の投球を目の当たりにして仙台育英の優勝を確信した。その輝きが今も私の胸の中に残っている。

 今年の調子は終始良くなかった。伸び悩みが指摘されている。しかし、厳しめの社会人や、そこそこの大学に進めば、3年後、もしくは4年後にはドラ1に仕上がると思う。もし今年中位で指名できるのなら是非、自信を持ってそうお勧めしたい。

 投げ込む球のキレはもちろんであるが、フォームが綺麗で、腕が長く見える点に惚れた。実は三年前、山野を同じような感じで評価をし、そして失敗している。我ながら懲りないな、とは思う。左腕の評価が苦手なのだ。

 とはいうものの、これだけの左腕、高校レベルではそうは出ない。前田や武田以上に惹かれている。早く進路をはっきりして欲しい。

 因みに仁田と、花巻東の北條、大船渡の佐々木朗季の弟が中学の野球部でチームメイトだそうである。びっくりしたわ。坂本と田中マーが中学時代バッテリーを組んでいたとか、山本由伸と頓宮の家が隣とか、世の中って案外狭いものなのかもしれない。

 とりあえず気がまぎれました。仮眠をとることにします。

日本ラグビー 敗れる!

 日本ラグビーが敗れた。単に日本代表がイングランドに負けたのではない。一昨日、日本ラグビーが敗れたのだ。

 もちろん、ベスト8に残る可能性はまだある。しかし、仮にサモア、アルゼンチンに連勝しても、私のその判断は不変である。日本ラグビーは敗れたのだと。

 今大会、日本ラグビーは何を求められていたのであろうか? たとえばこの私は、代表のフランスでの戦いに、そして日本ラグビーに何を求めていたのであろう。ベスト8か、それともベスト4か? いや、そのどちらでもない、あえて答えを言おう、それは若手の躍動であり、新世代の台頭であると。

 八年前、ラグビー日本代表は突如スポーツ界最大の番狂わせを巻き起こし、日本以外を大いに驚かせた。現に当時のチャールズ皇太子は居ても立ってもいられず、その日の未明、皇室に祝電を打ったほどだ。それを取り次いだ宮内庁の職員は、何事かと仰天した。天皇も同様に驚いて、急遽、ブライトンの日本チームに祝辞を送った。それぐらい世界を慌てさせた。

 そして四年前、初の母国開催で見事に8強入りを四連勝で果たした。その間日本はラグビー一色に染まりこの国のスポーツ界にも少なからぬ衝撃と影響を与えた。つまりは、8年前のブライトンの奇跡でラグビーを始める子供たちが現れ、4年前の日本代表の快進撃を目の当たりにし、その流れは確かなものになる、そう信じ、それを狙っていた。

 だが、結局何も起こらなかった・・・・。

 ラグビーの競技人口はたかだか10万人。それが一向に伸びないことを嘆いているのではない。花園の参加校の中に合同チームが増えていることを問題視しているのでもない。この四年、世間はコロナ禍で閉ざされた月日であったが、私は待った、待ち続けることにした。新世代のラガーマンの台頭があると、必ず花園や秩父宮を騒がせる逸材が現れるはずだと、そしてその漢がフランスで日の丸を背負うと。

 しかし、待ち人は現れなかった。それをもって、日本ラグビーは敗れた、そう言うのである。

 

 思い返すなら、松島、福岡はイングランド大会を23歳で迎えた。南アフリカ戦で文字通り獅子奮迅の活躍をみせた立川は26、 前回大会の姫野は25ですでにチームの柱であった。今回、残念ながらそんな選手が見当たらない。

 抜擢された若手と言える選手は、ディアンズを除くなら長田と福井のみ。因みに二人は同期、共に24歳である。そしてこの二試合、特に仕事はしていない。若手の突き上げがない以上、主力選手たちは四歳年老い、その結果、日本代表は確実に弱くなった・・・・。

 なぜ若手の台頭がないのか。あえていうなら、協会が行き当たりばったりでビジョンがないことと、大学ラグビーがチームのことしか考えていないこと、リーグワンの各チームが高卒の選手を受け入れるのを躊躇っていること、これに尽きるのであろう。

 つまりそれぞれが自分のことしか、そして今しか見ようとしないのだ。ゆえに才能のある選手を預かっている、もしくは預かるという自覚がないということか。

 先月だったかその前だったか、ラグビーマガジンに早稲田の新主将のインタビューが載っていた。カラーで4Pも5Pも。特別な扱いであることは読む側にも自然伝わってくる。その中で、彼は組織が ”変わる” ことの重要性を訥々と語るのであった。それを読みながらふと、一番変わらなければならないのは君ではないのか、そう思った。皮肉にも、改めて ”変わる” こととは何なのか、その記事から考えさせられた。はっきりいえば、伊藤は大学ラグビーにいるべき選手ではない、ということなのだ。

 伊藤ほどの選手であれば、大学ラグビーは二、三年までにして、なぜリーグワンに挑戦しようとしないのだろう。本人はもちろんだが、周りもその道について真剣に考えようとしないのか。

 そう書くと必ず、早稲田蹴球部の主将ともなれば、超一流企業に幹部社員としての道が拓けているのに、なぜそれを閉ざすようなことを簡単に言うのか、無責任だろ、というややこしいことを言うのが出てくる。あの・・・・、そんなのないからっ!

 私の在籍した企業は今もラグビーチームを持っているが、伝統校のラグビー部の元選手の管理職などいなかったし、今もいないし、これからも出ない。

 一昔前、美人の女の子に女優やアイドルの道を薦めたら、これだけ器量の良い娘なのだから、良い縁談に恵まれようというのに何てことを言ってくれるのだと咬みついてくるババァがいたのだとか。さすがに今はもうそういうのは絶滅したと思う。

 ところがラグビー界隈にはそれとよく似たのがいまだにいるらしい。伝統校のラガーマンなら皆、故宿沢さんは無理でも土田氏ぐらいの才能ならある、本気でそう思っている輩が。百歩譲ってもしそれが本当なら、世の一流企業の役員は伝統校のラガーマンで溢れていることであろう。

 大学までラグビーをやる漢には、結局、良きにつけ悪しきにつけラガーマンとしての人生しかない。それでいいじゃないか! むしろ何が悪いのか・・・・?

 自分には幾通りもの人生があったかも、そう思う浅はかさよ。三つ子の魂百まで、己には己の人生しか用意などされていない。だからこそ良いのだ! 一頃流行った ”Only One” ってやつ。ラグビーの能力に秀でた漢は、それを究める道を進む。周りもそうサポートする、それが筋だ。仮に本人が迷っているのであれば尚更。伊藤に限らず、大学の下級生時に頭角を現した選手は上級生の二年間、もうそこでやることなどないだろう。中退しろとは言わないが、リーグワンへのアーリーエントリーを視野に入れるべき。Jリーグの選手を眺めている限り、むしろそれが普通である。

 ラグビーの場合はこの三十年間でそれに該当するのは山沢のケースだけ。意図せぬ経歴となった李承信の進んだ道筋もまた示唆に富むものだと思う。しかしこの二人は例外であって、よほど居心地が良いのか、みんな四年間律義に在籍する。

 

 この春、高校代表はスコットランドに遠征し、かなり良い勝負をした。しかしU20で差がつき、そして次の二年間でその差は決定的なものとなる。才能溢れる選手であればあるほど、大学の四年間が無駄なのだ。これがラグビー日本代表に新星が現れないカラクリである。

 野球だって大学四年間在籍することが前提じゃねぇか、という突っ込みもあるのだろう。だが野球のエリートはほぼ高卒でプロ入りをするので、そもそも比較にはならない。早実の清宮が、早稲田進学を蹴ってプロ入りしたのが象徴的である。

 

 そもそもラグビーは球技と見なさないほうが良いだろう。ほぼフルコンタクトの格闘技なのである。だから極端な例かもしれないが、井上尚弥がなぜ階級を上げ、その四つを全て制覇し、四つの団体統一王者になりえたのか。世界を震わせ続けるその魂の根源はどこにあるのか、そう全大学生のラガーマンに問うてみたい。

 プロ契約した際、「強い選手と戦う。弱い選手とは戦わない」そう自ら条件を付けたというが、そこに尽きるのであろう。

 翻って優秀な大学ラグビー選手が、四年間も同じカテゴリーでプレーを続けることに意味はあるのか・・・・?

 才能ある新入生が現れ活躍すれば、所属チームの首脳陣や大学ラグビーファンはこぞって、後三年チームは安泰、応援が楽しみだ、となる。この構造にこそ問題があることは明白なのだが・・・・。

 井上にもフライ級やバンダム級に留まり、チャンピオンであり続ける、という選択肢はあったであろう。しかしそんなこと、本人も周りも一切望んでなどいない。日本ラグビーを取り巻く環境とはなんと違うことか。

 

 ラグビーは格闘技ではなくあくまで団体競技、チームの優勝を目指すことにこそ意義がある。これこそが ”one for all,  all for one,” の精神なのだ、そう仰る方もいるのでしょうよ。しかし、そこを整理してあげるのが大人の役割であろう。また仮にそうであるのなら、同じ団体競技で同根のフットボールでもある大学サッカ一が、”特別指定選手制度” を受け入れ、快く在学中のエースをJリーグに送り込んでいることと、整合性が取れないと思うのだが。

 大学サッカーチームもリーグの優勝や、果てはプロを抑えての天皇杯制覇が究極の目標であるはず。突然エースが抜けて困らないわけはない。さらにいえば、筑波や法政の熱心なサッカーファンたちが、三苫や上田綺世をJリーグに引き抜かれたと騒ぎ出した、という話もまったく耳にしない。

 結果として大学が腰掛になろうとも、本人のため、そしてトップカテゴリーのため、引いてはこの国の競技レベルを上げるためであれば構わない、とするサッカー側の考え方こそがまともに思える。実際それでサッカー日本代表はメキメキ強くなっているのだから。

 

 

 このままだと、ますます日本のラグビーは世界から取り残されることになる。もし早稲田の伊藤や矢崎が、突如リーグワン入りを表明したら、大学ラグビーファンたちはどうする? 藤島大や中尾はどう言うのだろう?

 彼らが大人の対応をできた時、きっと日本ラグビーは変わるのであろう。




 最後になるが、その結論であればW杯前、日本代表メンバーが決まった段階で言えよ、という向きもあるのだろう。しかしさすがにそこまではできなかった。せめてイングランド戦を観てから、となってしまった。甘いと言われればその通りである。真夏の国内五連戦前に、1勝3敗と言うのが精いっぱいであった。

 まだ自分の中には代表に期待しているのがいる、というのもある。それはもうしばらく消えないのであろう。しかしそれもサモアに負ければ綺麗にいなくなる。時間の問題だ。

 ただしアルゼンチン戦の最後の瞬間まで見届ける。その覚悟はできている。姫野主将の奮闘をしっかりと瞼に焼き付けるつもりである。

 残り二戦、姫野が ”ミスターラグビー” に昇華することを祈る。

大一番 来る

 日本代表が勝つイメージが湧かないままである。

 まぁ、15年の対ボクス、19年のアイルランド戦前も同様であった。勝負は水物、やってみなければ、そういう部分があるのは間違いない。しかし果たして格闘技にそれは当てはまるのか? 6時間後に結果は出ている、そこを待つしかない。

 言い尽くされていることではあるが、スクラム、モールディフェンス、ハイボールの対応、そしてラックサイド・・・・。

 スコアは30ー10、プラマイ7、って感じ。おいおいとなると、23ー17もありえる。ワンチャンあるんじゃないの? イングランドのファンとてニースの会場の半分を埋めるのは無理。残りの観客を味方につけ、仮にスタジアムの後押しを日本が得ればもしかしたら・・・・。しかしそう甘くはない。スタンドに駆け付けたライトなラグビーファンの心を掴むには20点はいる。つまり番狂わせはない。嗚呼、まだ勝利を期待する自分がいたようである。困ったものだ。

 

 イングランド戦が大一番になるってことは、二年前には判っていた。ジェイミーもブラウンも、ここに照準を当てていたはずである。何かやってくれるよな、何か隠しているよな、嗚呼、まだ・・・・。

 もう寝るとするか。残り時間、何をしても上手くはいきそうにはない。勝敗は神のみぞ知る、それで良いではないか。そういうことにする。まぁ勝てっこないけど。

 いやいやもう少しだけ。神のみぞ、となると、それに近い存在がラグビーオタ界隈にもいればいいのに、そう思うことしきりである。つまり今回の日本代表の実力について、的確に、且つ冷徹に見極めている、そんな記事に出くわしたことがないからだ。ほぼほぼすべてが提灯記事か願望の類なのだ。藤島某に仕事があるってことは、つまりそういうことなのであろう。

 そんななか、ここ数年で唯一感心した記事があった。四年前のサンスポであったか、書き手は平林泰三

 この名前を目にするだけで拒否反応を示す方も少なくはないであろう。特に伝統校のファンは間違いなく。帝京贔屓の笛を吹く嫌な野郎、そんな風評であった。私も彼のレフリングは好きではなかった。少し主張が強いというか、主審が目立とうとしてどうすんねん、そんな感じ。

 前回大会のスコットランド戦前、多くの評論家気取りの面々は、皆、日本は勝てる、ベスト8に進める、間違いない、終始そんなトーンで根拠はといえばまったく乏しかった。スコットランドサモアを34点、ロシアには61点差をつけて共に零封。アイルランド戦だけではなく、この二チームとのスコアもベンチマークになると言わざるを得ず、その事実が多くの戦前の予想をぼやけたものにしていた。

 そんな中、平林氏はスタジアムに吹く風の向きと強さにもよるが、日本が前半で勝負を決める、そう言い切った。もしかすると記事ではなく、SNSの発信だったかもしれない。ソースが見つからないので詳しくはここで書けないが、それなりに根拠も列挙していた。ここまで明確に、そして具体的に日本勝利を予見したのは彼だけであった。

 先に挙げた通り、極めて評判の悪い彼であったが、エディーがやたらと頼りにしていた、という一面も持っていた。果たして今、彼はどうしているのか、大一番を前に控えて少し気になっている。

 ということで仮眠をとることにします。

祝 ラグビーW杯 2023 開幕

 ラグビーワールドカップ2023が始まった。今、開幕セレモニーを観ている。その絢爛な景色に鳥肌が立った。また、一昨日の雨から急に秋めき、武者震いがしている。

 今回はナチュラルにフランスが優勝すべきだと思っている。まかりなりにも、国内のラグビーリーグが回っているのはフランスだけだからである。

 ラグビーに対する国民の熱、もしくは人々がどこまでラグビーを必要としているか、それらが溢れている国こそがW杯王者に相応しい、そう書くと、NZや南アフリ力、ウェールズも同様だと指摘する向きもあるのだろう。しかし、彼らはラグビー代表チームに対してそれを求めていると言えないか?

 厳密に、マク口的にはラグビーだが、狭義としてラグビー選手へのサポートや忠誠、そして良きにつけ悪きにつけ熱量、それが濃いいのはフランスだ。つまり地元チームや選手への愛が、最も溢れているのはフランスだということ。言うまでもなく、だからこそ国内のリーグが回るのだ。

 残念ながら、スーパーラグビーは代表チームのセレクションの場でしかなく、PRO14はアイルランドと南アフリ力のそれに成り下がっている(失礼)。いろいろとあって、それをできなくなったウェールズがこの四年で凹んだ。プレミアは財政難で選手もファンも離れている、という現状整理。一頃は金満で鳴らしたイングランド協会ですらこれだ。

 

 コロナで世界のラグビーは大いに傷つき後退した。ここでもう一度、ラグビーをあるべき姿に回帰する、そういう意味でも、フランスの優勝が必要だろう。

 ただし、フランスは国内リーグが盛り上がるあまり、W杯をベストのコンディションで迎えることができない、といった側面があるかもしれない。ヌタマックの開幕寸前のテストマッチでの怪我は、最期まで熾烈を極めたTop14やChampions Cupの代償と言えるのではないか・・・・。(それはサッ力ーでイングランドが優勝できない理由と置き換えることも可)

 

 とにかくラグビーW杯が始まった。選手はラガーマンとしてのすべてを賭けて闘う覚悟だ。恐らく、期間中に得る彼らの報酬は、男女のサッ力一W杯の何百分の一、または何十分のーなのであろう。しかし、それでも闘う。家族のため、愛する者のため、そして自身の誇りのために。または、自らのラグビーとの区切りのために。その姿を一ファンとして全力で見届ける所存である。

 

 最後になるが、下戸の私もスーパードライを片手に応援する。ノルマは五本である。毎試合ー本、勝てばもう一本飲む、となると恐らくその本数が妥当でとなるのであろう。

 なぜそれをするか? 無論、アサヒビールの今回の挑戦を応援するためだ。フランスはスポーツ観戦時、スタジアムでのアルコールの販売は法律で禁じられている。前回までスポンサーであったハイネケンはそれで降りた。アサヒはそこを突いて食い込んだ。必ずやスタジアムでファンにビールを飲んでもらえるようにする! リスク覚悟でそこに挑んだのだ。これこそが令和のビジネス、なんと平成とは違うことか。

 

 

 日本ラグビーが発展するためには、スポンサーがつくことは必須である。もしアサヒビールの挑戦が叶えば、リスクを克服した新たな成功事例として、そのストーリーは人々に勇気を与え、世界に挑戦する桜の戦士の志に賛同する企業も現れるはず。それがどれだけ日本ラグビーに資するかは語るまでもない。

 しかし、である。実際のところスタジアムでスーパードライを飲みながら試合を観戦、というのはできるようになったのか? 正式な報道はない。許可の見通しというのは半年前にあったがそれのみ。

www.nikkei.com

 公式では予定とある。

 つまりは予定である。

 仮に販売が可能となっても、制限があったりではあまり意味がないぞ。そのあたりはどうなった?

 昨日になってこういう記事はあったが・・・・

www.bloomberg.co.jp

 どうも提灯臭いな。

 

 因みに来年のパリ五輪は、会場でのアルコール販売は全面禁止だ(VIP除く、チッ!)。それでも今回、本当に四年前の日本でのハイネケンのように、独占で無尽蔵にスーパードライを売れるのか・・・・? また協会はそのためにしっかりとアサヒビールの後押しをしたのか?

 きっと、サントリー出身の会長は、「やれることはやったよ」そう胸を張るのであろう。しかし、である。もっともっともっと、やれることはあったのではないか?

 開幕を控え、もうこれ以上は言わん。協会には真剣に、日本ラグビーの発展、それだけを考えてもらいたいものである、お願いします。

 闘え、ラグビー日本代表

Rの時代 Ⅷ

 日一日と、ラグビーW杯が迫ってくる。借金取りに追われているような気分だ。阪神のマジックは順調に減っているというのに、こちらはその日が近づくにつれ辛くなる。何が辛いのか? それは、イングランド大会、日本大会と続けて代表が健闘し戦績は七勝二敗。遂に念願でもあったTier1というか、ハイパフオーマンスなんちゃらにも選ばれた。それが今大会での結果いかんで露と消えるのではないか、そう憂いているのだ。

 恐らく大会に入れば、あまりの酷さにラグビーについて書けなくなるかもしれない。今のうちに思うところを記しておこう。

 まず、日本代表がダメになったというよりも、日本以外のチームのレベルが上がった、という表現が正しいのではないか。直前のテストマッチを観た限りでしかないがそう感じた。これは甘い見立てになるのだろうか。

 実際に闘ったトンガのHCからは、「日本代表はもっと強かった」、そうはっきり言われた。ということはきっとそうなのかもしれない。

www.sponichi.co.jp

 仮にそうであれば、理由は何度もここで申し上げているが、この四年間、ほぼ国内に籠ったのが間違いだったということか。イタリアは6Nで毎年揉まれ、サモアやトンガはスーパーラグビーアイランダー混合の単独チームを創り参戦するようになった。そんな状況の下、淡々とテストマッチを半年置きにこなすだけで、それ以外は特に何もしなかった日本代表が、相対的に落ち込んだというのは容易に想像がつく。だとしたらこの四年間って、いったい何だったのだろう。

 LEAGUE ONE さえ立ち上げれば、それで強くなれるとでも思ったのか? 看板を書き換えただけで、中身は同じにしか見えないが、協会はそれなりの手ごたえを感じていた節がある。少なくとも国内でも強度の高い試合は可能、との判断であったのだろう。この夏、慌てたようにテストマッチを重ねたが、結果として一勝しかできなかった。代表選手以上に協会の連中が一番慌てているのかもしれない。



 ラグビーとは、四年サイクルで進化し続けるものだ。たとえば前回覇者南アフリカがいかにして王者に返り咲いたかその軌跡を辿ってみるといい。15年のイングランド大会の直後、16年と17年のボクスは見るも無残であった。これじゃブライトンの奇跡の価値が薄れる、頼むから勝ってくれ、日本人としてそう願わずにはおれなかった。それぐらい酷かった。

 低迷が本番直前の18年まで続いた後、19年の頭からしっかりとチームを立て直し、ご存じの通り世界一を掴み取った。四年という括りで、南アフリカはそのロードマップを描けていたということになるのであろう。

 では日本代表はどうであったか。たとえば四コマ漫画は、”起承転結” で成り立っているが、日本にとってのこの四年間とは、”起”、もしくは”承” までだったように感じる。まさかその残りのニコマを、W杯で一気にやるというのか? もしそうであれば俄然楽しみになるのだが! マジにそれで頼むわ♪

 思うに、結局、”転” にあたる年月が必要だったのではないか。先ほど申し上げた、南アフリカがヨーロッパ遠征でほとんど勝てなかった、ちょうど同じ時期、サンウルブスも南半球を転戦する中これでもかと負け続けた。今思えば、両国にとってあれは良い経験ではなかったか。お互いに最高の形で”結” を迎えることができたのだから。スーパーラグビー参戦の三年間をもう一度やれとはもう言わないが、そういうボロボロの時期を一定の期間経験するのは必要なのかもしれない。

 もし協会がこの四年間、前回通用したから何とかなると胡坐をかき、コロナを都合の良い言い訳にして、国内での巣籠を決め込んだのであれば、その判断に対する責任は重い。LEAGUE ONE を世界最高峰にするというのも裏目に出た。美名に酔い、内向きに拍車がかかったからだ。その結果はこれからの一ヶ月で出る。しっかりと落とし前はつけてもらいたい。

 

 自国開催のW杯が大成功に終わり、一息入れたい気持ちは判らんでもない。しかしそれが長過ぎる。祭りの後の高揚と、その次に来る一時的なエアポケット。余韻を味わいたいというのもあったのであろう。人情としては理解するが、組織全体がそこに陥るようでは、協会はやはり三流のそれということになる。日本大会が終わった時点で、次はフランスだと切り替えるべきであった。

 まず企業の側に立てば、日本開催のためにどれだけ金を掛けたか、それを忘れたとは言わさん、という部分が間違いなく最初に来たであろう。つまりこれから先、そう簡単に金は出せんぞということ。しかし、日本のラグビーはW杯日本大会で終わりではない。ここからまた始まる、そこを判ってもらうためにもう一段ギアを上げて欲しかった。お互い日本大会に向けて頑張りましたよね、では共感は得られても次の商談に結びつくことはない。想い出話とビジネスは違う、そういうことだ。

 LEAGUE ONE を世界最高峰にする、という掛け声には賛同する。しかし、世界最高レベルを目指すなら、それに見合った投資が必須だ。そのためには、各チームの親会社をその気にさせ、財布の紐が自然と緩む、そんな仕組みやビジョンを作って見せてやらなければならない。言うまでもなくそれこそが協会の仕事である。

 親会社が金を出せば、それが選手個人の能力を高め、次に組織を強くし、果ては日本代表のレベルアップに繋がる。そして最後にラグビーを通じ親会社へのリターンがある、という循環、それを生むための投資。別にリターンというのは金でなくてもいい。企業イメージが上がるとか、ファンが増えるとか、組織の一体感を醸成するとかでも構わない。

 しかし LEAGUE ONE 誕生前後を眺めていると、それがどこかで根詰まりを起こしているように見えて、企業がそこにいっちょ乗ってやるかとならない。実際、電通が絡むだけで間を抜くのは目に見えている。つまりサイクルが綺麗に回るように思えない。それでは投資に見合ったリターンはない、そう判断されるのが関の山である。

 

 逆に言えば、投資に値すると思った企業にとって、前回のW杯はステップに過ぎなかったであろう。クボタは間違いなくそう感じることができたはず。実際にこの四年間でチームも一気に強くなった。ただ残念なのはこの一社だけってところか。まぁキャノンもそこに入れるとしよう。残りは総じて緩やかな右肩下がりという感じ。

 ー見上手くいっているパナソニックも、旧三洋陣営をなだめるためラグビー部を維持しているように見える。もしくは吸収合併の際の約束を守っているようにも。なのでどこかの段階で、使命は果たしたと手放さないか心配になる。

 サントリー東芝、三菱相模原あたりですら、ラグビーが投資に値するのか決めかねている様子。トヨタは体力が違うので他の企業と一緒にはできないが、残りはすべてW杯日本大会の熱気が冷めた今、ラグビーチームはお荷物になりかねない状況である。

 選手もそんな所属チームの煮え切らない状況に気を揉み、自らの立場については、選手と社員の間で行ったり来たり揺れている。まぁそこは判らんでもない。ラグビーとは危険の伴う、限りなく格闘技なフットボールなのだから。

 

 W杯直前にして、私も反省しているところがある。二年ほど前までであったか、とにかくまずは日本代表を何とかしろ、そればかり言い続けた。この国のラグビーの構造上、日本代表が世界を相手に結果を出し、それが選手の所属チームや大学、高校などに波及していく、つまりはトップダウンなのだと。確かにそういう部分はある。しかしそれでは、代表人気が各カテゴリーに伝わってくるまで指折り数えて待っていろ、ということになりはしないか。

 まず第ーに、選手は所属チームから給料をもらっている、それで暮らし家族を養っている。だというのに、代表で活躍することが全てであるように周りが言うのは間違っていると思う。選手は何よりも稼ぐため、生活のためにラグビーをする、そこを優先させるべきだ。代表よりも所属チームで試合をする方が儲かるのなら、わざわざ日の丸を背負う必要はない。仮にファンがその選択を責めたとしても、それは選手を取り巻く環境や構造がおかしいのであって、選手に罪はない。

 先日、関係者と話す機会があったのだが、サンウルブスのあの三年間は瀬戸際のところで踏みとどまり、維持し存続していたのだという。選手も所属チームも、そして協会さえも。ワールドカップ日本大会に胸を張って挑み、悔いなく闘い、そして無事に終えるために。それぞれが歩み寄り、犠牲を受け入れ、我慢の連続だったという。

 この四年間、国内のリーグを優先させ、代表の海外での試合を断ったことに一定の理解を示したい。所属チームが立ち行かなければ、日本代表もないということ。ただ問題がないわけではない。そこまで国内に拘ったのに、21、22年と、リーグの開幕を二年続けてコロナで棒に振った。そこは協会の威信が問われてしかるべきだと思う。

 今後、代表強化のために合宿やテストマッチを増やしたり、サンウルブスを再編成するにしても、その報酬は誰が、どれだけ払うのか、といった問題は繰り返し議論されるべきであろう。そこを密室でやるのではなく、公にして、場合によってはクラウドファンディングも含め、ファンを広く遍く巻き込むというのはどうか。

 LEAGUE ONE が真剣に世界最高峰のリーグを目指すというのなら、選手たちはしっかりとした選手会や組合を作るべきだ。協会や親会社の覚悟を試す意味でもそれは必要。そして海外の選手も含めて、年金や福利厚生についても検討して欲しい。

 協会にはこれからもここで無理難題を言い続けるつもりである。がっ、今日はこれ以上はやめておく。まずは選手が代表としてW杯という晴れの舞台で、怪我を怖れることなく全力でプレーできる、そういう環境を作ることに専念して欲しい、そう願うばかりである。

 

 最後に少し期待の持てる部分を。先ほど、ラグビーとは四年単位で進化するものだと書いた。そこで ”起承転結” について触れた。前回でいえばサンウルブスで負け続けた時期が ”転” に当たるのだとも。7月からの六試合、わが日本代表は一勝五敗で終えた。まさにボロボロのグダグダであった。果たしてあの時期は何に当たるのだろう? われながら甘いな・・・・。